小幡　毅

ビジネスを具体的に始めるようになったのは、大学に入学してからのことでした。

もともとゼロから1を生み出すことが好きで探究心も強い性格。

発明家になりたくて研究ができる大学を選びましたが、社会に触れるうちに、自分が作り上げた会社やサービスがいろんな人たちに喜ばれ、永続的に残すことができるビジネスというのも、ある種の発明だと思いました。

起業家を志して、ベンチャービジネスを行うサークルを運営して編集プロダクションの仕事をやったり、ゲームプログラマースクールを設立したりしていました。

就職の際も、将来の起業を見据えてコンサルティング会社を選び、人のビジネスを支える立場として十数年間たくさんのことを学びました。

私の性格に非常に合っていて面白い仕事でしたから、そのままコンサルタントとして働き続けるという選択肢もあったのですが、私としてはやはり起業がしたかった。

自分がやりたいことをしなかったら、死ぬ時に絶対に後悔する。

そんな思いで2000年の始まりと共に起業することを決めました。

日本でもインターネットの夜明けの時代でもありましたので、他の多くのスタートアップと同様にポータルサイト競争に参戦していました。当時はネットだけでは収益出せるところはなく、みんな資金力のあるヤフーにやられちゃいましたが（笑）。

その後、ちゃんと粗利が出せるビジネスに方向転換する必要があり、ネットを活用しつつもリアルと融合したO2O型のモデルを作りました。それが現在運営している家具インテリアのコーディネートショップ「STYLICS（スタイリクス）」です。ここでは、新生活を始めるお客様に向けてインテリアのコーディネートによる家具販売を行っています。

東京新宿にインテイアコーディネーターが常駐する実店舗があり、国内外150ブランド約7万点のインテリアの中から、お客様の理想のお部屋にあったベストなインテリアをトータルにご提案しています。

またご来店が難しいお客様向けのオンラインコーディネートサービスや、初期費用1/3で憧れのインテリアに手が届くレンタルシステムも行なっています。

現在の事業へシフトしたのには、アメリカ留学をしていた頃に感じた日本とアメリカの家の違いがありました。

日本人の家が働いて眠りに帰るための家なのに対して、アメリカ人の家は雰囲気が温かく、暮らしを楽しむ家という印象だったのです。日本は経済大国にはなりましたが、個々の暮らしはそれに伴っていないと感じました。

日本人の暮らしも、本当の意味でもっと豊かにできないかと思い、暮らしの質を上げるために、まずは部屋の質を上げようと考えました。特に、家具は購入頻度が少なく消費者自身が商品を決めるのが難しいという課題に着眼し、インテリアコーディネーターが常駐するインテリアショップを新たに作り、気軽に相談できる環境を整えたのです。

よくわからないまま店内に並んだ家具を見た目だけで選ぶのではなく、家具を入れるお部屋の状況や自分のライフスタイル、理想とする暮らしの夢などをインテリアコーディネーターに伝え、それにふさわしいアイテムやカラー、レイアウトなどプロの視点から提案を受けて選ぶ。

一般的な家具店とは全く異なるプロセスをご用意したことで、きちんと納得のできる家具選びができるようになり、個人から法人までたくさんのお問い合わせをいただけるようになりました。

先端技術の導入も積極的に行っています。業界に先駆けて3Dシミュレーションを導入し、お客様の間取りを3D化してインテリアを配置して見せることで、より具体的なイメージを確認できるようにしました。更に最近は、専用のVRサービスも導入。3Dで膨らませたイメージを、実際にお部屋の中を歩いて体感していただけるようになりました。

実際のカラーやサイズ感までリアルに体感できるため、より失敗の少ないインテリア選びを実現することが可能になったのです。

日本人は建物重視でインテリアにはあまりこだわらないところがありましたが、毎日を過ごす家の中をいかに良い空間にするかという部分は非常に大事だと思います。

自分にとって居心地の良い空間で暮らす事が、毎日を頑張る源泉になると思うのです。

自分がしたい暮らしを実現できる人が増えることで、活力も生まれ、社会全体の生産性向上にも繋がっていくはずですから、今後も新たなテクノロジーをどんどん取り入れて、「Quolity of Life」を大切にしたサービスをご提案し続けたいと思っています。

これからの課題は、私たちのサービスをより多くの方に認知していただくことです。

インテリアコーディネートを積極的に探している人には届けられていますが、そういう人はごく一部です。暮らしを快適にする為に部屋をきちんと設えたいと思った時に、必ず想起して頂けるように取り組んでいきたいと考えています。暮らしの夢を叶えることで、精神的にも豊かで活力にあふれた人たちを増やしていきたいですね。