新たな収益源の確保のために、新規事業の立ち上げを検討している企業は少なくありません。新規事業を検討する際に、「新規事業の立ち上げを任せられたものの、アイデアが浮かばない」「何から手をつけたらいいのか分からない」と悩む担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、新規事業を立ち上げる際のプロセスや活用できるフレームワーク、成功に導くポイントを解説します。新規事業に踏み出す前に知っておきたい情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
新たな収益源の確保のために、新規事業の立ち上げを検討している企業は少なくありません。新規事業を検討する際に、「新規事業の立ち上げを任せられたものの、アイデアが浮かばない」「何から手をつけたらいいのか分からない」と悩む担当者の方もいるのではないでしょうか。
この記事では、新規事業を立ち上げる際のプロセスや活用できるフレームワーク、成功に導くポイントを解説します。新規事業に踏み出す前に知っておきたい情報をお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
少子高齢化による人口減少や、グローバル化による国際競争の激化、AI・ロボットなどの発展によって、社会を取り巻く環境は大きく変化しています。企業が継続して発展していくためには、既存事業にこだわらず、時代の変化に対応していくことが重要です。
「中小企業の成長に向けた事業戦略等に関する調査」によると、新規事業展開に取り組んでいる企業は、実施していない企業に比べ、経常利益率は増加傾向にあります。
企業が持続的に成長していくためには、新たな市場を開拓し、新商品・サービスを展開する戦略に取り組むことが重要だといえるでしょう。
新規事業を成功に導くためには、立ち上げのタイミングが重要です。ここでは、企業の成長段階ごとに、新規事業を立ち上げるのに適しているかどうかを解説します。
創業期は、新規事業を立ち上げるには時期尚早だといえます。既存の事業が軌道に乗っておらず、新たな事業を行うだけの体力が備わっていない場合が多いからです。
新規事業の立ち上げに、最も適した時期です。既存事業が軌道に乗り、人的リソースや資金面も充実していることが多い傾向にあります。新規事業による損失も、既存事業の利益で補えるだけの余裕もあるでしょう。
成熟期もまた、新規事業の立ち上げに適している時期です。既存事業で培った社員のスキルや経験を、新規事業に活かすことができるでしょう。ただし、新規事業の準備中に他の事業が衰退しないよう、注意が必要な時期でもあります。
衰退期は、新規事業の立ち上げに最も向いていない時期です。既存事業の売上が減少していたり、人材面でも体力が残っていなかったりすると、失敗の確率が高くなります。
それにもかかわらず、既存事業の危機的状況を打開しようと、新たに事業を展開しようとするケースがあります。しかし、失敗を避けるために慎重になりやすく、新しい発想につながらない可能性が高くなるでしょう。
新規事業を立ち上げる際は、以下7つのプロセスに分けて進めていきます。
それぞれ詳しく解説します。
新規事業を立ち上げる際、まずは自社の理念やビジョンを明確にすることが重要です。
その際、自社の売上向上だけでなく、社会全体の課題解決につながるものでなければなりません。短期的な利益にばかり目を向けてしまうと、ビジネスにおいて成功しにくくなります。
社会全体の課題解決のために「その事業を、いま、なぜ自社が行うのか」といった理念やビジョンをしっかり見つめ直しましょう。
自社の理念・ビジョンを明確にしたら、新規事業を展開する領域を決めます。
新規事業の領域を決める際、まずは経営分析・市場調査を行い、現状を把握する必要があります。その上で、自社だけでなく社会全体の課題やニーズを見出しましょう。
市場の潜在ニーズを見出すための方法として、既存顧客や過去の顧客に直接ヒアリングするのも有効です。既存顧客であれば、すでに信頼関係が構築できている場合も多いため、本音を引き出しやすくなります。
また、自社に足りない商品やサービスにはどういったものがあるのかを検討してみてください。社内のニーズを解決するための商品やサービスを新規事業として立ち上げることも、1つの方法です。
新規事業の領域が固まったら、具体的なアイデアを検討します。
新たに展開しようとしている市場にはどういった特徴があるのか、リスクはあるか、競合他社は存在するか、などを分析します。
また、絞り込んだアイデアは、5年後、10年後も成長が見込まれるものか、社会課題の解決につながるものなのか、といった視点で考えることが大切です。
アイデアが事業につながるかどうかは、以下の3つを基準に判断するとよいでしょう。
新規事業の立ち上げには、中心となって事業を展開していく担当者を決める必要があります。
担当者には、必ず前向きで建設的な人材を選ぶことが重要です。問題を指摘するなど批判ばかりのタイプは、新規事業に対する社員のモチベーション低下にもつながりかねません。
一方、新規事業を任せられるスキルやノウハウを兼ね備えている優秀な人材は、既存事業でも中心となっている可能性があるでしょう。
労働人口減少による人材不足の影響で、担当者の確保が難しい場合は、外部のプロフェッショナル人材にアウトソーシングするのも有効な手段です。社内に不足しているノウハウを、外部から吸収できるメリットもあります。
具体的なアイデア出しや、新規事業立ち上げのための環境が整ったら、事業計画を立案します。事業計画書は、新規事業の成功確率を高めるために必要不可欠です。
記載する項目として、以下のようなものが挙げられます。
事業概要 | ・経営者の経歴等 ・起業の動機 ・ビジョン、目標 |
事業内容 | ・事業コンセプト ・現状分析 ・販売、仕入計画 ・実施体制、人員計画 |
数値計画 | ・投資、調達計画 ・損益計画 |
実行計画 | ・目標設定 ・各タスクのスケジュール、担当者設定 |
計画書を作成する際、各項目に一貫性を持たせることが大切です。内容は具体的、かつ分かりやすく記載します。図表や画像などを加えると、取組内容が正確に伝えられるでしょう。
具体的な事業計画を立案した後は、担当者が中心となり、実行に移します。
ここまでの入念な準備と計画があれば、リスクを予測しやすくなるでしょう。定期的な計画の見直しを行い、評価することを忘れてはなりません。
計画に沿って実行し、成果を検証、改善を繰り返すことが大切です。
実行に移し、問題や課題が発生した場合、本質的な原因にはどういったものがあるか、根本的な改善策を見出す必要があります。定期的な改善を繰り返していけば、新規事業を軌道に乗せられるでしょう。
新規事業を成功に導くために、以下5つのポイントを押さえておきましょう。
それぞれ詳しく解説します。
新規事業の立ち上げを成功に導くためには、スピード感が重要です。近年、社会を取り巻く状況は、大きく変化しています。新規事業の領域やアイデア出しに時間をかけている間に、市場を取り巻く環境が変化したり、競合が参入してきたりすることも考えられます。
完璧な状態でのローンチにこだわりすぎず、市場ニーズを見極め、参入のタイミングを判断しましょう。
新規事業を成功に導くために、適切な人材をアサインしましょう。既に新規事業の立ち上げ経験がある人材を配置できれば、スムーズな展開が期待できます。
しかし、経験者は、過去の成功体験にとらわれ、無意識に以前のやり方に引っ張られてしまう場合もあります。新規事業ならではの柔軟さが欠けてしまわないよう、慎重に担当者を選択するべきです。
新規事業に対する熱意や、前向きな姿勢を持つ人材を選び、成果検証を行って組織の基盤ができてから増員するとよいでしょう。
新規事業の立ち上げで適切な人材をアサインできたとしても、その後をプロジェクトメンバー任せにしてはなりません。組織として、プロジェクトメンバーをサポートする体制づくりに留意しましょう。
新規事業の中心となる担当者が優秀だと、他のメンバーが意見しづらい状況に陥るケースも少なくありません。最低でも四半期ごとに状況をフィードバックする機会を設け、メンバー全員のフォロー体制を組織全体で作ることが大切です。
新規事業を成功に導くためには、補助金や助成金を活用するとよいでしょう。国や自治体などの支援制度である補助金や助成金を活用すれば、返済不要な事業資金を調達できます。
手続きや審査に手間はかかるものの、申請が通れば国や自治体などの公的機関に事業を認められたこととなり、社会的信頼を得られるのもメリットです。
新規事業を成功させるためには、撤退ラインを決めておくことも忘れてはなりません。
時期や売上など、撤退条件をあらかじめ決めておけば、新規事業にストップをかける基準となり、損失を最小限にとどめられるでしょう。
撤退ラインの基準にはKGI(Key Goal Indicator)を使うのもおすすめです。KGIは、最終目標に対する達成度合いを測る指標です。KGIを設定しておくことにより、撤退の基準ができるだけではなく、目標に対する施策が適切だったのか判断もしやすくなります。
新規事業を立ち上げる際、以下3つのフレームワークを活用すると、経営戦略を導き出しやすくなります。
フレームワーク | 特徴 |
SWOT分析 | 市場における自社の事業環境を分析し経営戦略を練る |
3C分析 | 自社の事業環境を分析し経営戦略を立てる |
ポジショニングマップ | 市場における自社ポジションの明確化 |
SWOT分析は、自社の置かれた状況や競合の状況を明らかにし、経営戦略を練るためのフレームワークです。
SWOTは、以下4つの項目の頭文字から構成されます。
上記4つの項目を、内部環境・外部環境の2つに分けて分析します。
プラス要因 | マイナス要因 | |
内部環境 | S(強み):Serength他者と比較した自社の強み | W(弱み):Weakness他者と比較した自社の弱み |
外部環境 | O(機会):Opportunity事業立ち上げに適している理由 | T(脅威):Threat事業立ち上げの脅威となるもの |
SWOT分析によって、市場における自社のプラス、マイナス要因を見極められます。外部環境と照らし合わせて分析できるため、新規事業を発展させるヒントが見出しやすくなるでしょう。
3C分析とは、自社や顧客、競合を含めた事業環境を分析し、経営戦略を立てるためのフレームワークです。3Cは、以下3つの頭文字からなります。
3つの要素のうち、まずはターゲットとなる顧客に焦点を当てながら、競合、自社の順に分析します。
3C分析を活用すれば、自社の商品やサービスの強み・弱みだけでなく、競合、市場の動きをふまえた戦略を立てやすくなります。顧客に視点を合わせ、競合との差別化を図る際、役立つでしょう。
ポジショニングマップは、市場における自社商品やサービスの価値や優位性などを明確にするためのフレームワークです。
顧客が商品購入の際、重要視する要素(価格や特徴など)を2つ選び、縦・横の軸に設定します。次に、自社商品やサービスを該当するポジションに置きます。競合他社の商品もそれぞれ該当するポジションにマッピングすることによって、自社商品がどのポジションにあるか可視化できます。
完成したマップは、自社商品がどこを目指すべきなのかの検討材料になります。
自社商品の強みや弱みを、ヴィジュアルで瞬時に判断できます。競合他社のポジションもマッピングすることによって、自社の強みを生かすための戦略を立てやすくなるでしょう。
ここでは、新規事業に関するよくある質問を、以下3つ紹介します。
A. まずは、社内の複数人とブレインストーミングを行ってみましょう。
自社にあったらいいと思えるものなどについて意見を出し合うことにより、複数の視点からアイデアが浮かぶ可能性があります。
また、市場や社会の課題、不便さなどが特定できれば、対応するアイデア出しもできるでしょう。似たようなビジネスの成功事例などを研究し、独自のアイデアを思いつく可能性もあります。
A. 経営者は新規事業の進捗や目標に対する成果を評価し、必要に応じて戦略の変更などを行います。
担当者となる人材にすべて丸投げするのではなく、最低でも四半期に1度は関わるべきです。また、新規事業立ち上げに際し、チームを鼓舞し、フォロー体制を整えるための組織風土づくりにも貢献しなければなりません。
A. 新規事業が黒字になるには、3〜5年かかるといわれています。
そのため、新規事業を立ち上げる際は、事前に経営資源を確保しておくことが大切です。黒字化するまでの期間、目標達成できているか検証し、軌道修正しながら事業を推進していく必要があります。
この記事では、新規事業を立ち上げる際のプロセス、活用できるフレームワーク、成功に導くポイントを解説しました。
新規事業のアイデアは、経営者同士の交流の中からも、新たな事業展開のヒントを見出せる可能性もあるでしょう。
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