新規事業の成功には、マーケティング戦略を適切に立案・実行できるかどうかが大きく影響します。しかし、「どのようにマーケティング戦略を立案すればいいのか?」と気になっている人もいるでしょう。
そこで本記事では、マーケティング戦略を立案・実行する流れや、おすすめのフレームワークを説明します。失敗する原因や、成功するためのポイントも紹介しているため、これから新規事業のマーケティングを担当する人はぜひ参考にしてください。
決済者のリード獲得に興味がある方はこちら
https://onlystory.co.jp/
マーケティングとは
マーケティングは、商品・サービスを効率的に売るための仕組み作りのことです。具体的には、市場分析や商品・サービスの開発、販売促進という活動が含まれています。
経営学者のピーター・ドラッカーは著書「マネジメント」にてマーケティングを「マーケティングの目的は、販売を不必要にすることである。 顧客を十分に理解し、顧客に合った製品やサービスが自然に売れるようにすることだ。」と定義しています。
つまり、マーケティングでは商品・サービスを顧客に売り込むのではなく、顧客ニーズを読み取って顧客の求める商品・サービスを提供する必要があります。
新規事業におけるマーケティングの重要性
新規事業では適切にマーケティングを行わないと、需要のない商品・サービスを開発したり、顧客に商品・サービスが届かない可能性があります。例えば、「この商品なら多くの人に売れそう」という理由だけで商品を開発・販売しても、需要がなければ受注にはつながりません。
経済産業省の2017年版「中小企業白書」によると、「新規事業展開に成功した」と回答した企業は、約29%(成功したと回答した企業:365社、全体:1,356社)です。さらに、成功したと回答している企業の中でも、経常利益率が増加した企業は51.4%です。つまり、新規事業を立ち上げて増益に結びついた企業の割合は約14%と言えます。
受注に繋げるためには、「誰にどのような価値をどのように提供するのか」というマーケティング戦略を策定する必要があります。多くのリソースを割いて、失敗に終わってしまうという事態を防ぐために、マーケティング戦略を立案・実行する流れを理解して、適切にマーケティングを行いましょう。
新規事業のマーケティング戦略を立案・実行する流れ
新規事業のマーケティング戦略を立案・実行する流れは、以下の通りです。
- 市場分析
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- 実行・評価
これより、それぞれのプロセスについて解説していきます。
①市場分析
市場分析とは、企業が属している業界や市場の動向を深く理解するためのプロセスであり、マーケティングの初期段階で実施します。顧客のニーズ、自社の強みや弱み、機会や脅威などを明確にし、効果的なマーケティング戦略を行うことが目的です。
市場分析を行うと、「消費者がどのような商品・サービスを求めているのか」「競合他社がどのような商品・サービスで売上を上げているのか」ということがわかります。さらには、潜在ニーズを明らかにできれば、市場を独占できる可能性もあります。
ここでは、市場分析におすすめのフレームワークを紹介します。
3C分析
3C分析は、自社と競合、顧客という3つの軸を分析して、自社を取り巻く環境を明らかにするフレームワークです。以下の3つの頭文字を取って、3C分析と呼ばれています。
- Company(自社):自社の強みや弱みを分析する
- 競合(Competitor):環境の変化にどのように対応しているのか分析する
- 顧客(Customer):市場や顧客のニーズがどのように変化しているのか分析する
SWOT分析
SWOT分析は、自社の外部環境と内部環境を、プラス要因とマイナス要因に分けて分析するフレームワークです。以下の頭文字を取って、SWOT分析と呼ばれています。
- Strength(強み):内部環境のプラス要因。技術力や企画力など自社の強みを分析する
- Weakness(弱み):内部環境のマイナス要因。競合に勝つために克服しなければならない弱みを分析する
- Opportunity(機会):外部環境のプラス要因。市場の変化などで自社にプラスに働く要素を分析する
- Threat(脅威):外部環境のマイナス要因。市場の変化などで自社にマイナスに働く要素を分析する
②セグメンテーション
セグメンテーションは、市場細分化とも呼ばれており、市場全体を特定の基準に基づいてグループ分けするプロセスです。自社の商品・サービスに適したターゲット層を明確にすることが目的です。
以下の4つの基準を用いてグループ分けします。
- 地理的変数:国や地域、天候、人口密度、文化、宗教など
- 人口動態変数:年齢や性別、職業。所得、学歴など
- 心理的変数:消費者の性格やライフスタイル、趣味、価値観など
- 行動変数:製品の使用状況や知識量など
③ターゲティング
ターゲティングは、自社の商品・サービスを最も効果的に届けられるセグメントを選ぶプロセスです。セグメンテーションで細分化した市場から、自社に適した顧客層を絞り込みます。ターゲティングを行うと、リソースを効率的に活用したマーケティング戦略を立案できます。
④ポジショニング
ポジショニングは、選定した市場セグメント内で自社の商品・サービスの立ち位置を明らかにして、競合との差別化を図るためのプロセスです。差別化することにより、顧客が自社の商品・サービスの独自の価値を理解し、多くの選択肢の中から自社を選んでもらいやすくなります。
ここでは、おすすめのフレームワークとして、STP分析を紹介します。
STP分析
STP分析はセグメンテーション、ターゲティング、ポジショニングという工程を経て、自社の市場における立ち位置を明らかにするフレームワークです。顧客のニーズの把握や、他社との差別化を図ることが目的です。以下の頭文字を取って、STP分析と呼ばれています。
- Segmentation(セグメンテーション):市場を地理や属性、心理などの項目でグループ分けする
- Targeting(ターゲティング):細分化した市場の中から自社が狙う市場を決める
- Positioning(ポジショニング):ターゲティングで決めた市場を調査して、自社の立ち位置を決める
4P分析
4P分析は、製品と価格、販売、流通という観点から、自社の商品・サービスを分析するフレームワークです。以下の頭文字を取って、4P分析と呼ばれています。
- Product(製品):どのような価値を顧客に提供するか
- Price(価格):商品・サービスをいくらで提供するか
- Promotion(販売):どのように販促するか
- Place(流通):どのような形で商品・サービスを提供するか
4C分析
4C分析は、顧客価値やコスト、利便性、コミュニケーションという顧客視点で商品・サービスを分析するフレームワークです。買う側である顧客の視点に立って、自社の商品・サービスのメリットを整理できます。以下の頭文字を取って、4C分析と呼ばれています。
- Customer value(顧客価値):顧客が抱いている商品サービスの価値
- Cost(コスト):顧客が商品・サービスに支払う費用
- Conveniece(利便性):商品・サービスの購入方法の容易さ
- Communication(コミュニケーション):顧客と接点を持つ場所・方法
⑤実行・評価
実行・評価は、策定した戦略を実行し、その結果を評価するプロセスです。策定した戦略を具体的な行動として取り組み、その成果を定量的・定性的に分析します。
事前に設定したKPIを基にして、施策の成果や効果を分析します。例えば、Web広告を実施した場合には、CV数やCVRなどを指標として使用することが多いです。
評価によって、目標との乖離や問題点が明らかになった場合、原因を特定し、必要に応じて施策の改善を行います。PDCAを回すことで、マーケティング戦略を最適化できます。
新規事業のマーケティングが失敗する要因
新規事業のマーケティングが失敗する代表的な要因として、以下のようなものが挙げられます。
- ノウハウが不足している
- 顧客ニーズが見極められていない
- 市場参入のタイミングを見極められていない
- 資金が不足している
新規事業の立ち上げには、コミュニケーションスキルや情報収集スキルなどのスキル・ノウハウが必要となります。社内にないノウハウがマーケティングで必要となる場合には、外部人材の活用など、ノウハウを補う方法を検討しなければなりません。
また、顧客ニーズや市場参入のタイミングを見極められていないこと、資金が不足していることも、新規事業のマーケティングが失敗する原因です。しっかりと調査・分析して準備することにより失敗するリスクを抑えられるため、マーケティングの成功には事前準備が重要となります。
新規事業のマーケティングを成功させるためのポイント
新規事業のマーケティングを成功させるためのポイントは、以下の通りです。
- 顧客価値を明確にして製品開発を行う
- 複数のフレームワークを組み合わせる
- あらかじめ撤退ラインを決めておく
これより、それぞれのポイントを解説します。
顧客価値を明確にして製品開発を行う
顧客にとって価値のある商品・サービスでなければ、受注にはつながりません。顧客価値を明確にして、商品・サービスの開発に注力することが成功には不可欠です。
決済者やプロジェクト関係者には、顧客価値を明確にした上で開発する重要性について説明しなければなりません。その際、フレームワークを活用すれば、説得力の高いものとなります。
複数のフレームワークを組み合わせる
フレームワークは特定の観点から分析するものが多いです。ひとつのフレームのみを使用すると、限られた観点からしか分析できず、全体の視野を欠いてしまいます。
例えば、買い手側の視点で分析する4C分析と、売り手側の視点で分析する4P分析を組み合わせると、買い手・売り手の両方の視点からマーケティング戦略を検討できます。
あらかじめ撤退ラインを決めておく
新規事業を立ち上げる際、多くの時間や労力、資金が必要となります。経営資源は有限であり、使用方法を誤ると企業全体の経営に悪影響を及ぼすリスクがあるため、あらかじめ撤退ラインを決めておく必要があります。
明確に撤退ラインを決めておかなければ、赤字が続く事業に資源を注ぎ続ける場合があります。大きな損失が生じると、既存事業に影響することがあるため、「○○年度までに○○の売上を達成できなければ撤退する」という具体的な撤退ラインを設定しておきましょう。
新規事業のマーケティングに関するよくある質問
新規事業のマーケティングに関するよくある質問を紹介します。
- フレームワークを活用するメリットは?
- 新規事業のマーケティングに必要なスキルは?
- マーケティングと事業開発の違いは?
Q.フレームワークを活用するメリットは?
A.新規事業のマーケティングでフレームワークを活用すると、効率的にマーケティング戦略を検討できます。フレームワークの思考の枠組みに沿って検討するため、無駄な要素を排除できて、時間を節約でき、さらには検討段階での抜け漏れも防止できます。
Q.新規事業のマーケティングに必要なスキルは?
A.新規事業のマーケティングには、コミュニケーションスキルや情報収集スキル、マネジメントスキルなどが必要となります。
Q.マーケティングと事業開発の違いは?
A.マーケティングと事業開発は、目的が異なります。マーケティングは顧客のニーズを満たした商品・サービスを届けることが目的であるのに対し、事業開発はマーケティングを含めた収益機会の獲得や事業の規模拡大など、企業を成長させることが目的です。
アポ獲得が必要なら決裁者マッチングサービスがおすすめ
新規事業のマーケティング戦略を立案・実行する流れは、以下の通りです。
- 市場分析
- セグメンテーション
- ターゲティング
- ポジショニング
- 実行・評価
フレームワークを活用すれば、無駄を省いて、効率的にマーケティング戦略を立案できます。その際、複数のフレームワークを組み合わせることで、多面的に分析できて、より効果的な戦略を立案することが可能です。
なお、弊社オンリーストーリーでは決裁者マッチングサービスを提供しています。決裁者とのアポイントをオンラインで獲得できるため、リソース不足の解消にもつながります。アポイント獲得が必要な事業を展開する場合には、ぜひ利用を検討してください。
(本文執筆・編集:オンリーストーリー編集部)
弊社の直近3年で約10億円、btobの投資をしてきました。また、弊社自体が営業代行会社として、多くの会社様の案件を受けてきました。その中で、再現性のある営業手法がないという話や、1社だけで満足できる営業支援の会社はなかなか見つからないという声を多く聞いています。本記事や、10億円のまとめを記載したホワイトペーパーを用意していますので、少しでも皆様の営業の一助になりましたら幸いです。
(コメント:代表平野)