最終更新日: 2025.10.04

「担当者の方からは『前向きに検討します』と言われたきり、全く話が進まない…」

「そもそもアプローチしたい企業の決裁者が誰なのか、どうやって商談の機会を得ればいいのか見当もつかない」

BtoB営業において、このような「担当者止まり」の状況は、多くの営業担当者が直面する深刻な課題です。

この記事では、そんな悩みを解決するために、決裁者を見つけ出す具体的な方法から、担当者(ゲートキーパー)を突破して決裁者に直接アプローチするための5つの実践的な手法、さらにはそのまま使えるメールやトークの例文まで、商談獲得に必要な全ノウハウを徹底解説します。

数多くのトップセールスが実践し、成果を上げてきた王道のアプローチを学び、あなたの営業活動を次のステージへと進めましょう。

Table of Contents

なぜ「決裁者との商談」が重要なのか?3つの圧倒的メリット

なぜトップセールスは、あれほどまでに決裁者との商談にこだわるのでしょうか。

それは、決裁者と直接話すことで得られるメリットが、ビジネスの成果に絶大な影響を与えるからです。

ここでは、その3つの圧倒的なメリットを解説し、決裁者アプローチの重要性を再認識します。

メリット①:商談のスピードが劇的に向上する

最大のメリットは、意思決定のスピードが劇的に速まることです。

担当者レベルでの商談では、「一度持ち帰り、上司に確認します」「稟議にかけるので、しばらくお待ちください」といった返答がつきものです。

この「上に確認します」という待ち時間が、商談の停滞や失注の大きな原因となります。

しかし、予算の承認権や最終的な決定権を持つ決裁者と直接話ができれば、その場でYES・NOの判断や、具体的な次のステップについての話が進みます。

ビジネスにおいて時間は最も貴重な資源であり、決裁者との商談は、この時間を最大限に有効活用するための最も確実な方法なのです。

メリット②:受注率・契約単価が向上する

決裁者と直接商談することで、受注率や契約単価が向上する傾向にあります。

なぜなら、決裁者は常に会社全体の課題や経営目標という高い視点で物事を考えているからです。

そのため、単なる製品の機能紹介ではなく、「このサービスを導入すれば、御社の経営課題である〇〇を解決し、これだけの利益貢献ができます」といった、経営の根幹に関わる提案が響きやすくなります。

課題の本質を捉えた提案は、より大きな価値を感じてもらいやすく、結果として価格競争に陥ることなく、高い受注率と契約単価の実現に繋がるのです。

メリット③:顧客との長期的な関係構築に繋がる

決裁者との間に一度信頼関係を築くことができれば、それは一回限りの取引に終わらない、長期的なビジネスチャンスへと繋がっていきます。

企業のトップや事業責任者と強固な関係を構築できれば、契約の継続はもちろんのこと、「別の部署でこんな課題があるのだが、相談に乗ってくれないか?」といったアップセルやクロスセルの機会が生まれやすくなります。

また、「取引先の〇〇社が同じことで悩んでいたから、紹介するよ」といった、リファラル(紹介)に繋がる可能性も大いにあります。

決裁者との関係構築は、自社のビジネスを安定的に成長させるための、最も価値ある投資と言えるでしょう。

【準備編】決裁者との商談は「見つける」ことから始まる!4つの特定方法

決裁者にアプローチするためには、まず「誰が決裁者なのか」を特定しなければなりません。

闇雲に代表電話にかけるのは非効率です。

ここでは、アプローチの精度を格段に上げるための、キーパーソンを特定する4つの具体的な方法をご紹介します。

この準備段階が、商談獲得の成否を大きく左右します。

① 企業の公式ウェブサイト・IR情報から探す

最も基本的かつ重要な情報源は、ターゲット企業の公式ウェブサイトです。

特に上場企業であれば、投資家向けの「IR情報」セクションは宝の山です。

役員一覧や組織図を見れば、どの役員がどの事業領域を管轄しているのかが分かります。

また、中期経営計画や株主向けの決算説明資料を読み解けば、企業が今どの分野に力を入れようとしているのか、その戦略責任者は誰なのかを推測することが可能です。

これらの公開情報から、「この課題については、〇〇担当役員に話をするのが最適だろう」という仮説を立てることができます。

② プレスリリースやニュース記事から特定する

企業の最新の動向を知る上で、プレスリリースやメディアが報じるニュース記事は非常に有効な情報源です。

例えば、「〇〇社、新規事業として△△を開始」といったプレスリリースには、その事業の責任者の名前や部署名が記載されているケースが非常に多いです。

また、業界専門誌のインタビュー記事やイベント登壇の情報なども、キーパーソンを特定する上で重要な手がかりとなります。

これらの情報を日頃からチェックし、「この人にアプローチすべきだ」というターゲットをリストアップしておくことで、いざという時に迅速に行動を起こせます。

③ ビジネスSNS(LinkedInなど)を活用する

LinkedInに代表されるビジネス特化型SNSは、決裁者を探し、そしてアプローチするための強力なツールです。

多くのビジネスパーソンが自身の役職や経歴、担当業務などを公開しているため、企業名と「事業部長」や「マーケティング部長」といった役職名で検索するだけで、キーパーソンを簡単に見つけ出すことが可能です。

また、相手がどのような経歴を持ち、どのような分野に関心を持っているのかを事前に知ることができるため、アプローチの際の会話のきっかけ作りにも役立ちます。

ただ見つけるだけでなく、その後の関係構築の第一歩としても活用できる、現代の営業活動には必須のツールと言えるでしょう。

④ 企業情報データベースを利用する

より効率的に、かつ大規模に決裁者リストを作成したい場合には、有料の企業情報データベースを活用するという選択肢もあります。

これらのサービスでは、業種や地域、企業規模といった基本的な情報に加え、部署名や役職者名でターゲットを絞り込み、リストをダウンロードすることが可能です。

手作業で一つずつ情報を集める手間を大幅に削減できるため、営業活動の効率を劇的に向上させることができます。

初期投資はかかりますが、その後の営業成果を考えれば、費用対効果の高い投資となる場合も少なくありません。

自社の営業戦略に合わせて、こうしたツールの導入を検討する価値は十分にあります。

【実践編】決裁者に直接アプローチする5つの方法と例文

決裁者を特定できたら、いよいよ実践です。

ここでは、キーパーソンに直接アプローチするための5つの具体的な方法を、すぐに使える例文やトーク例と共に解説します。

それぞれの方法にメリットとデメリットがあるため、状況に応じて最適な手法を使い分けることが成功の鍵となります。

① メール:件名と導入文で9割決まるアプローチ

メールは、相手の時間を奪わずにアプローチできる有効な手段ですが、多忙な決裁者は一日に数十から数百のメールを受け取ります。

そのため、その他大勢のメールに埋もれない工夫が不可欠です。

成功の9割は「件名」で決まると言っても過言ではありません。

「【株式会社〇〇様】△△事業部長様へ:貴社の生産性向上に関するご提案」のように、誰に、何を、どんなメリットがあるのかを具体的に記載し、「自分ごと」として捉えてもらうことが重要です。

本文は30秒で読める簡潔さを心がけ、課題提起→解決策の提示→具体的なアクション依頼、という構成でまとめましょう。

【例文】
件名:【株式会社〇〇 営業部長 XXXX様】貴社の営業部門の受注率を1.5倍に引き上げる手法のご提案(株式会社△△ 〇〇)
本文:
突然のご連絡失礼いたします。株式会社△△の〇〇と申します。
貴社のIR資料を拝見し、特に営業部門の強化に注力されている点に感銘を受けました。
もし貴社が「商談数は多いが、受注率が伸び悩んでいる」といった課題をお持ちでしたら、弊社が〇〇業界で30社以上の受注率改善を実現したノウハウがお役に立てるかもしれません。
つきましては、この手法について15分ほどお電話でご説明させていただく機会を頂戴できないでしょうか。

② 電話:担当者(ゲートキーパー)突破のテクニック

電話でのアプローチは、受付や担当部署といった「ゲートキーパー」をいかに突破するかが鍵となります。

ここで重要なのは、「営業の電話です」という雰囲気を極力出さないことです。

「営業担当」としてではなく、「〇〇の件で情報提供をしたい専門家」というスタンスで臨みましょう。

「〇〇部長様はいらっしゃいますか?」と尋ねるのではなく、「〇〇部長様にお繋ぎいただけますでしょうか」と丁寧にお願いするだけでも、相手の受け取り方は変わります。

用件を聞かれた際は、「先日メールをお送りした〇〇の件で、ご挨拶をと思いまして」など、何かしらの接点を伝えるとスムーズです。

【トーク例】
受付:「どのようなご用件でしょうか?」
自分:「お世話になっております。私、株式会社△△の〇〇と申します。先日、営業部長のXXXX様に、営業部門の生産性向上に関する資料をお送りさせていただいたのですが、その件で一度ご挨拶をさせて頂きたく、お電話いたしました。恐れ入りますが、XXXX様にお繋ぎいただけますでしょうか。」

③ 手紙:デジタル時代だからこそ響く特別感の演出

メールや電話といったデジタルなアプローチが溢れる現代において、物理的な「手紙」は非常に強いインパクトを与え、決裁者の記憶に残りやすい手法です。

特に、アプローチしたい企業のトップなど、地位の高い人物に対して有効です。

ただし、ただ送れば良いというわけではありません。

PCで作成した丁寧な文面に、必ず手書きで「貴社の〇〇という取り組みに感銘を受けました」といった一言を添えることが重要です。

この一手間が、その他大勢のDMとの差別化に繋がります。

会社のロゴが入った上質な封筒を選んだり、記念切手を使ったりと、細部にまでこだわることで、相手に対する敬意と特別感を演出し、開封率を劇的に高めることができます。

④ SNS(ソーシャルセリング):情報発信で惹きつける

LinkedInなどのビジネスSNSを活用したアプローチは、長期的な関係構築を前提とした手法です。

いきなり商談を依頼するようなメッセージを送るのは絶対にNGです。

まずは、ターゲットとなる決裁者の投稿に対して、共感を示す「いいね!」や、専門的な知見を交えた有益なコメントをすることから始めましょう。

同時に、自分自身もプロフィールを充実させ、業界に関する有益な情報を継続的に発信します。

これを続けることで、相手に「この人は〇〇業界の専門家だ」と認知してもらうことができます。

信頼関係が構築できた段階で、「一度情報交換させていただけませんか?」とメッセージを送れば、快く応じてもらえる可能性が格段に高まります。

⑤ 紹介(リファラル):最も強力かつ確実な方法

決裁者との商談を獲得する上で、最も強力で確実な方法が「紹介(リファラル)」です。

共通の知人や取引先、あるいは社内の役員の人脈などを活用し、キーパーソンを紹介してもらうのです。

信頼できる第三者からの紹介という形を取ることで、相手は最初から好意的な姿勢で会ってくれるため、商談の成功率も飛躍的に高まります。

紹介を依頼する際は、なぜその人に会いたいのか、どのような話をしたいのかを明確に伝え、紹介者の負担を最小限に抑える配慮が重要です。

日頃から社内外のネットワークを大切にし、いざという時に協力してもらえる関係性を築いておくことが、トップセールスへの近道と言えるでしょう。

決裁者アプローチの成功率を劇的に上げる3つの原則

これまで具体的なテクニックを紹介してきましたが、その根底には、決裁者の心を動かすための重要なマインドセットが存在します。

小手先の技に頼るのではなく、これから紹介する3つの原則を常に意識することで、あなたのアプローチはより深く、そして効果的なものへと変わるはずです。

原則①:「Giveの精神」で情報を提供する

決裁者アプローチで最もやってはいけないのが、「売り込み」の姿勢を前面に出すことです。

「弊社の製品は素晴らしいので買ってください」というスタンスでは、多忙な決裁者は見向きもしてくれません。

重要なのは、「御社のビジネスに貢献したい」という真摯な「Giveの精神」です。

「御社の〇〇という経営課題の解決に役立つ、こんな業界データがあります」「競合他社はこのような取り組みで成功しています」といった、相手にとって有益な情報を提供することから始めましょう。

この「貢献意識」が伝わった時、相手は初めてあなたを単なる営業担当ではなく、相談に値するパートナーとして認識してくれます。

原則②:「相手の時間を奪わない」意識を徹底する

決裁者は、分刻みのスケジュールで動いている極めて多忙な人々です。

その貴重な時間を、自分都合で奪うような行為は絶対に避けなければなりません。

メールを送る際は、要点を絞り、30秒で読めるように配慮する。

電話をかける際は、最初に「今、2分だけお時間よろしいでしょうか?」と相手の状況を確認する。

商談の機会を得られたら、時間内に必ず終わらせる。

このような、「相手の時間を尊重する」という当たり前の姿勢を徹底することが、ビジネスパーソンとしての信頼に繋がります。

この細やかな配慮ができる営業担当者だと認識されれば、次の機会にも繋がっていくはずです。

原則③:徹底した事前準備と「仮説」を持つ

決裁者との限られた商談時間で成果を出すためには、徹底した事前準備が不可欠です。

企業のウェブサイトやIR情報、中期経営計画、社長のインタビュー記事などに隅々まで目を通し、その企業が今どのような方向を目指し、どのような課題を抱えているのかを深く理解しましょう。

その上で、「御社は現在、〇〇という点に課題をお持ちではないでしょうか?それであれば、弊社のこのサービスがこのようにお役立てできます」という、具体的な「仮説」を持って商談に臨むことが重要です。

この仮説の精度が高ければ高いほど、決裁者は「この営業は、うちのことをよく理解しているな」と感じ、真剣に話を聞いてくれるようになります。

決裁者との商談獲得を外部サービスに頼る選択肢

ここまで解説してきた手法を自社で実践するのが難しい、あるいはリソースが足りないという場合もあるでしょう。

そのような場合には、外部の専門サービスを活用するのも有効な選択肢です。

無理に自社だけで完結しようとせず、プロの力を借りることで、効率的に成果を出すことができます。

決裁者リストを提供するデータベースサービス

決裁者を特定する「準備編」でご紹介した企業情報データベースは、決裁者へのアプローチを効率化するための強力なツールです。

これらのサービスを活用すれば、ターゲットとすべき企業の部署名や役職者名が記載されたリストを簡単に入手できます。

手作業で情報収集を行う時間と労力を大幅に削減し、営業担当者が本来注力すべきである、顧客とのコミュニケーションに集中できる環境を整えることができます。

月額費用はかかりますが、営業活動全体の生産性を向上させる投資として検討する価値は十分にあります。

決裁者へのアポイント獲得を代行する営業代行サービス

決裁者へのアプローチそのものを、専門の営業代行会社に委託するという方法もあります。

特に、決裁者とのアポイント獲得に特化したサービスでは、豊富な経験とノウハウを持ったプロフェッショナルが、自社に代わってキーパーソンへのアプローチを行ってくれます。

自社にアプローチのノウハウがなかったり、営業リソースが不足していたりする場合に非常に有効です。

ただし、代行会社に任せきりにするのではなく、密に連携を取り、どのような活動を行っているのかを把握し、得られた知見を自社に蓄積していく姿勢が重要です。

まとめ:決裁者との商談獲得は「準備」と「貢献意識」がすべて

本記事では、決裁者との商談を獲得するための具体的な方法論から、その根底にある重要な原則までを網羅的に解説しました。

決裁者へのアプローチは、決して簡単なことではありません。

しかし、闇雲に数をこなすのではなく、適切な「準備」を行い、正しい「戦術」を実践すれば、その扉を開くことは十分に可能です。

そして、様々なテクニック以上に重要なのが、「相手のビジネスに貢献したい」という真摯な姿勢、すなわち「Giveの精神」です。

この貢献意識こそが、最終的に多忙な決裁者の心を動かし、あなたをビジネスパートナーとして認めさせる最も重要な要素となります。

まずは明日、アプローチしたい企業を1社選び、本記事の「準備編」を実践してみてください。

キーパーソンが見つかれば、そこから道は開けます。

ENICXO
メッセージアイコン オンリーストーリー代表 平野からのメッセージ
オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

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