最終更新日: 2025.11.06

フィールドセールスという言葉を聞くと、従来の営業部隊を思い浮かべる人が多いかもしれません。

しかし、現代のビジネス環境の中で、フィールドセールスの役割は大きく変わってきています。

かつては営業担当者が、見込み客の発掘から商談、成約、そしてアフターフォローまで、すべてを一人で担当するのが一般的でした。

ところが、インサイドセールスという新しい営業部隊が登場することで、営業プロセスは大きく分業化されるようになったのです。

フィールドセールスが本来の力を発揮するには、マーケティング部門やインサイドセールス部門との連携が不可欠です。

本記事では、フィールドセールスが現代営業組織の中でどのような役割を果たすべきなのか、具体的かつ実践的に解説していきます。

Table of Contents

フィールドセールスの基本概念と定義

フィールドセールスとは、見込み客を直接訪問し、対面で商品やサービスの提案から受注までを行う営業手法です。

顧客の元に出向いて営業活動を行うことから、外勤営業とも呼ばれています。

従来の日本の営業スタイルでは、このフィールドセールスが営業活動のすべてを担当することが一般的でした。

営業担当者は、見込み客の開拓からリードの育成、商談、クロージング、そしてアフターフォローまで、営業プロセスの全段階に関与していたのです。

外勤営業としての位置づけ

フィールドセールスは、オフィスを離れて顧客先で営業活動を行う外勤型の営業です。

営業担当者は複数の顧客を訪問して、対面での商談を重ねていくのが基本的なスタイルです。

この営業スタイルには、移動時間や交通費がかかるというコスト面でのデメリットがあります。

一方で、顧客と直接顔を合わせることで信頼関係を深めやすく、複雑な商談であっても対応できるという大きなメリットがあるのです。

従来型営業との違い

従来の営業スタイルでは、営業担当者が顧客との最初の接触からクロージングまで、一連のプロセスを単独で担当していました。

結果として、一人の営業担当者が多くの顧客を担当することになり、一客あたりに充てられる時間が限定的になりました。

しかし、複雑なソリューション営業や高額な商材の場合、一度の訪問では十分なヒアリングや提案ができません。

現代のビジネス環境では、営業プロセスを分業化し、各段階で専門的な対応を行うことが求められるようになったのです。

フィールドセールスとインサイドセールスの役割分担

フィールドセールスが現代営業組織の中で最大の効果を発揮するには、インサイドセールスとの緊密な連携が不可欠です。

両者の役割を理解し、適切に分業することが、営業全体の効率化を実現するカギなのです。

インサイドセールスの位置づけと機能

インサイドセールスは、見込み客に対して電話やメール、オンライン会議システムなどを使って、非対面での営業活動を行う部門です。

主な役割は、マーケティング部門が獲得したリードを育成し、購買意欲が高まった時点でフィールドセールスに引き継ぐことです。

インサイドセールスは、相手を訪問しないため移動コストがかかりませんし、短時間で多くの見込み客にアプローチできます。

ただし、非対面であるため、顧客との信頼関係構築には限界があります。

フィールドセールスが担当するプロセス

フィールドセールスの主な役割は、インサイドセールスから引き継いだ「ホットリード」(購買確度が高い見込み客)に対して、対面での商談と提案を行い、成約に導くことです。

つまり、営業プロセスの後半段階を担当するのです。

フィールドセールスが受け取るリードは、既にある程度の購買段階に達しているため、営業活動の効率が大幅に向上します。

無駄な訪問を減らし、受注確度の高い顧客に集中することで、より多くの成約を獲得できるようになるのです。

営業プロセス分業モデルの効果

営業プロセスをインサイドセールスとフィールドセールスに分業することで、複数のメリットが生まれます。

・インサイドセールスが初期アプローチを行うため、フィールドセールスは確度の高い商談に専念できる

・営業活動全体が可視化され、各段階でのボトルネックが明確になる

・各部門が専門性に特化することで、営業スキルが向上する

このように、分業モデルは営業組織全体の生産性を大幅に向上させるのです。

フィールドセールスの主な業務内容

フィールドセールスの業務は、単なる「営業活動」ではなく、多様な機能を含んでいます。

その具体的な内容を見ていきましょう。

ホットリードへのクロージング活動

フィールドセールスの最も重要な業務は、インサイドセールスが育成したホットリード(購買確度の高い見込み客)に対して、最終的な商談を行い、成約に導くことです。

この段階に至るリードは、既に相当な購買意思を示しているため、営業活動の成功率は比較的高いのです。

ただし、ここでの対応次第で、せっかく育成されたリードを逃してしまう可能性もあります。

フィールドセールスには、最後の詰めの段階での高度なコミュニケーション能力が求められるのです。

顧客訪問と対面商談

フィールドセールスは、顧客の企業を訪問して、意思決定者や関連部門のスタッフと対面で商談を行います。

対面コミュニケーションにより、電話やメールでは伝わらない情報を多く伝えることができるのです。

複雑なサービスの場合、実際にデモを見せたり、具体的なケーススタディを示したりすることで、顧客の理解が深まります。

また、複数の意思決定者が参加する場合、その場で質問に答えたり、異なるニーズに対応したりすることも可能です。

商談管理と交渉プロセス

フィールドセールスは、初回訪問から成約に至るまでの一連の商談プロセスを管理する責任を持ちます。

商談の進捗状況を常に把握し、必要に応じて内部関係者に報告し、提案資料の調整を行うなど、多くのマネジメント業務が発生するのです。

また、顧客との交渉の中では、価格や条件に関する調整が必要になることもあります。

この段階での交渉力は、成約率を大きく左右する要因なのです。

フィールドセールスに求められるスキルと資質

フィールドセールスが成功するには、単なる営業技術だけでなく、多様なスキルが必要です。

高度な交渉力とプレゼンテーション能力

顧客との商談では、相手の異なるニーズを理解した上で、それぞれに対応した提案を行う必要があります。

また、価格交渉など、難しい局面での交渉力も求められます。

プレゼンテーション能力も重要です。

複雑なソリューションを顧客にわかりやすく説明し、その価値を理解させることが、成約につながるのです。

業界知識と競合分析スキル

顧客との深い信頼関係を構築するには、単に自社の商品知識があるだけでは不十分です。

顧客が属する業界全体の動向、その中での顧客企業の立ち位置、競合企業の動きなど、広い視点での情報を持つことが必要なのです。

このような知識があれば、顧客の潜在的なニーズを引き出し、自社のサービスがどう解決できるかを提案できるようになります。

顧客心理の読み取り能力

対面商談では、顧客の言葉だけでなく、表情や身振りから、その真意を読み取ることが重要です。

完全には同意していないのに、建前の返事をしている顧客もいます。

このような微妙な心理を察知し、適切に対応することで、より精度の高い営業活動が実現されるのです。

フィールドセールスが扱うリードの特性

フィールドセールスが受け取るリードは、インサイドセールスが育成した特定の性質を持つ見込み客です。

その特性を理解することが、効率的な営業活動につながるのです。

顕在顧客と潜在顧客の違い

マーケティング活動で獲得されるリードの中には、既に自社の商品やサービスに高い関心を示している「顕在顧客」と、まだ潜在的なニーズは持っているものの、自社を知らない「潜在顧客」がいます。

フィールドセールスが受け取るリードは、主に顕在顧客です。

既に購買に近い段階にあるため、短期間での成約が期待できるのです。

ホットリードの定義と条件

ホットリードとは、以下のような条件を満たした見込み客を指します。

・自社の商品やサービスに対して、高い興味関心を示している

・購買予算がある、または予算確保の見通しがある

・近い将来の購買を検討している

・意思決定権を持つ人物、または意思決定に影響力を持つ人物である

インサイドセールスは、これらの条件を満たすリードだけをフィールドセールスに引き継ぐことが重要です。

インサイドセールスからのリード引き継ぎプロセス

フィールドセールスが成功するには、インサイドセールスからの引き継ぎが極めて重要です。

適切な情報流通があるかどうかで、その後の営業活動の効率が大きく変わるのです。

CRM/SFAを活用した情報共有

インサイドセールスが顧客とのやり取りで得た情報は、CRM(顧客関係管理システム)やSFA(営業支援ツール)に記録されるべきです。

フィールドセールスは、その情報を活用して、顧客の状況を事前に把握した上で商談に臨むのです。

ここで共有されるべき情報には、企業の基本情報だけでなく、顧客が抱える課題、現在の導入システム、購買のタイムライン、意思決定プロセスなど、営業活動に必要なあらゆる情報が含まれます。

引き継ぎタイミングの最適化

顧客の関心は時間とともに薄れていきます。

インサイドセールスが商談の機会を作ったら、できるだけ早くフィールドセールスに引き継ぎ、迅速に訪問することが重要です。

数日の遅延も、顧客の購買意欲の低下につながる可能性があります。

引き継ぎの仕組みを整備し、スムーズな連携を実現することが、営業効率向上の重要なカギなのです。

フィールドセールスの対面営業における利点

デジタル時代と言われる現在でも、フィールドセールスが価値を持つ理由があります。

対面営業ならではの利点を理解することが重要です。

非言語コミュニケーションの活用

対面営業では、言葉だけでなく、表情や身振り、目線、身体的な距離感など、様々な非言語情報が伝わります。

これらの情報は、顧客の心理状態や真意を理解する上で、極めて重要なのです。

営業担当者も、顧客の反応を見ながら、その場でアプローチを調整することができます。

電話やメールではできない、リアルタイムでの対応が可能なのです。

実際の商品デモと体験提供

物理的な商品であれば、顧客が手に取って感触を確かめることができます。

ソフトウェアやサービスであれば、その場でデモンストレーションを行い、実際の動作を見せることができるのです。

この体験を通じて、顧客の理解が深まり、購買決定までの時間が短縮されることが多いです。

複数ステークホルダーへの同時アプローチ

B2B営業では、複数の部門の関係者が購買意思決定に関わることが多いです。

対面での商談では、異なるニーズを持つ複数の人物に対して、同時に対応することが可能です。

その場で異なる質問に答えたり、各人の関心事に応じた提案をしたりすることで、より高い成約率が実現されるのです。

THE MODELにおけるフィールドセールスの位置づけ

THE MODELは、セールスフォース・ドットコムが提唱した営業組織のフレームワークです。

その中でのフィールドセールスの役割を理解することは、現代営業の本質を理解する上で重要です。

マーケティングからの連鎖

THE MODELでは、営業プロセスがマーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセスという一連の流れになっています。

マーケティングが見込み客を獲得し、インサイドセールスが関係を構築し、その後フィールドセールスが成約に導くという、明確な役割分担が行われるのです。

KPI設定と受注獲得目標

フィールドセールスのKPI(重要業績評価指標)は、主に「受注数」と「受注金額」です。 これは、インサイドセールスのKPI(商談数や商談化率)と異なります。

この違いを理解することで、各部門が異なる目標の下で活動しながらも、営業全体として一貫した成果を生み出すことができるのです。

顧客情報とナレッジの共有の重要性

営業組織全体が効果的に機能するには、顧客情報とナレッジが組織内で共有されることが極めて重要です。

多くの企業で、この共有が十分に行われていないため、営業効率が低下しているのです。

CRM/SFAを活用した情報管理

顧客情報をCRM/SFAに一元管理することで、営業担当者間でのタイムリーな情報共有が可能になります。

同じ顧客に対して複数の営業担当者が対応する場合、その進捗状況が可視化されることで、組織としての対応が統一されるのです。

ベストプラクティスの組織横断的共有

特定の営業担当者が高い成果を上げている場合、その方法論やテクニックを組織全体で共有することが重要です。

成功した提案資料、効果的な顧客説得のテクニック、業界別のアプローチ方法など、これらのナレッジを体系化して共有することで、組織全体の営業能力が向上するのです。

デジタル時代におけるフィールドセールスの進化

完全なデジタル化の時代において、フィールドセールスはどのように進化すべきなのでしょうか。

オンライン商談ツールの活用

コロナ禍を機に、対面営業だけでなく、Web会議システムを使ったオンライン商談が増えてきました。

物理的な訪問が必ずしも必要ない時代になったのです。

ただし、重要なのは「対面性」です。

Web会議であっても、顧客の顔を見ながら双方向でコミュニケーションを行うことで、非対面の営業(メールや電話)よりも成約率が高まるのです。

ハイブリッド営業スタイルの確立

現在のフィールドセールスは、従来の対面訪問だけに限定されるべきではありません。

Web会議による商談、場合によっては電話による提案など、複数の営業手段を状況に応じて使い分ける「ハイブリッド型」の営業スタイルが主流になりつつあります。

フィールドセールスの生産性向上施策

フィールドセールスが扱う顧客数は、インサイドセールスと比べて限定的です。

限定的なリソースの中で、最大の成果を上げるには、様々な工夫が必要です。

営業活動の時間配分最適化

営業担当者の時間の多くは、移動時間に費やされています。

訪問計画を最適化し、近い地域の顧客をまとめて訪問するなど、移動時間を削減することで、実際の営業活動に充てられる時間を増やすことができます。

テリトリーマネジメント

担当地域や担当顧客を適切に割り当てることで、営業効率が大幅に向上します。

単に顧客数で等分するのではなく、売上ポテンシャルやアプローチの難易度を考慮した配分が重要なのです。

フィールドセールスの人材育成と組織構成

フィールドセールス部門を効果的に機能させるには、適切な人材育成と組織構成が必要です。

経験営業からのノウハウ伝承

フィールドセールスにおいて、経験豊富な営業担当者が持つノウハウの価値は計り知れません。

顧客との信頼関係構築方法、交渉テクニック、業界知識など、これらを新人営業へ体系的に伝承することが重要です。

ただし、すべてを属人的に伝えるのではなく、可能な限り組織的なナレッジとして蓄積することが望ましいのです。

フィールドセールスの戦略的役割

フィールドセールスは単なる「受注獲得部門」ではなく、組織全体に対して戦略的な価値を提供しています。

顧客開拓による新規市場創出

フィールドセールスが行う対面営業を通じて、新規市場や新規顧客層を開拓することができます。

インサイドセールスでは接触できないような潜在顧客にも、対面営業を通じてアプローチすることが可能です。

市場動向の情報収集と競合分析

顧客との対面接触を通じて、市場の最新動向や競合企業の動きに関する貴重な情報が得られます。

この情報をマーケティング部門やプロダクト部門にフィードバックすることで、企業全体の戦略立案に貢献するのです。

フィールドセールスが直面する課題と今後の方向性

フィールドセールスは、時代の変化の中で様々な課題に直面しています。

しかし、対面営業の価値が完全に失われることはなく、むしろその役割は進化していくでしょう。

働き方改革への対応

長時間労働になりやすいフィールドセールス部門では、働き方改革への対応が急務です。

効率的な営業活動の設計と、デジタルツールの活用を組み合わせることで、生産性を保ちながら労働時間を削減することが可能になります。

まとめ

フィールドセールスの役割は、営業組織の最後のプロセスを担う極めて重要なポジションです。

インサイドセールスが育成した見込み客を成約に導くというミッションは、企業の売上に直結する責任ある仕事なのです。

デジタル化の時代にあっても、対面営業による信頼関係構築とコミュニケーションの価値は失われていません。

むしろ、フィールドセールスとインサイドセールスの連携を強化し、組織全体として営業の最適化を進めることが、現代企業の営業戦略における最重要課題なのです。再試行

ENICXO
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