最終更新日: 2025.12.07

自社でメディアを運営し、潜在顧客との接点を増やしたいと考える企業が増えています。本記事では、オウンドメディアの立ち上げに必要な準備から運用開始までの具体的な手順を解説します。費用相場や成功のポイントも併せて紹介しますので、これから立ち上げを検討している方はぜひ参考にしてください。

オウンドメディアとは何か

オウンドメディアとは、企業が自社で所有し運営するメディアの総称です。WebサイトやブログなどのWeb媒体だけでなく、メールマガジンやパンフレットなども含まれますが、マーケティング文脈では主に自社ブログやコンテンツサイトを指します。広告費を払って掲載するペイドメディアや、SNSなどのアーンドメディアと並ぶ、重要なマーケティングチャネルの一つです。

オウンドメディアを立ち上げるべき理由

広告に依存しない集客チャネルを確保し、長期的な顧客関係を構築できることが、オウンドメディアの最大の価値です。単なる情報発信の場ではなく、潜在顧客の課題解決を支援しながら信頼関係を築くプラットフォームとして機能します。ここでは立ち上げを検討すべき理由を詳しく見ていきましょう。

潜在顧客との接点を増やす3つのメリット

オウンドメディアを運営することで得られる主なメリットは3つあります。

1つ目は、検索エンジン経由での認知拡大です。ユーザーが抱える課題に対して有益な情報を提供する記事を公開することで、検索結果からの流入を獲得できます。広告とは異なり、一度コンテンツを作成すれば継続的に集客できる資産になります。

2つ目は、自社のブランディング強化です。専門性の高いコンテンツを発信し続けることで、業界内での信頼性や権威性を高められます。商品やサービスの売り込みではなく、顧客目線での情報提供を重ねることで、企業イメージの向上につながります。

3つ目は、顧客育成とリード獲得の仕組み化です。見込み顧客の検討段階に応じた適切なコンテンツを用意することで、購買意欲を高めながら自然な形でコンバージョンへと導けます。特にBtoB領域では、長期的な検討プロセスをサポートする重要な役割を果たします。

立ち上げ前に知っておくべき注意点

オウンドメディアは立ち上げてすぐに成果が出る施策ではありません。質の高いコンテンツを蓄積し、検索エンジンからの評価を得るまでには、一般的に半年から1年程度の期間が必要です。

短期的な成果を求める場合、広告施策の方が適している可能性があります。中長期的な視点で継続的にリソースを投下できるかどうかを、事前に見極めることが重要です。

また、片手間での運用では成功が難しいという点も理解しておく必要があります。コンテンツ企画、制作、公開、効果測定など、定常的に発生する業務は多岐にわたります。専任チームの編成や外部パートナーの活用など、適切な運営体制を整えることが成功の前提条件となります。

オウンドメディア立ち上げの7つのステップ

オウンドメディアを成功させるには、戦略的な設計と段階的な準備が不可欠です。ここでは立ち上げから運用開始までの具体的な手順を7つのステップに分けて解説します。各ステップを丁寧に進めることで、方向性のブレを防ぎ、成果につながる運用が可能になります。

ステップ1:目的とゴールの明確化

最初に取り組むべきは、オウンドメディアを立ち上げる目的の明確化です。何のために運営するのか、どんな成果を目指すのかを社内で共通認識として持つことが、すべての起点となります。

目的設定が曖昧なまま見切り発車すると、コンテンツの方向性や運用方針を決める際に意見の相違が生じやすくなります。例えば、認知度向上が目的なのか、リード獲得が目的なのかによって、制作すべきコンテンツの内容やKPIの設定が大きく変わってきます。

一般的な目的としては、ブランド認知の拡大、見込み顧客の獲得、既存顧客との関係強化、採用ブランディングなどが挙げられます。自社のビジネス課題と照らし合わせながら、優先順位を明確にしましょう。

ステップ2:ターゲットとペルソナの設定

誰に向けて情報を発信するのかを具体的に定義します。ペルソナとは、ターゲットとなる顧客像を年齢、職業、課題、行動パターンなどの要素で詳細に設定したものです。

ペルソナを明確にすることで、どんな情報ニーズがあるのか、どんなキーワードで検索するのか、どんなコンテンツが響くのかが見えてきます。複数のペルソナが想定される場合は、優先順位をつけて段階的にコンテンツを用意していく計画を立てましょう。

また、カスタマージャーニーマップを作成し、顧客が認知から購入に至るまでのプロセスを可視化することも有効です。各段階でどんな情報を求めているのかを整理することで、戦略的なコンテンツ設計が可能になります。

ステップ3:競合分析と差別化戦略の策定

市場環境を把握するために、競合他社のオウンドメディアを分析します。どんなテーマで記事を発信しているのか、どんなキーワードで上位表示されているのか、どんな独自性があるのかを調査しましょう。

競合分析を通じて見えてくるのは、市場での勝ち筋と自社の差別化ポイントです。すでに強豪が存在する領域で真正面から戦うのではなく、自社ならではの切り口や専門性を活かせる領域を見つけることが重要です。

3C分析やSWOT分析などのフレームワークを活用し、自社の強み・弱み、市場機会・脅威を整理することで、戦略の方向性が明確になります。

ステップ4:KPIとロードマップの設定

目標達成に向けた指標(KPI)を設定します。オウンドメディアの運用は長期施策であるため、フェーズごとに適切なKPIを定めることが成功の鍵となります。

立ち上げ初期は記事公開本数やインデックス数など、コンテンツ蓄積に関する行動指標を追います。運用が軌道に乗ってきたら、検索順位やセッション数、その後はコンバージョン数や売上貢献額といった成果指標へと移行していきます。

また、時間軸でのロードマップも作成しましょう。例えば、初月はキーワード設計に注力、2〜6ヶ月目は新規コンテンツの量産、7〜12ヶ月目は既存記事のリライトとCV最適化、といった具合にフェーズを区切ります。

ステップ5:コンテンツ戦略とキーワード選定

どんなテーマで、どんな切り口のコンテンツを制作するのかを設計します。ペルソナが抱える課題や疑問を洗い出し、それに対する解決策を提供するコンテンツマップを作成しましょう。

SEO観点では、キーワード選定が極めて重要です。検索ボリュームや競合性、コンバージョンへの近さなどを考慮しながら、狙うべきキーワードをリストアップします。ビッグキーワードだけでなく、ロングテールキーワードも含めて幅広く設計することで、多様な流入経路を確保できます。

キーワード選定後は、優先順位をつけて制作スケジュールに落とし込みます。初期段階では検索ボリュームが少なくても競合が弱いキーワードから攻めることで、早期に成功体験を積むことができます。

ステップ6:サイト構築とCMS選定

コンテンツを公開するプラットフォームを構築します。CMS(コンテンツ管理システム)の選定は、運用効率や拡張性に大きく影響するため、慎重に検討しましょう。

代表的なCMSとしては、WordPressが最も広く使われています。豊富なプラグインやテーマが利用でき、カスタマイズ性が高い点が特徴です。一方で、セキュリティ対策やサーバー管理などの技術的な知識が必要になる場合もあります。

その他、クラウド型のCMSサービスやヘッドレスCMSなど、用途や予算に応じた選択肢があります。必要な機能(記事管理、画像管理、SEO設定、アクセス解析連携など)を洗い出し、運用メンバーのスキルレベルも考慮しながら最適なツールを選びましょう。

ステップ7:運営体制の構築とコンテンツ制作開始

実際にコンテンツを制作し公開していくための体制を整えます。編集長、ライター、デザイナー、エンジニアなど、必要な役割を明確にし、担当者をアサインします。

すべてを内製化する必要はありません。戦略設計やコンテンツ企画は社内で行い、記事制作や編集は外部パートナーに委託するといった「ハーフ内製」の体制も効果的です。自社のリソースと予算を見極めながら、持続可能な運営体制を構築しましょう。

初期段階では一定量のコンテンツを蓄積することが重要です。メディア公開時に10〜20本程度の記事が用意されていると、訪問者に対して信頼感を与えられます。制作スケジュールを立て、計画的にコンテンツを積み上げていきましょう。

立ち上げに必要な費用と予算の考え方

オウンドメディアの立ち上げと運用には相応のコストがかかります。予算申請や経営層への説明の際に必要となる費用の内訳と相場感を理解しておきましょう。規模や目的によって大きく変動しますが、一般的な目安を紹介します。

初期構築費用の内訳と相場

オウンドメディアの立ち上げ時にかかる初期費用は、サイトの規模や機能によって100万円から300万円程度が一般的です。

主な費用項目としては、サイト設計・デザイン費、CMS構築・カスタマイズ費、初期コンテンツ制作費などがあります。既存のテンプレートを活用する場合は費用を抑えられますが、オリジナルデザインやカスタム機能を実装する場合は高額になります。

WordPressなどのオープンソースCMSを活用し、最小限の機能でスタートする場合は、数十万円程度で立ち上げることも可能です。ただし、その場合でもドメイン取得費、サーバー契約費、SSL証明書費用などの基本的なコストは発生します。

また、初期コンテンツの制作費も見込んでおく必要があります。1記事あたりの制作費は内容や文字数によって異なりますが、3万円から10万円程度が相場です。立ち上げ時に20本の記事を用意する場合、60万円から200万円程度の予算が必要になります。

継続的な運用費用の目安

オウンドメディアは立ち上げ後の運用費用も重要な検討ポイントです。毎月90万円から130万円程度の運用コストがかかるケースも珍しくありません。

最も大きな比重を占めるのが人件費です。専任の運営責任者、編集者、ライターなど、3名体制で運営する場合、人件費だけで月100万円以上かかることを想定しておくべきです。

コンテンツ制作を外部に委託する場合は、月あたりの記事本数と単価によって変動します。月10本の記事を制作する場合、30万円から100万円程度の制作費が継続的に発生します。

その他、ツール利用費(SEOツール、アクセス解析ツール、キーワード調査ツールなど)、サーバー・ドメイン維持費、広告・プロモーション費なども継続的にかかります。

初年度の総費用としては、1000万円程度を見込んでおくと現実的な運用が可能になります。ただし、スモールスタートで始めて段階的に拡大していくアプローチもあるため、自社の予算と目標に応じた計画を立てることが大切です。

成功を左右する運営体制の作り方

オウンドメディアの成否は、立ち上げ時の戦略設計と同じくらい運営体制に左右されます。継続的にコンテンツを制作し、効果を測定しながら改善していくためには、適切な役割分担と実行力のあるチーム編成が不可欠です。

必要な役割とチーム編成の基本

オウンドメディアの運営には、複数の専門性を持ったメンバーが必要です。主要な役割として、まず編集長またはメディア責任者が挙げられます。全体戦略の策定、コンテンツ企画の承認、KPI管理などを担当します。

次にコンテンツディレクターやエディターです。個別記事の企画立案、ライターへの依頼、原稿のチェックと編集などを行います。質の高いコンテンツを安定的に生み出すために欠かせない役割です。

ライターは実際に記事を執筆する担当者です。社内ライターだけでなく、専門知識を持つ外部ライターを活用することも一般的です。

デザイナーは記事内の図版作成やサイトデザインの調整を担当します。Webエンジニアは技術的なサイト改善やツール導入などを支援します。

重要なのは、これらの役割を明確に定義し、責任範囲を決めておくことです。兼務体制では業務が後回しになりがちなため、少なくともコア業務は専任で担当できる体制が理想的です。

内製化と外注の最適なバランス

すべてを内製化することは理想ですが、初期段階では現実的でないケースも多いでしょう。戦略的に内製と外注を組み合わせることで、効率的な運営が可能になります。

推奨されるのは「ハーフ内製」の体制です。具体的には、戦略設計、コンテンツ企画、効果測定などのコア業務は社内で担当し、記事制作や編集作業は外部パートナーに委託します。

この方式のメリットは、自社にノウハウを蓄積しながらも、制作リソースを柔軟に確保できる点です。記事本数を増やしたい時期は外注を増やし、予算が限られる時期は内製比率を高めるといった調整が可能になります。

外注先を選定する際は、単価だけでなく、自社業界への理解度、SEOライティングのスキル、納期遵守の実績などを総合的に評価しましょう。長期的なパートナーとして関係を築くことで、コンテンツの質も安定していきます。

また、定期的な編集会議を設け、社内チームと外部パートナーが連携する場を作ることも重要です。方向性のすり合わせやフィードバック共有を通じて、チーム全体の質を高めていきましょう。

まとめ

オウンドメディアの立ち上げは、戦略的な設計と段階的な準備が成功の鍵を握ります。目的の明確化からターゲット設定、競合分析、KPI設定、コンテンツ戦略、サイト構築、運営体制の整備まで、各ステップを丁寧に進めることが重要です。

立ち上げには相応の時間とコストがかかりますが、適切に運用すれば広告に依存しない安定的な集客チャネルとなり、長期的な顧客関係の構築に貢献します。自社のリソースと目標に合わせた現実的な計画を立て、継続的な改善を重ねながら運営していきましょう。

ENICXO
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