BtoBの営業においては、決裁者とのアポをいかに取るかが重要です。担当者に対してどれだけ営業をしても、最終的に取引をするかを決定するのは決裁権を持つ決裁者であるからです。
そのため、決裁者に対して直接営業することができれば、成約率の向上に期待できます。しかし、実際には決裁者とのアポがなかなか取れず、悩んでしまうことも多いでしょう。
この記事では、これからBtoBセールスを行う担当者に向けて、決裁者とのアポの重要性やアポを取るための具体的なノウハウ、注意すべきこと、役立つサービスを紹介します。
決裁者とのアポはなぜ重要?
決裁者と直接アポを取ることは、以下2点の理由から重要です。
- 受注までのステップが短くなる
- 深い内容の提案ができる
それぞれについて詳しく解説します。
受注までのステップが短くなる
決裁者に直接プレゼンして自社サービスに興味を持ってもらえれば、社内承認がスムーズに進んで受注につながりやすくなります。
一般的な営業では、企業の担当者が窓口となることがほとんどです。ただ、企業の担当者にプレゼンして自社サービスに興味を持ってもらえても、決裁者に届く前に却下されてしまうケースがあります。企業によっては受付で門前払いされ、担当者に会うことさえできないことも多いのが現実です。
また、担当者が自社サービスに興味を持ってくれたとしても、実際に決裁者へ提案内容が伝わるまでには時間がかかるでしょう。承認を得るプロセスにおいて、同じプレゼンを何度もする必要が出てくるかもしれません。
決裁者とのアポが取れれば、このような事態は防ぐことができ、商談をスピーディーにまとめることができるでしょう。
深い内容の提案ができる
決裁者とアポを取って直接プレゼンできれば、会社が抱えている課題を深く掘り下げ、課題解決に寄り添った商談や提案が可能になります。というのも、企業が抱えている課題に直面しているのは決裁者であることが多いからです。
一般的な会社で窓口となる担当者は、自社にどんな課題があり、どのようなサービスを求めているかなどを、決裁者ほど深く理解していないケースがあります。そのため、顧客のニーズを把握できるという点でも、決裁者と直接話すことは重要です。
決裁者とのアポを獲得するアプローチ方法4選
決裁者とのアポを獲得するには具体的にどうすればよいのでしょうか。決裁者とつながりやすいアプローチ方法として、以下の4つを紹介します。
- 決裁者に電話をかける(テレアポ)
- 企業の問合せフォームから営業をかける
- 決裁者宛に手紙を書いて営業する(CXOレター)
- 決裁者マッチングサービスを利用する
それぞれにメリット・デメリットがあるため、自社の規模や環境に合ったものを選びましょう。
1.決裁者に電話をかける(テレアポ)
最初に紹介するのは、決裁者に電話をかけて商品やサービスについてプレゼンしたり、商談のアポを取ったりする「テレアポ」という方法です。営業とわかると電話を切られることが多いため、成功率が高い方法とはいえません。しかし、相手に自社サービスのメリットを感じてもらえれば、商談や契約につなげられる可能性は十分にあります。
テレアポでは画像や文章を使えないため、成功させるには、コミュニケーションスキルやトークスキルが必要になります。簡潔かつ的確に要点を伝えられるよう、あらかじめトークスクリプト(台本)を作っておくのが有効です。
また、決裁者に電話をかけるためには、企業の窓口ではなく決裁者につながる電話番号を入手しておかなければなりません。企業のホームページや名刺など、あらゆるところから情報収集をしましょう。
2.企業の問い合わせフォームから営業をかける
次に紹介するのは、企業のホームページに設置されている問合せフォームから営業をかける方法です。
通常のメールでの営業と比べて、問合せフォームからのメールは開封率が高く、読んでもらえる可能性も高い点がメリットです。さらに、企業の規模や環境によっては、決裁者が問合せフォームからのメールを確認している場合もあります。また、電話や対面でのアポ取りと違って、場所や時間を選ばずにアプローチできる点もメリットです。
ただし、通常のメールのように一斉送信できないため、作業の工数がかかります。そのため、問合せフォームから営業をかける場合は、十分なリソースを用意しておくことが重要です。
3.決裁者宛に手紙を書いて営業する(CXOレター)
メールをはじめとするデジタルでのやり取りが多くなっている現代でも、手紙を書いて営業する方法は効果的です。決裁者宛に手紙を送ってアポを獲得する方法を「CXOレター」といいます。
決裁者宛で送るので、決裁者に手紙を読んでもらえる可能性が高いです。さらに、手紙が手書きであれば他社との差別化がしやすく、丁寧な印象を与えられるでしょう。また、メールと同様、相手の好きな時間に開封できるため、場所や時間を選ばずにアプローチできる点もメリットです。
CXOレターでの営業を行う際は、DMのように不特定多数に同じ内容を一斉送信するのではなく、相手先に合わせた内容にするのがポイントです。
ただし、手紙を書いて郵送する作業は、メールと比べて労力がかかります。そのため、CXOレターでの営業を行うのであれば、代行サービスの利用を検討するのもよいでしょう。
決裁者マッチングサービス4選
決裁者のマッチングサービスは複数あります。ここでは、そのなかから4つの決裁者マッチングサービスをピックアップし、それぞれの特徴について紹介します。
MATCHING.CEO
「MATCHING.CEO」は、経営者だけが登録できるマッチングプラットフォームです。登録者がみな経営者であるため、アプローチや商談がスピーディーに進みます。
経営者であることを確認する審査を経て登録されるため、安心して利用できます。無料プランと有料プランが用意されており、有料プランでも初期費用・管理費用・解約料金はかからないため、コストを抑えながらのアプローチが可能です。
登録時に自分の情報やつながりたい企業の条件などを入力することで、条件に合う企業経営者を自動でピックアップしてもらえます。もちろん、自分で自社サービスを売り込みたい相手を検索することもできます。
さらに、交流会やセミナーといったオフラインでのイベントを実施するなど、オンライン・オフラインそれぞれでマッチングのチャンスがあり、経営者同士のつながりを広げられるサービスです。
MATCHING.CEO
アポレル
「アポレル」は、オンライン完結型で完全審査制の決裁者アポ獲得支援サービスです。登録は無料で、「アポを実施する。アポを受けとる意思も持っている」という必須条件をクリアしている決裁者が審査・登録の対象となります。
アポレルでアポを獲得する方法は、主に3つあります。1つ目は、アポレル内のオンラインピッチイベントでの自社サービスのプレゼンです。イベント終了後に行われたアンケートにもとづいて、アポレルがマッチングを行います。
2つ目は、決裁者へのダイレクトメッセージです。アポレルのデータベース上で条件を絞った検索ができるため、条件に合った決裁者に直接アプローチをかけます。
3つ目はアポレルのコンシェルジュによる仲介サポートです。定例ミーティングでのヒアリングをもとに、条件に合う決裁者を直接紹介してもらえます。商談がうまくいかなかった場合でも、フィードバックをして今後の活動を改善するサポートを受けられます。
アポレル
Linker
「Linker」は、社長・役員・フリーランス専用のビジネスマッチングアプリです。App StoreとGoogle Playそれぞれからダウンロード可能で、WEB版も用意されています。
経営判断をする経営層しか利用できず、完全審査制であるため、経営実態のない企業や経営者以外が混ざることはありません。マッチング数は3万回を突破しており、決裁者とつながりやすいアプリといえます。
自分から興味のある経営者にアプローチできるのはもちろんのこと、AIによる自動マッチング機能もあり、多方面から条件に合う相手を探せます。さらに、無料でほとんどの機能を体験でき、掲載件数やマッチング申請件数を増やせる有料プランは、月額2700円(税込み)とリーズナブルな価格で用意されています。
Linker
チラCEO
チラCEOは、企業の決裁者同士がマッチングできるプラットフォームです。金融やIT、コンサルなど幅広い業界の決裁者が6,000名以上登録しています。
チラCEOでは、ダイレクトメッセージの送信や決裁者が投稿し合う掲示板など、決裁者とつながるための複数のアプローチ方法が用意されています。また、カスタマーサクセスから自社の要望に沿って決裁者を紹介してもらうことも可能です。効率よく自社に合う決裁者を見つけられるのがこのサービスの強みです。
料金は月額定額制のため、決裁者とマッチングが成立した場合でも追加料金は発生しません。自社の予算に合わせて利用しやすいのも特徴です。
チラCEO
決裁者とのアポを取る際に注意すべきこと
決裁者に対して良い印象を与えられれば、成約率のアップが見込めます。ここでは、決裁者にアポ取りをする際に注意すべきこととして、以下の5つについて解説する。
- ターゲットを明確にする
- 事前準備を怠らない
- 商談の候補日は複数用意しておく
- アポ獲得のために行った施策は記録しておく
- アポ獲得に必要なリソースやコストを算出する
ターゲットを明確にする
商品やサービスを売り込む際には、ターゲットとなり得るのはどのような企業なのかを明確にすることが重要です。自社の商材を必要としない相手とのアポをとっても、お互いにとって意味がありません。
「どんな企業が自社サービスを必要としているのか」「どんな企業に提供すれば自社サービスが役立つのか」を深掘りし、それに合う企業をピックアップしたうえで、アポ獲得に動くようにしましょう。
企業の事業内容については公式ホームページに記載されているため、事前に閲覧して読み込み、把握しておくことが望ましいです。相手企業の情報を持ったうえで決裁者に対して的確な提案をすれば、相手から好印象を持ってもらえます。
事前準備を怠らない
決裁者へのアポを取る際には、相手企業についてのリサーチを入念に行うことが重要です。
自社サービスの内容だけでなく、自社サービスを活用することで相手企業にどんなメリットがあるかも、的確に伝えられるように準備しておきましょう。具体的には、要点をまとめた資料を作成したり、想定問答集を用意したりするのが有効です。
決裁者は多忙であることが多いため、なるべく簡潔に必要な情報を伝えつつ、自社サービスの有用性を提案できるようにしておきましょう。
商談の候補日は複数用意しておく
前述した通り、決裁者は多忙であることが多いため、商談の候補日は複数用意しておきましょう。決裁者側が候補日を提案してくれたときにこちら側が対応できなければ、せっかくのチャンスを逃してしまうことになりかねません。
また、候補日を提案する際は、あまりに日が迫った日程を提示することは避けましょう。すでに相手の予定が埋まっていてアポを取れないかもしれませんし、相手の都合を考慮していないと受け取られる可能性もあります。そのため、ある程度幅をもたせた日程を用意しておくのが無難です。
アポ獲得のために行った施策は記録しておく
アポ獲得のための活動は複数の企業に並行して行うことが多いため、その内容は記録に残しておくようにしましょう。具体的には、「いつ」「誰が」「どの企業に対して」「どの方法で」アポ獲得のために行動したかを記録します。
さらに、企業からの返信の有無や、返信があった際にはその内容も記録しておくと、その後のやり取りがスムーズです。
このようなデータを残しておけば、どの方法なら成功率が高いかをあとから分析でき、電話のかけ方やメール・手紙の文章を改善したうえでの再チャレンジが可能になります。
ただし、あまりにも短期間で別の担当者が再度の連絡をしてしまうと、相手に迷惑がかかるので、その点には注意しましょう。
アポ獲得に必要なリソースやコストを算出する
アポ獲得のために動き始めるにあたって、そもそもそうした活動に対して、自社でどれだけの人手や時間、予算をさけるか算出することも必要です。
決裁者とのアポを獲得するのは確かに重要なことですが、日々の業務をおろそかにするわけにはいきません。アポ獲得に注力しすぎたために、肝心の商品やサービスの質が落ちてしまっては本末転倒です。
そのため、担当するメンバーを限定したり、予算に上限を設けたりして、通常業務とのバランスを取りながらアポ獲得に動く必要があります。リソースやコストを算出した結果、自社内ですべて賄えるなら問題ありませんが、難しいようなら一部だけでも外注することを検討すべきです。その際には、この記事で紹介した「決裁者マッチングサービス」を活用するとよいでしょう。
適切なアプローチをして決裁者とのアポ取りにつなげよう
BtoBセールスにおいて、決裁者とのアポの獲得は受注へつながる大きな一歩となります。
そのため、決裁者とのアポを効果的に獲得していくためには、具体的なノウハウや注意点などを把握したうえで実施していくことが重要です。