BtoB営業とは、企業間での商品やサービスの提供を行う営業活動のことです。BtoB営業はBtoCと比べて、単価が大きくリピートも多くなるため、成功すれば多大な利益が期待できます。
しかし、実際にBtoB営業をはじめるとなると、どのように始めればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、BtoB営業に必要な考え方と業務の流れについて解説します。
BtoB営業とは、企業間での商品やサービスの提供を行う営業活動のことです。BtoB営業はBtoCと比べて、単価が大きくリピートも多くなるため、成功すれば多大な利益が期待できます。
しかし、実際にBtoB営業をはじめるとなると、どのように始めればいいのかわからない方も多いのではないでしょうか。そこで、この記事では、BtoB営業に必要な考え方と業務の流れについて解説します。
BtoB営業とは、どのようなものを指すのでしょうか。まず、BtoB営業の特徴を解説します。
BtoB営業とは「Business to Business」の略で、法人への営業活動のことです。
取引単価が高く、1件の受注で大きな売上が得られることが多いです。具体的には以下のような商品を取り扱います。
これらの商材は企業にとって利益があるかが購買の判断基準となり、また長期的な利用が前提になることもあります。そのため、BtoB営業は顧客企業との長期的な信頼関係の構築や、顧客のニーズに応える提案力が求められる営業活動であると言えます。
BtoC営業とは「Business to Cunstomer」の略で、個人が対象になる営業活動のことです。具体的には以下のような商材を取り扱います。
他にも、BtoB営業とBtoCでは以下の点が大きく異なります。
BtoB営業 | BtoC営業 | |
決裁者 | 複数の決裁者が存在し、承認プロセスが長くなることが多い | 一般の消費者個人が対象となるケースが多い |
営業サイクル | 商材の金額や契約内容によって長期間かかることもある | 比較的短期間で成約することが多く、1度の商談で終わることもある |
平均単価 | 数万〜数十万円の高額な商品を販売することもある | 低額から中額程度の取引が多く、数千円台のものもある |
顧客ニーズ | 企業の利益や業務効率化を目的とする。価値や性能だけでなく、取引相手が信頼できるかなども重視する | その場の個人の感情の影響が強い。また、デザインやブランドイメージなども重視し、自分に合ったものを選びたいというニーズがある |
BtoB営業に必要な考え方を身に付けておくことは、営業の成果を上げることにつながります。ここでは3つの基本的な考え方を紹介します。
BtoB営業で結果を上げるには、顧客のニーズを正しく認識することが大事です。ニーズを明確にすることにより、それぞれの顧客に適したアプローチができるようになります。
BtoB営業における顧客のニーズには主に2つの特徴があります。
まず、顧客となる企業の二ーズは複雑で多様であることが多いです。BtoBでは一般的に複数の意思決定者が存在し、それぞれに異なるニーズや利害関係があるためです。営業は顧客企業の意思決定プロセスを把握し、各ステークホルダーに対応したアプローチを行う必要があります。
また、顧客自身に漠然とした課題意識はあるものの、その原因や解決策に気づいていない場合や、潜在的なニーズを持っている場合があります。そのため、営業する際には顧客に問題意識を持たせたり、新しい価値を提案したりする必要があります。
顧客によって細かいニーズは異なるため、しっかりとヒアリングしてニーズを聞き出すことが重要です。特にBtoB営業では、市場環境や競合状況、技術革新などによって、顧客のニーズは常に変化します。ヒアリングを重ねて、顧客の状況やニーズを明らかにした上でアプローチしましょう。
顧客に対し、自社商材がどのように顧客の課題やニーズに対応するか、どのような効果や成果が期待できるかを、具体的に示す提案型営業が重要です。
提案型営業では、具体的な数値を示すと効果的です。数字を用いることにより、価値を客観的かつ明確に伝えることができます。例えば、商品やサービスの導入によってどれだけのコスト削減や売上増加が見込めるか、どれだけの時間や労力が節約できるかなどを数値化して提示することにより、顧客の納得感や信頼感を高められます。
数値や事例は提案書にまとめたり、図式を織り交ぜ視覚的に表現したりすると、理解してもらいやすくなるでしょう。顧客の課題やニーズを明確に分析し、自社の商品やサービスが顧客の課題をどのように解決するか、どのような効果や成果が期待できるかを数値化して示す資料を作成し、プレゼンテーションを行います。
BtoBでは、長期に渡った契約となる傾向があり、販売した商品やサービスが顧客のビジネスに大きな影響を与えることもあります。そのため、顧客に信頼してもらい、長期的なパートナーシップを築くことがとても重要です。
顧客と長期的に信頼関係を築くために、契約後も顧客と定期的にコミュニケーションを取り、フォローアップやアフターフォローを行いましょう。コミュニケーションを密に取ることにより、顧客に自社に対する安心感や信頼感を与えることができます。
信頼関係が築けていれば、契約を継続してもらえたり、商品やサービスをリピートしてもらえたりするメリットもあります。また、他の企業に紹介されるなど、口コミ効果も期待できます。
BtoB営業を行う際は、さまざまな業界の動向に意識を向けておきましょう。BtoB営業では業界の変化に合わせて、企業のニーズは変わります。業界動向を追うことによって、顧客ニーズや競合情報、市場規模や成長率などを把握し、自社製品やサービスの価値提案や他社との差別化ができます。
業界動向は、ポータルサイトやSNSで調べられます。対応している業界のニュースサイトやSNSをフォローしておき、日々チェックしておきましょう。
さらに、実際に顧客や関係者とコミュニケーションを取り、生の声から情報を収集することも重要です。顧客と顔を合わせるときは、業界の変化についての話題に触れると、現場のリアルな声を引き出せるでしょう。
次にBtoB営業の基本的な流れを解説します。具体的には以下の6つのプロセスに分けられます。
それぞれについて解説します。
BtoB営業ではまず見込み客を創出するために、広告運用やメールマガジン、SNS運用などのマーケティング活動に力を入れましょう。自社の存在や取り組んでいるソリューションを見込み客に発見させ、認知度を高めることができます。
マーケティングでは以下の3つの活動に力を入れてみましょう。
WebサイトやSNSなどのデジタル媒体を活用して潜在顧客とコミュニケーションし、興味・関心を高めてリード(見込み客)へ導く方法です。デジタルマーケティングではメールマガジンを配信したり、TwitterなどのSNSで企業のブランディングしたりといった手法を用いてリードの育成を行います。
特定の見込み顧客(アカウント)に対して、それぞれに適したアプローチをし、関係者全員の合意形成や意思決定を促す方法です。アカウントベースドマーケティングではCRM(顧客関係管理)システムなどを用いて顧客ごとの情報や進捗状況を管理することが多いです。
自社が提供する価値を見込み客に発見させ、自発的な問い合わせや商談へつなげる方法です。インバウンドマーケティングでは自社メディアやSNS運用を行い、自社の情報やノウハウを発信するとよいでしょう。
自社の製品・サービスに興味関心を持ち、将来的に受注につながる可能性のあるリード(見込み客)との商談アポイントを獲得します。
マーケティングで獲得したリードへのアポ取りしたり、新規顧客を開拓したりするには、テレアポを行います。テレアポはリードと日程や時間帯・場所・人数など具体的な条件を決めて、アポイントを取り、次の商談につなげる役割があります。また、テレアポの段階で、相手のニーズや課題・状況・予算などを把握しておくと、以降の商談がスムーズに進むでしょう。
顧客との商談に向かう前に、商談のためのプレゼン資料を作成しておきましょう。プレゼンで視覚的に説明したり、話す内容をまとめたPDFを顧客に事前に送付しておくことにより、商談をスムーズに進めることができます。
商談資料を作る際には、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
商談資料は、ターゲット・シナリオ(どんな流れで伝えたいか)を明確に設定することにより、わかりやすくなります。また、ターゲットを設定し、顧客ニーズや課題、状況、予算なども考慮した上で、読み手の課題を解決する資料を作成します。
読み手に伝わりやすいプレゼンになるように表現を工夫しましょう。具体的な数字や市場動向、競合分析・事例紹介を含めたり、ビジュアルや数字を活用したりすると、読みやすいプレゼンにできます。
商談資料は完成したらそのままではなく、担当者が見直した後は複数人でチェックし、フィードバックを元に改善することが必要です。また、実際に商談で使用した後は、効果測定や反省点の抽出を行ってさらに資料を改善しましょう。
商談はまず、顧客状況のヒアリングから始めましょう。ヒアリングで初めて見えてくる課題もあります。そういった課題を把握し、解決策を提示するとよいでしょう。ヒアリングの際は相手に話させるオープンクエスチョンと、YES/NOの2択で答えさせるクローズドクエスチョンの両方を使い分けましょう。
また、BtoB営業では商談は数回に渡る場合が多いです。そのため、商談後のフォローにより好感度を上げることが重要です。例えば、メールや電話などで感謝の気持ちや確認事項・次回アクションを伝えたり商談資料や見積書を送したりすると効果的です。
商談が好調に進めばクロージングに入ります。クロージングとは、商談相手に意思決定を促し契約に結びつけることです。
クロージングに入るタイミングは、慎重に見極めましょう。顧客が商品について十分に理解して、導入メリットを感じ始めた段階でクロージングに入るのがよいです。例えば、プレゼン後に相手が質問や要望・懸念などを積極的に伝えてきたら導入を検討しているサインなので、契約について話を進めましょう。
クロージングの際に、顧客が契約に迷いを示すときもあるでしょう。その際、顧客の迷いをなくすような質問ができると成約率が上がるでしょう。具体的には以下のような質問をするとよいです。
質問 | 例 |
相手の迷いを深掘りします。 | 「どのような点でご不安ですか?」 |
二択の質問をします。 | 「〇〇と××のどちらが不安ですか?」 |
想像させるような質問をします。 | 「〜としたら、××の業務はどう変わりますか?」 |
BtoBビジネスは顧客と長期的に取引を続けることによって、利益向上につながります。顧客との良好な関係を継続するために、契約締結後のアフターフォローを欠かさないようにしましょう。
アフターフォローとは、契約後も顧客と定期的にコミュニケーションを取り、関係性を深めることです。商材の利用に関する不明点など、顧客からの質問に回答することはもちろん、自ら積極的に顧客と関わっていくことが重要です。
例えば、契約後には丁寧に感謝の連絡をしましょう。できるだけ早くメールを送り、さらに1週間以内に手紙や電話で連絡するとよいです。その際に、次回の提案やカスタマーサポートの予定を決めておくと、顧客をフォローする体制を作れます。成約後に顧客に別のサービスを提案する際は、顧客の課題や目標に合わせて最適な商品やサービスを提案する事が大事です。一方的な売り込みではなく、相互利益を目指すパートナーシップを築きましょう。
BtoB営業では顧客と信頼関係を築くことによって、口コミを広めてもらえたり、紹介で新規顧客を獲得するチャンスが増えたりします。
最後にBtoB営業で役立つ、以下の4つのフレームワーク(考え方の枠組み)を紹介します。
「SPIN法」とは、BtoB営業において顧客のニーズを引き出すためのヒアリング手法です。
SPINとは、「Situation (状況質問)」「Problem (問題質問)」「Implication (示唆質問)」「Need payoff (解決質問)」の頭文字をとった言葉です。この4つの質問は、顧客が抱える課題と自社が提供できる解決策を、自発的に連想させることを目的としています。SPIN法の具体的な使い方は以下の通りです。
質問 | 概要 | 例 |
状況質問 | 顧客の現状や背景を把握するための質問 | 「どんな業種や業界に対してサービスを提供していますか?」 |
問題質問 | 顧客が直面している課題や不満を明らかにするための質問 | 「現在、どんな課題や困りごとがありますか?」 |
示唆質問 | 課題がもたらす影響や損失を連想させるために質問 | 「その課題が解決されないと、どんな悪影響がありますか?」 |
解決質問 | 課題の解決策やメリットを顧客自身に言わせるための前向きな質問 | 「その課題が解決されたら、どんな効果やメリットがありますか?」 |
「SCQA法」とは、ビジネスの説明やプレゼンテーションにおいて、論理的なストーリーを作るためのフレームワークです。
「SCQA法」は、「Situation (状況)」「Complication (複雑化)」「Question (疑問)」「Answer (回答)」の頭文字をとった言葉で、この4つの要素を通じて、問題と解決策を明確に伝えることが目的です。
具体的な使い方は以下の通りです。
要素 | 概要 | 例 |
状況 | 聞き手が理解するために必要な背景情報や事実を端的に述べる | 「御社は昨年度、売上高が前年比10%減少したと、伺いました。」 |
複雑化 | 状況に対して生じた問題や課題、変化を示す | 「しかし、市場全体では売上高が平均20%増加しています」 |
疑問 | 複雑化から導かれる最も重要な質問や焦点を明示する | 「では、御社の収益増加の障壁は〇〇ではないでしょうか?」 |
回答 | 疑問に対する主張や提案、結論を述べる | 「御社はコスト削減のために××のようなサービスを導入してみてはいかがでしょうか?」 |
この手法は、聞き手の関心やニーズを引き出したり、課題点を自覚させたりした後に、自社の提案や商品・サービスの価値を効果的に伝えることに有効です。
「AIDMA」とは、消費者の購買決定までのプロセスモデルの1つで、Attention (注目)、Interest (興味)、Desire (欲求)、Memory (記憶)、Action (行動)の頭文字をとった言葉です。この5つのステップを通じて、消費者が商品やサービスを購入するという考え方です。
具体的な使い方は以下の通りです。
要素 | 概要 | 使用シチュエーション |
注目 | 顧客が商品やサービスに気づくこと | 顧客の課題やニーズに合わせメールや電話などでアプローチしたり、展示会やセミナーなどで顧客と接点を持ったりする |
興味 | 顧客が商品やサービスに関心を持つこと | SNSで商品やサービスについて紹介したり、テレアポで商品やサービスの特徴やメリットを伝えたりする |
欲求 | 顧客が商品やサービスを欲しいと思うこと | 課題への解決策を提案したり、競合他社との差別化ポイントを強調したりする |
記憶 | 顧客が商品やサービスを忘れないようにすること | 資料や見積もりなどを送付したり、定期的にフォローアップしたりする |
行動 | 顧客が商品やサービスを購入すること | クロージングで契約を決定する |
「AISAS」とは、「AIDMA」に代わる新しい購買行動モデルです。Attention (注目)、Interest (興味)、Search (検索)、Action (行動)、Share (共有)の頭文字をとった言葉で、インターネットやSNSなどの情報メディアの発達により変化した消費者の購買行動を表しています。具体的には「検索」の段階で顧客に情報が伝わるように自社メディアを立ち上げたり、「共有」を誘発するために口コミキャンペーンを実施したりすることが挙げられます。
3C分析とは、市場・顧客(Customer)、競合(Competitor)、自社(Company)の3つの視点から、業界や事業を網羅的に把握するフレームワークです。3C分析は自社の強みや弱み、市場のニーズやトレンド、競合の戦略や優位性などを明らかにし、事業戦略やマーケティング戦略を立案する際に有効なフレームワークです。
BtoB営業においては、3C分析を応用した6C分析がよく用いられます。6C分析とは、自社の市場・顧客・競合の分析に加えて、顧客の3Cも分析することです。BtoB営業では、関係者が多く、それぞれのニーズを意識する必要があります。そのため、単に商品やサービスを売るだけではなく、6C分析をもとに、自社だけでなく顧客やその先のエンドユーザーも重視し、価値提供を行うとよいでしょう。6C分析では顧客の競合企業も洗い出すことができるため、市場環境や競争優位性も把握することが可能です。
企業を顧客にするBtoB営業では、取引先の多さや単価の大きさからBtoC営業とは全く違った考え方が求められます。複雑多様なニーズや意思決定プロセスを把握して、顧客の収益増加や課題解決につながる提案を行うことが、受注の成否につながるでしょう。顧客のニーズを読み取り、受注につなげるには、日々さまざまな業界動向を追うことが大事です。また、フレームワークを駆使して営業戦略を立てたり、プレゼンのシナリオを作ったりするのも、BtoB営業で成果をあげるには効果的です。
当社オンリーストーリーでは決裁者同士のマッチングプラットフォーム「チラCEO」を提供しています。BtoB営業では、決裁者どうしでつながることにより、スピーディーに商談を進めることが可能です。手軽に商談を行いたいと考えている方は、「チラCEO」の導入をご検討ください。
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