監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
BtoB営業は商材単価が高く成約までの検討期間も長いため、幅広い知識と高い営業スキルが求められます。
成果を上げるためのコツと、それを実践する組織作りのポイントを確認しましょう。

BtoB営業の特徴とプロセス、課題の明確化や顧客理解、PDCAなど成功させる8つのコツを解説しています。分業化や人材確保、属人化の防止など組織作りのポイントと、MA・SFA・CRMなどのツールもまとめました。
監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
BtoB営業は商材単価が高く成約までの検討期間も長いため、幅広い知識と高い営業スキルが求められます。
成果を上げるためのコツと、それを実践する組織作りのポイントを確認しましょう。

BtoB営業のコツをつかむために、まずはBtoB営業の特徴と営業活動のプロセスを把握しましょう。
ここでは、それぞれについて解説します。
BtoBとは「Business to Business」の略で、BtoB営業とは企業と企業が取引を行うビジネスモデルです。
「法人営業」とも呼ばれます。
営業活動には、BtoB営業の他にBtoC営業がありますが、BtoCとは「Business to Customer」 の略で、一般消費者に商品やサービスを提供するビジネスモデルです。
BtoC営業と比較した場合、BtoB営業には以下のような特徴があります。
BtoB営業は、商品やサービスの実際の利用者と担当窓口や決裁者が異なることが多くあります。
意思決定に関わるのは、担当者、上長、組織、経営者など複数いるため、検討に時間がかかります。
また、購入や導入の判断基準は、企業の売上や利益に貢献するかどうかであり、衝動的に導入が決定されることはないといえます。
そのためBtoB営業の担当者には、商品・サービスを魅力的に紹介するプレゼン力、担当者や決裁者が納得する提案力が必要です。
また、担当者の悩みから企業の経営課題まで把握してニーズを見極め、的確にアプローチしなければなりません。
コミュニケーション力、ヒアリング力、交渉力などさまざまなスキルを要します。
営業活動が長期化し営業スキルが求められるBtoB営業を成功させるためには、コツをつかんで効率的に営業活動を行う必要があります。
BtoB営業の営業活動は以下のプロセスに分業できます。
マーケティングで見込み客を獲得し、インサイドセールスでアポイントを獲得、フィールドセールスで受注、カスタマーサクセスで契約を継続してもらうという流れで、1つの営業活動が成立します。
大事なのは、営業活動の最終目標である成約と契約の継続を達成することです。
分業によってそれぞれの役割を把握し各プロセスで目標を設定しつつ、効率的に営業活動を行いながら、部門間で情報を共有しなければなりません。
ただし、必ずしも各プロセスごとに担当者や担当部署を変えなければならないわけではありません。
1つの部署で4つのプロセスを担うこともあれば、インサイドセールスが成約獲得を行う組織もあり、分業の仕方はさまざまです。

BtoB営業を成功させるための8つのコツは以下の通りです。
各項目について詳しく解説します。
営業活動の現状を把握し課題を明確にすることが大切です。
自社の営業活動における弱点を重点的に補強すれば、営業活動の質を上げられます。
現状を把握する際、営業活動の4つのプロセスごとに目標値を設定し、乖離を把握することが必須です。
これにより、リードを獲得するためのアプローチが少ないのか、リード獲得率が低いのか、アポイント獲得率が低いのか、リピート率が低いのかなど、今抱えている課題が見えてきます。
例えば、イベントなどで獲得した500枚の名刺からアポイント50件と成約10件の獲得を目指す場合、以下のような目標値が設定できます。
アポイント獲得率:10%
成約率:20%
アポイント数が目標に達していなかった場合、アポイント獲得率の目標値が高すぎたのか、あるいは、アポイント獲得方法に課題があるのかを見極めることになります。
また、成約率が低い場合は、提案書の改善や顧客ニーズの深掘りが足りていないことなどが考えられるでしょう。
課題を分解することによって、見込み客を獲得するチャネルを見直す、トークスクリプトを見直すなど、対策も具体的になります。
それによって、盤石な営業体制の構築が期待できます。
マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス 、カスタマーサクセスと、営業活動の全てのプロセスにおいて最適な対応をするためには、徹底的な顧客理解が必要不可欠です。
自社商品やサービスの見込み顧客を理解すると、適切な情報をコンテンツで発信できリードを獲得しやすくなります。
また、顧客の悩みや課題、何が必要で何がネックになっているのかを正しく理解できれば、必要なタイミングでアポイントをセッティングできます。
顧客のニーズにマッチした提案ができるでしょう。
顧客理解には以下を行うことをおすすめします。
ペルソナとは自社商品やサービスを購入・導入する具体的な顧客像のことをいい、カスタマージャーニーとは顧客が購入に至るまでの自社と顧客との接点やフェーズを可視化することをいいます。
ペルソナを設定しカスタマージャーニーを活用することによって、顧客視点で施策を立案できます。
また、マーケティン部門、セールス部門と営業活動のプロセスごとに部署が分かれている組織でも、共通認識のもと効率的な営業活動ができるでしょう。
BANTとはヒアリングのフレームワークで、「Budget(予算)」「Authority(決裁者)」「Needs(ニーズ)「Timeframe(購入・導入時期)」の頭文字をとった言葉です。
顧客との商談においてこの4つをヒアリングすると、契約に必要な情報を網羅できます。
ヒアリング結果に基づいて戦略を立てれば、成約の確度が上がるでしょう。
自社商品やサービスの魅力を伝えたところで、顧客のニーズに合った提案を必要なタイミングで行わなければ受注できません。
成約には徹底的な顧客理解が大切です。
BtoB営業を成功させるには、内部環境と自社を取り巻く外部環境の分析も必要です。
内部環境とは、ヒト・モノ・カネ・情報・時間といった経営資源を意味し、外部環境とは競合・見込み客・政治・経済・時代背景など、自社でコントロール不可能なものを意味します。
これらを分析することによって、狙う市場を定めることができ、自社の立ち位置が明確になります。
内部環境と外部環境を分析するには、「SWOT分析」がおすすめです。
SWOT分析はマーケティング戦略の立案・実施において活用されるフレームワークです。
SWOTとは、「Strength(自社の強み)」「Weekness(自社の弱み)」「Opportunity(市場機会)」「Threat(脅威)」の頭文字をとった言葉であり、以下のように分類されます。
競合と比較して有利な点や弱み、市場規模・政治経済の動向などを把握することにより、営業戦略の方向性が定まります。
それによって、施策の優先順位やリソース配分を決定できるでしょう。
営業活動においては振り返りと改善が大切になります。
振り返りと改善を行うには、PDCAサイクルを繰り返します。
PDCAとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Act(改善)」の頭文字をとった言葉です。
計画を立てて実行し、振り返りと評価を行い、それをもとに改善するというのが基本的な流れになります。
計画を明確にすると実行に移しやすくなります。
また、営業活動を評価することによって、目標達成できたものは成功事例として他の案件で応用でき、目標未達の場合は理由や原因を探りやすくなります。
顧客と直接商談を行う営業担当者の営業力をアップさせることも忘れてはいけません。
営業はコミュニケーション能力や提案力、交渉力など幅広いスキルが求められます。
コミュニケーションでは、自分の考えや商品の魅力を相手に伝える情報伝達だけでなく、相手からの情報を正しく受け取る力も大切です。
コミュニケーション能力と共に、相手の悩みや課題を発見し解決案を伝える提案力、お互いの意志や意向を一致させ利益最大化のために納得のいくゴールを目指す交渉力、限られた時間で円滑に業務を進めるタイムマネジメント能力なども必要になります。
営業担当者の一人ひとりが営業スキルを習得していく意識をもつよう、組織として継続的な人材育成を行うことが重要です。
営業活動の前提として、自社商品やサービスを熟知し十分な知識を身に着けておかなければなりません。
それだけでなく競合他社の商品情報や業界の今後の動向、専門知識なども習得する必要があります。
他社と比較したメリット・デメリット、同様の商品やサービスの平均的な価格帯や競合商品の特徴も含めて説明すると、信頼を得られることが期待できます。
また、社内で所有する顧客情報を網羅しておくことも大切です。
リードを獲得したマーケティングや顧客育成を行うインサイドセールスと部署が分かれている場合は、それぞれのプロセスにおける顧客の反応なども把握することにより、円滑なコミュニケーションができるでしょう。
クロージングとは顧客と契約を交わすことを指し、商談のゴールです。
成約を獲得するには、適切なクロージングが必要です。
商品説明後すぐに契約の話をしても失敗する可能性が高いでしょう。
クロージングを成功させるためには、購入や導入を決定しやすい状況を作り出す必要があります。
求められる情報や選択に必要な情報を提供しながら、顧客の背中を後押しし誘導する意識を持たなければなりません。
契約後の導入までの流れや導入後のサポート体制など、具体的にイメージできるように導くと良いでしょう。
クロージング時期を見極めるには、購入意思の程度を確かめるテストクロージングを行うのがおすすめです。
商品説明前に購入条件を確認したり金額提示前に不安点を確認したりすることによって、意思決定を急かすことなく、関係を良好に保ちながら成約を目指せます。
決裁者へのアプローチを目指すことも有効です。
BtoB営業では、担当者と決裁者が異なることがほとんどです。
担当者が納得したとしても決裁者が了承しなければ成約できません。
企業規模や組織構成、役職などから決裁者を見極め、早い段階でアプローチできれば商談回数を最小限にできます。
スピーディーな意思決定が期待でき、営業活動の工数を削減できるでしょう。

BtoB営業のコツがわかっても組織が整っていなければ、有効な営業活動を実施することはできません。
BtoB営業を成功させるためには盤石な組織作りも必要です。
この項目では、営業活動を円滑に行うための組織作りのポイントをお伝えします。
営業活動には4つのプロセスがあると説明しましたが、分業化が進んでいないと営業活動のスピードは鈍化するといえます。
見込み客を見つけアポイントを取り、提案書を作って商談を行い受注を獲得するという一連の流れを1人の営業担当者が行うため、効率的な営業活動が難しくなるからです。
このような場合、営業担当者は1人で全てを担わなければならないため、業務に追われ疲弊します。
1人で案件を抱え込むことによって、上司やまわりから適切な助言を受ける機会も減ってしまうでしょう。
報告書や資料作りなどの作業が多いと、顧客分析や問題点の把握などが不十分になり、成約の確度も低下しかねません。
分業すれば、マーケティングで必要なターゲットリストの作成やインサイドセールスで行う顧客育成を担当部署や担当者に任せられ、営業担当者はフィールドセールスに集中できます。
ただし、分業化は顧客に関する重要な情報の分散を招くため、情報共有ができる仕組みを用意すると良いでしょう。
人材不足に悩む組織は少なくありません。
2022年にエン・ジャパン株式会社が行ったアンケートの結果によると、人材が不足している職種のトップが営業職となっています。
営業職が人材不足に陥ると、売上の目標達成が難しくなります。
営業担当者の負担が大きくなるためミスが起こったりアプローチ頻度が少なくなったりするなど、営業の品質を保てなくなるからです。
必要な顧客育成ができず、成約につながるリードを落としてしまうことも考えられます。
営業担当者の仕事のパフォーマンス低下を防ぐためにも、目標達成に必要な人員数を確保する必要があります。
それによって現状把握・分析や課題の洗い出し、十分な顧客理解や顧客育成が可能となり、成約率を高められることが期待できます。
営業活動のプロセスやノウハウ、情報の属人化は防がなければなりません。
属人化が起こると、営業担当者の経験値やモチベーションなどに売上が左右されます。
また、個人間の営業力の差が大きいと、トップの営業担当者に依存せざるを得なくなります。
営業活動の属人化は、以下のようなことが原因で起こると考えられます。
これらによって営業担当者が1人で案件や情報を抱え込むと、組織として成功する営業スタイルが確立できません。
人材の育成にも時間がかかり非効率です。
また、担当者が替わった時の引き継ぎがスムーズにできず、顧客との信頼関係にも影響が出ることもあるでしょう。
営業活動の属人化を解消することによって、組織としての営業力の強化を目指せます。

分業化が進んでおらず、人材不足や営業の属人化といった課題がある場合は、営業支援ツールやサービスの導入の検討をおすすめします。
営業支援ツールは、営業活動に必要な顧客データや営業活動の記録をわかりやすく整理し管理することにより、売上拡大をサポートします。
営業支援ツールの導入によって、情報共有やデータ分析、提案に必要な資料作成などが容易になり、営業活動の効率化・自動化が図れます。
営業支援ツールには主に以下の3つの種類があります。
それぞれについて解説します。
MAツールは「Marketing Autmation(マーケティングオートメーション)」の略で、リードの獲得・育成から商談に至るまでのプロセスをサポートします。
商談に繋がる見込み顧客を獲得するために、求められる情報を最適な手段で提供しコミュニケーションを継続的に行うことを目指します。
MAツールでは、新規顧客を獲得するマーケティング活動を可視化し自動化が可能です。
Webサイト上における顧客の行動やメルマガの開封頻度などを記録すると、興味関心を見える化しスコアリングできます。
MAツールの利用によって見込み度合いや受注の確度が判別できるようになるため、優先順位がわかり最適なアプローチが可能になります。
また、アプローチを自動化できるため、必要最低限の工数による顧客育成の実現が可能です。
結果的に商談数を増やすことにつながるでしょう。
分業化が進んでおらず人材不足に悩んでいる組織において、営業活動の効率化が期待できます。
SFAは「Sales Force Automation(セールスフォースオートメーション)の略で、SFAツールを導入することによって、商談から成約までの進捗管理を見える化し、組織の営業スキルの平準化や底上げを目指すことができます。
成約までの営業活動の履歴をデータで管理し、情報を蓄積・分析することができるようになります。
アポイント数、商談数、受注数など行動や結果を数値で把握できるため、定量的な分析が可能です。
データをもとにPDCAを回すことで、精度が上がり組織全体のパフォーマンスの向上につなげられるでしょう。
データを総合的に管理することによってノウハウが蓄積されるため、人材の育成にも活かせます。
SFAツールの導入によって、営業活動を効率化し属人化を防ぐことができます。
また、レポート作成やデータの抽出が簡単にできたり外出先から顧客情報を確認できるなど、営業担当者の日々の業務の負担を軽減できる点も魅力です。
CRMとは「Customer Relationship Management(マーケティングオートメーション)」の略で、CRMツールは、受注後、顧客との関係維持や良好な関係を構築する際に用いられます。
CRMツールでは、顧客情報や商談履歴、購入履歴など顧客に関わる情報を一元管理します。
蓄積した情報を分析することにより、ニーズにあったアプローチやフォローを迅速に行うことが可能です。
それによりアップセルやクロスセルでスムーズな販売促進ができるでしょう。
また、営業担当者だけでなく組織全体で情報を共有できるため、部門を超えて顧客との関係構築・維持ができ、顧客満足度の向上も期待できます。
CRMツールの導入によって、カスタマーサクセスのプロセスの効率化が図れます。
また、蓄積されたデータを分析できるため、新たな施策の取り組みにも役立てられるでしょう。
営業支援のシステムを導入する以外に、営業支援サービスを利用してリソースを確保する方法もあります。
具体的には以下のような業務の支援が可能です。
自社の課題を洗い出し必要な営業支援を依頼することにより、弱点を補うことができます。
営業支援サービスの料金体系には、月額費用などが発生する固定報酬型や成果が発生した時にだけ費用がかかる成果報酬型があるため、費用対効果を考慮してサービスを選ぶと良いでしょう。
また、決裁者同士をマッチングする経営・営業支援のプラットフォームを利用するのも有効です。
決裁者につながることでスピーディーに商談できたり成約が獲得できたりする可能性があります。
さらに、得意分野や専門性がある決裁者に出会えることで、経営課題の解決に向けたサポートを受けることも可能です。
BtoB営業は、法人組織に対して営業活動を行うためBtoC営業と比較して緻密な戦略が必要です。
成功させるためにはコツをつかむことが大切になります。
自社の現状と課題を把握し、顧客への理解を深め、内部と外部の環境を分析し、効率的な営業活動を目指しましょう。
しかし、営業活動の分業化が進んでおらず属人化が進み、人材不足に陥っていると改善を進めることは困難です。
その場合は、営業支援ツールを導入し日々の業務の効率化を図る、あるいは「チラCEO」のような営業支援サービスを利用し、営業のスペシャリストにサポートを依頼することをおすすめします。
チラCEOは、決裁者とつながりを持つことができる経営・営業支援のプラットフォームです。
会いたい決裁者に直接メッセージを送れます。
また、決裁者に直接プレゼンできるイベントへも参加できます。
新規顧客の開拓や継続的な売上基盤の構築、事業の検証をしたり経営の意思決定を加速することを目指せます。
チラCEOのサービスについて詳しく知りたい場合は、お気軽にお問い合わせください。
A. マーケティング、インサイドセールス、フィールドセールス、カスタマーサクセスの4つに分けられます。
分業化すると営業活動のスピードを保ちやすくなります。
分業する場合は、各部門の間で顧客情報を共有する仕組みを整えることが大切です。
A. 購入意思の程度を確かめるテストクロージングを行うのがおすすめです。
商品説明の直後に契約の話をすると失敗しやすいため注意しましょう。
相手の質問や反応を記録しておくと、見極めの精度を高められます。
A. 体系的な教育が整っていない、営業プロセスが確立されていない、情報の管理体制がない、ノウハウを共有する場がないといった原因が考えられます。
原因に合わせて、教育や情報共有の仕組みを整えていきましょう。
A. ペルソナの設定やカスタマージャーニーの活用、予算・決裁者・ニーズ・導入時期を確認するBANTの活用などがあります。
実際の顧客へのヒアリングをもとに整理すると、実態に近い理解ができます。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。