商談の成功は、自社商材のアピール内容だけで決まるわけではありません。受注を得るためには、商談の前に行うアイスブレイクが重要です。アイスブレイクによって商談相手と信頼関係を築くことにより、相手からニーズを引き出したり、話を聞いてもらえたりできます。
本記事では、アイスブレイクの意味や必要性、商談時に適した話題について解説します。商談でアイスブレイクを行う際の注意点も説明していますので、雑談が苦手な方や受注率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
商談の成功は、自社商材のアピール内容だけで決まるわけではありません。受注を得るためには、商談の前に行うアイスブレイクが重要です。アイスブレイクによって商談相手と信頼関係を築くことにより、相手からニーズを引き出したり、話を聞いてもらえたりできます。
本記事では、アイスブレイクの意味や必要性、商談時に適した話題について解説します。商談でアイスブレイクを行う際の注意点も説明していますので、雑談が苦手な方や受注率を上げたい方は、ぜひ参考にしてください。
アイスブレイクとは、商談や会議など緊張感が伴う場面で、緊張を軽減してコミュニケーションを円滑に進めるための手法のことです。堅苦しい雰囲気を氷(アイス)に例えて、その氷を壊す(ブレイク)というイメージから生まれました。
一般的にアイスブレイクでは、身近な話題や簡単なゲームを用いることが多いです。例えば、会議の前に「今日は夕方から雨の予報ですが、傘を持ってこられましたか?」などというように会話を振り、場の緊張を和らげ、参加者間のコミュニケーションを円滑にします。
結果的に、一人ひとりのパフォーマンスが向上したり、参加者間の信頼関係を築くきっかけになったりします。
アイスブレイクに似た言葉に、ラポールというものがあります。ラポールはフランス語で「心が通い合う関係」を意味し、2者間で構築する信頼関係のことを指します。つまり、アイスブレイクはラポールを形成するための手段の1つです。
商談では、営業担当者自身だけではなく、商談相手も緊張していることが多いです。特に初対面の場合、信頼関係がまだ構築できていないので、相手が警戒心を持っていてもおかしくありません。緊張で、商談内容が相手の頭になかなか入らない、または本心を話してもらえないことがあります。
このような状況の中、アイスブレイクとして雑談を行うことによって、堅苦しい雰囲気を軽減し、相手の本心を引き出しやすくなります。また、商談をスムーズに進行するためにも、アイスブレイクのような双方がリラックスできる工夫をすることが必要です。
商談のアイスブレイクには、雑談が効果的です。雑談の内容は、以下の話題がおすすめです。
アイスブレイクでは、相手について話題を広げると距離を縮めやすいです。特に、商談相手を褒めることは効果的です。商談時にもらった名刺のデザインや相手が着用しているスーツについて、褒めるポイントを見つけたら口にしてみましょう。
また、相手企業のサービスや会社の立地などを事前に調べておきましょう。しっかりと相手の情報を調べているということが伝わり、信頼を獲得しやすくなります。
先日御社の新しいサービスがリリースされたんですね駅から近くて羨ましいです お名刺のデザイン、おしゃれですねそちらのスーツの色が素敵ですね、どちらで仕立てられたんですか? |
アイスブレイクで営業担当者自身の話をすることによって、相手も情報を提供してくれると期待できます。なぜなら「相手が自己開示をしたから、自分も自己開示をしたい」という自己開示の返報性が働くからです。
自己開示を行う際、相手との共通の話題を選べれば、アイスブレイクの効果を高められます。相手がSNSのアカウントを公開している場合、出身地や趣味などの共通点があるか調べておくのもひとつの手です。
先週は久しぶりに出身地の○○に帰りました (相手と出身地が近い場合)週末は雨だったので自宅で○○をしていました(趣味の話題) さっき御社近くの○○でランチをしてきました(相手がよく行く店の話題) |
商談に関わらず、アイスブレイクの鉄板ネタとして知られているものには、以下のようなものがあります。
これらの頭文字をとった「木戸に立てかけし衣食住」という語呂合わせもあります。それぞれ、どのような話題なのか具体的に紹介します。
季節や気温などは、初対面の人も活用しやすい話題のひとつです。
今日はとても蒸し暑いですね昨晩はかなり冷えましたね 弊社は年末でバタバタしてしていますが、御社はどうですか? |
趣味が同じ場合、会話が盛り上がりやすいです。さりげなく相手の趣味を聞き出してみましょう。
釣りが趣味だと伺いました。実は私も釣りにはまっています 最近話題の○○というドラマを見ているのですが、ご覧になっていますか? お休みの日は何をされてますか? |
時事的な話題は、相手の年齢が離れている場合でも活用できる話題です。一般的に注目を浴びているニュースはもちろん、相手企業の業界に関するニュースについて話すと話題が広がりやすいです。ただし、政治的な話題やネガティブな事件などについては、相手が不快に思う恐れがあるので注意しましょう。
今回のオリンピックの○○選手の活躍はすごいですね 今朝○○というニュースを見たのですが、ご存知ですか? 先日の○○で業務に影響が出たのですが、御社には影響ありませんでしたか? |
旅行の感想もアイスブレイクの話題となります。また、相手に旅行の趣味がなくても、相手の出身地に関することであれば盛り上がりやすいです。
年末に家族で○○へ行きました。△△様は行かれたことがありますか? ○○様の出身地は△△でしたよね。一人旅を検討しているのですが、おすすめスポットはありますか? |
天気の話題は、相手の年齢や性別を問わずに活用できる話題のひとつです。ただし、相手にまったく関係のない話は時間の無駄と思われてしまう可能性があるので、普段とは違った天気の際に活用することがおすすめです。また、変哲の無い天気の話にも、自己開示を1つ加えると話題が広がりやすくなります。
今日も寒いですね。最近、湯たんぽを使い始めました。使用されたことはありますか? 午後に大雨になるようですが、傘はお持ちですか? |
家族の話もアイスブレイクで活用できる話題のひとつです。しかし、相手によっては家族について触れてほしくないと考えている場合もあるので、見極めが必要です。配偶者や子どもの有無は、相手から言われない限りストレートに質問しないようにしましょう。
先月、子どもが○○歳になりました。確か、○○様のお子様も年齢が近かったですよね 先日、姉の結婚式に行ってきました。○○様は、ご兄弟はいらっしゃいますか? |
相手の年齢が高い場合、健康への関心が高いことが多いため、盛り上がりやすい話題のひとつです。
先月の健康診断に引っかかりまして、最近ランニングを始めました。 健康のためにお酒を減らすように家族から言われていますが、なかなか難しいです。○○様は普段お酒を飲まれますか? |
仕事の話題はビジネスチャンスにつながる可能性があります。しかし、深い話をすると本題の商談に移れないので、雑談程度に抑えて適度に切り上げることが重要です。
御社の皆さまはいつも明るくて素敵ですね。何か秘訣があるんですか? 先月から弊社ではノー残業デーが導入され始めました。御社も導入されていらっしゃいますよね? |
相手がファッションにこだわりを持っている場合、身につけているものについての話題は効果的なアイスブレイクとなります。
○○様のネクタイ、珍しい色で素敵です。ご自分で選ばれているんですか? ○○様のスーツ姿は素敵ですね。着こなすコツなどはありますか? いつも○○様の靴がピカピカなのに憧れて、私も靴磨きをするようになりました |
食事の話題は広げやすく、アイスブレイクでおすすめの話題のひとつです。食事は誰もが行うので、相手との共通点を見つけやすいです。
この後この辺りで食事をして帰ろうと思っているのですが、おすすめのお店はありますか? ○○様は△△の出身でしたよね。郷土料理などはありますか? |
出身地や居住地も話題として取り上げやすいです。ただし、女性に居住地の話題を振ると不快に思わせてしまう可能性があるので、出身地の方が話題にしやすいでしょう。
○○様のイントネーションが△△地方のものに思えたのですが、もしかしてその辺りがご出身ですか? 私は現在○○あたりに住んでいるのですが、引越したいと考えています。△△様は現在どちらにお住まいですか? |
これまで紹介した話題の中で、初対面の相手とのアイスブレイクにおすすめの話題は、以下の6つです。
上記の話題は、いずれも商談相手のプライベートに踏み込まない内容です。
アイスブレイクの中には、一歩踏み込んで相手の情報を共有してもらうものもあれば、プライベートに踏み込まずに場を和ませるものがあります。初対面からプライベートに踏み込むと警戒心を抱かせてしまう可能性があるので、アイスブレイクには適度な距離感を保てる話題がおすすめです。
アイスブレイクは商談をスムーズに進めるための効果的ですが、注意しなければならない点が3つあります。
それぞれ解説していきます。
商談におけるアイスブレイクの必要性は、相手次第で異なります。アイスブレイクを好む人がいる一方で、必要ないと考えている人もいるからです。相手の商材への関心が非常に高い場合や、相手がより多くの情報を得たいと考えている場合、アイスブレイクを行うと「早く本題に入ってほしい」と思わせてしまうでしょう。
アイスブレイクを行うべきかどうかは、相手の性格や雰囲気などを考慮した上で判断する必要があります。
アイスブレイクの目的は緊張をほぐして商談をスムーズに進めることです。アイスブレイクで場を和ませることばかり考えていると、雑談が長引き、商談に充てられる時間が減ってしまうことがあります。アイスブレイクで商談の時間がなくなれば本末転倒です。
限られた時間を有効活用するために、どのくらいの時間をアイスブレイクに充てるのかあらかじめ決めておき、適切なタイミングで切り上げましょう。
政治や宗教は相手の思想に深く関わるものであり、アイスブレイクの話題として使用すると、大きな対立につながる可能性があります。また、自分が強い関心のある分野だからと饒舌になるほど相手を不快にさせてしまう恐れがあるので、アイスブレイクには別の話題を選びましょう。
商談のアイスブレイクについて、よくある質問を3つ挙げて紹介します。
A.商談時間が5〜10分と短い場合は、アイスブレイクを挟まない方がよいです。
まとまった時間を確保できる場合には、活用することがおすすめです。商談時間が短い時は、商談前のアイスブレイクではなく、商談終了後のタイミングで、退出時や廊下を歩きながらの1〜2分の間に雑談をしておくと、相手に親しみや信頼感を与えることができます。
A.オンラインでもアイスブレイクを実施可能です。
商談相手の話題や担当者自身の話題、相手との距離が離れている場合は「そちらは気温が高いとニュースで見ました」といったように、相手のいる土地に関する話題もアイスブレイクのネタになります。
A.相手と同じスポーツチームを応援しているとわかっている場合には、問題ありません。
しかし、敵対しているチームを応援している場合には意見が対立してしまうため、相手の好きなスポーツチームが不明な場合には避けるほうがよいです。特定のチームについて言及せず、「最近は日本人選手が海外で活躍していてすごいですね」など競技の話題になっているトピックを取り上げましょう。
商談を成功させるためには、商談の中身だけではなく、商談の前からが重要です。アイスブレイクを商談前に行うことによって、相手の緊張が和らぎ、話を聞いてもらいやすくなります。
商談のアイスブレイクでは、商談相手の話題や、営業担当者自身の話題を出すとよいでしょう。また、以下は商談に関わらず、アイスブレイクのネタとしてよく活用される話題です。
ただし、相手によってはアイスブレイクを不要と考える人もいるので、相手の性格や状況に応じてアイスブレイクを行うか判断する必要があります。また、宗教や政治などの話題は対立を生む可能性があるので、別の話題を選びましょう。
なお、弊社オンリーストーリーでは国内最大級の決裁者マッチングサイト「チラCEO」を提供しています。決裁者のみ利用できるサービスで、質の高いマッチングを期待できます。
自分で気になる決裁者にアプローチできるだけではなく、カスタマーサクセスからおすすめの決裁者を紹介してもらえたり、直接アプローチできるプレゼン会に参加できたりするなど、決裁者とのつながりを作る機会が多く用意されています。商談率が伸び悩んでいる場合や、商談までをスムーズに進めたい場合にはぜひ利用を検討してください。