監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
社長の発信が営業に効くと言われても、なかなか納得しにくい、腰が重くなるようなことはないでしょうか。
この記事では、信頼が先に届く仕組み、発信の中身、やりがちな失敗を解説します。
社長の発信が営業に効く仕組み|信頼・対話・紹介
社長の発信は、商談の前に相手との距離を縮める役割を持ちます。
効く仕組みは3つあり、順に説明します。
会う前に信頼が届く
初対面の決裁者は、相手の会社より先に、相手の人柄と考えを見ています。
社長が自分の言葉で発信していれば、会う前に信頼の土台が相手に届きます。
会社の紹介文だけでは、誰がどんな考えで事業をしているのか伝わりません。
発信は、名刺交換の前に自己紹介を済ませておく手段と考えてください。
売り込みではなく対話の入口になる
知らない営業担当者からの連絡に、30分を割く理由は決裁者にとって多くありません。
社長が考えを発信していれば、連絡は営業ではなく、同じ立場の経営者からの対話の申し出になります。
オンリーストーリー取締役COOの川角は、決裁者が求めているのは営業ではなく相談できる相手だと述べています。
発信は、相談できる相手として認識してもらうための最初の接点です。
発信を知る相手から紹介が生まれる
発信の影響は、直接の読み手だけでなく、その先の人にも広がります。
考えが伝わっている社長ほど、「あの人なら合うかもしれない」と第三者に思い出してもらいやすくなります。
ある利用企業では、直接会った人からの受注が6割、その人からの紹介経由が4割でした。
オンリーストーリーは2019年頃までに経営者を2,500名超取材し、その後に決裁者同士をつなぐ事業へ広げてきました。
営業に効く発信の中身|書くことと書かないこと
発信の成否は、頻度より中身で決まります。
中身の軸を3つ挙げておきます。
売りたいものではなく判断の理由を書く
商品の紹介だけでは、広告と同じく読み流されます。
事業で下した判断と、その理由を書くと、読み手は社長の考え方を理解できます。
迷った点や失敗した点を含めると、読み手は自社の経営と重ねて読みます。
結論だけでなく、判断した日の状況まで書いてください。
相手の役に立つ情報を先に出す
川角は、決裁者との対話ではまず自分がギブすることが大切だと述べています。
自社の営業情報より、相手の経営に使える知見を先に出すと、読み手に会う理由ができます。
売りたい気持ちが先に立つと、決裁者はすぐに感じ取ります。
業界の変化や採用の工夫、取引先から学んだことなど、経営者目線の話題を選んでください。
社長本人の名前で出す
会社の公式アカウントだけでは、人柄が伝わりません。
社長の個人名義で出すと、読み手は1人の経営者と対話している感覚を持てます。
オンリーストーリーの決裁者マッチングでは、成果が出たケースで決裁者本人が連絡を送っていました。
文章づくりは任せても、内容の最終判断は社長本人が行ってください。
社長の発信でやりがちな失敗
失敗の多くは、発信を広告と同じ扱いにすることから生まれます。
代表的なものを3つ挙げます。
会社の宣伝だけになる
新サービスや受賞の告知ばかり続くと、読み手は距離を置きます。
宣伝は全体の一部にとどめ、残りは考えと学びの共有に使います。
告知が悪いのではなく、割合の問題です。
投稿のたびに、読み手に得があるかを確認してください。
担当者任せで社長の声が消える
広報や営業に丸ごと任せると、文章が整うほど社長らしさが消えます。
書き手を立てる場合でも、社長が取材に答える形で自分の言葉を残してください。
どの会社でも書ける内容は、誰が発信しても同じ印象になります。
投稿前に、社長が自分の口で話せる内容かを確認してください。
反応を待って続かなくなる
発信は、始めてすぐに商談が生まれるものではありません。
反応の数ではなく、会った相手が発信を読んでいたかで効果を見ます。
商談で「読んでいます」と言われた回数は、効果を測る目安になります。
頻度は無理のない範囲に決めて、続けてください。
発信を商談につなげる視点
発信だけでは、読まれても会う約束にはなりません。
つなげるための視点を3つ挙げておきます。
発信を見た相手に社長から声をかける
反応してくれた相手は、すでに社長の考えを知っています。
社長本人から短い連絡を送れば、初対面でも対話から始められます。
文面は売り込みではなく、感想への礼や情報交換の提案にとどめます。
最初の面談は30分以内にして、相手の話を聞く場にしてください。
相手にも利益のある入口にする
決裁者は、一方的な提案には時間を使いません。
情報交換や協業など、相手にも得がある入口を用意すると、会う理由が成立します。
オンリーストーリーでは、成果が出たケースは相手にもメリットのある双方向の提案でした。
発信の内容と、会って話すテーマをそろえてください。
決裁者同士が出会う場を併用する
発信だけでは、会いたい決裁者に届くまで時間がかかります。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年の実績と8,000名以上の決裁者のネットワークで、発信が届かない相手とも対話から始められます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
社長の発信は、会う前に信頼が届き、営業を対話の入口に変えるため効きます。
発信を知る相手から紹介が生まれやすい点も、効く理由のひとつです。
発信の中身は、判断の理由と相手に役立つ情報を、社長本人の名前で出します。
宣伝だけ、担当者任せ、反応待ちで止まる、の3つが失敗の典型です。
発信を見た相手には、社長本人から双方向の入口で声をかけてください。
発信が届かない決裁者とは、担当者を経由しない接点の作り方も考えてみてください。
よくある質問
Q. 社長の発信が営業に効く理由は何ですか
A. 会う前に社長の人柄と考えが伝わり、連絡が営業ではなく対話として受け取られるためです。
発信を知る相手からは紹介も生まれやすく、営業の入口が広がります。
Q. 社長の発信では何を書けばよいですか
A. 売りたい商品より、事業で下した判断の理由と、相手の経営に役立つ情報を書きます。
宣伝は全体の一部にとどめ、考えと学びを中心にしてください。
Q. 社長が忙しくて発信が続かないときはどうすればよいですか
A. 頻度を絞り、社長が取材に答える形で自分の言葉を残す方法が現実的です。
文章づくりは広報に任せてもかまいませんが、内容の最終確認は社長本人が行ってください。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



