監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
訪問の数を増やしても受注が増えず、フィールドセールスの動き方に迷うことはないでしょうか。
この記事では、フィールドセールスの役割、商談の進め方、成果の測り方を解説します。
フィールドセールスの仕事|役割・分業・新規と既存の違い
フィールドセールスの仕事は、受注までの最後の区間を担うことです。
役割、取引状況による違い、1日の動き方の3つで整理します。
インサイドセールスから受注までを引き継ぐ
営業は、マーケティングから契約後の支援まで4つの部門で受け持つ形が一般的です。
フィールドセールスは、インサイドセールスが育てた見込み客と対面で商談し、受注を決める役割です。
インサイドセールスは、電話やメールなど非対面で需要を高め、商談の約束までを担います。
契約後の支援はカスタマーサクセスの担当なので、受注の先まで抱え込まないようにしてください。
新規と既存で商談の組み立てを変える
訪問先は、初めて会う相手と、すでに取引のある相手に分かれます。
新規は相手の課題を引き出す商談、既存は追加提案を深める商談として組み立て分けます。
既存顧客へのアップセルやクロスセルも、フィールドセールスが担うことがあります。
同じ資料を使い回さず、相手の取引状況に合わせて話の入り口を変えてください。
商談以外の仕事を1日に組み込む
フィールドセールスの1日は、商談の時間だけでは成り立ちません。
商談前の準備と商談後の記録までを、1件の仕事として時間に組み込みます。
準備では顧客情報の収集と仮説立て、商談後では見積もりの作成とSFAやCRMへの記録が発生します。
移動を含めて1日の商談数には上限があるため、準備を削って件数を稼がないでください。
商談の進め方|引き継ぎから受注までの3段階
商談は、相手の前に座る前から始まっています。
引き継ぎの確認、ヒアリング、提案とクロージングの3段階で見ていきます。
引き継ぎの履歴を読んで仮説を立てる
初回の商談は、インサイドセールスが残した記録を読むところから始まります。
SFAやCRMの履歴と相手のWebサイトから、課題の仮説を立てて臨みます。
仮説なしで訪問すると、相手の説明を聞くだけで終わる商談になりがちです。
仮説は1枚のメモにまとめ、商談前に引き継いだ担当者へ確認してください。
ヒアリングで課題と決裁の流れを確かめる
ヒアリングは、課題を聞く場であり、決め方を聞く場でもあります。
予算、決裁権、必要性、導入時期の4点を、商談の中で確認します。
4点のうち不明な項目が多いまま提案に進むと、見積もりの後に止まりやすくなります。
商談の最後に、導入を判断する流れと同席者を確認するメールを送ってください。
件名:本日の商談のお礼と、ご確認のお願い
株式会社△△
佐藤様
弊社の高橋です。
本日はお時間をいただき、ありがとうございました。
課題を整理のうえ、来週中に提案内容をお送りします。
導入をご判断いただく際の流れと、ご同席される方を教えていただけますでしょうか。
引き続き、よろしくお願いいたします。
提案とクロージングを判断材料に合わせる
提案は、相手が社内で説明できる形にして初めて通ります。
見積もりと提案書は、相手の予算と判断の順番に合わせて出します。
懸念が出たら、その場で答えられない点を持ち帰り、期限を決めて回答してください。
受注後は、経緯と相手の期待値をカスタマーサクセスに引き継ぎます。
スキルとKPI|何を鍛え、何で測るか
フィールドセールスの成果は、スキルと数字の両方で見ます。
鍛えるスキル、KPIの種類、目標値の置き方の順に整理します。
鍛えるスキルは4つに絞る
対面の商談では、相手の反応を見ながら話を変える力が問われます。
ヒアリング力、提案力、論理的に説明する力、課題を分析する力の4つを鍛えます。
雑談も交えて本当のニーズを引き出す力が、ヒアリング力です。
4つのうち弱い項目を1つ決め、先輩の商談への同行で見直してください。
KPIは行動と結果を組み合わせて見る
訪問数だけを追うと、数をこなす動きに偏ります。
行動を示す指標と、結果を示す指標を組み合わせて管理します。
商談数や提案件数は行動、受注数や受注率、受注金額は結果にあたります。
売上は、商談数と受注率と平均単価に分けて、どこが弱いかを見てください。
| 指標 | 何を見るか | 考え方の例 |
|---|---|---|
| 商談数 | 行動の量 | 訪問と商談の件数 |
| 受注率 | 商談の質 | 受注数÷商談数。10件中5件なら50% |
| 平均単価 | 1社あたりの規模 | 受注金額÷受注数 |
| リードタイム | 受注までの速さ | 商談開始から受注までの期間 |
目標値は過去の実績から段階的に置く
KPIの目標値は、現実とかけ離れると使われなくなります。
過去3か月の平均を基準に、少し上の値から段階的に引き上げます。
たとえば月5件が平均なら、まず7件を目標にし、いきなり20件にはしません。
数字はSFAやCRMに記録し、誰でも進捗を見られる状態にしてください。
成果が出ないときの原因|移動・引き継ぎ・属人化
受注が伸びない原因は、営業個人の力量だけではありません。
移動、引き継ぎ、属人化の3つを順に挙げます。
移動に時間を取られ、商談数に上限が出る
訪問型の営業は、移動の時間と費用がかかります。
初回のヒアリングや定例の確認はオンラインで行い、提案とクロージングは対面にします。
往復3時間かけて、1時間の商談をするケースもあります。
対面でしか得られない情報があるかを基準に、訪問の要否を決めてください。
引き継ぎの基準がずれて、空振りの商談が増える
インサイドセールスとの引き継ぎ基準が曖昧だと、見込みの低い商談が回ってきます。
ホットリードの基準を、両部門で話し合って文章にします。
基準の例には、予算、決裁権、必要性、導入時期のうち3つ以上が明確な相手があります。
受注と失注の理由も、定期的にインサイドセールスへ返してください。
ノウハウが個人に閉じて、組織に残らない
受注した商談の進め方が共有されないと、成果は個人の経験に頼ります。
成功と失敗の事例を共有し、ロールプレイングで型を広げます。
顧客情報と商談履歴は、SFAやCRMに一元管理すると引き継ぎが速くなります。
共有の場は、月に1回など、開く頻度を先に決めてください。
商談を決裁につなげる視点|担当者止まりを抜ける
商談の数や質を整えても、相手が決裁者でなければ受注は止まります。
確認する点と、決裁者との接点の増やし方を挙げます。
商談の相手に決裁の権限があるかを確認する
商談を重ねても、決まらない案件があります。
相手が担当者で止まっていないかを、商談の早い段階で確認します。
担当者が社内で説明しきれないと、検討だけが長引く場合があります。
決裁者の同席を依頼する文面を、あらかじめ用意しておいてください。
件名:次回のご打ち合わせについて(ご同席のお願い)
株式会社△△
佐藤様
弊社の高橋です。
先日は、貴重なお時間をありがとうございました。
導入のご判断に関わる方も、次回のお打ち合わせにご同席いただけないでしょうか。
判断に必要な情報を、直接お伝えしたいと考えております。
ご都合のよい日程を、いくつかお知らせください。
決裁者と直接つながる場を併用する
訪問を重ねても、決裁者本人に会える機会は営業の努力だけでは限られます。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年の運営で8,000名以上の決裁者がつながる場があり、担当者を介さず商談の入口をつくれます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
フィールドセールスは、見込みが高まった相手と対面で商談し、受注まで担う営業です。
商談は、引き継ぎの確認、ヒアリング、提案とクロージングの3段階で進めます。
鍛えるスキルは、ヒアリング力、提案力、説明力、分析力の4つです。
成果は、商談数と受注率と平均単価に分けて、行動と結果の両方で見ます。
移動、引き継ぎ、属人化の3つを整えると、商談の空振りを減らせます。
商談が担当者で止まるなら、決裁者と直接会える接点の作り方も考えてみてください。
よくある質問
Q. フィールドセールスとは何ですか
A. フィールドセールスとは、顧客先などで対面して商談し、提案から受注までを担う営業です。
インサイドセールスが育てた見込み客を引き継ぎ、契約を決める役割を持ちます。
Q. フィールドセールスとインサイドセールスの違いは何ですか
A. インサイドセールスは非対面で需要を高め、フィールドセールスは対面で受注を決めます。
前者は商談の約束までを、後者は商談から契約までを担当します。
Q. フィールドセールスのKPIは何を見ればよいですか
A. 商談数などの行動指標と、受注率や受注金額などの結果指標を組み合わせて見ます。
売上は、商談数と受注率と平均単価に分けると、弱い箇所が見つかります。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



