最終更新日: 2023.09.26

商談アポイントの獲得数の割に、成約数が少ないと悩む企業は多いのではないでしょうか。成約率を向上するためには原因を明らかにした上で、それぞれに合った営業ツールを活用するといいでしょう。

しかし、そもそも営業成約率が伸びない原因がわからない、または多様な営業ツールからの選定が難しく、導入に踏み出せない方もいるはずです。この記事では、営業成約率が伸び悩む主な原因を挙げつつ、成約率向上に役立つツールを紹介します。

営業成約率の重要性

営業成約率は営業活動の質、効率性を図る重要な指標です。営業成約率が高ければ、少ない人員で多くの成約を獲得できると共に、在籍する人材が優秀だと客観的に証明できます。結果的に多数の営業担当者を雇用せずに済むため、コスト削減が可能になり、利益率の向上にもつながるでしょう。

営業成約率は、以下の計算式で求められます。

成約率(%)=成約件数÷商談数×100

100件の商談に対して5件の成約が取れた場合の営業成約率は5%です。

営業成約率は業界によって異なるため、同業界の平均値をベンチマークすると共に、自社の過去のデータを参考にするといいでしょう。営業成約率が低い場合、質の高いリード獲得や提案が行えていないなど、なんらかの原因があります。まず、その原因を明らかにすることが重要です。

営業成約率が向上しない3つの要因

営業成約率が向上しない主な要因は、次の3つです。

  1. マーケティング力不足
  2. 営業担当者の育成不足
  3. 営業の属人化

3つの原因をそれぞれ解説します。

1.マーケティング力不足

マーケティング力不足によって、成約率が伸び悩む場合があります。市場調査やターゲット企業の分析などを行うマーケティングがおろそかだと、成約につながるような質の高いリード(見込み顧客)を獲得できないからです。

成約を獲得するのに商談アポは必須ですが、購買意欲が高くないリードを数多く獲得しても成約率の向上にはつながらない上、営業効率も悪くなります。

自社が展開する業界の市場規模やトレンドなどの調査を行い、属性の付与やセグメンテーションなどのマーケティングを実施することでターゲットが明確になり、質の高いリードが獲得できます。自社のマーケティングを見直して、営業成約率の向上を図りましょう。

2.営業担当者の育成不足

営業担当者の育成が上手くいかなければ、成約につながらない場合もあります。質の高い営業活動を行うには、営業経験で培われたノウハウが必要になることもあるからです。

中小企業をメインに仕事をしてきた営業担当者は、大企業の営業活動には不向きです。大企業は決裁者に会うまでに時間がかかり、意思決定プロセスが中小企業と異なることが多いためです。その逆も考えられます。

また、業種や業界によっても営業戦略は異なります。営業担当者との信頼関係を大切にする業界や、費用対効果・歩留まり率などの数値成果を重視する業界があります。

個人で活動することの多い営業において育成するのは困難ですが、営業担当者個々のスキルや知識を高め、ノウハウを蓄積することによって、成約率の向上につながるでしょう。

3.営業の属人化

各営業担当者が個人で活動することが多い営業において、属人化が起こる場合があります。属人化は小規模な組織ではある程度の効果が望めるものの、組織として発展するためには脱属人化が欠かせません。成約率が高い熟練の営業担当者がいても、そのノウハウを新人に承継しない限り、組織としての成約率は下がるからです。

そもそも営業の属人化は、個々の営業担当者がそれぞれの顧客を持つことによって、他社員への情報共有が上手く行えないことが原因で生じます。顧客情報や営業のプロセスが把握できなければ担当者が不在の場合、対応が取れないうえ、社内にノウハウも蓄積できません。

顧客情報や営業プロセスの共有を図り、誰でも簡単に案件ごとの状況を把握できるようになれば、担当者の不在時に対応が取れるだけでなく、タイミングを見極めてより良い提案が実施できるでしょう。

多くの営業担当者が情報を共有することによって、アドバイスやスケジュール漏れの防止もできます。結果的に成約率の向上につながるでしょう。

営業成約率を高める3つのツール

営業成約率を高めるには、マーケティング力や営業担当者の育成を強化し、営業の属人化を解消する必要があります。この項目では、これらの営業課題を解決し、営業成約率の向上に役立つ3つのツールとその活用法、それぞれおすすめのツールを解説します。

MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用

マーケティング力を強化するにはMA(マーケティングオートメーション)ツールを活用しましょう。MAツールとは、営業における一連のマーケティング施策を、自動化するツールです。 MAツールの活用によって、ターゲット選定がより明確になり、質の高いリードの獲得につながります。

MAツールには、リード(見込み顧客)情報の一元管理やメール配信、問合せフォームの作成、Webサイト上での行動解析、LP作成など、マーケティング力を強化し、効率化するさまざまな機能があります。

営業成約率の向上に必要となる確度の高いリードを獲得するためには、業界やサービスの市場調査やリードの情報収集に加えて、リードナーチャリング(見込み顧客の育成)が必要です。顧客の購買意欲を高めるリードナーチャリングは、MAツールのスコアリングやセグメント、メール作成、分析などの機能を活用すると効率的に行えます。

おすすめのMAツール3選

ここでは、おすすめのMAツールを3つを紹介します。

  1. Salesforce Marketing Cloud
  2. Marketo
  3. SATORI

1.Salesforce Marketing Cloud

Salesforce Marketing Cloudは、画像認識や音声認識、データに基づく予測などを行う統合型AIを搭載しており、高度な分析によってマーケティング施策の立案、実行をサポートします。

Salesforce製品の1つであるSalesforce Data Cloudを連携して活用することによって、広告やメール、SNSなど、デジタル上に存在する顧客情報を確認できます。リアルタイムデータの確認によって、それぞれの特性や状況に合わせたタイミング、チャネルでアプローチして、成約率の向上を図れます。直感的なインターフェースで操作もスムーズです。

Salesforce Marketing Cloud

2.​​Adobe Marketo Engage

Adobe Marketo Engageは、スコアリングや顧客分析、広告などマーケティングに役立つ9つの機能を持ちます。顧客の行動をトラッキングして、適切な購買意欲の高い顧客とリードとの関係を適切に管理し、それぞれに最適なマーケティング施策を容易に構築できます。

各チャネル施策に対する顧客の反応を確認しながら行動データを蓄積し、豊富な標準機能やコンテンツを組み合わせることによって、顧客とのコミュニケーションを図れます。成約率の向上に必要なリードナーチャリング施策もスムーズです。

メール配信ツールやSlack、Zoom、CMSツールのferret OneやSFAツールのSales Forceなど、さまざまな外部システムと連携でき、本格的なMAに取り組みたい企業に向きます。

Adobe Marketo Engage

3.SATORI

SATORIは、リードの獲得・育成・管理を行うために有効な機能を豊富に備えたMAツールです。自社サイトを閲覧しているリードのIPアドレスから判別して、確認できる「アクセス企業リスト機能」や特定の行動や条件でグループ化し、分析やアプローチをしやすくする「セグメント機能」によって、リード獲得がスムーズに行えます。

特定の条件に該当したリードに対して、資料ダウンロードページ誘導やフォーム送信などを実施する機能もあります。

セミナー開催に必要な申し込みメールの作成やデータ管理、セミナー後のフォローも実施でき、認知拡大にもつながります。また、無料オンラインサポートやSATORI活用支援サイト、セミナー開催など、サポート体制も充実しています。

SATORI

MAツールでSTP分析を促進する

営業成約率を高めるには、MAツールを使ってSTP分析を行うといいでしょう。STP分析とは、自社の顧客を定義するマーケティングのフレームワークの1つです。セグメンテーションとターゲティング、ポジショニングをそれぞれ分析します。

まず、MAツールのスコアリング機能を活用します。スコアリング機能では、メールの反応やWebアクセス、イベント出席など、顧客の行動を記録して数値化し、顧客に優先順位をつけることで数多くのリードから購買意欲の高い顧客を明らかにできます。

購買意欲が数値化されると、アプローチするタイミングの見極めが容易になります。さらに、セグメント機能によって年齢や役職などを加えると、購買プロセスが複雑な企業のキーパーソンを把握しやすくなります。

ターゲティングの際は、メールの作成・分析を行います。開封率に加えて、実際の行動も計測できるMAツールでは、反応やアクセスのあった箇所からニーズを汲み取り、それぞれの顧客に合った提案を行えます。

自社の取り扱うサービスの価格や品質、販売チャネル、店舗数などを競合と比較した上、立ち位置を見極めることができれば、新規顧客の獲得だけでなく、リピーターの獲得またはクロスセルなど、営業成約率の向上につながるでしょう。

オンライン商談ツールの活用

オンライン商談ツールとは、Web上で商談を行えるツールです。オンライン商談ツールの活用によって、遠方の企業など、場所にかかわらずいつでも商談を行えます。顧客の元に訪問する移動時間を省き、業務効率化に役立ちます。加えて、パンデミックの最中でも最適なタイミングを逃さず商談でき、成約率の向上に有効です。

製品によって異なるものの、オンライン商談ツールには、名刺の交換や資料共有、テキストチャットなど、商談に便利な機能があります。ツールによっては、資料共有機能によって映像を共有した上、資料を受け渡せる機能を備えています。

商談では、事前に準備していた資料以外が突然必要になることもあります。話の流れで参考になる資料を瞬時に共有したり、会話だけではわかりにくい部分をテキストチャットで伝えたりなど情報をわかりやすく可視化することで、商談の成功につながりやすくなるでしょう。

おすすめのオンライン商談ツール3選

この項目では、おすすめのオンライン商談ツールを3つ紹介します。

  1. VCRM
  2. B-Room
  3. ベルフェイス

1.VCRM

VCRMは、画面共有やプレゼンテーション機能など、オンライン商談ツールの基本的な機能に加えて、資料のダウンロード機能が利用できます。商談の途中、必要なタイミングで資料やカタログなどを提示したり、商談完了後に次回の商談に備えて商品内容を紹介したりできます。

事前にセットアップした資料は、必要なタイミングにクリック1つで画面に表示できる便利な機能もあり、商談前に大量の資料をプリントアウトする手間も省けます。商談相手の上司や決裁者にアピールするための資料提供方法として有効です。

ナンバー接続とURL接続との両方に対応しています。顧客によって柔軟に対応し、なおかつ電話音声かPCマイクによる音声を、シーンによって切り替えもできます。

VCRM

2.B-Room

インストール不要で使えるB-Roomは、高品質な音声と高画質な映像により対面と変わらない商談が行えるオンライン商談ツールです。ネットワーク状況に応じて柔軟にレートを変更できるため途切れる心配がない上、最高レベルのビデオコーデックを採用したことにより、相手の表情や反応がはっきりとうかがえます。

また、音声自動テキスト化機能によって話した言葉が全て自動で表示されるため、商談中にメモを取る必要なく商談に集中できます。相手やシーンに合わせてURLやナンバーから接続方式が選べて、双方インストールせずにパソコンやスマホ、タブレットがあればすぐに商談がスタートできます。

B-Room

3.ベルフェイス

発売から5年で3,600社以上の企業に導入されているベルフェイスは、国内シェアNo.1のオンライン商談ツールです。オンライン商談ツールの基本的な機能に加えて、CRM(顧客管理ツール)連携機能によって商談の記録や顧客管理、営業進捗の管理が容易に行えます。

ほかにも、デジタルカンペが表示できるトークスクリプト機能や、顧客がスマホで閲覧しているWebサイトをホスト側に表示するスマホ画面サポート機能のほか、接続中にゲストが撮影した写真を商談画面に転送できる機能もあります。製品やサービスについて、会話では説明しづらい内容をその場でわかりやすく伝えられるでしょう。

また、ホスト側のブラウザ画面を顧客が一部操作できるリモートコントロール機能を利用することによって、オンライン商談中に顧客に書類確認や署名をしてもらえる便利な機能も備えます。

ベルフェイス

録画・録音した映像音声を営業担当者研修に活用する

オンライン商談ツールは、営業担当者の育成不足や営業の属人化が課題となる場合に有効です。オンライン商談ツールの多くは、ツール上で行われた相手とのやり取りを録画・録音する機能を備えています。録画した映像を、経験の浅い営業担当者の研修教材として活用する、あるいは振り返ることによって、商談の改善点を見つけ出せます。

ベテラン営業担当者の優れた商談ノウハウを共有して学ぶことによって、成約率の向上につながるでしょう。

SFA(営業支援ツール)の活用

SFA(Sales Force Automation)ツールは、主に、商談から受注まで営業プロセスの重要なクロージングに活用し、成約率の向上をサポートする機能を持ちます。

SFAツールに備わる案件・商談管理では、各営業担当者によって記録された顧客とのコンタクト状況や商談の進捗をスムーズに共有できます。こうした機能によって、先輩や上司など他の社員によるアドバイスが容易になることに加えて、顧客へのダブルブッキングも防止できます。組織全体で商談の進捗を把握し、適切なタイミングを見定められるからです。

営業の属人化を解消でき、成約率の向上が図れます。

おすすめのSFAツール3選

ここでは、おすすめのSFAツールを3つ紹介します。

  1. Senses
  2. eセールスマネージャー
  3. kintone

1.Senses

Sensesは、入力の自動化とAIによる分析やアドバイスによって、マーケティングから顧客管理までの営業プロセス全般の課題を解決に導きます。顧客や案件、行動、名刺などのあらゆる情報を一元管理し、リアルタイムの情報を共有できます。

過去のあらゆる案件情報から機械学習したAIは、各案件の受注角度や契約金額、契約予定日などをリスク分析し、類似案件の提示などのアドバイスをしてくれます。登録情報から候補を自動抽出したり、手書きメモや名刺スキャンからの自動入力もAIによりスムーズに行えます。

他にも、顧客と交換した名刺情報をモバイルアプリから一瞬で文字変換する機能や、キャンペーンメールやお問合せフォームが簡単に作成できる機能などマーケティングを支援するさまざまな機能があります。蓄積したSensesのデータベースに加えて、業界情報や取引先の情報収集、ニュース、プレスリリースなど最新情報も確認できます。

Senses

2.eセールスマネジャー

多様な業界で導入されているeセールスマネージャーは、案件管理工数の削減と生産性の向上を支援します。タイムラインやスケジュール、顧客人脈情報、商談リストなどに関する機能を持つマネジメントやフィールドセールス向けのSFAツールです。

マネージャーはリアルタイムで更新された商談情報や人脈情報などを確認できるため、見込み案件を直感的に把握して売上予測が立てやすくなります。加えて、部下の活動報告や進捗状況を確認し、的確なアドバイスを行ったり、最適なタイミングで経営戦略を立案できます。質の高い営業によって、成約率の向上につながるでしょう。

外出先でもスマホで最新情報を入力して、情報の見える化を図れるため、営業担当者の業務効率化にも有効です。MAツールやWeb会議ツール、会計ツールなど他ツールとの連携も可能です。

eセールスマネジャー

3.kintone

さまざまな業界に合ったアプリを選択して活用できるkintoneは、企業の課題や業務担当者の悩みを用途別に一元管理するSFAツールです。日報や案件管理、問合せ管理のほか、営業・セールスにおいてはアンケート、顧客リストなどのアプリを、ドラッグ&ドロップで簡単にカスタマイズして作成できます。

メールや電話、FAXによる企業間のやり取りを無くしてスムーズな連携をサポートする機能では、テーマごとに情報を整理し、なおかつ過去の経緯もまとめて確認できます。また、企業単位・メンバー単位でアクセス権を付与できるため、個別グループでのやり取りも安心です。

顧客と密にコミュニケーションを取ることによって、クロスセルの可能性を高められるでしょう。さまざまな業務管理ツールを使うことによる情報の齟齬や不効率の防止にも貢献します。

kintone

営業課題の究明にはスケジュール・プロセス管理機能を活用する

自社の営業課題がわからない場合は、SFAに備わるスケジュール・プロセス管理機能を活用するといいでしょう。スケジュール・プロセス管理機能は、テレアポのコール数やメール送信数、商談アポイント獲得数、訪問数、提案商材数、受注数など営業担当者個々の行動、結果をすべて数値化して、課題をスムーズに発見できます。

架電数の割に商談アポ獲得数が少なければ、電話対応や会話のマニュアルを、商談数の割に成約数が少なければ、営業担当者の商談ノウハウ、リードの質を確認して改善・向上に努めることが容易になります。

マーケティングやインサイドセールス、フィールドセールスなど、営業部署が複数に分かれる場合、各部門の課題を全体で把握するのが困難です。SFAツールの活用によって、全体を統括し、成約率を向上しましょう。

ツールを活用して営業成約率を向上しよう

営業成約率が低い場合、マーケティング力不足や営業担当者の育成不足、営業の属人化などが発生している可能性があります。営業課題を見極め、それぞれの企業のサービスと営業方針に合ったツールを導入することで成約率の向上につながるでしょう。

紹介したMAツールやオンライン商談ツール、SFAツールをぜひ参考にしてください。

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