監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
インサイドセールスは、見込み客に非対面で働きかけて商談につなげる営業手法です。
役割や種類、導入の流れを押さえ、自社の営業体制に取り入れられるかを確認しましょう。

インサイドセールスの概要とフィールドセールス・テレアポとの違い、3つの役割、SDRとBDRの種類を解説しています。メリット・デメリット、導入の5ステップ、成功させる2つのポイントもまとめました。
監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
インサイドセールスは、見込み客に非対面で働きかけて商談につなげる営業手法です。
役割や種類、導入の流れを押さえ、自社の営業体制に取り入れられるかを確認しましょう。
インサイドセールスの基礎知識と、インサイドセールスと混同されやすい「フィールドセールス」と「テレアポ」との違いについて解説します。
インサイドセールスとは、見込み客(リード)に対して非対面で行う営業活動、およびその部門のことです。
手段としては電話やメール、Web会議ツールなどを利用します。
従来行われていた営業方法とは異なり、訪問営業を行いません。
新型コロナウイルスの流行によってリモートワークが広まったことから、導入を開始した企業が増加しています。
インサイドセールスでは、見込み客の育成に注力することが多い傾向があります。
顧客に商材について詳しく説明し、購買意欲を高めてからフィールドセールスに引き渡すことが主な役割です。
フィールドセールスとは顧客の元に直接足を運び、契約を獲得する営業方法のことです。
従来の営業方法では、1人の営業担当者がリードのリスト作成から契約の受注までを行っていました。
しかし、インサイドセールスを導入するにあたり、フィールドセールスと担当者を分ける分業型セールスモデルが普及しています。
分業型セールスモデルでは、一般的に営業活動を以下の3つの分野に分けます。
マーケティングで獲得したリードにインサイドセールスでアポ取りやプレゼンを行い、最終的にフィールドセールスによって受注につなげるというように、各分野に役割があります。
テレアポとは、顧客との商談に向けてアポイント獲得のために電話をかける業務のことです。
一方、インサイドセールスはリードの獲得や育成などを行い、自社内で設定している受注条件に合った商談先を獲得することです。
つまり、テレアポはインサイドセールスの一種といえます。
テレアポは「何件に電話して、何件アポが取れたか」をKPI(目標)に設定することが多いです。
そのため、最終的な売上や契約件数ではなく、短期間で効率よくアポを獲得することを目指して課題をブラッシュアップするのが一般的です。
しかし、インサイドセールスの場合は長期的に顧客の育成を行うため、短期間での検証はされません。
顧客との関係性を構築するのが目的であるため、すぐにアポイントを獲得できない場合があります。

インサイドセールスの役割は、主に以下の3つです。
それぞれの役割について詳しく解説します。
インサイドセールスでは、マーケティング部門が獲得した見込み客(リード)の中から、アプローチしていく企業の優先順位をつけます。
従来型の営業方法では担当者が1人ですべてを担うため、リードに優先順位をつけないことが多いです。
そのため、ニーズを明確にできなかったり、受注率の低い顧客を優先的に営業したりといった効率の悪さが課題でした。
しかし、分業型のセールスモデルにすれば担当業務に集中できる環境が整うため、リードに対して優先順位をつけやすくなります。
優先順位をつけることによって、受注率の高い顧客に絞って訪問営業をしたり、受注率の低そうな企業は電話やメールで関係構築したりといった対応ができます。
見込み客と関係性を構築するのも、インサイドセールスの役割です。
案件を受注するためには見込み客のニーズが顕在化するように、関係性を構築しなければいけません。
顧客の元を直接訪問する機会がなくコミュニケーションが取りにくい面はありますが、接触方法を工夫し、よい関係性を築く必要があります。
例えば、電話やメールで小まめにやり取りして顧客が抱える問題にいち早く気付ければ、信頼の獲得につながります。
インサイドセールスで顧客とよい関係が築ければ、フィールドセールスでの商談もスムーズに進むでしょう。
関係性を築いた顧客の情報をフィールドセールスに共有することも、インサイドセールスの重要な役割です。
例えば、以下のような情報を共有します。
顧客のニーズが高まった時点でフィールドセールスに情報を共有しなければ、契約獲得のチャンスを逃してしまいます。
適切なタイミングで商談に持ち込むためには、日々のヒアリングから得た顧客の情報を社内で共有し分析することが成功の秘訣です。
インサイドセールスは、「SDR」「BDR」の2種類に大別できます。
ここでは、それぞれの概要について紹介します。
SDRとは反響型営業のことで、過去に取引のある企業やインバウンドによって獲得した見込み客に対して行う営業方法のことです。
例えば、ホームページから問合せがあった場合に最初のアプローチを行うのがSDRとされています。
SDRによる接触が顧客との関係性を構築する第一歩となるため、担当者のコミュニケーション能力やヒアリング力が重要といえるでしょう。
また、顧客の購買意欲が低下しないうちに適切なアプローチを行わなければいけないため、スピード感を持って業務を遂行する必要があります。
BDRとは新規開拓型営業のことで、電話やメールなどで自社から営業活動を行う方法です。
SDRは顧客からのアプローチから関係性を構築するのに対して、BDRは自社からアプローチをします。
BDRのターゲットとなり得る企業は、主に以下のとおりです。
BDRはSDRとは異なり、事前に得られる顧客情報が多くありません。
そのため、企業調査を念入りに行ったり、計画的な営業戦略を練ったりする必要があります。
なお、アプローチ方法としては企業の代表番号に電話をかけたり、IR情報から調べた決裁者にメールや手紙を送ったりするのが一般的です。
インサイドセールスを導入するメリットは、主に以下の4つです。
それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。
インサイドセールスを導入するメリットの1つ目は、効率的な営業活動を行えることです。
インサイドセールスは内勤業務であるため、活動範囲やエリアを限定する必要はありません。
移動時間も必要ないため、顧客とのコミュニケーションにより時間をかけられます。
また、インサイドセールスの段階で見込み客の育成を行えるため、フィールドセールスでの成果も上げやすくなります。
成果につながりにくい顧客へ労力を割くことがなくなり、より多くの顧客に効率的に自社の商材をアピールできるようになるでしょう。
インサイドセールスを導入するメリットの2つ目は、コストの削減につながることです。
先ほども紹介したとおり、インサイドセールスは内勤営業であるため移動時間や移動費などは発生しません。
費用対効果の高い営業活動を目指してインサイドセールスを導入した企業も多いです。
インサイドセールスのメリットの3つ目は、人材の確保のしやすさです。
従来の飛び込み営業にはネガティブなイメージを持たれがちです。
多くの企業に足を運ぶ必要があるため、苦労の多い業務だと考える人もいるでしょう。
実際に飛び込み営業をしても門前全払いとなることは多く、成約率は低い傾向があります。
しかし、インサイドセールスであれば、オフィスに通えない距離に住んでいても勤務できます。
遠方の顧客に対しても、わざわざ訪問する必要がないため、働く場所を選びません。
つまり、インサイドセールスなら、居住地に関わらずスキルのある担当者を採用することができます。
そのため、人材不足の解消にもつながるでしょう。
メリットの4つ目は、属人化を防げることです。
属人化とは、ある業務について特定の人しか進捗状況や情報を把握できていない、または対応できない状態のことを指します。
営業活動であれば、誰がどこに営業しているかわからない、どのようなアプローチをしているのかわからないといった状況のことです。
従来の営業方法では1人ですべてを担っているため、属人化が起きやすいとされています。
しかし、インサイドセールスを導入すればすべての情報がフィールドセールスと共有されるため、属人化が起きる可能性は低くなります。
インサイドセールスのデメリットは、主に以下の3つです。
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
インサイドセールスは、マーケティング部門やフィールドセールス部門との連携が必須です。
フィールドセールス部門とスムーズに情報共有できなければ、適切なタイミングで商談に持ち込むのは難しくなります。
見込み客の購買意欲が薄れてから社内で情報共有し顧客へのアプローチを行っても、受注につながる可能性は低くなるでしょう。
そのため、顧客や営業に関する情報は、一元管理できる体制を整えておくことが重要です。
インサイドセールスの場合、顧客と直接顔を合わせるわけではないので、信頼関係を構築するのが難しいです。
たとえWeb会議ツールを利用したとしても、フィールドセールスの方が信頼関係を築きやすいでしょう。
顧客からの深いニーズを聞き出せなければ、相手にとって魅力的なアプローチはできません。
直接会わない分、Web会議や電話、メールなどで頻繁にコミュニケーションを取る必要があるため、信頼を得るのに時間がかかります。
インサイドセールスは、フィールドセールスよりも営業の難易度が高くなります。
顧客と対面することなく営業活動を行うため、自社の商品やサービスの情報が伝わりづらいことも珍しくありません。
例えば、インサイドセールスで香りや感触といった情報を顧客に伝えるのは難しいでしょう。
インサイドセールスに向かない商材の具体例は以下のとおりです。
またメールやチャットなどを使った営業方法では、相手の顔のみならず声もわからないため、顧客の反応を見ながら臨機応変な対応をするのが困難です。
そのため、直接対面して営業を行うよりもコミュニケーション能力が必要とされるでしょう。

ここからは、インサイドセールスを導入するまでの流れを解説します。
各ステップを参考に、インサイドセールスを取り入れてみてください。
まず、インサイドセールスが担当する範囲を明確にします。
従来の営業方法では、1人の営業担当者がすべての業務を担っていました。
そのため、属人化に陥いる企業も少なくありません。
インサイドセールスには「見込み客(リード)の育成」という明確な目的が存在しています。
この目的に即したインサイドセールスの業務と、契約獲得を目的としたフィールドセールスの業務と役割を分けることにより、お互いがそれぞれの業務に集中できます。
ただし、インサイドセールスとフィールドセールスの担当範囲を明確にしていなければ、営業活動の進捗にも影響を与えることになるでしょう。
担当範囲を決めたら、インサイドセールスの所属部門を決めます。
よく該当する部門が以下の3つです。
マーケティング部門が担当した場合、見込み客(リード)の獲得から一貫した対応が可能であるため、リードの特徴を把握しやすくなります。
しかし、新規リード獲得にリソースを取られる点に注意が必要です。
営業部門が担当した場合、インサイドセールスからフィールドセールスを一貫して行えるため、リードとより深い関係を築きやすくなります。
顧客側からしても、担当者が変わらないことで安心感を得やすいでしょう。
しかし、基本は営業担当者が1人で顧客対応することになるため、属人化しやすい点に注意が必要です。
なお、インサイドセールス専門の部門を新規で立ち上げる方法もあります。
立ち上げ当初は多くのコストやリソースを必要としますが、リードの育成に専念できるのがメリットです。
所属部門を決めたら、人材を選定します。
インサイドセールスに選定する人物は、フィールドセールスやマーケティングに関する知識や経験を持っている人材にしましょう。
また、フィールドセールスやマーケティングとの連携が不可欠であるため、それぞれの部門の内情をわかっている人だと業務を進めていきやすいです。
例えば、以下のような人はインサイドセールスに向いています。
人材が確保できたら、インサイドセールスにおけるKPIを設定しましょう。
KPIとは、設定した目標に対して、各プロセスが適切に達成できているかを測るための指標のことです。
インサイドセールスのKPIでよく使用される項目は、以下のとおりです。
KPIを設定するときは、案件の受注数だけではなく、各プロセスに注目することが重要です。
例えば「新規見込み客を300人選出する」「40件の商談を勝ち取る」「5件の受注につなげる」と各プロセスでKPIを設定すれば、どこに課題があるかを可視化できます。
また、目標があることにより社員のモチベーションアップにつながる点も、各プロセス毎にKPIを設定するメリットです。
インサイドセールスを開始できる状況が整ったら、顧客情報を一元管理できる環境を整備しましょう。
顧客情報を一元化できれば、マーケティングやフィールドセールスで得た情報も併せて管理できます。
なお、情報の一元化には営業支援ツールを使用することをおすすめします。
ツールを使用することにより、各担当者が得た情報を過不足なく登録でき、チーム全員で即時に共有できるからです。
インサイドセールスを成功させるポイントは、主に以下の2つです。
インサイドセールスを成功させるポイントの1つ目は、役割分担を明確にすることです。
フィールドセールスとの役割が明確になっていないと、スムーズに営業活動できません。
なお、役割分担のやり方は「プロセスによる分担」と「エリアによる分担」の2種類が一般的です。
プロセスによる分担の場合、ニーズの低い見込み客に対してはインサイドセールスで見込み客(リード)の育成やアプローチを行います。
その後、案件化できるようになれば、フィールドセールスに担当を交代する形で営業を進めましょう。
一方、エリアによる分担は、自社から近いエリアをフィールドセールスが担当し、遠いエリアのアプローチをインサイドセールスが担当します。
エリアを分担することで、移動時間や交通費の削減につながります。
インサイドセールスを成功させるポイントの2つ目は、定期的に振り返りを行うことです。
日々業務に追われていると「KPIを達成したら終わり」になってしまう企業は少なくありません。
しかし、「なぜKPIは達成できたのか」「どうしてKPIは達成できなかったのか」などを振り返ることによって、今後の課題が見つかり、より良い営業活動につなげられます。
KPIに関する振り返りだけではなく、業務の改善点が見つかれば修正することも重要です。
例えば「インサイドセールスからフィールドセールスへの引き継ぎ方法を見直したい」との声があれば、より情報を共有しやすい方法を模索するといいでしょう。
「業務に問題点はないか」といった視点を大事にすることによって、インサイドセールスの成功にもつながります。
インサイドセールスは、非対面で営業活動を行うことから、効率よく営業活動を進めていけます。フィールドセールスのように現場に足を運ぶ必要がないため、遠方にいる見込み客にも営業しやすいでしょう。
また、インサイドセールスとフィールドセールスを分業すれば、それぞれが特定の業務に集中できるため、営業の成果も上がりやすくなります。
A. テレアポはアポイント獲得のために電話をかける業務です。
インサイドセールスは電話やメールなどを使い、見込み客との関係を築きながら商談につなげる点が異なります。
そのため、アポの件数だけでなく、商談につながった割合もあわせて評価しましょう。
A. SDRは過去の取引先やインバウンドで獲得した見込み客に対応する反響型の営業です。
BDRは電話やメールなどで自社から新規開拓を行う営業を指します。
自社のリードの状況に合わせて、どちらに力を入れるかを判断しましょう。
A. 非対面でのコミュニケーション能力が高く、何事もポジティブに捉えられる人が向いています。
業務の処理能力が高く、事実ベースで情報共有できることも重要です。
経験の異なるメンバーを組み合わせると、互いの強みを生かしやすくなります。
A. 高級車や宝飾品、オーダーメイドの商品など、実物を見てもらったり対面で相談したりする必要がある商材は、非対面だけでは営業が難しくなります。
そうした商材でも、初回の接点づくりや日程調整にはインサイドセールスを活用できます。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。