監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
決裁者と話が弾んだのに、決裁者アポが成約しないことはないでしょうか。
この記事では、アポの質を3要素で見直す方法、やりがちな失敗、欠けた要素を補う視点を解説します。
成約しない決裁者アポを3要素で見直す方法
成約しない理由は、商談の進め方より前に、アポの条件に隠れています。
決裁者性・ターゲット性・ニーズ性の3つに分けて点検します。
決裁者性|意思決定できる立場かを確かめる
社長や役員に会えても、その商材を決める立場とは限りません。
予算と導入をその場で判断できる相手かどうかが、成約の最初の分かれ目です。
規模の大きな企業では、役員でも担当領域が違えば判断は別の部門に戻ります。
初回の商談で、導入を決めるときに誰が関わるかを尋ねてください。
ターゲット性|会いたい業界・規模・属性に合うかを見る
決裁者本人と話せても、自社の顧客像から外れた企業には提案が刺さりません。
業界・規模・地域など、自社が成果を出しやすい条件に合う相手ほど成約に近づきます。
会えたこと自体に満足して、条件外の相手に時間をかけ続けるのは避けたいところです。
受注した顧客の共通点を3つ書き出し、アポの相手と照らし合わせてください。
ニーズ性|今その領域に課題関心があるかを確かめる
条件に合う決裁者でも、今その課題に関心がなければ検討は始まりません。
今まさにその領域に課題関心があるかどうかで、商談の進み方は大きく変わります。
関心は時期によって変わるため、半年前の情報で判断すると外れます。
商談の冒頭で、今期その領域で取り組んでいることを聞いてください。
決裁者アポで3要素がそろいにくい理由
3要素は、どれか1つを優先すると別の1つが弱くなる関係にあります。
2つまでそろっても最後の1つが欠けやすい理由を、3つ挙げておきます。
ターゲットを優先するとニーズが弱くなる
会いたい企業を先に決めて連絡すると、相手の今の関心とは無関係にアポが入ります。
ターゲットに合う決裁者ほど、その時点で課題を抱えているとは限りません。
オンリーストーリー取締役COOの川角は、3要素を同時に満たすのは構造的に難しいと述べています。
ターゲット優先のアポは初回を情報交換と位置づけ、課題が生まれる時期を探ってください。
ニーズを優先するとターゲットがずれる
課題を抱える決裁者を広く集めると、今度は企業の顔ぶれを選べなくなります。
ニーズのある相手は集めやすい一方で、狙う業界や規模からはずれやすくなります。
問い合わせや紹介だけに頼っていると、この偏りに気づきにくくなります。
ニーズ起点のアポは業界と規模を記録し、偏りを月ごとに確かめてください。
決裁者に会えること自体の価値が下がっている
決裁者と出会える交流会やマッチングの場は、この数年で大きく増えました。
決裁者に会えることは、もう成約を約束する特別な条件ではありません。
会える場が増えたぶん、決裁者も多くの営業と顔を合わせています。
会えた数ではなく、3要素がそろったアポの数で成果を測ってください。
成約しない決裁者アポでやりがちな失敗
成約しない原因を確かめないまま次の手を打つと、同じ結果を繰り返します。
よくある失敗を2つ挙げておきます。
欠けた要素を確かめずにアポの数を増やす
成約が少ないと、まずアポの数を増やそうと考えがちです。
欠けている要素が同じままでは、アポを増やしても成約しない商談が増えるだけです。
数を追うほど、決裁者1人あたりにかけられる準備の時間も減っていきます。
直近の商談を3要素で振り返り、最も欠けやすい1つを特定してください。
「いい出会いだった」で振り返りを終える
話が弾んだ商談ほど、手応えを感じて振り返りが甘くなります。
気持ちのよい出会いと、成約に近い出会いは分けて評価する必要があります。
好印象のまま終わった商談は、次の行動が決まらず自然に止まります。
商談の最後に、次に誰と何を話すかを相手と決めてください。
欠けた1つを補って成約につなげる視点
3要素をすべて自社の営業だけでそろえようとすると、どこかで無理が出ます。
欠けやすい1つを補う手段を、4つ挙げておきます。
ニーズのある決裁者との接点を増やす
ターゲットを絞ったアポでニーズが欠けるなら、ニーズを持つ決裁者の母数を増やします。
課題を抱えた決裁者に多く会うほど、その中に狙った企業が含まれやすくなります。
川角も、ニーズのある決裁者の数を増やすことを打ち手の1つに挙げています。
セミナーや無料相談など、課題を持つ決裁者が集まる入口をつくってください。
会いたい企業には間に立つ人から推薦してもらう
狙った企業の決裁者に自社から連絡しても、関心がなければ会う理由がありません。
相手を知る第三者が推薦すると、ターゲットとニーズを同時にそろえやすくなります。
推薦する側が相手の課題を確かめてからつなぐため、会う前にニーズが見えます。
取引先や顧問など、狙う企業とつながる人に推薦を頼めないか洗い出してください。
理想の顧客から逆算して接点をつくる
日々の営業の延長だけでは、本当に会いたい企業に出会えないことがあります。
受注したい顧客像を先に描き、その企業に向けて意図して接点をつくると成約に近づきます。
偶然の出会いを待つ営業では、3要素がそろうかどうかが運に左右されます。
理想の顧客を10社挙げ、それぞれの決裁者に届く経路を書き出してください。
決裁者と直接つながる場を併用する
自社の連絡と紹介だけでは、3要素がそろう相手と出会える数に限りがあります。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年で築いた8,000名以上の決裁者ネットワークから、条件と関心の合う相手と出会えます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
決裁者アポが成約しないのは、決裁者性・ターゲット性・ニーズ性のどれかが欠けているためです。
3要素は、どれかを優先すると別の1つが弱くなる関係にあります。
決裁者に会えること自体は、もう成約を約束する条件ではありません。
アポの数を増やす前に、商談ごとに欠けた要素を確かめてください。
ニーズのある決裁者を増やす、推薦を頼む、理想の顧客から逆算するの3つが補う手段です。
自社だけでそろわないなら、決裁者同士が直接つながる場も考えてみてください。
よくある質問
Q. 決裁者アポが成約しないのはなぜですか
A. 決裁者性・ターゲット性・ニーズ性の3要素のうち、どれかが欠けていることが主な原因です。
決裁者に会えても、自社の顧客像から外れていれば提案は刺さりません。
今その課題に関心がない相手とも、検討は始まりません。
Q. 良い決裁者アポの条件は何ですか
A. 意思決定できる相手で、会いたい企業に属し、今その領域に課題関心があることです。
3つがそろって初めて、成約に近い出会いになります。
決裁者同士を12年つないできたオンリーストーリーでも、この3要素でアポの質を見ています。
Q. 決裁者アポの数を増やせば成約も増えますか
A. 欠けている要素が同じままなら、アポを増やしても成約しない商談が増えるだけです。
数を追うと、決裁者1人あたりの準備の時間も減ります。
先に欠けやすい要素を特定し、それを補う接点のつくり方に変えてください。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



