ターゲット企業の決裁者へ直接、商品の魅力を伝えられるのが手紙営業です。手紙であれば、大手企業でも決裁者に届けやすく、メールやDMに比べて開封率も高いです。しかし、手紙営業には手順やコツがあり、効率的な営業活動にはそのノウハウが欠かせません。
本記事では手紙営業が効果的な理由や実施の手順、導入をおすすめする企業の特徴、効果的な手紙を作成するポイントなどを解説します。
ターゲット企業の決裁者へ直接、商品の魅力を伝えられるのが手紙営業です。手紙であれば、大手企業でも決裁者に届けやすく、メールやDMに比べて開封率も高いです。しかし、手紙営業には手順やコツがあり、効率的な営業活動にはそのノウハウが欠かせません。
本記事では手紙営業が効果的な理由や実施の手順、導入をおすすめする企業の特徴、効果的な手紙を作成するポイントなどを解説します。
手紙営業が有効な理由は、DMやメールよりも開封率が高いことです。封筒の宛先などを手書きにすることによって、相手に好印象を与えられます。宛名を手書きして手紙を送ると、開封率が上がるだけでなく、心理的に廃棄しにくいというメリットもあります。
DMやメールでは担当者や秘書が対応し、決裁者に話が伝わらないことも多いです。場合によっては決裁者の耳に話題が入る前に「購入しない」と判断されてしまう恐れもあります。そのような事態を避けるのに、手紙営業は有効です。
手紙営業は、中小企業よりも大手企業に適した手法です。その理由について、本章では以下の3つについて解説します。大手企業であればあるほど、手紙営業が以下のような効果を発揮します。
大手企業と中小企業では開拓チャネルが異なります。中小企業向けのチャネルは「購買ワードでのSEO」「リスティング広告」「代理店開拓」などオンラインのものが多いです。
それに対して、大手企業へ向けたチャネルは、オフラインのチャネルでアプローチすることが多いです。業務整理や役割分担がされており、決裁者自らが何かのサービスを急いで探す必要がないためです。
また、Web広告などで表示されるサービスを導入して解決できるほど、企業が抱えている課題が単純ではないことも関係しているでしょう。
大手企業では、以下のような提案型の営業を求めています。提案内容が、事業が抱える課題に沿ったものであればあるほど、相手に響きやすいです。
手紙はオフラインによる営業活動の一種です。顧客の目に留まりやすく、開封される可能性が高いでしょう。高品質なレターセットを使うなど、工夫を凝らすことによってターゲットの目にも留まりやすくなります。
手紙営業はテレアポやDMなどとは異なり、役職者や決裁者のもとに直接手紙を届けられます。宛名を役職者や決裁者にすれば、他の担当者が勝手に開封することは限りなく少ないです。
基本的に大手企業は、電話やメールは受付で処理されます。取引をしていない相手とは電話やメールでのやりとりはしないことも少なくありません。課題解決に導く提案内容やサービスの紹介を盛り込んだメールなどを送っても、担当者でブロックされることが多いでしょう。
一方、手紙営業であれば、自社の商品やサービスについての情報を最初に目にするのは決裁者である可能性が高いです。
手紙営業は担当者からの評価を得やすいというメリットもあります。大企業の場合はサービス導入の窓口となる担当者がいます。担当者へのアプローチ→面談→提案→稟議→決裁者の導入の意思決定となるのが一般的です。
窓口となる担当者は一連の流れすべてに携わるため、サービスを導入するまでの業務負荷が高いです。そのため、新たに営業をかけられることに忌避感を持つことが少なくありません。
しかし、手紙営業であれば、上司に直接営業活動を展開するため、担当者は稟議などの面倒な業務を省け、業務負荷が軽くなります。そのため、サービスの導入後も担当者との良好な関係を築きやすくなります。
大手企業への手紙営業は、手紙を出しさえすれば成果が出るわけではありません。手紙を営業ツールとして役立てるには、相応の工夫が必要です。
本章では、手紙営業によって見込まれる効果と工夫すべきポイントについて解説します。
手紙営業は、DMやメールなどに比べ開封率が高いとされています。また、決済者に直接サービス内容を説明できるため、面談のチャンスを獲得しやすいです。
しかし、メルマガのように画一的な内容を発信しても、効果は十分に発揮できません。受け取った相手に、手紙を開封したいと思わせる工夫が必要です。
例えば、和紙などを使った高品質なレターセットを選ぶこと、宛名や文章は万年筆や筆ペンを使って書くことなどが挙げられます。また、手紙を出すタイミングも重要です。
相手がセミナーや展示会に参加するなど、課題を抱えていたり興味を持っていたりするのがわかるタイミングを見極めて出すといいでしょう。
相手の手元に長期間保管されるのも手紙営業の強みの1つです一斉送信のメールは簡単に削除できますが、自分宛に送られた手紙は心理的に廃棄しにくいです。
保管期間が長ければ、それだけ相手の目に留まる回数も多くなります。手紙の本文で、顧客が抱えている経営課題を正確に汲み取っていること、自社の商材が解決手段となり得ることをアピールできれば、手紙を見てもらえる回数が増え自社の商品に興味を持ってもらえる確率が上がります。
手紙は、伝える内容を時間をかけて吟味できるため、必要な情報を過不足なく伝えられます。相手には、吟味した内容をじっくり読んでもらえるため、内容が理解されやすく、導入後のイメージがわきやすいです
一方、テレアポや訪問で顧客とやりとりする場合、口頭でのやりとりが中心です。時には、会話を進める中で、重要なことを伝え忘れてしまうこともあるでしょう。このような場合、相手が商品のイメージをつかみにくくなります。
また、手紙は誠実さが伝わる営業手段のため、受け取り手に好印象を与えられます。大企業の管理職や役員の中には、担当者の心意気や意気込みを重視する人も少なくありません。相手の心をつかむ手法としても、手紙営業はおすすめです。
手紙営業は「CXOレター」とも呼ばれます。CXOレターを出す際は、以下4つの手順に沿って作業を進めてください。
本章では、各工程の作業内容や工夫できる点などを解説します。初めて手紙営業を行うため何から取り組めば良いのかわからないという場合には、本章の手順をぜひ参考にしてください。
まず、手紙を送る企業をリストアップします。企業リストには、ターゲットとなる業種、企業規模、エリアなどの基本情報を入力します。リストには様々な企業を登録しておき、そこから絞り込むとよいでしょう。
営業担当者の人数が多い場合、リストアップした企業に対してすでに営業活動を行っていることも少なくありません。そのため、リストは部署内で共有し、現在のステータスを明確にしておく必要があります。
手紙営業であれば「〇月〇日に送付済み」「フォローコールは〇日に実施予定」などと記入します。
企業リストの精度を高めるコツは、企業リストの更新頻度を高めることです。大企業は人事異動が頻繁に行われるためです。また、リストアップする対象企業の従業員数や売上規模を入れておくと、ターゲットの選定に役立ちます。
営業リストの作成に役立つツールもありますので、必要に応じて活用するといいでしょう。
作成したリストにある基本情報をもとに、営業先の優先順位をつけます。その後、決算説明資料や有価証券報告書などに目を通して企業の課題を洗い出し、提案するサービスに見合っているかを検討します。
中小企業の場合は、所在地、従業員数、売上規模でリストの企業を絞り込みますが、大企業の場合はターゲットとなる企業数が少ないため、より多くの詳細情報を取得する必要があります。深く調べた上で優先順位をつけ、営業活動を行うとよいでしょう。
手紙の文面を作成するうえで大切なことは、各企業に合わせた内容にすることです。手紙の始まりや終わりに記す挨拶や商品紹介など、共通する項目はテンプレート化して構いませんが、それ以外は、相手に合った内容を記すべきです。
せっかく手間をかけて作成した手紙でも、全てがテンプレートのような内容では効果が見込めません。手紙の内容は十分に吟味しましょう。
また、手紙を書く際には、自社の商品やサービスによってどうターゲットの課題を解決できるのかを明示すると、相手に響きやすくなります。
手紙営業を送付後は、フォローコール(電話)を入れます。手紙を送っても相手が確実に目を通す保証はありません。また、フォローコールには、商材についての質疑応答ができるメリットもあります。
フォローコールを入れるタイミングは、手紙を送付してから数日後がベストです。また、フォローコールは1回だけでなく、何度か入れると、担当者の興味関心をより引きやすくなります。
手紙営業は、決裁者へ直接アプローチできるというメリットがある反面、コストがかかる、相手の反応を瞬時に把握できないなどのデメリットがあります。手紙営業を導入する場合は、自社が手紙営業のデメリットをカバーできるかどうかも考慮すべきです。
手紙営業の導入に適した企業には以下のような特徴があります。
それぞれについて解説します。
導入を考えている商材が高額かつ規模が大きいほど、顧客である企業は、重役を交えて購入を検討します。また、大手企業は予算が高額であることが多いため、高額な商材を導入してもらいやすいです。そのため、大企業の決裁者に直接アプローチできる手紙営業が効果を発揮します。
手紙営業は、ターゲットが限定されている商材を扱う企業に向いています。手紙は大量生産ができないため、多くの企業に手紙営業をするには膨大な手間と時間がかかるためです。サービスの導入によって解決できる課題が限定されているなど、ターゲットが絞り込める場合に利用しましょう。
競合が多い場合、手紙営業で差別化できます。多くの企業がDMやテレアポによる営業活動を導入していますが、手紙営業を導入している企業はそう多くありません。
DMやテレアポの場合、伝えたい内容が決裁者に伝わらず、担当者で止まってしまうことが多いです。手紙営業で決裁者に宛てて手紙を送れば、サービスの魅力や導入メリットが決裁者に直接伝わる可能性が非常に高く、競合との差別化につながります。
手紙の内容として、必要な要素は8つあります。
まず「頭語」では、一般的に「拝啓」や「拝呈」を使用します。「時候の挨拶」とは季節に応じた挨拶のことであり、「自己紹介」は企業名や氏名のことです。そしてアポイントを取りつけたい旨を説明する「手紙の目的」や「自社商品の紹介」を記載します。
自社商品の紹介はシンプルかつ簡潔にすると好印象です。後日電話することも、手紙の中でしっかりと伝えておく必要があります。
大手企業への手紙営業を成功させるポイントが2つあります。本章では、効果的な手紙営業を行う際の2つのポイントについて解説します。
手紙営業においてまず重要なことは、事前調査を怠らないことです。必要な調査は以下の3点です。
まず、手紙を送付する企業を選定します。手紙営業が直接アポイント獲得につながる確率は低く、1件獲得するのに数十社のリストアップが必要だと言われています。ターゲットとなる企業を洗い出す際には、従業員数や想定される課題などをもとに、自社の商材と親和性の高い企業を選定しましょう。
宛名の人物がどのような人物なのか、調査します。「営業責任者」「マーケティグ責任者」のような粒度ではなく、役職とフルネーム、その部署の業務内容や社内での役割などを調査します。
大手企業はもちろん中小企業であっても、社長とのアポを取ることは非常に難しいです。そのため、社内にいる役員の担当領域を調べ、なるべく決裁権のある人物を特定して手紙を送ることが重要です。
最後に、手紙を送る企業について調査します。企業が抱える課題やニーズを把握し、提案内容を個別にカスタマイズして手紙を書くことが重要です。商材を導入するメリットが明確になるため、商談につながりやすくなります。相手企業の決算情報、経営計画、プレスリリースや取材記事などを精読し、収集した幅広い情報を元に提案内容を考えるといいでしょう。
手紙営業の場合、送付する相手はそれなりの役職についていることが多いです。そのため、社名入りの社用封筒を使った手紙などのほかの手紙と区別しにくい手紙を送ると、開封されることなく廃棄されてしまう可能性があります。手紙を開封してもらいやすくするには、次の3点が重要です。
それぞれについて解説します。
社名が入った社用封筒は、いかにも営業の手紙であるという印象を与えてしまいます。手紙営業での使用を控え、高品質なレターセットを選びましょう。和紙で作られた封筒のような、ひと目見てほかの手紙と区別できる高品質なレターセットがおすすめです。
宛名を印刷すると事務的な印象を与えてしまうため、手書きするとよいでしょう。手書きの手紙の作成にリソースを割けない場合には、手紙や宛名の代筆サービスを利用するのがおすすめです。
封筒に貼り付ける切手は普通切手ではなく、特殊切手やふるさと切手、グリーティング切手のようなデザイン性が高いものを選ぶと、相手の目に留まりやすくなります。
手紙での営業は開封率が高く、宛先にした本人の手元へ届きやすいという特徴があります。決裁者に宛てて手紙を送れば、決裁者自身が開封する確率が高くなります。特に大手企業の決裁者とのアポイントを獲得したいなら、手紙営業は有効な手段だと言えるでしょう。
営業リストや手紙の作成には多くの時間がかかるため、営業担当者に大きな負荷がかかります。営業担当者が本来すべき営業業務に集中し、効率的に営業活動を進めるためには、手紙を外注するのがおすすめです。