最終更新日: 2026.09.29
新規事業の立ち上げプロセス・方法|活用できるフレームワークや成功事例も解説

新規事業の立ち上げ方法を、ゼロから始める場合とM&Aを活用する場合に分けて整理しました。課題の発見から事業ドメインの決定、市場性の検証、行動計画の立案までのプロセスに加え、注意点や成功事例も紹介しています。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

新規事業は思いつきではなく、段階を踏んだ検証で成否が分かれます。

立ち上げの方法とプロセス、注意点を整理しました。

この記事の要約

  • 新規事業の立ち上げには、ゼロから始める方法とM&Aを活用する方法があります。
  • 課題の発見から事業ドメインの決定、理念の明確化へと順に固めていくのが基本です。
  • 市場性と事業性を検証し、環境を整えてから行動計画に落とし込むと失敗を防げます。

新規事業立ち上げの方法

新規事業立ち上げとは、新しい事業を開始することです。

既存の製品で市場を拡大するよりも大きな収益を狙えることから、多くの企業が実施しています。

複数の事業を展開すると、一つの事業に売上が依存しなくなるため、経営基盤を安定させることが可能です。

たとえ一つの事業が失敗したとしても他の事業が成功していれば、倒産するリスクを抑えられます。

また、新規事業の立ち上げには社員のモチベーションを向上させられるというメリットもあります。

別の事業で昇進しやすくなって社員のキャリアが広がるため、社員のモチベーションが向上し、ひいては企業の売上増加につながるでしょう。

新規事業立ち上げの方法には、以下の2つの方法があります。

  • ゼロから新規事業を立ち上げる
  • M&Aで新規事業を立ち上げる

ちなみに、以下の記事で経営の多角化に関するメリットやデメリット・事例を紹介しています。

興味がある方はぜひ併せてご覧ください。

経営の多角化とは?メリットやデメリット・多角化に成功した事例を紹介

オンリーストーリーの事例▼

創業100年以上のメーカーの新規事業部門では、リファラルとアウトバウンドDMによる新規営業に限界を感じていました。

より効率的な営業活動のために、決裁者に直接つながる方法を探していたといいます。

決裁者マッチングを導入すると、月間アポイント数が導入前の2倍になり、その8割がマッチング経由になりました。

販路拡大につながるアライアンスパートナーとの出会いも得られています。

導入事例▶ 新規事業部門のアポイントを2倍にした事例はこちら

ゼロから新規事業を立ち上げる

新規事業を立ち上げる方法に、自社でゼロから立ち上げるものがあります。

自社のみで事業を立ち上げるため、自由度が高い点が特徴です。

新しくノウハウを蓄積することで社員のスキルアップにもつながります。

一方、事業が増えれば人員も必要になるため、新しい人材を採用・育成する手間が発生する点がデメリットです。

流通ルートも確保しなければならず、多くのコストが必要となります。

M&Aで新規事業を立ち上げる

M&Aとは「Merger and Acquisitions」の略語であり、企業の合併や買収を意味しています。

すでにスキルや実績がある企業を合併・買収すれば、スムーズに新しい市場に参入可能です。

事業の立ち上げにかかる時間を大幅に抑えられるうえに、自社と統合した企業の不足部分を補い合うことでシナジー効果を狙えます。

自社と統合した企業の営業エリアが異なる場合、M&Aによって売上エリアを一気に拡大できるため、売上増加を期待できる点も魅力です。

自社と統合企業の従業員で摩擦が生じれば、モチベーションの低下や優秀な人材の流出を引き起こします。

摩擦を起こりにくくするためにM&Aの前後で交流会を実施するなどして、違う環境で働いてきた従業員同士が理解し合える機会を作りましょう。

ゼロから新規事業を立ち上げるプロセス

ゼロから新規事業を立ち上げる際、基本的には以下の流れで進めます。

  1. 課題の発見
  2. 事業ドメインの決定
  3. 理念・ビジョンの明確化
  4. 市場性と事業性の検証
  5. 環境整備
  6. 行動計画の立案

1.課題の発見

顧客の課題を考えず、自社でやりたいことを優先して商品やサービスを提供している企業が多く見受けられます。

しかし、顧客の課題を解決できる商品やサービスを提供できなければ、なかなか購入にはつながりません。

新規事業を立ち上げる際には、まず顧客にはどのような課題があるのかを検討する必要があります。

課題の発見に役立つフレームワーク

顧客の抱える課題の発見には、ペルソナ分析がおすすめです。

ペルソナ分析とは、顧客の視点から商品やサービスを開発・販売することを目的として、ペルソナを詳細に設定するフレームワークです。

ペルソナを設定するためには顧客となる人の情報が必要であるため、SNSやQ&Aサイトなどで情報を収集します。

また、インタビューやアンケートで顧客セグメントに該当する人に質問をして、どのような悩みを抱えているのか質問しましょう。

質問を進めて行く中で、これまでターゲット自身でも気づいていなかった悩みを発見できる場合もあります。

ペルソナを設定する際は、以下のような項目を設定します。

  • 氏名
  • 性別
  • 年齢
  • 居住地
  • 家族構成
  • 職業
  • 役職
  • 年収
  • 学歴
  • 貯金額
  • 趣味
  • 週末の過ごし方
  • 使用頻度の高いデバイス など

2.事業ドメインの決定

事業ドメインとは企業が事業を展開する領域であり、誰にどのような商品・サービスをどのように提供するのかを明らかにしたものです。

事業ドメインを決定すると、提供すべき商品やサービス・最適なアプローチ方法などがはっきりとします。

顧客からの高い評価を獲得しやすくなり、自社のブランド力向上も期待できます。

事業ドメインの決定に役立つフレームワーク

事業ドメインの決定には、CTFフレーム分析の活用がおすすめです。

CTFフレーム分析とは「Customer・Technology・Function」の頭文字を取ったものであり、顧客と技術・機能の3つから事業ドメインを評価します。

  • 顧客(Customer)

顧客を年齢や性別・居住地・嗜好性などで分類して、その中でも特に自社の商品やサービスの提供に向いているターゲットを特定する。

  • Technology(技術)

自社と他社を比較したうえで自社の強みはどこにあるのかを検討して、どのような技術によって自社の商品やサービスを提供するのか決定する。

  • Function(機能)

自社の商品やサービスが顧客にどのような価値を提供できるのか特定する。

3.理念・ビジョンの明確化

理念やビジョンが明確になっていると、新事業の立ち上げに関わるメンバーが同じ方向を向きやすくなります。

魅力的な理念やビジョンを持っていれば、優秀な人材を集められる点も魅力です。

理念やビジョンを明確にする際は、文字に起こして頭の中で終わらせないようにしましょう。

経営者だけが理念やビジョンを理解している状態では従業員のモチベーションは向上しないため、きちんと共有することが重要です。

理念・ビジョンの明確化に役立つフレームワーク

理念・ビジョンの明確化には、3C分析の活用がおすすめです。

3C分析とは「Customer・Company・Competitor」の頭文字を取ったものであり、顧客と競合・自社という3つの観点から事業戦略を考えます。

  • 顧客

業界の市場規模や成長性・顧客ニーズを分析する。

  • 競合

競合の特徴やポジション・代替品の脅威などを分析する。

  • 自社

既存ビジネスの特徴や強み・弱みを分析する。

顧客や競合・自社を総合的に分析することで、自社が社会にどのような価値を提供できるのかといった理念・ビジョンが明確になります。

4.市場性と事業性の検証

新規事業の立ち上げには、市場性や事業性も重要です。

市場性とは「需要がどのくらいあり、どのくらいのお金が動くのか」を指したもので、事業性は「顧客のどのような課題を解決して、どのような人が自社の商品・サービスを購入するのか」を指します。

事業の成功には、市場性と事業性の両方が必要です。

立ち上げ前に市場性や事業性があるのか見極めておきましょう。

市場性と事業性の検証に役立つフレームワーク

市場性と事業性の検証には、VRIO分析の活用がおすすめです。

VRIO分析とは「Value・Rareness・Imitability・Organization」の頭文字を取ったものであり、経済価値と希少性・模倣可能性・組織の4つの要素を分析します。

  • 経済価値

人材や建物・設備など自社のリソースがトラブルやチャンスに対応できるか評価する。

  • 希少性

競合他社に自社の商品・サービスと似ているものがないか評価する。

希少性が低い場合、競争力が拮抗していることがわかる。

  • 模倣可能性

自社の商品・サービスを他社が模倣する場合、どのくらいのコストがかかるのか評価する。

模倣可能性が低い場合、一時的に競争優位になっていることがわかる。

  • 組織

経営資源をいかす運営方針など組織体制が整っているか評価する。

5.環境整備

新規事業の立ち上げを成功させるためには、ヒトやモノ・カネ・情報を揃えるための環境が必要です。

  • ヒト

事業立ち上げのプロジェクトに参加するメンバー。

社内で人材を確保しきれない場合は、採用活動をおこなう必要がある。

  • モノ

会社で所有している有体物。

机やパソコン・ソフトウェア・サーバー・土地・建物などがある。

  • カネ

社員の給料や備品の購入費・設備費などのお金であり、債券や株式も含んでいる。

  • 情報

経営の知識や独自の技術・特許・商標など。

形がないものの、会社の売上に大きく影響する。

環境整備に役立つフレームワーク

環境整備には、7Sの活用がおすすめです。

7Sとは「Strategy・Structure・System・Shared Value・Staff・Skill・Style」の頭文字を取ったものであり、経営資源を7つの観点から分析します。

  • Strategy

競争優位性を保つための戦略など。

  • Structure

上司と部下の関係や部署の構成など。

  • System

組織の目標達成や情報管理に必要な制度。

  • Shared Value

理念やビジョン・目標・行動指針など。

  • Staff

どのような人材がどれくらい必要か、どのように人材を育成するか、など。

  • Skill

組織に蓄積されたノウハウや個人が保有しているスキル。

  • Style

社風や組織の文化など。

StrategyとStructure・Systemをハードの3Sと呼び、Shared ValueとStaff・Skill・Styleをまとめてソフトの4Sと呼びます。

6.行動計画の立案

事業立ち上げのビジネスプランが明確になったら、どのように実行するかといった行動計画を立案します。

「いつ・誰が・何をするのか」と具体的に決めることが重要です。

無理のあるスケジュールを組んでしまうと、設備投資や資金調達・採用など準備を十分におこなえない可能性があるため、現実的な日程で組みましょう。

行動計画の立案に役立つフレームワーク

行動計画を立案する際、WBSの活用がおすすめです。

WBSとは「Work Breakdown Structure」の略語であり、プロジェクトを細かく分解して管理します。

プロジェクトやタスクの管理にWBSを活用することで、やることが明確になります。

いつ・誰が何をするのかといった役割分担もわかりやすく、進捗管理をおこないやすい点が魅力です。

オンリーストーリーでは決裁者限定マッチングサービス「チラCEO」を提供しています。

月に一度定例ミーティングの開催、年間10,000件以上のマッチングに成功しているカスタマーサクセスからのご紹介など、貴社にマッチした企業を直接紹介させていただきます。

業務提携や協業先を手さぐりで探す必要もなくなります。

「M&A案件を効率的に探したい」「アポ獲得から成約までスムーズに話を進めたい」という方や、信頼できる営業・提携・協業先、リード創出の会社の探している方は下記より詳細をご覧ください。

M&Aで新規事業を立ち上げるプロセス

M&Aで新規事業を立ち上げる方法を紹介します。

  • 検討・準備

コンサル会社と秘密保持契約を結び、情報漏洩を防止する。

M&Aの方向性が明確になったら、報酬や業務範囲などを定めたアドバイザリー契約を締結する。

  • 基本条件の交渉

買収企業が決まったら、経営者同士の話し合いを実施する。

売却価格や従業員の処遇など細かい条件の擦り合わせをおこない、意向表明書をアドバイザリーに提出する。

  • 最終条件の交渉

デューデリジェンスが完了したら、譲渡の範囲や金額などの最終条件を交渉する。

条件に問題がなければ、最終契約を締結する。

  • 売却成立

株式や事業の譲渡が完了したら支払い手続きをおこない、経営権の引き渡しを受ける。

新規事業を立ち上げる際の注意点

立ち上げた新規事業が必ず成功するとは限りません。

新規事業の雲行きが怪しい状態を放置すると、会社が倒産の危機に陥る可能性があります。

新規事業が失敗しても立て直せるように「いつまでにどれだけの成果があがらなければ撤退する」とあらかじめ撤退ライン・タイミングを決めることは、新規事業の立ち上げにおいて必要なことなのです。

撤退ラインの決め方には、以下のようなものがあります。

  • KPI・KGIを設定しておく
  • 投資回収率で判断する
  • 市場の将来性やシェアで判断する

代表・平野のnote▼

オンリーストーリー代表の平野は、約10年の経営のなかで実際に30ほどの新規事業を立ち上げ、その多くで失敗を経験してきました。

その経験から、新規事業で最も大切なのは反省したうえで挑戦し続けることだと語っています。

周囲が「前もダメだったから無理」ではなく、「前はこうだったから、次はこうしよう」と支える姿勢が欠かせないと指摘しています。

立ち上げ初期は仕組み化を急ぐより、PMFまでは担当者が深く関わって進めることが重要だと述べています。

代表・平野のnote▶ 30の新規事業から学んだ心得を代表が語ったnoteはこちら

新規事業立ち上げの成功事例

新規事業の立ち上げに成功した事例として、山陰酸素工業株式会社様の事例を紹介します。

山陰酸素工業株式会社は、ガスの製造や販売・ガス関連器材の販売をおこなっている会社です。

スタートアップ企業と共創するという目的があったものの、地方にいるだけでは得られる情報に限りがあるという課題を抱えていました。

そこで、当社オンリーストーリーが提供する「チラCEO」の利用を決意。

その結果、キャリアのある決裁者から直接話を聞けるようになりました。

自分よりアクションを起こさなくても待っているだけで経営者と出会えるため、効率的に情報を収集できます。

完全審査制で出会いの質が高いことから、不信感を抱くような人と出会わない点を高く評価しています。

参考:鳥取県の社長が「地方企業経営者は使わない理由がない」と太鼓判を押す出会いのプラットフォーム

まとめ

新規事業の立ち上げには、一つの事業に売上が依存しなくなる・経営基盤が安定するなどのメリットがあります。

既存の製品で市場を拡大するよりも大きな収益を狙えることから、新規事業の立ち上げを考えている人は多いでしょう。

立ち上げたからと言って新規事業が成功する保証はありません。

新規事業の赤字によって企業そのものの存続が危なくなる場合があるため、立ち上げる前にあらかじめ撤退基準を明確に決めておきましょう。

最後に、当社オンリーストーリーでは完全審査制のビジネスマッチングサービス「チラCEO」を提供しています。

独自審査を通過した企業の決裁者と手軽にマッチングすることが可能です。

「気軽にスピーディーに決裁者とのアポイントを獲得したい」と考えている方は、ぜひこの機会に登録してみてはいかがでしょうか。


よくある質問

Q. 新規事業の立ち上げ方法にはどんな種類がありますか?

A. ゼロから立ち上げる方法と、M&Aによって事業を取得する方法があります。

自社の資源や求めるスピードに合わせて、どちらの方法が適しているかを判断しましょう。

Q. 最初に取り組むことは何ですか?

A. 解決すべき課題の発見から始め、そのうえで事業ドメインを決定します。

課題は実際の顧客へのヒアリングをもとに確かめることが大切です。

Q. 理念やビジョンは必要ですか?

A. 判断の軸となり関係者の方向性をそろえるため、早い段階で明確にしておきます。

言葉にしておくことで、迷ったときの判断の基準として活用できます。

Q. 市場性はどう確認しますか?

A. 需要の有無と収益が成り立つかを、事業性とあわせて検証します。

小さく試して顧客の反応を確かめると、市場性をより正確に判断できます。

Q. M&Aを選ぶ利点は何ですか?

A. 既存の事業基盤を引き継げるため、立ち上げにかかる時間を短縮できます。

一方で統合後の運営に課題が出ることもあるため、事前に専門家と十分に検討しましょう。

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

メッセージアイコン 今ならオンリーストーリー代表 平野が直接商談
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BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

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