最終更新日: 2026.10.14
1枚提案書の作り方|決裁者に通る構成と営業資料との使い分け

1枚提案書は、結論・課題・打ち手・効果・費用・次の一歩の六つを上から配置すると三分で判断してもらえます。まとめる手順、厚い営業資料との使い分け、商材ごとの作り分けまで解説します。

監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)

提案資料を厚く作ったのに読まれないまま終わり、何が足りなかったのか分からなくなることはないでしょうか。

この記事では、1枚で判断してもらうための提案書の構成と作る手順、厚い営業資料との使い分けまでを解説します。

この記事の要約

  • 1枚提案書で問われるのは要約の技術ではなく、相手の判断に要る要素を見極める力です。
  • 結論、課題、打ち手、効果、費用、次の一歩の六つを配置すれば、立ったまま読んでも判断できます。
  • 相手の社内で回覧される前提で作ると、担当者が説明する手間が減り、決裁まで届きやすくなります。

1枚提案書が必要になる場面

分厚い資料がいつも悪いわけではありません。

1枚にする意味がある場面を押さえましょう。

決裁者の時間が短いとき

役職が上がるほど、資料を読む時間は短くなります。

三分で判断できる形になっているかどうかが、通るかどうかを分けます。

二十枚の資料を渡しても、読まれるのは最初の数枚です。

判断に必要な情報を前に集めれば、1枚で足ります。

担当者が社内で説明するとき

商談の相手が、そのまま決める人とは限りません。

担当者が上長へ転送し、そのまま説明に使える形にしておく必要があります。

口頭の補足がないと伝わらない資料は、そこで止まります。

1枚であれば、会議の資料としても扱いやすくなります。

比較される場面に置かれるとき

相見積もりでは、複数社の資料が並べられます。

同じ土俵で比べられるとき、要点が前にある資料が有利になります。

情報量の多さは、比較の場では強みになりません。

相手が比べたい項目を、こちらから提示する形にします。

初回の面談で渡すとき

最初の接点では、相手の関心がまだ定まっていません。

持ち帰って見返せる一枚があるかどうかで、次の連絡が変わります。

詳しい資料は、関心が具体化してから渡します。

初回で全部を説明しようとすると、何も残りません。

1枚に入れる六つの要素

配置を決めておけば、案件ごとに作り直す必要はありません。

上から順に並べます。

結論を最上部に置く

何を提案しているのかを、最初の一行で示します。

御社の商談化率を三か月で一割上げる提案です、という形で言い切ります。

商品名から始めると、読み手は自分に関係があるか判断できません。

長くても二行に収めます。

相手の課題を事実で書く

こちらが理解している相手の状況を、短く確認します。

ヒアリングで聞いた言葉を、そのまま一文で引用すると認識のずれが分かります。

推測で書くと、違いますと言われて終わります。

聞けていない場合は、仮説であると明記します。

打ち手を三つ以内で示す

やることを並べすぎると、焦点がぼやけます。

三つ以内に絞り、それぞれ一行で書くと全体像がつかめます。

各項目に、誰が担当するのかを添えます。

細かい手順は、別紙か次回の説明に回します。

効果を数で書く

導入後に何がどう変わるかを示します。

現状と改善後を並べ、差が見える形にすると判断しやすくなります。

根拠のない数字は書かず、前提条件を添えます。

効果が出るまでの期間も、あわせて書きます。

費用を分けて書く

総額だけでは、相手は社内で説明できません。

初期費用、毎月の費用、相手側に必要な工数の三つに分けます。

概算であれば、概算と明記します。

支払いの時期が分かれる場合は、その区切りも示します。

次の一歩を書く

読んだあとに何をすればよいかを明示します。

いつまでに何を決めてほしいのかを一行で書くと、話が止まりません。

検討してくださいという締め方では、動きが生まれません。

期日を書くときは、相手の社内の予定に合わせます。

1枚提案書でやりがちな失敗

枚数を減らしただけでは、通る資料になりません。

四つの失敗を避けましょう。

文字を小さくして詰め込む

1枚に収めることが目的になると、読めない資料ができます。

文字の大きさを下げてまで載せる項目は、そもそも不要と考えます。

余白がない資料は、それだけで読む気を削ぎます。

印刷して手に取り、読めるかどうかを確かめます。

自社の説明から始める

会社の沿革や実績を冒頭に置くと、相手の関心から外れます。

自社の情報は最下部に一行だけ添える形で足ります。

信用が必要な場面でも、実績は別紙に回せます。

最上部は、相手にとっての結論のために空けておきます。

専門用語をそのまま使う

社内で通じる言葉が、相手に通じるとは限りません。

相手の会社で使われている言い回しに置き換えると理解が早まります。

略語は初出で正式名称を添えます。

相手が転送する前提なら、なおさら平易にします。

図を入れすぎる

図が多いと、どこを見ればよいか分からなくなります。

図は一つに絞り、言葉で説明できる部分は文字で書くほうが伝わります。

色を増やすほど、焦点が散ります。

強調したい箇所は、一か所だけにとどめます。

1枚にまとめる手順

いきなり一枚に書こうとすると、かえって時間がかかります。

四つの段階に分けて進めます。

先に全部書き出す

最初から削ろうとすると、何を残すべきか分かりません。

伝えたいことを制限なく書き出してから、優先順位をつけるほうが早く進みます。

書き出しは箇条書きで構いません。

この段階では、順序も気にしません。

決める人の関心で並べ替える

書き出した項目を、読む人の立場で並べ直します。

費用を気にする相手と、手間を気にする相手では順序が変わります。

事前に聞けていれば、その関心を最上部に置きます。

聞けていない場合は、費用と効果を前に出します。

一行に収まらない項目を別紙へ出す

説明が長くなる項目は、1枚には載せません。

別紙へ回し、本文からは参照だけする形にします。

別紙を作る時間がなければ、口頭で補う前提にします。

参照先があることだけは、1枚の中に書いておきます。

声に出して読んで三分を測る

完成したら、実際に読み上げてみます。

三分を超えるなら、まだ削る余地があります。

読みながら引っかかる箇所は、相手も引っかかります。

数字の単位や日付の表記も、この段階で確認します。

書き出しの型と言い換え

上から順に、どう書き出すかを具体的に示します。

四つの要素について例を挙げます。

結論の書き出し

問い合わせの数は足りているのに商談に進まない状態を、三か月で解消する提案です。

相手の状態と、期間と、変える対象をひとつの文に入れると結論が立ちます。

弊社のサービスのご提案、という書き出しは避けます。

商品名は、結論を書いたあとに一度だけ出します。

課題の書き出し

前回の面談で、問い合わせ後の初回連絡が翌営業日になっているとお聞きしました。

相手の言葉を引用し、聞いた場を明示すると認識の確認になります。

事実と推測が混ざらないよう、語尾で区別します。

聞けていない項目は、仮説である旨を添えます。

打ち手の書き出し

初回連絡を当日中に切り替え、担当の割り当てを自動化し、記録の様式を統一します。

動詞で終える形にそろえると、やることとして読めます。

担当者名を各項目に添えると、実行の形が見えます。

三つを超えるときは、優先順位を数字で示します。

次の一歩の書き出し

十月末までに試験導入の可否をご判断いただき、十一月から一部門で開始したく存じます。

いつまでに、誰が、何を決めるのかを一文で書くと話が止まりません。

ご検討ください、という締め方では動きが生まれません。

相手の社内の会議日程が分かれば、それに合わせます。

厚い営業資料との使い分け

1枚提案書だけで、すべてが足りるわけではありません。

四つの場面で使い分けます。

初回は1枚、二回目から厚い資料

最初の面談では、関心の方向を探る段階です。

相手が興味を示した部分だけを、次回に詳しく出すと無駄がありません。

初回から機能の説明を並べても、記憶に残りません。

厚い資料は、相手の社内で比較が始まってから渡します。

決裁者へは1枚、現場へは詳細資料

判断する人と使う人では、知りたいことが違います。

決裁者には費用と効果、現場には手順と運用を出します。

同じ資料を両方へ渡すと、どちらにも刺さりません。

面談の出席者が分かった時点で、用意を分けます。

価格の説明は別紙にまとめる

料金の体系が複雑な場合、1枚には収まりません。

1枚には総額の目安だけを書き、内訳は別紙へ出す形が扱いやすくなります。

値引きの条件も、別紙に書いておきます。

口頭だけで伝えた金額は、後の行き違いのもとになります。

送付するときは1枚を本文に書く

メールに資料を添付しても、開かれるとは限りません。

1枚の内容を、メールの本文にそのまま書くと読まれる確率が上がります。

添付は、詳しい資料だけにとどめます。

件名にも、提案の結論を短く入れておきます。

業種や商材による作り分け

同じ型でも、扱う商材によって重みが変わります。

四つの例で見ていきます。

単価が高く導入期間が長い商材

判断までに何人もの承認が必要になります。

導入の段階と、各段階で誰が何を決めるのかを1枚に書くと進行が見えます。

費用は年単位で区切って示します。

途中でやめる場合の条件も、一行添えておきます。

月額で使い続ける商材

継続の判断が繰り返し発生します。

解約の条件と、使わなくなったときの費用を明示すると不安が消えます。

初期費用と毎月の費用は、必ず分けて書きます。

利用人数で金額が変わる場合は、前提の人数を書きます。

現場の運用が大きく変わる商材

効果より先に、手間の心配が立ちます。

相手側に必要な工数を、立ち上げ時と運用時で分けて書くと納得が得られます。

支援の範囲も、あわせて示します。

現場向けの詳しい資料は、別に用意します。

比較検討が前提の商材

相見積もりになることが分かっている場合があります。

比べてほしい項目をこちらから三つ提示すると、価格だけの勝負を避けられます。

他社を名指しで比較する書き方は避けます。

自社が弱い項目も、正直に書くほうが信用されます。

提案を決裁まで届けるために

資料の出来だけで決まるわけではありません。

三つの観点で見直しましょう。

誰が決めるのかを早く確かめる

担当者が気に入っても、決める人が別にいれば話は止まります。

初回の面談で、社内でどのように決まるのかを尋ねると段取りが変わります。

金額によって決裁者が変わる会社もあります。

聞き方は、進め方を教えてくださいという形が自然です。

稟議の様式に合わせた資料を渡す

相手の社内で使う様式が決まっている場合があります。

その様式に沿った材料を渡すと、担当者の手間が消えます。

必要な項目を事前に聞いておけば、差し戻しが減ります。

様式が分からないときは、1枚提案書をそのまま添付してもらいます。

決裁者と直接つながる場を併用する

担当者を経由する限り、説明の精度は相手に委ねられます。

オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。

決める立場の相手に、自分の言葉で1枚を説明できます。

一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。

オンリーストーリーの事例▼

地方向けのHRサービスを運営するある企業では、担当者や窓口で商談が止まってしまうことが課題でした。

決裁者に直接会わなければ、商談から先に進まないという問題意識を持っていたといいます。

決裁者マッチングを導入すると、自社の期待に合う経営者を紹介され、新サービスの成約が決まりました。

さらに、顧客の生の声を聞いてサービスを磨けることも副次的な価値になっています。

導入事例▶ 担当者止まりの商談から抜け出した事例はこちら

代表・平野のnote▼

オンリーストーリー代表の平野は、12年間BtoB営業を見てきたなかで、失注の多くは商品力や営業力ではなく「接点を維持できなかったこと」にあると考えています。

高単価で検討期間の長い商材ほど、予算や時期が合わずにタイミングで失注するケースが多いと指摘しています。

そのうえで、決裁者に「顔が浮かぶ会社」として覚えてもらう関係性資産を貯め続ける会社が長期で勝つと述べています。

今すぐ客だけを追うのではなく、半年後・1年後に思い出してもらえる接点づくりが、受注の取りこぼしを減らします。

代表・平野のnote▶ 「今すぐ客」ではない決裁者を半年後の受注に変える方法を代表が語ったnoteはこちら

まとめ

1枚提案書は情報を削る作業ではなく、相手が判断するために必要な要素だけを残す作業です。

結論、課題、打ち手、効果、費用、次の一歩の六つを上から順に配置してください。

作るときは先に全部書き出し、決める人の関心で並べ替えてから、収まらない項目を別紙へ出します。

完成したら声に出して読み、三分を超えるならまだ削る余地があります。

初回は1枚、二回目から厚い資料という使い分けにすると、相手の関心に合わせて出せます。

決裁者には費用と効果、現場には手順と運用を渡すと、それぞれに届く資料になります。

そのうえで決める人に届いていないと感じるなら、担当者を経由しない接点の作り方も考えてみてください。


よくある質問

Q. 1枚提案書には何を書けばよいですか

A. 結論、相手の課題、打ち手、効果、費用、次の一歩の六つです。

最上部に結論を置き、商品名からは書き始めないでください。

打ち手は三つ以内に絞ると、焦点がぼやけません。

Q. 1枚に収まらないときはどうしますか

A. 説明が長くなる項目を別紙へ出し、本文からは参照だけにします。

別紙を作る時間がなければ、口頭で補う前提にして構いません。

参照先があることだけは、1枚の中に書いておいてください。

Q. 厚い資料はもう作らなくてよいのですか

A. 場面によって使い分けます。

初回は1枚を渡し、相手が興味を示した部分を次回に詳しく出す流れが効率的です。

現場で使う人には、手順と運用を書いた詳細資料が必要になります。

Q. 提案書をメールで送るときの注意点は何ですか

A. 添付だけに頼らず、1枚の内容を本文にそのまま書いてください。

添付資料は開かれないまま終わることがあります。

件名にも提案の結論を短く入れておくと、読まれる確率が上がります。

この記事の監修者

平野哲也

平野 哲也(ひらの てつや)

株式会社オンリーストーリー 代表取締役

BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。

累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。

「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。

ENICXO
メッセージアイコン オンリーストーリー代表 平野からのメッセージ
オンリーストーリーでは、これまで10年以上にわたり、
BtoB営業における「集客の課題」と真剣に向き合ってきました。

経営者同士が信頼でつながるマッチングプラットフォームや、
想いを届ける手書きの手紙など、独自の形で支援を続けています。

そして最近では、経営者同士を直接つなぐ「顧問&コミュニティサービス」も新たにスタートしました。

私たちが大切にしているのは、単なるマッチングツールの提供ではなく、
一社一社の課題に寄り添い、"本当に意味のある出会い"をつくることです。

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