顧客の購買に対する意欲を、最後の一押しによって決定づけるためのクロージング。商談の成果を左右するため、商談の中でも重要な役割として位置づけられています。
しかしクロージングは言葉で言うほど簡単ではありません。そこで今回はクロージングの精度を高めるコツを紹介します。具体的な会話例にも触れているので、本記事を読めばすぐに使えるクロージング術を手に入れることができるでしょう。
顧客の購買に対する意欲を、最後の一押しによって決定づけるためのクロージング。商談の成果を左右するため、商談の中でも重要な役割として位置づけられています。
しかしクロージングは言葉で言うほど簡単ではありません。そこで今回はクロージングの精度を高めるコツを紹介します。具体的な会話例にも触れているので、本記事を読めばすぐに使えるクロージング術を手に入れることができるでしょう。
営業活動におけるクロージングとは、顧客が商品やサービスを購入、または契約するか否かの判断を行う、商談の最終段階を意味します。営業でクロージングに至るまでの流れは以下のとおりです。
【営業活動の流れ】
上記は一般的な営業の流れであり、いずれも重要なフェーズですが、契約の最後の一押しであるクロージングが上手くいくかいかないかで、その商談の成否が分かれます。そのためクロージングは商談の中で最も重要なフェーズと言えるでしょう。
またクロージングを行わなかった場合には、「顧客獲得のチャンス喪失」や「決断をはぐらかされる」といったデメリットが発生します。こうしたデメリットを生まないためにも、商談の最後には購入意思があるのかないのか、を確認するクロージングが必要です。
クロージングの成約率を上げるためには、以下の6つのコツを意識することが重要です。
【成約率を高めるクロージングのコツ6つ】
全てを一気に意識することは難しいので、慣れるまでは一つずつ意識して繰り返し行い、無意識レベルでもできるようにしていきましょう。
最終的な判断を仰ぐクロージングに入る前に、顧客の購買意思を確認するのがテストクロージングです。商品の説明が終わった後に、以下のような質問を投げかけることで顧客の購買意思レベルを測ります。
【テストクロージングの例】
またこれらの質問をすることによって、顧客の購買意欲を刺激する効果も見込めます。
たとえば「この商品を購入されませんか?」といった質問をしたとすると、顧客側の選択肢は「購入する」か「しないか」になります。しかしこれを「購入するとしたらAとBどちらですか?」のように選択肢を提示した場合、顧客側の選択肢が「Aを買う」か「Bを買う」となり、「買わない」決断を下す可能性を低くすることができます。
またA、Bどちらを買う決断をしたとしても、そこには顧客の意思が存在しているので、顧客は「自分で選んだ納得感」を持てます。そのため顧客がストレスを感じることなく、成約まで結びつけられるでしょう。
ドア・イン・ザ・フェイステクニックとは、クロージングを2回に分けて行うことです。1度目のクロージングでハードルの高い要求を提示した場合、2度目のクロージングでは提示した低い要求を受け入れやすくなる心理的効果を利用したクロージング方法です。
たとえば100万円のAという商品と、30万円のBという商品があったとしましょう。最終目標として、30万円のBを売りたい場合、まずは100万円のAをすすめます。顧客から「100万円かぁ。その価値あるかなぁ」などと否定されたところで、30万円のBを提示すれば「100万円よりも安いし、購入しても良いかもなぁ」という気持ちになりやすいのです。こうした心理テクニックを利用することによって、クロージングの成功率を上げられます。
イエスセットとは、商談の中で顧客からイエス(はい)という肯定的な反応がもらえるような質問を積み重ね、最終的に本命である契約締結へのイエス(はい)の心理的ハードルを下げる話法です。
【イエスセットの会話例】
あなた:「最後にいくつか確認させていただきたいのですがよろしいでしょうか?」
顧客:「はい(=イエス)、どうぞ」
あなた:「今回の件について、○○部長とご相談をされてから決断されるという認識で大丈夫でしょうか?」
顧客:「そうですね(=イエス)」
あなた:「ご相談は30万円の商品について、ということでよろしかったでしょうか?」
顧客:「そうですね(=イエス)」
上記の例のようにイエスを重ねていく内に、「イエス」と言うことに対しての心理的ハードルが下がります。また人は自分の行動に一貫性を持たせようとする性質があるため、イエスを重ねたのちにノーとは言いづらくなるのです。その性質を利用して、本命の契約締結までこまめに「イエス」を引き出していきます。ただし、否定的な意見がでてきた場合にはクロージングも失敗する可能性が高いので、その場合は否定的な意見の詳細を伺って、その内容を解決できる方法を提示しましょう。
たとえば「このサービスを導入することで、15%の売上アップが見込めます」と言われたとしても、それは推測値であり、机上の空論と変わりありません。一方で「○○(企業名)様はこのサービスを導入したことで、前年比20%を達成しています」と具体的に企業名と数字を出して事例を提示された場合、事実に基づいた結果であるため商品の持つ説得力が違います。
ポイントは「企業名+具体的な数字+商品を導入したことによるメリットorベネフィット」を盛り込むことです。イメージしやすい具体的な情報を盛り込むことで、顧客側の商品に対する期待値が上がるため、クロージングが上手くいきやすくなります。
イエスセットで少し触れている否定的な意見が出てきた場合、その理由を伺い解決策を提示することで顧客が断る理由がなくなります。提案を断る理由としては、以下のようなものが考えられるでしょう。
こうした否定的な意見を持たれている場合は、顧客が不安に思っていることや悩みについて根気強くヒアリングを行い、それらの懸念事項を解決する提案をします。顧客の中で不安感が薄れ、商品やサービス購入に対する納得感が高まってからクロージングをすることで、クロージングの成功率を高められます。
ここでは、商談時のクロージングをどう進めればよいか、例文を用いて解説します。ただし、これらの流れは必ずしも正解とは限りません。状況に応じてステップを飛ばすなど、臨機応変に対応することが重要です。
商談のクロージングに進む前に、顧客が商品やサービスに不安を感じていないかチェックしておくとよいでしょう。
顧客が感じる不安の要素としては、金額、効果、持続性などがあります。
顧客の不安が解消された状態で、こちらの提案内容に納得してもらったなら、仮の営業クロージングに入っていきましょう。商談におけるクロージングでは、「もし〜としたら?」という仮定の質問を投げかけ、顧客の意思や心理状況を理解することに徹します。仮クロージングの例文は、以下のとおりです。現場で仮クロージングを行う際の参考にしてください。
【仮クロージングの例文】
「もしこのサービスをご契約いただけるとしたら、いつ頃がよろしいでしょうか?」
「サービスを導入される可能性は、現段階で何%くらいでしょうか?」
「もしご契約するとしたら、この中のどのプランをお選びになりますか?」
「もしお話を進めさせていただけるとした場合、次回出席していただきたい社内の方はいらっしゃりますか?」
顧客が決済権者でない場合、商品の購入やサービス導入には決裁権者の許可が必要になります。
できれば決裁権者と直接話す機会をいただきたいところですが、もし難しい場合は、こちらで追加で必要な情報やできるサポートはないか確認しておきましょう。
【決裁権者との面談を求める例文】
「今回の内容を決裁権者様にお伝えしなければならないと存じますが、よろしければ私の方からご説明させていただければと思います。いかがでしょうか?」
「決裁権者様へのご説明資料を作成させていただきたく思いますが、いかがいたしますか?」
「決裁権者様にも私のご連絡先を共有いただけますか?そうすれば、お電話でもメールでもご対応いたします」
なお、決裁者のアポを獲得する詳しい方法については、以下の記事でも例文つきでご紹介していますので、あわせてご覧ください。
最後に、次回の行動を確認し、クロージングトークは終了となります。
【仮クロージングの例文】
「ありがとうございます。最後に改めて内容を確認させていただきます。次回の面談は◯月◯日で、出席者は△△さま。今回のご提案に◆◆を加えてお話しいたします。商談はオンラインということで、URLはこの後すぐにお送りいたしますので、△△さまにもご共有いただきますようお願いします」
クロージングがうまくいかない場合には以下の対処法を試してみましょう。
【クロージングがうまくいかないときの対処法】
BANTとは、予算や決裁権の保有者、企業のニーズ、導入時期など、商談で最低限抑えておきたい情報のことを言います。これらの情報を待たないままクロージングを行っても上手くいく確率は低いでしょう。またトークスクリプト、いわゆる営業台本は都度、見直しを行い、最新情報に合わせた内容にしておきましょう。
それでも成果が取れない場合は、営業のプロ集団である営業代行サービスに依頼するのも一つの方法です。
クロージングがうまくいかない場合、BANT情報が揃っていないことが多々あります。BANTとは商談の際にヒアリングしておくべき、以下の4つの項目の頭文字をとった造語です。
これらの情報をクロージング前に把握しておかないと、クロージングになった段階で「予算がなくて・・・」となる可能性が高く、これまでの商談の時間が意味のないものになってしまいます。「予算がない」場合には、納得感の高い「今導入すべき理由」を提示できれば、予算を作ってもえる可能性もありますが、そういった展開は稀だと思っていた方が良いでしょう。いずれにしろ、BANTは早い段階で把握しておくべきだと心得ておきましょう。
トークスクリプトとは、商談中の話の流れや内容を事前に決めておいた、いわゆる営業の台本です。この内容をもとに、電話でのアポ取りや、対面で商談を行います。当然ですが毎回同じ内容の電話、毎回同じ内容の商談はありえません。そのためトークスクリプトは定期的に改善が必要です。また「専門用語が通じていなかった」といった、明らかに失敗したと思われる内容については、その都度変更を加えていきましょう。
トークスクリプトを磨くには、テレアポの場合は、営業トークが上手い人の商談を録音したり、対面の商談の場合は営業成績の良い人に、作成したトークスクリプトを添削してもらったり、といった方法が挙げられます。
先に紹介した方法を試してもクロージングが上手くいかない場合は、営業代行サービスを利用する手もあります。営業代行サービスとは、自社の営業活動を代わりに行ってくれるサービスのことを言います。どの程度の範囲の営業を代行してくれるかは、サービスを提供している会社によって異なりますが、以下のような業務を外注できます。
商談以外にも営業に付随する業務を代行してくれるため、社内で営業マンを育てる必要がありません。そのため新人育成のための労力とコストの削減も期待できます。
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クロージングを行う際に注意したいポイントは「沈黙を避けるために一方的に話し続ける」ことです。営業活動を行っていると、クロージングでこちらが投げかけた質問に対して顧客が沈黙する、といった場面に遭遇することも多いでしょう。そうした場合で、商品のメリットや購入のベネフィットを矢継ぎ早に語るのはNGです。なぜなら沈黙している間、顧客は「商品を導入するかいなか」熟考していると思われるからです。
真剣に考えたいのにあれやこれや言われた場合、考えるのが面倒になるため、それまでは前向きだったとしても「もういいや」となってしまいます。沈黙は怖いかもしれませんが、顧客が納得した答えを出すまでは、こちらも沈黙を貫き通しましょう。頃合いを見て「いかがですか?」と声をかけることも大切ですが、あくまで考える時間を設けてから、ということを意識する必要があります。
顧客の決断を最後にもう一押しして、成約を勝ち取るクロージング。顧客側にとっても重要な決断となるため、簡単に実行できるわけではありません。しかしなかなか成功しないからこそ、成功した際の喜びはひとしおです。ただし、クロージングが成功したからといって、その後の社内承認で否認される可能性を忘れてはいけません。そうならないためには、できれば商談相手に決裁者を引っ張り出す必要があります。
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(本文執筆・編集:オンリーストーリー編集部)
弊社の直近3年で約10億円、btobの投資をしてきました。また、弊社自体が営業代行会社として、多くの会社様の案件を受けてきました。その中で、再現性のある営業手法がないという話や、1社だけで満足できる営業支援の会社はなかなか見つからないという声を多く聞いています。本記事や、10億円のまとめを記載したホワイトペーパーを用意していますので、少しでも皆様の営業の一助になりましたら幸いです。
(コメント:代表平野)