監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
毎日架電やメールを繰り返しても、商談にすらたどり着けないことがあります。
原因の多くは、決裁権を持たない相手に時間を使っている点にあります。
新規開拓が非効率になる根本的な原因
多くの企業が新規開拓に苦戦するのは、努力の方向性がずれているケースが大半です。
やみくもにアプローチ数を増やすだけでは、成果は比例して伸びません。
むしろ、間違った相手に労力を注ぐほど、現場は疲弊し、成果は遠ざかっていきます。
まずは、なぜ非効率に陥るのかを正しく理解することが、改善の第一歩になります。
決裁者ではない相手に時間を使っている
最大の問題は、購買の意思決定権を持たない担当者とのやり取りに終始してしまうことです。
担当者は社内で稟議を上げる立場にすぎず、最終的な判断はできません。
どれだけ丁寧に提案しても、決裁者に響かなければ商談は途中で止まってしまいます。
担当者が社内で熱心に説明してくれる保証もなく、伝言ゲームの中で熱量は薄れていきます。
結果として、長い時間をかけたのに失注するという事態が頻発します。
これは営業担当者の能力の問題ではなく、アプローチ先の選定の問題なのです。
アプローチの母数だけを追ってしまう
「とにかく数をこなせば当たる」という考え方は、効率化とは逆行します。
質の低いリストへ大量にアプローチしても、返ってくる反応はわずかです。
それどころか、無関係な相手への連絡は、企業の印象を損なうリスクすらあります。
重要なのは、誰にアプローチするかというターゲティングの精度です。
母数を追う前に、出会うべき相手を見極める設計が欠かせません。
精度の高いリストに絞れば、少ない行動量でも高い成果を得られます。
成果が出ない原因を分析できていない
新規開拓がうまくいかないとき、行動量を増やすことばかりに意識が向きがちです。
しかし本来は、どの段階で商談が止まっているのかを分析する必要があります。
接触段階で断られるのか、提案段階で失注するのかで打ち手はまったく異なります。
プロセスを可視化せず感覚で動くことが、非効率を生む隠れた原因です。
決裁者へ直接アプローチするメリット
決裁者に直接つながることは、営業効率を劇的に高めます。
単に時間が短縮されるだけでなく、提案の質そのものが変わってきます。
ここでは、その具体的なメリットを整理します。
商談スピードが格段に速くなる
決裁者は、その場で導入の可否を判断できる立場にあります。
稟議や社内調整を待つ必要がないため、商談から成約までの期間が短縮されます。
意思決定が速いほど、営業側のキャッシュフローも安定します。
また、商談が長期化すると競合が割り込む余地も生まれますが、それを防げます。
本質的な課題のヒアリングができる
決裁者は、自社の経営課題や予算配分を把握しています。
そのため、表面的な要望ではなく本質的なニーズを引き出せます。
課題の核心に触れた提案は、競合との差別化にもつながります。
担当者経由では得られない、経営視点の情報を直接聞ける点も大きな利点です。
価格以外の価値で評価されやすい
担当者は与えられた予算内でのコスト比較を重視する傾向があります。
一方、決裁者は投資対効果という観点で提案を評価します。
そのため、価格競争に巻き込まれにくく、価値で選ばれやすくなります。
利益率を守りながら受注するうえでも、決裁者アプローチは有効です。
決裁者へ直接届く新規開拓の具体的手法
では、実際にどうすれば決裁者へ直接アプローチできるのでしょうか。
ここからは、再現性の高い方法をいくつか紹介します。
自社の状況に合わせて、組み合わせて活用するのが効果的です。
経営者同士のつながりを活用する
最も確度が高いのは、信頼できる経営者からの紹介です。
紹介を経由すると、最初から決裁者と対等に話せる関係が生まれます。
紹介者の信頼が前提にあるため、提案を真剣に検討してもらいやすくなります。
日頃から経営者コミュニティに参加し、人脈を育てておくことが重要です。
短期的な成果だけでなく、長期的な関係資産として人脈を捉えましょう。
決裁者マッチングサービスを利用する
近年は、決裁者同士を引き合わせるマッチングサービスが充実しています。
あらかじめ決裁権を持つ人物だけが集まる場のため、無駄打ちが起きません。
受付突破や取り次ぎといった工程が不要になり、商談に集中できます。
効率を最優先するなら、こうした仕組みへの投資は有効な選択肢です。
決裁者の関心に合わせた情報発信を行う
決裁者が自ら情報収集する場面に、自社の存在を届ける方法もあります。
経営課題の解決事例やノウハウを発信し、認知を獲得しておくのです。
発信を通じて先に信頼を得ておけば、アプローチ時の反応が変わります。
プッシュ型とプル型を組み合わせることで、開拓の効率はさらに高まります。
効率的な新規開拓を仕組み化するポイント
決裁者アプローチを単発の工夫で終わらせず、仕組みとして定着させることが大切です。
属人的なやり方のままでは、担当者が変わるたびに成果が振り出しに戻ってしまいます。
ここでは、効率を継続させるための仕組み化のポイントを紹介します。
ターゲットリストを定期的に磨き込む
アプローチすべき決裁者のリストは、一度作って終わりではありません。
市場や組織の変化に合わせて、定期的に見直し精度を高めましょう。
反応の良かった層の特徴を分析し、リストに反映していきます。
磨き込まれたリストは、新規開拓全体の効率を底上げします。
営業プロセスを数値で管理する
接触数、商談化率、成約率といった指標を段階ごとに把握しましょう。
どの工程に課題があるかが分かれば、的確な改善が打てます。
感覚ではなく数値で判断することで、無駄な労力を減らせます。
数値管理は、効率化を続けるための土台になります。
成功パターンをチームで共有する
決裁者に響いた提案や出会い方は、組織の財産として共有しましょう。
個人の成功体験をチーム全体の標準へと広げることが重要です。
再現性のあるパターンが増えるほど、組織の成約率は安定します。
ノウハウの共有が、持続的な効率化を実現します。
まとめ
新規開拓の効率化は、アプローチの量ではなく相手の質で決まります。
決裁権を持たない担当者にいくら時間を割いても、商談はなかなか前に進みません。
決裁者へ直接アプローチできれば、商談スピードも成約率も大きく向上します。
経営者同士の紹介やマッチングサービス、情報発信を組み合わせ、出会うべき相手と効率的につながりましょう。
まずは、自社の営業プロセスのどこで止まっているのかを分析することから始めてみてください。
限られたリソースを最大限に活かす新規開拓を、今日から実践していきましょう。
よくある質問
Q. 決裁者へ直接アプローチする方法はありますか
A. 経営者同士の紹介、決裁者マッチングサービスの利用、決裁者の関心に合わせた情報発信が主な手段です。
自社の商材や体制に合わせて手段を組み合わせると、決裁者との接点を安定して作れます。
Q. アプローチの母数を増やせば成果は出ますか
A. 数をこなす考え方は効率化とは逆行します。
対象を絞らずに件数だけ増やしても、決裁権のない相手との接触が増えるだけです。
まずは対象を絞り、決裁者と話せる手段を選ぶほうが効率よく成果につながります。
Q. ターゲットリストはどう管理しますか
A. 一度作って終わりにせず、定期的に情報を更新します。
反応の有無や組織変更を反映すると精度が保てます。
更新の頻度や担当者を決めておくと、リストの精度を保ちやすくなります。
Q. 成果はどの指標で見ますか
A. 接触数、商談化率、成約率を段階ごとに把握します。
どこで止まっているかが分かれば、改善する箇所を特定できます。
数値を定期的に振り返る場を設けると、改善の効果を確認しやすくなります。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。


