最終更新日: 2025.12.08

トップセールスを組織的に育成することは、持続的な営業力強化の鍵となります。属人的なスキルに頼るのではなく、再現性のある育成プログラムを構築することで、継続的に成果を出せる人材を輩出できます。本記事では、トップセールス育成の具体的なステップと成功のポイントを詳しく解説します。

トップセールスの定義と特徴

トップセールスを育成する前に、まず「何を目指すのか」を明確にする必要があります。自社におけるトップセールスの定義と、彼らに共通する特徴を理解しましょう。

トップセールスとは何か

トップセールスとは、顧客の信頼を獲得し、継続的に成果を出せる営業担当者を指します。

一般的にトップセールスという言葉は、「売上がトップの営業担当者」という意味で使われますが、単に売上がNo.1であるだけでは不十分です。一時的な幸運に恵まれて数字を出すことや、顧客に不必要なものを売りつけて業績を上げることも可能だからです。

真のトップセールスは、一時的な成果ではなく、長期的な視点で顧客との関係を構築し、自社と顧客の双方にとって価値のある提案を続けられる存在です。

売上の数字だけでなく、顧客満足度や継続率、紹介率なども高い水準で維持しており、組織全体の営業力向上に貢献する貴重な人材といえるでしょう。近年急増したサブスクリプションモデルなど継続課金のサービス形態では、一時的に受注を獲得しても短期で解約された場合は販売コストを回収できず赤字になるケースが多いです。

その意味で「短期的な売上数字を残すだけの人」はトップセールスとは呼べません。

トップセールスに共通する5つの特徴

業界や商材が違っていても、トップセールスにはいくつか共通の特徴があります。

第一に、顧客の課題を深く理解し、最適な提案をすることです。トップセールスは自社の商品やサービスを売ることだけを考えるのではなく、顧客の課題解決や成功を第一に考えます。

この顧客中心主義の姿勢が、単なる「モノを売る人」ではなく「価値を提供する人」として顧客から信頼を得ることにつながります。

第二に、高い目標に粘り強く取り組む執着心を持っています。

目標達成に対して強い執着心を持ち、成果を出すためにあらゆる手段を考え実行する姿勢があります。それは闇雲に頑張ったり遅くまで残業したりということではなく、断られた顧客に対して別の角度から何度でもアプローチしたり、新しい方法論にトライしたりする粘り強さです。

第三に、準備や情報収集を怠らず、常に知識をアップデートしていることです。

トップセールスは新しい知識の吸収を怠りません。他者の成功事例を参考にしてみたり、客先で聞いた話題やニュース、最新情報などを吸収し、商談前に世間話的に業界動向を話したり、提案内容に組み込んだりします。「準備8割、本番2割」という言葉を体現しており、商談前の準備に多くの時間を割きます。

第四に、顧客との信頼関係構築に注力し、アフターフォローも徹底していることです。

BtoB営業では顧客との約束やスケジュールの遵守が信頼感に直結しているため、トップセールスはその点を徹底しています。一度決めたことをやり抜く意志力が、他の営業マンとの違いを生んでいます。

第五に、失敗から学び、継続的に成長している姿勢を持っていることです。

優れた営業マンは常に学び、成長することを重視しています。失敗を恐れず、むしろそこから学びを得て次に活かす成長志向のマインドが、経験を重ねるごとに営業力を高めていきます。

トップセールス育成が求められる背景

現代の営業組織において、トップセールスの計画的な育成が重要視される背景には、いくつかの要因があります。

営業の属人化という課題

従来の営業組織においては、営業パーソン個人のスキルに依存する傾向がありました。

顧客の新規開拓から商談、受注、アフターフォローまでの一連の営業プロセスを一人に任せるケースが多く、個人の経験や勘によって進行しがちでした。しかし経験や勘によって業務を属人化させてしまうと、組織全体のスキルアップは見込めません。

「名選手・名監督にあらず」という言葉があるように、トップセールスマンでも自らのノウハウを部下や第三者に教えることは難しいとされています。

営業のノウハウは個人が抱え込んでしまい、組織に共有されていないことが多いのです。トップセールスの存在は憧れの対象である一方、業務の属人化を招く可能性もあります。

優秀な営業担当者が退職したり異動したりすると、顧客との関係性やノウハウが失われてしまうというリスクも存在します。

組織全体の営業力向上の必要性

組織全体の営業力向上と効率化が経営課題となり、トップセールスのノウハウ共有が重要視されています。

営業全体の底上げを図るため、再現性の高い成果を生み出せる人材が求められています。近年はセールスイネーブルメントが広まっているように、決して特定の人間だけに頼るのではなく、営業・ビジネスノウハウを共有するなど、強化・改善する取り組みも広がっています。

トップセールスマンだけに頼るのではなく、強い営業組織を作り上げるのが組織において「強い営業」を維持するために必要なことです。

そして企業の営業力の底上げを図るためにも、目標となるトップセールスマンの存在は不可欠です。異常値を出すようなトップセールスを計画的に育成するのは困難ですが、「上位20%に入り続けるような優秀なセールス」は育成可能です。

幾つかのポイントをしっかりと押さえて育成することで、全体が底上げされると同時に、ある種「標準的なトップセールス」を継続的に生み出すことができます。

トップセールス育成の4つのステップ

トップセールスを組織的に育成するには、体系的なアプローチが必要です。以下の4つのステップを順に実践することで、再現性のある育成が可能になります。

ステップ1:トップセールスの定義を明確にする

トップセールス育成のためにはまず、自社における「トップセールス」の定義を明確にし、理想の姿を言語化することが重要です。

単に売上の数字だけでなく、顧客満足度や継続率、チームへの貢献度なども含めた総合的な評価基準を設定しましょう。定義を明確にすることで、育成の方向性が定まり、営業担当者も目指すべき姿を具体的にイメージできます。

また、評価基準が明確になることで、公正で納得感のある人事評価が可能になります。

自社のビジネスモデル、商材の特性、顧客層などによって、求められるトップセールスの姿は異なります。BtoB営業とBtoC営業では必要なスキルが違いますし、有形商材と無形商材、高額商品と低額商品でもアプローチが変わってきます。

自社に最適化された「トップセールスの定義」を明確にすることが、効果的な育成の第一歩となります。

ステップ2:トップセールスのノウハウを言語化・構造化する

次に重要なのが、トップセールスが持つ暗黙知を形式知に変換することです。

優秀な営業担当者が無意識に行っている行動や判断基準を言語化し、誰でも理解できる形に構造化します。例えば、営業力で高い評価を得ている企業では、営業マンに必要なスキルを5ステップ70スキルに行動分解し、極力属人性を排したノウハウを作り上げています。

具体的には、トップセールスへのインタビューや同行観察を通じて、成功パターンを抽出します。

どのタイミングでどのような質問をしているか、提案書の構成はどうなっているか、クロージングの際にどのような言葉を使っているかなど、細かく分析して文書化します。ただし注意すべきは、営業マニュアルに求めるものは属人的なトップセールスの売り方ではなく、あくまでも再現性のある営業活動だということです。

「新卒営業でも成果が出せるやり方」というのが基本になります。トップセールスの特殊な能力に依存した手法ではなく、標準化できる部分を抽出することが重要です。

ステップ3:知識・スキルを習得させる

構造化したノウハウを基に、体系的な研修プログラムを設計し実施します。

座学での知識習得だけでなく、ロールプレイングや実践演習を組み合わせることで、スキルの定着を図ります。トップセールスが実践している習慣や行動パターンを、段階的に身につけさせていきます。

具体的には、ビジネスマナーや基本的なコミュニケーションスキルから始まり、ヒアリング技術、提案力、クロージング技術など、営業プロセスに沿ったスキルを順次習得させます。

また、OJTや1on1で知識・経験を伝授することも大切ですが、「セールス」を形式知として学ぶことも営業の成長に有効です。eラーニングなどのデジタルツールも活用し、いつでもどこでも学習できる環境を整えることで、継続的なスキルアップを支援します。

重要なのは、単なる知識のインプットで終わらせず、実践で使えるスキルとして定着させることです。

ステップ4:経験学習・PDCAサイクルを素早く回す

最後のステップは、実践を通じた継続的な成長サイクルの構築です。

学んだ知識やスキルを実際の営業活動で試し、その結果を振り返り、改善につなげるPDCAサイクルを高速で回転させます。経験学習を促進するためには、適切なフィードバックと振り返りの機会が不可欠です。

定期的な1on1ミーティングで、商談の成功・失敗を分析し、次回に活かすべきポイントを明確にします。

失敗から学び、継続的に成長していく姿勢を組織文化として定着させることが重要です。トップセールスは失敗を恐れず、むしろそこから学びを得て次に活かします。この成長志向のマインドを、育成プログラムの中に組み込んでいきます。

また、データやツールを活用して営業活動を可視化し、改善ポイントを客観的に把握できる仕組みも整えます。

生成AIやデータ分析を活用し、個々の顧客に最適化されたアプローチを実現することで、持続的な成果を生み出すことができます。デジタル時代における新しいタイプのトップセールスを育成するには、テクノロジーの活用も欠かせません。

まとめ

トップセールスの育成は、組織的・計画的なアプローチによって実現可能です。まず自社におけるトップセールスの定義を明確にし、単なる売上だけでなく顧客満足度や継続率なども含めた総合的な評価基準を設定します。次にトップセールスのノウハウを言語化・構造化し、属人性を排した再現可能な形に落とし込みます。体系的な研修プログラムで知識・スキルを習得させ、実践を通じたPDCAサイクルを高速で回すことで、継続的な成長を促します。営業の属人化を解消し、組織全体の営業力を底上げするためには、上位20%に入り続ける優秀なセールスを継続的に輩出する仕組みづくりが不可欠です。再試行Claude は AI のため、誤りを含む可能性があります。
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