T Accelerator株式会社
辻村 尚志
POSTED | 2018.05.11 Fri |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:金融 創立:5〜6年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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初心者でも分かる!ソシャゲ開発の大人の世界のお話
ヒット作が10本に1本でも稼げる訳は、高い利益率にTopics
ポッピンゲームズ 代表 辻村 尚志氏のONLY STORY
いまや日本を代表する産業となったアニメーション。
まだ幼い頃、アニメはテレビの中の世界にだけあるものだと私は思っていました。
それがいつしか、手元にその世界を感じ、操作できるゲーム機を手に入れると、いつでもどこでも好きなキャラクターが登場するゲームで遊ぶことができるようになりました。大人になってふと考えたことはありませんか?
「そういえば、ゲームって(誰が)どうやって作ってるんだろう。」
今回はソーシャルゲームの企画/開発/運営を行うポッピンゲームズの辻村社長(以下、辻村氏)にお時間をいただきました。
あなたの手元のスマホゲームはこうして作られる。
今回は、あえて製作する側から見える大人の世界を覗いてみましょう。
辻村氏
「弊社が配信しているゲームには、皆さんが子供の頃に見ていたようなアニメのキャラクターが登場します。例えばムーミンやピーターラビットなどですね。
キャラクターを基にしたゲームを作る際には、まず市場調査を行い、候補を3つ前後に絞り込みます。その後、そのキャラクターの権利を持っている企業へ提案営業を行います。無事に契約を結ぶことができれば、ゲームの開発に取り掛かります。短いもので1年、長くかかるものだと2年の開発期間を経て、リリース日を迎えます。」
私たちが「なにこれ、かわいいー!」「ぴょこぴょこしてるー!」とはしゃいでいる裏側に、そんな大人の世界があったとは・・・。
辻村氏
「ソーシャルゲームはリリースしたら終わり、ではありません。開発フェーズでも大きな開発費、膨大な時間、情熱を必要とするのですが、リリース後の運営フェースでもしていくことにもまた難しさがあります。」
こ、これは・・・。
大まかなゲーム製作の流れを教えていただいたところで、少しずつ裏側の部分に迫っていきましょう。まずは、実際にはどのようにして起用するキャラクターを選んでいくのかについてです。
多角的なデータ分析によるキャラクター選定
辻村氏
「弊社のキャラクターの選び方は、主に2パターンあります。
1つ目は、定量的なデータを中心に、人気のキャラクターを選定する手法です。キャラクタービジネス年鑑、CharaBiz DATA2018などのような紙媒体も見ますし、そのキャラクターの公式サイトの月間UU/PV、そのキャラクターの公式Twitterアカウントのフォロワー数なども調査し、IPごとに比較します。また、直近5年間のトレンド(右肩上がりなのか)という視点では、Google Trendを使うことが多いです。上記のようなデータを組み合わせて、総合的に判断します。」
「2つ目は、来年、再来年に公開される『アニメ』『映画』などの情報を入手し、今後の知名度が上がり、ブームが来そうなキャラクターを仕込む手法です。アニメや映画の場合は3~4年前には、構想が出来上がっていて製作資金を集めます。製作委員会に参加している企業と連携することで、候補のIPが見つかります。」
しかし、数年経てば流行が変わっていたり技術が発達していくように、ゲーム業界もまた起用キャラクターを決定した頃とは変わってしまうこともあるのでは?
辻村氏
「ソーシャルゲーム開発の難しさがあるとすれば、そこでしょうね。開発中の期間にも、市場のトレンドが変動していくというところ。これはアニメ・映画などでも同じことが言えると思うのですが、開発中に市場に大きな変化があった場合、開発を中止するか、中身を大きく変える必要があります。
リリースまでの期間が長いというのが恐らくこの業界の大変なところではありますが、割り切るところは割り切っていくしかありませんね。」
話題は、キャラクターの権利を持つ企業へのアプローチについてのお話に移ります。
1つ1つのメールで億単位のお金が動く提案営業
辻村氏
「直近2-3年は、そのアニメがヒットした直後に仕込む、というのが多いです。理由としては、そのアニメが売れるか売れないか、は読み切れないことが大きいです。また、3か月ごとに、数十のアニメが放映されますが、覇権を握るのは1個、大きく話題になって2~3個です。
ただ、「アニメの第2期に合わせてソーシャルゲームをリリースしてうまくいくか」で考えると、人気度としては、第1期>第2期となるので、第2期だとブームが去っているリスクもあります。そのため、去年くらいから、例えばバンドリなどがそうですが、アニメ/ゲームを同時に仕込む"メディアミックス戦略"が、また増えてきているというのが現状です」
私たちがよく目にしていたものは、その氷山の一角にすぎない一部でしかなかったんですね。思っていたよりも、ずっとシビアな世界のようです。(ごくっ)
辻村氏
「次に連絡方法ですが、ホームページから普通に問い合わせメールを送る、で半分くらいの会社は担当につながります。それでつながらない場合は、紹介者を探し直接紹介してもらいます。」
なるほど。ところで、確率を高めるためたくさんの企業に問い合わせを送っているのでしょうか。
辻村氏
「ソーシャルゲームの場合は、1本1本の開発費が3~5億円とプロジェクトの規模が大きいです。提案営業(協業提案)に近いため、普通に提案内容をメールに書けば、担当(キーマン)に届きます。
メールの内容も、10~15行ぐらいの箇条書きで、自分の会社の説明+ソーシャルゲームを作りたいという内容+少しでも可能性があれば一度訪問させて頂けないか、とシンプルな内容で十分です」
紹介者を探す、のところももう少し教えてください。
辻村氏
「私の場合はFacebookを多用しています。Facebookの検索機能で『勤務先がその会社』という形で検索すると、その会社で働いている人が、ざっーと表示されます。そこから共通の知り合いを見て、『この方を紹介してくれませんか?』と頼みます。」
まさに人脈がものをいう世界ですね。
しかしながら、この時点では担当者にたどり着いたというだけで、まだキャラクターを起用できるか決まったわけではありません。
辻村氏 「人気キャラクターはほとんどの会社がゲーム化を狙っているので、当然取り合いのような感じになります。例えば、ディズニー、NARUTOなどでしょうか。 企画内容、経済条件などによって総合的に判断されます」
ここからは、キャラクターを起用する権利を獲得する際のお金についてお話を伺います。
数億円をかけて開発し、ヒットの確率は10分の1
辻村氏
「これからお話しすることは、弊社の話というよりは業界の中での一般論です。権利の獲得時は、大きく4種類あります。
①無し:ゲームのリリース後に売上に応じたロイヤリティだけを支払う形式
ソーシャルゲームは開発費が大きいため開発側としては最も嬉しい契約となる
②契約金あり:契約のタイミングで指定の金額をお支払いする形式
③預かり金 パターン:契約のタイミングで指定の金額を預ける形式。ゲームが終了時に返却される
④ミニマムギャランティ:リリース後の最初の1年目に支払われるであろうロイヤリティ額を先に支払う形式
有名キャラクターの場合、④のケースが一番多いと思います。
上記に加えて、ゲームのリリース後は、売上に応じてロイヤリティを支払います」
開発費だけでも豪邸が買えそうなほどのお金がかかるにもかかわらず、さらにキャラクターの起用にあたっても高級車が買えそうなくらいのお金がかかるんですね。
ソーシャルゲーム業界ではどれくらいの利益を上げることができるのでしょうか。
辻村氏
「ここも一般論ですが、10本作ってヒットは1~2本。その1~2本というのはずっと利益を出し続けますし、利益率も極めて高いというようなビジネスになっていますね。
例えば日本で上場しているような大手ゲーム会社の場合、1年のうちに大手6社が10個のソーシャルゲームを出すとおそらく黒字で終わるものが50%、赤字で終わるものが50%でしょう。その中で、特に大きく利益を出せるのが1~2本みたいな。」
もしヒット作が出た場合、しっかりと利益はとれるのでしょうか。利益率は高い業界というお話もありましたが・・・。
辻村氏
「上位タイトルは、利益率、利益額ともに高いです。
例えば、広告出稿した時に『何ヶ月でその広告費を回収したいか』という指標(ROAS)がありますが、 3ヶ月に設定している会社が1番多いです。違う言い方をすると、4か月目からは利益が積みあがっていくということです。
ソーシャルゲームは、ヒットが出るまで長くかかる場合もあるかもしれません。しかしヒットが1本でれば、しっかりと稼いでいけるビジネスです」
なるほど。
利益が出せるようなヒット作を開発することができれば、しっかりと利益を残し、会社も運営していけると。
今回、辻村氏にはゲーム開発におけるキャラクターの選び方や企業へのアプローチ方法、さらにはキャラクターの起用やゲーム運営におけるお金の話まで、貴重な裏話ばかりをオープンにお話いただきました。
多角的な事業展開を目指す第2創業期
最後になりますが、ポッピンゲームズ社の今後の展開についてお聞きしました。
辻村氏
「2018年は、第2創業期の1年目という位置づけです。具体的には、2つの事業領域に参入します。
一つ目は、Html5ゲーム事業です。Yahoo、Facebook、バンダイナムコ社などのプラットフォームへのゲーム展開をしていきます。
二つ目は、ソフトウェア開発事業です。特に『スマートフォンアプリ』、『ブロックチェーン』に注力していきます。
前者は、ソーシャルゲームで培ったノウハウの横展開です。
-規模の大きいアプリ (チームでの開発体制)、
-セキュリティが重視されるアプリ (ハッキング/チートへの対策実績)
-消費者向けのアプリ (優れたUX/UI、デザインが求められるアプリ)
上記のようなアプリ開発は、弊社の得意分野です。
ブロックチェーンについては、市場自体がまだまだ黎明期なので、弊社も含め、各社で開発ノウハウを蓄積しつつある状況です。弊社でもブロックチェーンには今後注力していきますので、Dapps(ブロックチェーンを生かしたアプリ、ゲーム)の製品を今後リリースしていければ、と考えています。協業や開発受託の案件も積極的に募集しています。
今後、ますますのご活躍が目に浮かびますね!
スマホゲーム好きの方やキャラクター好きの方は、要チェックです!
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