株式会社カセダ
加世田 光義
POSTED | 2018.08.07 Tue |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoB |
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製品設計から製造までの携わるワンストップサービス
希少な自社製品で国内に確かな地位を築くTopics
株式会社カセダ 社長 加世田 光義氏のONLY STORY
今回は、OEM製品の設計試作や測定器の設計・製造を行っている株式会社カセダの代表取締役である加世田 光義氏にお話を伺います。
創業の経緯から確かな実績を持つ事業の特徴、さらには今後の展望までお聞きしましょう。
自分の好きな仕事を続けられる道を選んだ
私は18歳の頃から電機業界でスイッチと電卓の設計を行っていました。何度か転職をしているのですが、電卓を作る会社にいたときは鹿児島工場の立ち上げに携わったこともありましたね。
その後、電卓やスイッチを作ることに不満があったわけではありませんが、他の製品の設計や製造をやってみたいという気持ちが出てきたんです。それから、工場の中の省力化にかかわる仕事に就き、軸や自動機などさまざまなものを自分で設計して製造するという経験を積みました。それが独立のきっかけになりましたね。
独立に対する恐怖心などはほとんどありませんでしたね。今振り返れば、企業に属していたほうが楽だったという想いもあるのですが、65歳で定年退職してその後再就職することを考えると、自分の好きな仕事を続けられる今の道を選んで正解だったと思います。
創業後は、独立したときは個人でしたが、平成2年に有限会社に、そして6年前に株式会社となりました。株式会社にした理由はキャリパーゲージと関係があるのですが、この商品は株式会社カセダがもともと開発したわけではなく、異業種交流グループの人が先代でした。
その人は亡くなってしまったのですが、亡くなる前に私に後を継いでほしいと事業を託したんです。それを引き継いだタイミングで株式会社にしました。
設計から製造まで、企業のアイデアをワンストップで形にする
株式会社カセダは設計から製造までワンストップで行っているという点が特徴で、単なる加工屋とは一線を画しています。OEMの仕事がほとんどなので、株式会社カセダが設計から製造まで担当して納入したものを顧客が販売するという流れです。
スイッチの設計に携わっていたころから電機関係の機器を作ることが多く、それから派生して商品設計を行うようになりました。現在製造しているものとしては、パソコンのHUBやリモコンなどのOA機器が中心です。
HUBについてはここ10年で10万個近くは流れていると思います。同じ規模で言えば、ステンレスベルトも10万本くらい流れていますね。他にも家電機器や、産業用ロボットの設計・製造も行っています。
スイッチやOA機器はもちろん、福祉や医療の現場で使用される機器や植物工場など、設計が必要なものにはある程度対応できるノウハウを持っています。そのため、顧客が何か新しい設計をしたいと思ったときに、アイデアを渡していただければ具体的な設計をして製品にすることができるんです。
また、株式会社カセダのブランドとしてキャリパーゲージという測定器を製造しており、事業としてはこの2つを軸に行っています。
自社製品であるキャリパーゲージは、具体的に説明するとパイプの内径を測る機器です。また、パイプの中に水を通したときに、その水の気や腹を測ることもできます。ノギスやマイクロメーターといった機器では測れない数値を測定できるんです。
これにはさまざまな機種があり、顧客の目的に沿って、その現場で使えるものをオーダーメイドに近い形で製造しています。例えば、iPadの外側の下のケースがくっつく前の状態で、そのアールの部分の頂点の厚みを測りたいといった要望に応えることができます。この製品も、毎月50台から100台ほど流れています。
さらに、株式会社カセダは大田区の営業商グループに所属しているため、横の繋がりが広いこともひとつの特徴ですね。自社ですべて製造することが難しい依頼が来ても、グループ内の2~30社のパートナー企業と協力して作ることができるので、どのような製品にも対応できます。
国内で生き残るために、時代のニーズに合わせて発展していく
株式会社カセダのような中小企業にとって、これから海外進出を目指すことはあまりに困難です。だからこそ、今後いかにして国内で生き残るかという戦略を立てていく必要があります。
例えばOA機器だけに特化したり、キャリパーゲージだけを販売していくという形ではなかなか生き残るのは難しい。そう考えたときに出てきたのが、植物工場です。植物工場とは室内で植物を育てるものですが、今株式会社カセダがこれから取り組もうとしているのは置き花です。
今、市場には置き花を育てるような小さな植物工場が安価で出ているのですが、株式会社カセダではそれらよりも質の良いものを製造していく予定です。植物工場は現在2つのグループがあって株式会社カセダはその両方に所属しているのですが、そのひとつである太田農水産業研究会は、私が会長を務めています。
今現在は単価的にコストに見合わないので、今後どのような方向性で進めていくか考える必要はありますが、太田農水産業研究会として農業、水産業、林業といった第一次産業の機械化を目指していこうと考えています。
その他には、福祉業界にも本格的に参入していこうと思います。まだ具体的な道筋は立てていませんが、福祉関係の機械化、または補助具の製造という面で関わっていきたいですね。
現在行っているものとしてはウィルチェアラグビー(車椅子ラグビー)のローラートレーナーを作っているのですが、今後高齢化によって車椅子を使う人が増えていく中で、時代に合わせて車椅子の生活を支えるものや、年配の方が使いやすい補助具の設計・製造に携わっていきたいと思います。
既存の商品に関しても、キャリパーゲージのような製品を作っている会社は国内に2~3社、世界全体を見ても5~6社程度しかないので、その希少価値を今後も残していかなければならないという使命もあります。だからこそ、株式会社カセダを今後も存続させるために、時代のニーズに合わせた新しい事業に挑戦していきたいですね。