ボーダレスキャリア株式会社 

高橋 大和

人材は「獲得する」から「育成する」時代へ

いい大人との出会いが、若者の将来を切り開いていく
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今回のインタビューは、若者に特化したキャリア支援サービスを行うボーダレスキャリア株式会社の高橋氏にお話を伺います。虐待やいじめなどの過去によって、社会に出た後も仕事でつまずいている若者に向き合い、就労支援を行う同社の取り組みを語っていただきます。

ボーダレスキャリア株式会社 代表取締役 高橋 大和氏のONLYSTORY

不遇な過去を持つ若者の就労支援を行う

–ボーダレスキャリア株式会社様の事業内容を教えてください。

高橋氏:ボーダレスキャリア株式会社は若者に特化した育成型の人材紹介サービス(ステップ就職)を行っています。いじめや虐待、不登校など、家庭環境や不遇な過去が影響して、社会に出て働き出した後も上手くいかず困っている若者が多いんです。そういった若者を育成しながら、良い形で就職ができるように社会に送り出すという事業を行っています。


–若者がいい形で働くことを目的とした育成ということですが、具体的にはどういったことをされているのでしょうか。

高橋氏:育成で大切にしていることは"自分で考える力"を養うこと。そのために、まず弊社と本人が雇用契約を結び、こちらに籍を置いた状態で、就職を希望している企業で働ける仕組みにしています。そうして実際に働いていくと、仕事で失敗したり課題が見えてきたりしますよね。ここでどうするかがとても大切なんです。

「その失敗はなぜ起きたのか?どうすればよかったのか?次に同じ場面がきたらどうするか?」などを、本人との面談も交えながら共に考え、思考と行動の両方を具体的に変えていくという方法をとっています。

もちろんそう簡単に変えられる訳ではないですが、課題が見つかった時にタイムリーに行うこと、そして繰り返し繰り返し行うことで、少しずつ変化が出てくるのです。

企業側から見ても、若者に対しての関わり方を熟知している私たちが側にいることで安心感も違いますし、協力して若者と向き合い、育成していくことができるというメリットがあります。

最終的には、その育成もやはり本人の考え方や気持ちが重要になってくるのですが、そこを本人任せにするのではなく、企業に押しつけるのでもなく、ボーダレスキャリア株式会社が間に入ることによって、育成のスピードも定着率も上げることができます。


–育成から就職するまでの流れについて教えてください。

高橋氏:育成期間は最長半年、その間の本人の働きぶりを見てもらって、本採用が決まるという流れです。もちろん、半年未満、短い人だと1ヶ月ほどで本採用が決まる場合もあります。期間の長さは本人と企業次第で、短いところもあれば、ミスマッチを避けるために長く取る場合もあります。

その間は本人と2週間に1度のペースで面談、もちろん企業にも定期訪問し、常に状況を確認しています。何かトラブルがあった際にはすぐに対応できるのも特徴です。実際に足を運ばなければならないため、サービス自体も現在は東京、神奈川、千葉、埼玉に絞っています。

もし、若者が企業とマッチしなかった場合は、また別の会社でチャレンジしていくことになります。どこかに正式に採用が決まるまで、きちんとフォローしていきます。この"何度でもやり直せる"というのもステップ就職の特徴です。


–利用者の方からはどのような声をいただきますか。

高橋氏:「自分に合う仕事かどうかは、働いてみないとわからない」というのが、若者の本音。これは社会経験も少なく、世の中にどんな仕事があるのかを知らない状態では当然です。そこで、会社を見学したり実際に働いてみることができるのが弊社のサービスなので、その点で評価をいただいています。

企業側も、自分の会社で長く活躍してくれる人材がほしい。しかし、それを数回の面接など短い時間で判断するのは、かなり難しいですよね。さらに若くて離職歴もあると、採用側としては余計に心配になる。それを半年間一緒に働きながら判断できるため、ミスマッチや早期離職のリスクを減らした状態で、若くていい人材を獲得できるという面が好評ですね。お互いのいい面が理解できれば、過去がどうかなんて関係ないですからね。

–事業を行う中で最も重要視していることは何ですか。

高橋氏:サービス利用者の若者と話す中で一番感じるのは、「これまでの人生で、いい大人に出会ってないんだな。」ということ。存在を認めてくれて、真剣に向き合ってくれる大人。ただ甘やかすだけじゃなくて、叱る時は本気で叱る。そんな存在がいなかったんだと。だからこそ、どういった企業と提携するかは、かなり気をつけてますね。

そういった若者たちが、ステップ就職によっていい大人がたくさんいる企業に出会い、その中で成功体験を積み重ねながら前に進んでいく。自分の足で立ち、自走できる立派な大人になっていく。そんな社会になったら良くないですか?!

働きたい若者といい大人たちの出会う場となれるように、これからも事業を拡げていきたいと考えています。

野球部での出会いが、人生を変えた

–高橋様の経歴について教えてください。

高橋氏:私は子供のころから野球が好きで、高校に進学して甲子園を目指そうと思っていたのですが、家が貧しくて野球が強い私立の高校には行けなかったんですね。しかし、進学した公立高校で出会った監督が、野球だけではなく私の人生にも大きな影響を与えてくれたくらい素晴らしい人でした。その人を信じて野球に打ち込んでたら、なんと県大会で優勝して、次の九州大会でも準優勝という成績を残せたんです。

そのときに、無名の高校でも、できると信じて一生懸命やればここまで結果が出せるんだという体験があり、人間は人との出会いで成長したり変化していくものなのだという実感を得たんです。

社会に出てからは、自分が受けた恩を次の世代に恩送りしていきたいという気持ちで仕事に打ち込んできました。最初はスポーツジムに入り、仕事にはとてもやりがいを感じていたのですが、もっと広い世界に向けて人が成長していく環境作りをしたいと考え、海外の方と日本人が一緒に暮らすシェアハウスを運営する会社に入りました。

その後、どうしても自分で事業をやりたいという想いがあり、バングラデシュで雇用を作る事業に従事した後、現在のボーダレスキャリア株式会社を立ち上げました。

全国、そして世界でのサービス展開を目指す

–今後の目標について教えてください。

高橋氏:現在は一都三県に絞ってサービス展開をしていますが、これを日本全国に広げていきたいと思います。いじめや虐待、不登校という問題は全国にあり、同じような悩みを抱えている若者がいます。特に地方は働き手が不足していて企業側も本当に困っています。早くこの問題に取り組めるようにしたいですね。

また、これは日本に限らず、海外でも問題になってきています。そういった面で、私たちがこれまで培ってきたノウハウを広めることが、それらの社会問題の解決に役立つと思うので、このサービスを世界展開していきたいとも考えています。

私自身、国際交流シェアハウスの事業でたくさんの外国人と関わってきましたが、言葉や文化は違えど、本質的な部分って同じなんですよね。だからこそ、私たちのやり方や知識が、外国でも役立つ日がくると思っています。

ただ、私たちの仕事が成り立たない社会を作っていくことこそが本当の理想です。本来、不遇な過去を持って人生に悩む若者がいない方が幸せですからね。

–読者の方にメッセージをお願いします。

高橋氏:周りの人に事業の説明をすると「変わったことやってるね。」とか「大変そうだね。」とよく言われるんですよ。でも今の日本って、子供の数は年々減っていますが、虐待の件数は増えていっている。不登校の問題も深刻化していて、学校の役割もこれから変わっていくでしょう。

このままいくと、5年、10年先には、虐待や不登校を経験した若者が社会の中でも多くなっていく可能性があります。そんな状況では、従来の基準で採用を進めるのは難しくなる。きちんと人の心と向き合って、育てていくという考え方が重要になります。

だからこそ、企業側や社会も、人材を獲得するという考え方から、人材を育てるという考え方にシフトしていく必要があると思います。

若者に対しては、どうか自分自身と将来を諦めないでほしい。いい大人もたくさんいますし、自分の可能性を活かせる場所はきっとある。だから、希望を捨てないで頑張ってください。
                                                                                                                             執筆=スケルトンワークス
                                                                                                                                                     校正=笠原

ボーダレスキャリア株式会社の住所や電話番号、採用・求人等が載っているホームページはこちらから↓

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