キカク株式会社
渡邊 亮輔
POSTED | 2020.05.28 Thu |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:IT・情報通信業 創立:5〜6年 決裁者の年齢:30代 商材:BtoB |
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行政データをオープンにし、街の住みよさの指標を作る
異なるデータ形式や項目を統一フォーマットにして提供Topics
今回のインタビューは、行政データをオープンにし、民間サービスのデータソースとして使いやすいデータを提供しているキカク株式会社の渡邊氏にお話を伺います。
「企業を支援し、日本の産業を成長させたい」と語る渡邊氏に、サービスに込める想いを語っていただきました。
キカク株式会社 社長 渡邊 亮輔氏のONLY STORY
【経歴】
大阪府大東市出身。京都大学在学中の2011年に株式会社Vi−Kingを共同創業し、エンジニアコミュニティ「CAMPHOR-(カンファー)」の立ち上げと運営、iPhone/Androidアプリケーション開発に従事。2012年からはリクルートに新卒入社し、グロースハッカー、プロダクトマネージャーとして「タウンワーク」「リクナビ派遣」「ジョブオプ採用管理」「ジョブオプLite」のグロースに貢献。業務の中で派遣業の許認可データを扱ったことがキッカケで、その使いづらさと有益性を実感し、行政データをHackするキカクを創業。行政データを活用したデータソリューション提供に取り組んでいる。
全国の許認可情報を整理してデータ活用
–キカク株式会社の事業内容をお聞かせください。
渡邊氏:弊社は、行政データを中心にオープンデータを活用して「街の住みよさ、変遷」を見える化するサービスをBtoBで提供しています。
たとえば全国の飲食店や薬局など、許認可に関わる情報を一つのフォーマットで見られるように整理することで、あるエリアの特定の業態の施設や事業者の情報、そのエリアにおける業態ごとの変遷(新規開業や廃業など)を参照できるようになります。
これらの大量の事業データをもとに、特定のエリア内でのレコメンドロジックを作る不動産会社や、リード獲得のための企業リストを作成している企業を中心に、ソリューションを提供することが弊社の事業になります。
–それらのデータは具体的にはどのように活用できるのでしょうか。
渡邊氏:たとえば住む家を探すときに、徒歩7分以内にスーパーとドラッグストアと保育園がある街、とサイト検索をしても、今はそのような情報が綺麗に一覧化されていることは少ないのが現状です。
そこで、不動産会社は弊社のデータを活用していただくことで、これまでバラバラだったエリア内の情報を一元化して物件紹介ができるようになります。
–扱っているデータにはどのようなものがありますか。
渡邊氏:基本的には施設データがメインですね。
たとえば飲食店やスーバー、コンビニを出すときに必要な食品営業許可と呼ばれる許認可の情報や、ネットショップや美容室、理容室など自治体側で許可を出しているあらゆる施設に関してのオープンデータを扱っています。
–同業他社と比べて差別化できるポイントや強みを教えてください。
渡邊氏:全国津々浦々あらゆる許認可のデータをここまで集めているところは弊社の他にはないと自負していますね。
また、データ収集やデータ整理には極力人を介さないことでコストを抑えていますので、企業様のニーズに合わせてデータをスコア化するなど、付加価値を付けたサービス提供が可能であり、弊社の強みだと考えています。
–他にもデータを活用したコンサルをされていると伺いました。
渡邊氏:はい。一つはデータコンサルティングとして、スコアリングやアルゴリズムを作る支援を行っており、Webサイトの裏側で機能するロジックやデータ、それらを演算する部分を全てこちらで作っています。
もう一つは、自治体向けにデータに関する研修や業務改善を行っています。なかにはオープンデータに対してあまり理解をされていない自治体もいらっしゃいますので、データを公開していく重要性を講演などでお伝えしています。
価値あることに限りある時間を使いたい
–起業された経緯を教えてください。
渡邊氏:前職のリクルートでプロダクトマネージャーとして派遣サイトを担当していた際、営業リストを作成するために派遣業の認可情報を集めたことがきっかけで、許認可データについて調べるようになりました。
すると、飲食店や薬局などの許認可データを行政が公開していなかったり、自治体ごとにファイル形式やデータ項目がバラバラだったりすることに気づいたんです。問い合わせをすると紙の資料で届くことがほとんどでしたね。
そこで、「これらのデータを一つのフォーマットで見られるようにすれば、施設データベースを作ることができ、市民や事業者が知りたい情報に辿り着けるようになるのでは」と考え、キカク株式会社を創業しました。
–独立に踏み切ることができた理由は何ですか。
渡邊氏:30歳を超えて社会人歴がそれなりに経っていたこともありますが、どちらかと言うと、本当に面白いと思うことや好きなこと、価値あることに自分の限りある時間を使う方が良いと思うようになったからですね。
–渡邊様は学生のときにも事業を立ち上げていらっしゃいますね。今回2回目の起業を通して、学ばれた点などがあれば教えてください。
渡邊氏:学生時代は代表3人で会社を立ち上げましたが、今回は本当に一人で立ち上げたので、そういった意味ではすごく不安もありました。
しかし、本気で価値あることを発信していると、手伝ってくれる人が出てきてくれるんですね。そのことが一つの学びであり、感謝の気持ちが大きいです。
今のチームはみんなTwitterやFacebookからのつながりです。一つのことをちゃんと突き詰めて、価値あることを信じて発信し続けることがすごく大事だと感じています。
データ活用で、日本の産業の発展を目指す
–今後の目標を教えてください。
渡邊氏:今後は、企業がサービス運営にデータを活用するだけでなく、研究者が論文を書くためのデータとしても活用できるようにデータ整理を進め、日本の産業を成長させるきっかけを増やしていきたいです。
また、弊社が持つ事業者情報を国や行政に開放し、データを参照する基盤となることで、行政業務の効率化やデータのオープン化、ひいては経済発展にもつながるムーブメントを生み出していきたいと考えています。
–社会的にどういった影響を与えていきたいとお考えですか。
渡邊氏:一つは、行政データをうまく活用することで企業が成長し、経済発展に貢献できる企業を増やしていくこと。
そしてもう一つは、自治体や行政の業務効率化の支援をすることで、新たに生まれる時間を国民や市民のためにより役立てていただけるはずですなので、それによって国が豊かになれればと思いますね。
–特に今、力を入れていきたいことはありますか。
渡邊氏:僕らが持っているデータが街の状態を表す一つの指標になれば、企業の支援にもつながり、世の中にも役立つと思っています。今はとにかくデータ分析でしっかりと統計を作ることに注力していきたいですね。
–では最後に、メッセージをお願いします。
渡邊氏:「街の住みよさ、変遷」のデータを活用して自社商材の提案ロジックをより磨き込みたい企業様や、リード獲得のための営業リストを作成したい企業様は、ぜひご連絡ください。
同じくデータビジネスをやっている企業様との協業も視野に入れていますので、ご興味のある方はご連絡お待ちしております。
執筆=山田
校正=米山