株式会社ピコトン
内木広宣
POSTED | 2015.04.26 Sun |
---|
TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:広告・マーケティング・制作 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
---|
子供たちの「違い」を褒めて伸ばすキッカケ作り
親子が向き合うキッズイベントの全国展開Topics
株式会社ピコトン 社長 内木 広宣氏のONLY STORY
キーワードは子供たちの「想像力」
株式会社ピコトンは、子供たちの「想像力」育成に特化した、子供向けのイベントやアプリ、会社見学などのコンテンツを企画・制作している会社である。この子供たちの「想像力」とはいったいどのようなことなのか、また「想像力」に対する想いを内木広宣社長に直接伺った。
「『想像力』とは、子供たちが当たり前に持っている力です。例えば、自由に絵を描いたり、ものを作ったりする発想のことです。子供たちは最初から想像力を持っています。ところが、自由な発想で青いウサギを描けば、多くの親や先生がそれは間違っていると否定し、正してしまいます。繰り返し否定されれば、やがて発想する意欲は失われるでしょう。何物にも囚われない自由さは、子供の時期だけの特別なもの。なくすのではなく伸ばしていきたい。
その為に、違いを否定するのではなく、まず認めることが何より大切です。つまり、子供が本来持っている想像力を伸ばすかどうかは周りの大人がカギとなってきます。自由に発想した子供が『僕はこれが好きで、このままでいいんだ』と思って、それを親が認めてくれると嬉しいですね。その場を提供するのが、私達ピコトンの使命だと考えています」
ピコトンのコンセプト「コドモのサイノウをほめよう!」にもあるように、内木広宣社長も含め現場に出ているスタッフも、子供の良さを認め、褒めることに力を注いでいる。
全国の親子に体験してもらうための仕組みづくり
子供たちが自由に想像するキッカケを、より多くの親子が手軽に参加できる場所で提供するための1つの手段として、ピコトンはイベントのパッケージ化を行っている。パッケージ化というのは、イベントに必要なすべての道具を用意し、あらゆる事態を想定したマニュアルによって誰にでも運営できる形を作ること。
1. 企画書の中から開催したいイベントを選択。参加人数や期間、時期などの要望を伝える。
2. 具体的な席数などを想定した見積もりを確認し、問題なければ発注。
3. マニュアル、道具、素材やテーブルクロスなどがセットになったパッケージが数日前に到着。
4. マニュアルをもとにテスト。不安があれば電話確認し、イベント当日に備える。というのが主催者側の依頼から開催までの基本的な流れである。
このパッケージ化したイベントにもピコトンのこだわりがある。ただ与えられた完成形を目指すのではなく、子供たちに考える「余地」を大きく残すことだ。
例えば様々な生き物を組み合わせて未知の動物を考える「シャッフルぬりえ」。通常の動物ではなく、あえて実在しない動物を作ることで「ライオンは黄色」といった正解を奪う。姿や色だけでなく、名前や鳴き声まで考えてもらうことで、自分の頭でイメージする力やそれを伝えたいというコミュニケーション力が生まれるのだ。
ヒーローショーやお菓子のつかみ取りといった、与えるだけの従来型のイベント業界に、「子供の成長」を盛り込んだピコトンのアイディアが風穴を開けた。
デザインの力でコミュニケーションを生み出す
それではそもそもなぜこのような事業を始めようと思ったのか、そのきっかけを内木広宣社長に伺った。
「大学時代にコミュニケーションデザインを学んでいる中で、『オバケーション』という活動にかかわりました。オバケーションというのは、子供たちが身近なものからオバケを想像し、そのアイディアを投稿してもらうというものです。デザイナーがキャラクター化し、商店のマスコットキャラなど社会で活躍。考えた子供に成功体験を提供することを目的とした活動です。
商店街とのコラボ企画では、協力してくれたお店が子供たちの考えたオバケを使ってくださり、『あれ僕が考えたんだよ!』とキャラクターを通して子供と地域を結びつけることができたんです。それは私にとって今の事業につながる特別な出来事でした。この体験がきっかけとなり、子供の無限の可能性に気づいたのです」
大人が何人がかりで挑戦してもなかなか解決できない、地域間のつながりの希薄化という問題を、子供の想像力が解決したのである。
危険なことにも挑戦させたい
最後に、今後のビジョンを伺った。
「誤解を恐れずに言うなら、危険な体験を提供できないかと考えています。例えば今は刃物はハサミまでしか与えませんし、小さなパーツは親御さんと一緒に扱ってもらっています。
でも、与えられた安全の中では学べないことってあると思うんです。転びながら自転車に乗れるようになるように、危険と向き合うことで得られる経験を提供できないかと考えています。もちろん、怪我の対処は万全にしますよ」
守られすぎているこの時代だからこそ、ピコトンのような子供に「やってごらん」と挑戦させてあげられる会社はとても魅力的だ。
編集後記
私も幼い頃、幼稚園や小学校の先生に手本と同じように描きなさい、作りなさいと何度も何度も注意された。ピコトンのように図画工作を自由に、そして認めてくれる会社があれば、想像力がある子供が増えるかもしれない。子供の創造性を伸ばすことに力を入れているピコトンに今後も注目していきたい。