特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン
渡邊 圭
POSTED | 2021.04.16 Fri |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:広告・マーケティング・制作 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoB |
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SDGs啓発とマーケティング支援を連動させたイベント
前例ない渋谷ハチ公前のイベントでSDGsを広く発信Topics
今回のインタビューは特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン理事長の渡邊圭氏に、SDGsの啓発活動がどう企業の支援と結びつくのかやイベントを渋谷ハチ公前で開催する意義、渡邊氏の独特の世界観などについてお聞きしました。
特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン 理事長 渡邊 圭氏のONLY STORY
【経歴】
1977年 千葉県出身 1歳渡米、5歳帰国日本各地を転々とする。2005年起業。アクセサリー、ジュエリー等制作メーカー取締役就任。世界的アーティストのジュエリーコレクションのデザイナー、プロデューサーを担当。デザインマイアミなど参加。
2008年、特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーン理事就任。外務省ODA事業で中国福建省環境学習モデル校設立などに参加。2010年渡米(LA)、iTunesよりアルバムをリリース。ミュージシャンとしてのラジオ出演をキッカケに日本文化を意識するように。日本伝統文化から地球温暖化防止を学ぶ独自カリキュラムを制作。在ロサンゼルス日本国総領事館後援でイベント開催。現地校にて独自カリキュラムを実施。
帰国後、独自のSDGs事業で『外務省JAPAN SDGs ActionPlatform』に、非営利法人で初めて法人名掲載(5カ所)。2014年フォーエヴァーグリーン3代目理事長に就任。フードロス事業始め、環境学習コンテンツを開発/普及に務める。内閣府地方創生SDGs官民連携プラットフォーム内2件の分科会設立。現在は、消費者と企業のエングージメントを高める事業、SDGs啓発イベント『ピースフォーアース』実行委員会会長、エグゼクティブプロデューサーとして活躍中。
地球温暖化防止×マネタイズ
––特定非営利活動法人フォーエヴァーグリーンの事業内容をお伺いします。
渡邊氏:私たちは2001年よりSDGs13番の「気候変動に具体的な対策を」を最優先課題として、事業を運営。地球温暖化の防止に貢献するイベント『ピースフォーアース』の企画・運営を行なったり、そのほかにSDGs4番の「質の高い教育をみんなに」につながるセミナーや交流会の運営、フードロスを減らすために食卓に上らないで廃棄されてしまう食材を商品化したりしています。
––どういう課題を持つ企業が、フォーエヴァーグリーンのSDGs活動を利用しているのでしょう。
渡邊氏:サステナブルな商品やサービスを持ってはいるものの「市場の認知が得られていない」「ブランディングに活用できていない」などのお悩みを持つ企業様です。
実際、SDGsが声高に叫ばれている割には、エコ、エシカル、サステナブル系の商品はそこまで売れていません。では、「どうしたら売れるようになるのか」を考え、ピースフォーアースのようなイベントを通して、生活の中にあるSDGsを広く発信し、SDGsに対するアクションを1つでも多く引き起こすのが私たちの役割になります。
––ピースフォーアースではどのようなことを行なっているのでしょうか。
渡邊氏:ピースフォーアースの目的はSDGsの啓発と企業のマーケティング支援なんです。例えば、昨年の11月は若者の街と言われる渋谷で開催したので、若者をターゲットに駅前にSDGsに関連するポスターを展示し、加えて渋谷M O D IでのSDGs展に繋げました。
企業のSDGs活動をポスターでキャッチーに紹介することで、新規顧客の開拓を行い、同時にこれまで多くの若者がエコやSDGsに対して感じていた「わかりにくい」というイメージを、コンテキストをデザインして「身近で格好いいもの」というイメージに変換させ、最終的に「SDGs(環境)ビジネスの成長につながるイベント」を目指しました。
––これまで開催してきたイベントに参加された企業様からはどのようなお声をいただきますか。
渡邊氏:印象的なのは川崎でのイベントで、電気自動車のP Rを行ったことです。電気自動車の印象は「ガソリンを電気に代えた車」が一般的ですが、この電気の活用方法はとても画期的なんですよね。
例えば、災害で電気が止まった際には、明かりが確保できて、ご飯を炊くことができます。今までは車としての利用方法以外は十分にアピールできていませんでしたが、イベントで利用する電気を電気自動車から賄い、それを参加者に伝えることで、よりダイレクトに非常時の使い方をアピールができて、企業様からもお喜びの声をいただきました。
はじまりはおでん屋さんでの出会い
––フォーエヴァーグリーン理事長になった経緯をお伺いします。
渡邊氏:起業した事業が軌道に乗ってきた頃です。きっかけはおでん屋さんで出会ったおばぁさんでした。当時の私は装身具制作の傍ら音楽活動をしており、そのおばあさんに「偉い人が僕の音楽を評価くれたらもっと売れるかもしれないね」なんて話していたんです。そしたらおばあさんが、当時のフォーエヴァーグリーンの理事長を紹介してくださり、東京大学の教授の教官に私の楽曲を聴いてもらう交換条件として、フォーエヴァーグリーンの会員になりました。
それからイギリス大使館で開催される地球温暖化に関する会合に招待され、イギリス政府の首席科学顧問や、今では国立環境研究所副センター長となった江守博士のお話など聞かせていただきました。そんな理事長とのお付き合いが続いたある日、「君が音楽が成功しても、幸せになるのは君ひとり。その才能をもっと大きな仕事に活かしなさい」と言われました。つまり、それがフォーエヴァーグリーンを引き継ぎ、地球温暖化を止めるということだったんです。
––ドラマのような話ですね。
渡邊氏:任された当時は「地球温暖化」の言葉も知らない状況でした。けれど頼まれたお仕事はどんなことでもベストを尽くすのが私のスタイルなので、全力で取り組んできました。
誤解されやすい言い方になりますが、私は社会貢献を目指してこの事業を続けているわけではありません。今そこにある地球温暖化という課題を解決するのが私の仕事なのです。生きがいとか未来のためになんて言わないので、ドライだと見られますが、それがかえって企業からは話しやすいと思われる場合もあるようです。課題の解決は数字でハッキリ出ますからね。
––事業を展開する上で渡邊さんが大切にしている考えをお聞かせ願えますか。
渡邊氏:「破壊と創造」ですね。例えば、現状の日本では意思決定を行うのは高齢者が中心です。しかし、日本の未来を考えた場合、あと数年の時間しか持たない高齢者ではなく、この先長く活躍できる若者の意見の方が貴重であり大切にされるべきではないでしょうか。このような発想の転換が「破壊」で、若者の意見を反映する社会しようと企画し、実施することが「創造」です。
創造、つまりクリエイティブという言葉は、現状の否定をやんわりさせた言葉で、単に新しいものを創ることではなくて、今あるものをより良くすることだと思っています。例えば1~10まであるものをより良くした11番目を創ることがクリエイティブで、それは既存の10件の否定でもあり、明確な否定を避ける日本の文化とは相容れません。
それでも、分かり合えるまでメッセージを発信し続けることは、何かをなし得るためには必然的に通る道だと僕は思っています。
渋谷ハチ公前で始めたイベントを全国へ
––今後の短期的な事業目標をお聞かせください。
渡邊氏:渋谷ハチ公前という大きな事例があることで、他の自治体からも「後援可能なイベント」と言ってもらえています。これを弾みに私たちのイベントを全国に展開させたいです。渋谷のハチ公前を借りたのはフォーエヴァーグリーンが初めてだったので手続きはとても大変でしたが、後々のことを考え決行したのは正解でしたね。
今後、一緒に全国での開催するパートナー見付け、実施すること。これが短期的な目標です。
––長期的にはどういう展望をお持ちでしょうか。
渡邊氏:海外での事業展開で、最終的には1000年後の世界で、今地球があるのは日本人のおかげと言われるような文化の発信をしたいです。今ここで明かすことはできませんが、熱意や意気込みだけではなく、私には具体的なプランがあるんです。
そのプランを実行すれば、日本人あるいは日本文化が世界を救うことになるでしょう。日本に生まれた日本人が日本の歴史を愛し、伝統文化を正しく継承すれば、日本人は世界のどこででも活躍ができます。そういう社会を今、私は作ろうとしているんです。
––最後に、読者へのメッセージをお願いします。
渡邊氏:どのようなムーブメントも長くは続かないものです。私の事業の柱の一つでもあるSDGsも、早く波をつかんで形にしなければCSRの時の様に、「なんとなくやってる」程度のフワッとしたものになってしまいます。私は、今のこの熱気が冷めない内に、一つの形を作りたいと考えています。
今、大企業はエンゲージメントを高めるマーケティングを行うなど、消費者とのコミュニケーション方法を模索しています。ユニリーバは世界の貧困層10億人を救う運動を展開するなど、その発想はドンドン新しいアイディアが発信されています。そのようなパーパスを発信する活動が企業へのエンゲージメントを高め、やがて消費へとつながっていきます。
その支援を行うことを通して、気候危機対策(SDGs)を実現するのがフォーエヴァグリーンです。企業と我々をつないでくれるようなメッセンジャー、エージェントとなってくれる方を募集しています。ぜひご連絡ください。
執筆=増田
校正=笠原