株式会社オオスミ
大角 武志
POSTED | 2019.08.14 Wed |
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TAGS | 従業員数:101〜300人 業種:製造業 創立:15年以上 決裁者の年齢:その他 商材:BtoB |
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100年後の地球環境を守ることが私たちの使命
資格保有技術者と徹底した精度管理で分析を行うTopics
今回のインタビューは、1968年創業以来、50年間も人々が安全に安心して暮らせる地球環境づくりに貢献してきた株式会社オオスミの2代目経営者・大角武志氏にお話を伺います。
同社が展開する5つの事業の内容や、事業継承されるまでの経緯、そして今後のビジョンについて語っていただきました。
株式会社オオスミ 代表取締役 大角 武志氏のONLY STORY
大小5つの柱で幅広く事業を展開
–まずは、株式会社オオスミの事業内容を教えてください。
大角氏:はい。弊社は、環境分析から環境調査・測定、そして環境コンサルティングを行う会社です。
事業としては、大小5つを柱に事業を展開しています。
まず1つ目が弊社のメインとなる環境保全事業。これは工場排水や焼却炉などの煙から環境中に有害物質が出ていないかを把握する分析調査の仕事です。
2つ目の労働安全衛生環境事業は、労働安全衛生法に準拠した環境であるかを測定し、測定結果を評価し、職場環境の維持や向上についてアドバイスをする環境事業です。
3つ目のエネルギーソリューション事業は、ガスや電気のエネルギー資源の無駄を削減するための省エネ診断とその診断を基にした対策を行います。
4つ目の製品材料試験事業は、製品を作る際や製品に不良や欠陥、その製品に使用されている素材を化学的、科学的な手法で解明する事業です。
5つ目の環境関連商品の販売事業は、大きく2つありまして、1つは創業以来続いている工業薬品の販売と、もう1つはエコ素材やエコ商品などの販売です。
以上、5つの事業が柱になっています。
–ありがとうございます。環境ビジネスとして様々な取り組みをされていらっしゃるんですね。その中で御社の特徴はどこにあるとお考えでしょうか。
大角氏:そうですね。まず競合他社について申しますと、「環境計量証明」という大気質・水質などの分析業務を行い、分析結果に基づく計量証明の発行ができるのは、経済産業省に認められた企業だけなんですね。
その環境計量証明業に登録している組織は、全国で1500社ほどありますが、その中で弊社の特徴としては大きく3つが挙げられます。
1つ目は、国家資格を有している技術者の割合が多いことです。一概には言えないのですが、弊社では1社あたりの保有資格者業界平均の約2倍の技術者が働いています。
資格取得者数を増やすために、会社としても、補助や手当などさまざまな方策を用いています。業界の中でもこういった企業はあまり多くはないと思いますね。
続いて2つ目は、徹底的な精度管理です。実は分析と言うのは同じ検体を使用しても同じ結果になるとは限りません。機械の違いや前処理の方法によって誤差が生じてしまうんです。
もし間違った分析値を出してしまうと、お客様の対策費用が、何百万、何千万、何億とかかってしまいかねません。そういった事態を私たちの手で招くことがないよう、何百機関もが参加するような精度管理の機会に多く参加することで、自分たちの間違いに気づくような仕組みを常に行っています。
そして3つ目の特徴は、分析をするための検体を取る、いわゆるフィールドワーク専任の技術者が分析技術者以上にいることですね。
–他の組織よりも検体を採取するフィールドワーク技術者が多いことはどのようなメリットに繋がるのでしょうか。
大角氏:まず、検体の採取から分析までワンストップで行うことができる点。そして、より高い精度の分析ができる点です。
後者に関しましては、計量証明において、分析結果は検体を採取する方法によって変わることがあるんですね。しかし、お客様が持ってきた検体では、どのように採取されたかが分かりませんので、ただ分析結果をお出しすることしかできないんです。
一方で、弊社にお任せしていただければ、決められた正しいやり方で検体を採取し、分析できる。この業界は分析をメインにしている会社が多いのですが、私たちの場合、その分析を正しく行う前段階にも力を入れています。これは弊社ならではの大きな特徴だと考えていますね。
–実際に御社にご依頼されるお客様はどういった方が多いのでしょうか。
大角氏:さまざまな業界からお仕事をいただいておりますが、申し上げられるところですと、役所や官庁などですね。近年では東京都中央卸市場の築地市場における空気測定を担当いたしました。
リーマンショックの影響で経営を立て直す
–先代のお父様が起業されたきっかけについて教えてください。
大角氏:先代である父は、農業大学でバイオテクノロジーの勉強をしていました。大学卒業後はサラリーマンになったのですが、いつか社長になりたいという夢はずっと持っていたようです。
その後、入社した会社で扱っていた商材が廃止されることとなり、父がその商材を扱う許可を得て独立をし、個人事業主として事業をはじめました。これが株式会社オオスミができたきっかけになります。
–その後、大角様が事業継承されるまでの経緯を教えてください。
大角氏:当初、父は1人で経営をして、環境関連商品の販売を行なっていましたが、だんだん公害が騒がれるようになり、水や空気の分析を事業として行うようになったんですね。
その頃には、会社としても有限会社から株式会社へと大きくなって行き、従業員も50名ぐらいになっていました。
一方、私といえば、大学で環境事業とはまったく関係のない、通信工学分野で半導体やIC、電気回路などを学び、卒業後も半導体を扱う上場企業に就職をしました。
その後、建設設備会社に転職をして、営業マンをしていましたが、父の方から事業継承のことも含めて一緒に事業をやらないかと声が掛かかり、私が30歳の頃に株式会社オオスミに入社しました。代表取締役に就任したのは2003年になります。
–事業継承時に大変だったことはありますか。
大角氏:先代から引き継いですぐは、利益も売上も順調に上がって行きましたが、2008年のリーマンショックで影響を受け、経営の厳しさに直面しました。そこからはきちんと計画を立て地道にこつこつと歩んでいくことを学び、現在はV字で回復をすることができましたね。
発展途上国の環境問題を解決していきたい
–今後のビジョンについて教えてください。
大角氏:5つの事業のうち、これからはアジア諸国のエネルギーソリューション事業に力を入れていきたいと考えています。
なぜ、アジア諸国かと言いますと、発展途上国では経済発展が急速に行われてきたことによって環境面に大きな負荷が出てきているからです。地球全体の環境問題を解決していくためには、環境対策が進んでいる先進国ではなく、今まさに環境汚染が進んでいるアジアで対策を進めなければならない。
これまでは、アジア諸国と日本国政府が発展途上国と協力して環境政策や対策をしてきましたが、やはり環境問題を解決するためには、その国の中で環境の大事さが根付き、調査分析し、対策することが重要です。
だからこそ、アジアに対して、私たちがこれまでに得た経験を見本としてアドバイスし、その国で根付かせて行くことが有効だと考えています。そのためにも、海外の事業比率を高くしていきたいですね。
–日本だけでなく海外の環境問題の解決に貢献していきたいとお考えなんですね。そういった想いの根源はどこにあるのでしょうか。
大角氏:株式会社オオスミが掲げる「私たちは地球に暮らす人々に『安全』と『安心』を環境面から提供しつづけます。」という使命ですね。この使命にある通り、私たちは「地球」の環境について常に考え、事業を営んでいます。
具体的には、3つの指標があり、100年後も水が飲めること、空気が吸えること、そして環境破壊や地球温暖化は過去の出来事として歴史の教科書の言葉にさせること。これらを成し遂げるのが私たちの仕事です。
そういった使命に共感してくださる人たちと共に、これまで培ってきた知識や経験を総括して、地球環境を守り続けることに立ち向かっていけたらと考えています。
執筆=山田
校正=笠原