株式会社ハピネックス

齋藤 裕一

実は、簡単ISO。実態を知ることで見える誤解とは?

経営・仕事ツールとして使いこなし、企業を活性化!
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ISO規格の認証取得。この言葉に、果たしてどのようなイメージを抱くだろうか。仕事が増えそう…という面倒なイメージを思い浮かべる方が少なくないと聞く。

「取得に際して、特別新しいことはやりません。日々の業務のなかで行っていることを、審査に通過するように少し形を整える作業が中心です。取得を通じて社内の仕組みの整理や業務効率の向上が図れ、企業としてのステップアップの機会になります」

そう語るのは、ISO取得を支援するコンサルタントである株式会社ハピネックス代表取締役・齋藤 裕一氏。誤解が多いISO認証取得のリアルについて伺った。

株式会社ハピネックス 社長 齋藤 裕一氏のONLYSTORY


1975年、千葉県鎌ケ谷市出身。1995年、明生情報ビジネス専門学校卒業。小学校の吹奏楽部でトランペットのパートリーダーを務める。中学校で小室哲哉先生に憧れをもち、高校のときにアルバイトで貯めた貯金をはたいてシンセサイザーを購入。生徒会長を務めながらバンドを結成。シンセサイザー+シーケンサーで打ち込みをするうちに、プログラミングに興味を持つ。専門学校で汎用機COBOLを専攻して業務システムの開発の基礎を習得。

卒業後、電気機器メーカーのシステム部門で生産管理・受発注システムの運用・開発・保守に携わる。ソフトハウスに転職後、配属先でISO27001(ISMS)認証取得の活動があり、ISOマネジメントシステムの存在を知ったことから、ISOにのめり込む。経営コンサルティング会社に転職後経験を積み、その後独立。現在は、株式会社ハピネックスの2代目として、ISOを基軸とした経営コンサルティングを事業展開している。

もしも明日「ISO取得の担当者をやってくれ」と言われたら?


ISO規格の認証取得担当者に任命された方によくある誤解があると、齋藤氏は言う。

― 齋藤氏 ―
「仕事が増えそうとおっしゃる方がいらっしゃいますが、そんなことはありません。また、専任の担当者を置かないといけないということもありません。というのも、ISO認証の取得は日々の仕事や企業全体をよくするためのもの。ISOのために仕事をするわけではありません。簡単に言うと、日々の業務の延長にあると捉えていただければいいかと思います」

ISOは企業や日々の業務をより良いものにするための手段であり、目的では決してない。そのため、日々の業務と並行して取得の準備をすることが自然であり、専任の担当者を置く必要もなければ業務が増えることもないのだ。

また、齋藤氏がよく聞く話のなかにあるもう一つの誤解がある。

ISOの取得の審査は規格の要求と取得する企業の実態が合っているのかを確認するものであり、決してふるい落とすものではない。

― 齋藤氏 ―
「取得する企業を中心にして考えるのが、本来あるべきISOの姿です。ISO規格の認証を取得する、あるいはISO規格の定めていることを守る目的で日々の業務を行うわけではありません。もっと言えば、ISOを取得したことによってその企業の事業活動がどう発展するかが何よりも大切なのです。そのために、ISOを絡めたアプローチからどういったご支援ができるか。それが、コンサルタントとして弊社が大事にしているスタンスです」


数々の企業に対してISO規格の認証取得を支援してきた齋藤氏だからこそのこうした言葉から、ISO取得の実際が見えてくる。大変な仕事と思っていたことが少しずつ身近に、自分にもできる仕事の一つと思える。

コンサルタント選びと認証取得者の心得


ここまで触れてきたISO。これは、国際標準化機構という組織の略称である。ISOの加盟国には、原則各国に1つの認定機関と呼ばれる組織を置く制度となっている。日本においてはJAB・公益財団法人日本適合性認定協会という組織がこれに該当する。

認定機関であるJABは、審査機関を認定する権限を持っている。審査機関はISO規格の認証取得を希望する企業を審査するのだ。日本には審査機関がおよそ40社存在する。

― 齋藤氏 ―
「認定機関は加盟国に一つありますから、例えばアメリカやイギリスなど他国にもあります。審査機関はどこの国の認定機関から認定をもらってもいいので、本社がイギリスにある企業の日本法人が、イギリスの認定機関から認定をもらって審査機関を務めているというような事例もあります」

審査をする機関にはこうした認定の仕組みがある一方、ISOコンサルタントには特別な資格や許認可がない。そこに課題があると、齋藤氏は言う。

― 齋藤氏 ―
「コンサルティングを請け負う企業によってコンサルティングのやり方が色々なので、依頼する側が依頼企業を見極めるのが難しい現状があると思います。その際には、まずISOを取得できればいいのか、ISOの取得を通じて企業を良くしたいのかなど、取得する目的に合わせて依頼先を選ぶのがいいでしょう。


ただ、どういった場合にも共通して言えるのは、『べき論』を語るコンサルタントには依頼をしないほうがいいということです。先ほどから話しているように、ISOは本来、取得する企業がどうありたいかを中心に考えるはずのもので、コンサルタントの『べき論』を押し付けることは適切ではないからです」

コンサルタント選びにこうした気を付けるポイントがある一方、取得の担当者にも気を付けるポイントがある。

― 齋藤氏 ―
「一人でやってしまうと、ISOに関することが他の従業員にとって他人事ややらされ仕事になってしまい、うまく社内に定着しません。全社で社内の課題を解決し企業のレベルを上げようという姿勢が必要になります。担当者だけでこうした機運を作りづらい場合もありますから、弊社がコンサルティングする時には従業員を自然に巻き込むような対応もしながら進めています」

現役審査員としての視点も活きるコンサルティング


ここまで、齋藤氏は「ISOの取得は目的ではなく、企業をより良いものにするための手段である」と繰り返す。その考えに基づく社の事業は、どのようなものなのだろうか。

― 齋藤氏 ―
「弊社はISO規格の認証取得のためのコンサルティングを行っている企業ではなく、ISOの取得をきっかけに経営コンサルティングを提供している企業です。ISOはあくまでツールであり、取得のプロセスを通じて企業の仕組みを見直したり最適化したりするので、結果としては取得のコンサルティングではなく経営のコンサルティングをすることになるのです」

数あるコンサルタントの選択肢の中から齋藤氏に依頼をする場合、強みはどこにあるのか。続けて、伺ってみる。

― 齋藤氏 ―
「私は現役の審査員としてISO取得のための審査も行っています。『審査を受ける企業の実態がISO規格の要求を満たしているのか』を見極める視点から、本当に企業に役に立つ形でISO取得をご支援することが可能です」

現役の審査員としての知見を有しているという大きな強み。この強みがあることで、コンサルタントがよく陥る誤りを客観的に認知し、対策を整えた上で支援を行うことができているのだという。

― 齋藤氏 ―
「時に、規格の要求を満たすことを優先して企業の仕組みづくりを行ったような企業の審査を担当することがあるんです。

取得企業が本当にISOを役立てるには、その企業の実態に合わせた仕組みを作ったうえで、それを規格の取得に結びつく形に整えるという順番でコンサルティングすることが必要。現役の審査員としての視点も活かしながら、適切な優先順位に沿ってクライアント企業の仕組み作りとISO取得のお手伝いをさせていただいています」


規格の要求を満たすことを優先するのではなく、あくまでも企業の実態に無理なく沿う仕組みを整備する。そのうえで、その仕組みが規格の要求に合うように形を整えていく。この順番で進めないと、企業がISO規格を有効に、持続的に活用することができない。

このことを熟知しているのも、適切な順序に沿って企業の仕組み作りとISOの認証取得を支援できるのも、齋藤氏ならではの活動背景があってこそだ。

― 齋藤氏 ―
「ISOは、企業の現状を見直し、より良い方向に改善するのに適したツールです。せっかく認証を取得される機会ですから、企業の仕事をうまく回していくための仕組み作りをISOのコンサルティングという切り口からご支援したいですし、結果として業績の向上にも寄与できると思います。規格の認証取得の機会をそのようにご活用いただけるように今後もお手伝いをさせていただきたく思います」

工数も、投資も、最小限で済む最適提案


実際にコンサルティングのプロジェクトがスタートした場合、どのようなプロセスで進んでいくのだろうか。

― 齋藤氏 ―
「当方から必要なことを説明したあと、ドキュメント作りを進めます。これは社内のみなさまの日々の業務のことなどを伺いながら、みなさまと共同作業で進めます。ドキュメントが完成しましたら、内部監査ができる人材の養成を行ったうえで、実際に内部監査を行います。内部監査が完了し次第、一次審査を受けます。すると指摘事項が必ず何点か出ますので、それらに対応したうえで二次審査を受け、審査をすべて通過したら認証書をいただけるという流れになります。

審査の目的は落とすことではないので、指摘事項に対してきちんと対応すれば認証を受けることができます」

プロセスが明示されることで、取得までの道のりや行うべき業務をイメージしやすくなる。一方で、取得に向けて業務量が急増することは本当にないのだろうか。過去のクライアントの事例を聞いた。

― 齋藤氏 ―
「ある企業様の事例ですと、取得準備のために残業になることはありませんでした。打ち合わせの最後に必ず次の打ち合わせまでに行う宿題をお願いしていましたが、作業の際に役立てていただけるドキュメント等も提供しましたので、大きな負担はなかったと聞いています。

 
情報セキュリティの規格を認証取得するにあたっては、何百万円もかけた設備投資を行う必要があるのではないかとお考えだったようなので、同社に合った提案をさせていただき、十数万円程度の物品購入で済んだことは喜んでいただけましたね。でも、そもそも設備投資などの必要はなく、現状のままでも十分取得できる組織が圧倒的に多いです。」

ISOの取得には大規模な設備投資や工数のかかる文書管理が必要だと誤解されていることがある。それらは過去の話で、現在はそういったことは無いそうだ。現役の審査員でもある齋藤氏はそういったことも正確に把握している。無理なく無駄なくその企業のためになることを提案したうえで、規格の要求を満たす形に修正する。それを実現するために使えるツールや作業の手順も、ノウハウとして蓄積されている。だから、クライアントにどこまでも寄り添ったコンサルティングができるのだ。

未だ眠る日本の底力が発揮される社会へ


ISOの話になると熱心に話してくださる齋藤氏。よほど、この仕事に惚れ込んでいるのだろう。その原点には何があるのかと伺うと、これまでに歩んできた意外な経歴に話が移った。

たまたま参画したISO取得の社内プロジェクトでISOと出会ったことが運命を変えた。

齋藤氏の経歴はISOコンサルタントとしては異色かもしれない。

― 齋藤氏 ―
「IT系の専門学校を卒業したのち、電機メーカーのシステム部門でエンジニアとして従事。開発業務を希望して転職したが、転職先でも運用保守の仕事に配属され、そこで参画したプロジェクトでISOに出会いました。当時は、これだ!と思いました。

その後、開発の仕事ができないのならと思い、ISOのコンサルタントに転職。転職した先の企業というのが、先代の社長がやっていた弊社・ハピネックス社の前身の企業です」

ISOにある何が、齋藤氏をそこまで駆り立てたのだろうか。

― 齋藤氏 ―
「システムを構築する場合は、きちんと段階を踏んでいきます。要件定義があって、基本設計をやって詳細設計をやって、というふうに。システマチックに完成されているのです。ISO規格はそれと似ていました。やるべきことが明記されている。やるべきことというのは、『文書を作成して管理しなさい』といったことなのですが、どのように管理するかについては自由なんです。

つまり、基本的なところは定められてますが、詳細部分については自分たちが決められるという点に面白さを感じました。システムの仕事をしてきたからこそ、開発の手法との類似点を見つけて、面白さを感じられたのかもしれません」

今後はどのような展望を抱いているのだろうか。

― 齋藤氏 ―
「ISOを活用して企業を盛り上げていきたいとお考えの企業様に対してコンサルティングを提供していきたいと思っています。ISOを取得する企業は減っていますが、ISOは本当に便利なツールですので、それを活用して自社を盛り上げたいという想いのある企業様のお力になりたいですし、そういった活動を通じてISO業界自体も活性化させていきたいです」


日本経済を支えているのは大多数の中小企業、零細企業と言われる企業。これらの企業にこそISOを活用していただくことで未だ眠る企業の、経済の…ひいては日本の底力が引き出されるだろう。


取材・執筆=柳田
編集=山崎
撮影=吉田

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