株式会社入江感動経営研究所
入江元太
POSTED | 2019.06.24 Mon |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:研修・コンサル 創立:15年以上 商材:BtoB |
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目に見えないものを数値化し、研修の最終目標を明確に
研修内容を忘れてしまう、そんな当たり前がなくなる?Topics
今回のインタビューは、オンリーワンの企業づくりで、企業の未来を支える人財を育成する株式会社入江感動経営研究所代表取締役の入江氏に、同社の研修内容の特徴や、起業に至るまでの波乱多き人生、そして今後の目標についてお伺いしました。
株式会社入江感動経営研究所 社長 入江 元太氏のONLY STORY
【略歴】
1975年1月 福岡県生まれ~東京育ち
1997年3月 慶應義塾大学 経済学部 卒業
1997年4月 日本電気株式会社 入社(関西支社~四国支社にて営業・人財育成を担当)
2009年2月 日本コンサルティングブレーン株式会社 入社(人事制度構築、人財育成研修を担当)
2010年10月 株式会社 入江感動経営研究所 創業
【講義実績】
一部上場企業や
日本で最も歴史のある知的障碍者支援施設など
累積200社、1,000回、10,000名以上
研修を打ち上げ花火にしない
–株式会社入江感動経営研究所のサービス内容を教えてください。
入江氏:弊社は企業のスタッフを「地域一業界一の会社づくり」を行う人材へと育成する研修サービスを展開する会社です。
ご存知の通り、現在の日本は人口が減少し続けており超高齢化社会と言われています。どんな会社でも特徴ある素晴らしいサービスがなければ淘汰されてしまう、そんな時代にも生き残れるような「オンリーワンの価値をもつ会社」を作る人材育成のサポートをしています。
–研修会社は多くありますが、御社の特徴はどういうところにありますか。
入江氏:まず、オンリーワンの価値をもつ会社を作ろうとしている点が珍しいと思っています。そしてもうひとつ、研修後の目標を数値化しする点も弊社の特徴だと思いますね。
人の能力や教育における数値化は難しいところが多いんです。しかしそれを弊社独自のノウハウによって数値化することで、研修後の目標の明確に示すことができ、その上研修前後の変化も可視化することができます。
たとえば、5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾)が課題とされる飲食チェーンであれば、最初にスタッフ全員に、この5Sについて個人がどれだけ動けているかを20項目・5段階・100点満点で評価してもらいます。
5Sに対する意識によってこの点数は当然異なるものですが、5Sが定着している会社であればその数値は70~80点、ほとんど定着していない会社であれば40~50点ぐらいになります。研修ではこの点数を何点へ、どうやって引き上げていくのかをスタッフの皆さんと考えていきます。
–数値化のノウハウが御社の強みと言えるのでしょうか。
入江氏:そうですね。数値化に関して言いますと、数値化は対象スタッフの数が多いほど正確なものになるなので、規模の大きい会社ほど効果も大きいと言えます。5Sのほかにも、顧客や従業員満足度の数値化もできるので、企業の課題をどう解決していくかを考えるデータを提供できる点はやはり私たちの強みだと感じます。
–事業を展開する上で、一番大切にしていることは何でしょうか。
入江氏:研修の効果を一過性で終わらせないことです。研修でモチベーションが上がるのは当たり前ですが、何もしなければその研修内容を忘れてしまうのも当たり前なんです。エビングハウスの忘却曲線によれば、人は1時間で半分記憶をなくし、1日後には25%しか残らないと言います。
その忘却対策として、ひとつ学んだら、ひとつ実践しようという「一学一践」の目標を設定しています。ただ一人では継続が難しいので、その目標達成のために社内で互いを応援し合いましょう、と決まることが多いですね。
退職、失意も、子供の誕生で奮起
–起業に至る経緯をお聞かせください。
入江氏:大学のころは起業は考えられない時代でした。就活は、就職氷河期と重なり、40社受け40社全落ち。その時は全人格を否定された感覚で、相当落ち込みました。
最後は首の皮一枚、なんとか日本電気株式会社(NEC)に入社できました。初任配属は関西で、その後に異動した四国で営業、部下育成を担当したところで会社を辞めることになります。
–なぜ会社を辞められたのでしょうか。
入江氏:大きなミスをしてしまったからです。その会社では同期の営業でトップクラスの成績を収めるようになれたのですが、とんでもないミスを犯してしまい、後先考えずに辞めてしまったんです。
そんな辞め方だったので、だれも応援してくれず、話し相手さえいなくなるといった辛い時間を味わいました。
–トップの成績で働いていた時と話し相手すらいなくなった時を比較すると、かなりの落差でしたね。
入江氏:そうですね。ですがそんなときに子どもが生まれて「落ち込んでいる場合じゃない」と一念発起するんです。そして中小企業診断士の国家資格を得るため、2年間で1200時間の勉強をし、晴れて合格通知を手にして、2010年に入江感動経営研究所を創業しました。
今日までを振り返ったとき、私は教訓を3つ得たと思っています。まず1つ目が「驕れる者久しからず」です。これは会社を辞めた時の経験から得たものですが、驕らない。驕りすぎない。自戒しています。
2つ目は家族の大切さです。家族がいなければ今日の私はあり得ませんでした。
3つ目は私の人生訓でもありますが、きちんと目的・目標を決め、やるべきことをやれば、何事もうまくいくということです。これは研修も同様。会社の理念に基づく行動ができれば会社は成長できる、けれどそれを継続させる仕組みを作りあげることが難しい。そのため、その仕組みを作ることができる研修を心掛けています。
若者が希望を持てる日本を
–今後の目標は何でしょう。
入江氏:私たちの研修をきっかけに、スタッフが輝き、それがサービスとなりその先のお客さまも輝き、社会全体も輝く。こんな世界を創ることが理想です。
現在、私の研修メソッドをまとめた本を執筆しています。人、会社、家庭、日本が変わるきっかけになればと、令和元年出版を目指し、心を込めて書いているので、その本が1万部売れてほしい!と願って書いています。
–最後に、読者へ伝えたいメッセージをお願いいたします。
入江氏:日本の歴史を学べば学ぶほど、先人が遺してくれたこの日本を、美しい形で次代につないでいきたいと願っています。美しい里山、緑深い山野、貴重な水資源を守り、環境と平和で世界をリードする日本であってほしいと願います。
そのためには教育が重要だと考えていますが、今の偏差値一辺倒の教育では、知識は増えても「何のために」という目的意識を醸成することができません。周りの人に自分自身や自分の国について何も語れない人も多いのではないでしょうか。
しかし、教育を変えようと一個人が叫んでも国の教育方針はなかなか変わりません。若者の教育を変えるためには何をすればいいのか。若者が社会人の第一歩を記すのは会社です。であれば会社を変えられないか。会社が変われば、若者が変わる。そして未来が変わる。若者が希望を持つ国創りとして、会社の教育を変える。この想いで企業研修事業をはじめてもう12年。年を経ることにこの想いを強めています。
執筆=増田
校正=笠原