株式会社チュートリアル
福田 志郎
POSTED | 2018.09.01 Sat |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:IT・情報通信業 創立:9〜10年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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SaaS型RPAのRobotic Crowd
エンジニアに頼らない業務の自動化、効率化を実現するTopics
今回は、クラウド型RPAソフトウェア「Robotic Crowd」の開発、運営を行っている株式会社チュートリアルの代表取締役社長を務める福田 志郎氏にお話を伺います。
起業に至った経緯から事業の特徴、さらには今後の展望までお聞きしましょう。
『AI/RPAを通じて、ひとりひとりがクリエイティブで自分らしい生き方ができる社会を作る』
株式会社チュートリアル 社長 福田 志郎氏のONLY STORY
【経歴】
2014年11月株式会社チュートリアル代表取締役CEO就任。
前職は、欧州系経営コンサルティング会社にて、 新市場への参入戦略立案などを経験。
コンサルタント、開発者としてRPAの可能性を感じた
RPAとは、ExcelやWEBサイト、WordやPDFを扱う単純業務全部自動化するソリューションになっています。たとえばある部分を読み取って別の場所に書き換えるといった作業を自動的に行わせるイメージです。
RPAに対して、最初のころは「昔からあるマクロ、マウスのエミュレーターの延長のおもちゃのようなもの」という印象を持っていました。しかし業務レベルで導入することでPCを使った業務を自動化し、使い方しだいで大幅な時間削減ができることを実感しました。
特に開発者目線では、似たような自動化フローを同じツールで繰り返し使えるパーツの組み合わせで構築できる点が非常に良いと思いました。
一方で、RPAは各社に合わせた導入計画、業務のコンサルティングやオンサイトでの開発が必要なものであり、そのためには自社内に対応できる人材がいるか、数千人・数万人の会社で大規模導入できる企業でなければ、まだ導入に踏み切れないという状況があります。
「開発者が開発し、ユーザーのニーズを実現する」という使い方が前提になっていて、このツールをエンドユーザーに使ってもらって自動化を追求することがビジネスモデル的にも製品的にも難しいのが正直なところでした。
私が理想と思うのは、社内のチームで簡単な業務から自動化していき、多品種少量生産で徐々に成功ケースを積上げていくというものだろうと思っていました。しかし、これだと投資効果の実現がはじめから保証できず投資として判断するのが難しいのも事実です。
そこで、自社のサービスとしてウェブブラウザだけで始められるRPA製品を作ろうと思いました。SaaSにして、サービスの課金というビジネスモデルにすれば、多くのエンドユーザーに直接触ってもらいやすく、スケールアップも可能です。導入時は低価格で開始し、投資効果をあまり気にしすぎなくとも使える製品にできます。
例えば、社員数が100~1000人くらいの会社様、主に派遣社員やアルバイトを採用している会社様にとっては、こうした製品を導入することで業務効率化が目に見えて発揮できると思います。浮いた作業時間は、キャンペーンのご案内であったり、顧客サービスへと本来人がやるべき付加価値の高い業務に使えます。
ブラウザ上でRPAを使えるようにすれば多くの人が参加できる
株式会社チュートリアルは、コンサルティングの延長でRPAのインテグレーション事業もしておりました。現在RPAはオンプレミス(サーバーインストール)型という大企業向けの製品が主流になっていますが、それだと中小企業にとっては価格が高く見えます。そこで、いろいろな人が使えるようにそれをインターネットからのサービスで置き換えた製品「Robotic Crowd」を開発し、2018年9月より正式にサービスを開始しました。
「Robotic Crowd」は、インターネット上のサービスなのでRPA専用のサーバーや端末が不要、製品をインストールする必要がなくブラウザからすぐ使えるという点が大きなメリットになります。利用者自身での開発が苦に感じないようにノーコーディングのドラッグアンドドロップで使える一方、開発者向けには設定ファイル(テキスト)でも取り扱えるようになっています。
開発者が新たに概念や言語を覚える必要はほとんどなく、PCの環境に依存することも、ロボット専用のPCを購入する必要もありません。ロボットの設定は必要になりますが、テンプレートを使っていただけますので、ウェブブラウザでアクセスすればすぐに使えるRPAプラットフォームになっています。ユーザーコミュニティや我々のサポートも充実させていきます。
SaaSで自動化するサービスは「Robotic Crowd」以外にもあるのですが、比較的単純な自動化にしか対応していないものも多いんです。そのような中で、チャレンジすればかなり複雑な業務も自動化できる幅の広さも特徴です。エクセルのように、簡単な集計業務は誰でも簡単に作れますが、踏み込めば立派なBIツールにもなりうる。そんな作り込みを心がけています。
すでに導入いただいている企業の中には、全くの非エンジニアの方が徐々に使いこなすようになり、エンジニアの手を借りることなく次々に業務を自動化されている企業もあります。エンジニア人材は、将来に渡ってニーズに対して供給が不足すると予測されています。そんな将来に向けて、Robotic Crowd はエンジニアの手を借りることなくエンジニアリングする人を増やす、そんなサービスになると思っています。このような考え方は、EUC(エンドユーザーコンピューティング)と呼ばれ注目されています。
一方で、セキュリティを心配する声をといただくこともあります。Robotic Crowdはロボット間でまったく通信できないよう論理的に分断しています。また、ロボットが業務を終えたあとは、ロボットごとデータも含めて削除されます。個人情報保護が心配な人事系の業務でも、ログの削除に対応しているなどユーザー様の心配ごとを少しずつでも取り除けるように努力しています。
VPN接続もサポートしているので企業内ネットワーク内部のシステムも自動化対象にできるなど、SaaSとしてはかなり珍しいポジションではないかと思います。
人が本来がすべきクリエイティブ業務に専念できるように
株式会社チュートリアルが開発・運用を行っている「Robotic Crowd」は、プライベートベータの現段階からすでにたくさんの申し込みを受けて、「誰でも使える自動化プラットフォーム」として2018年9月にはクローズドの状態から正式版にリリースしました。
短期的な目標としてはリリース後1年で導入100社を目指して取り組んでいきます。すでに Robotic Crowd の実運用に入っている企業もあるため、そこをベースにお客様を開拓していきたいですね。
長期的な展望としては、ロボットをより人間に近づけるよう改良したいと思います。例えば、画像からの文字の読み取り、音声からの文字起こし、不正の検出、翻訳、電話、情報のチェックなど、ロボットでは難しいと言われていた業務も、機械学習技術の向上により現実的になってきたため、こういった部分の開発もあわせて進めたいと思っています。
最終的には、アルバイトやクラウドソーシングを探す代わりに、私たちのサービスの中で任せたい業務を探してもらえるように変えていきたいですね。Robotic Crowd の 「Crowd」は、実はCrowd sourcing になぞらえているんです。より人間に近いロボットにし業務のアウトソーシングをまるっと受けられるようにしたいです。
最後になりますが、こうした事業を進める根幹にある株式会社チュートリアルのミッションはこちら。
『AI/RPAを通じて、ひとりひとりがクリエイティブで自分らしい生き方ができる社会を作る』
ここまでお話ししたような私たちのお仕事や上記のミッションに共感してくださる方、興味を持ってくださる方がいれば、ぜひ一度お問い合わせください。人々が自分らしく生きることができる社会の実現を一緒に目指していきましょう!