株式会社シンカ
江尻高宏
POSTED | 2019.08.14 Wed |
---|
TAGS | 従業員数:31〜50人 業種:IT・情報通信業 創立:9〜10年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
---|
クラウド型CTIが電話相手の情報を瞬時に表示
2年半で約10倍の社員数、急成長を遂げるIT企業Topics
今回のインタビューは、独自のクラウド型CTIを提供する株式会社シンカの江尻氏にお話を伺いました。前回の取材から2年半が経過した同社が現在展開する事業内容や2年半の中で訪れた転機、今後の展望についてお聞きしました。
株式会社シンカ 代表取締役 江尻高宏氏のONLY STORY
【経歴】
関西大学大学院工学研究科修了後、株式会社日本総合研究所(日本総研)に入社。約8年間、金融系の情報システム開発に従事。メインフレームからC/Sシステム、Webシステムまで、広範囲の開発プロジェクトに参画。チームリーダーやプロジェクトマネジャーを経験。その後、株式会社船井総合研究所(船井総研)に入社。営業戦略やマーケティング戦略、商品戦略を中心に、中小IT企業向けのコンサルティングに注力。その中でも特に、クラウドビジネスの新規参入や、クラウド商品の販売強化に強みを持ち、年間20本ほど講演を行っていた。
2013年12月に退社後、2014年1月にIT企業である株式会社シンカを設立。「ITで 世界をもっと おもしろく」を経営理念に、クラウドサービスを中心にITを世界に広めることに注力している。
人と人のコミュニケーションにつながる電話
–まずは株式会社シンカのサービス内容からお尋ねします。
江尻氏:弊社はクラウド型のCTI(Computer Telephony Integration=コンピュータと電話の統合サービス)の「おもてなし電話」を提供している会社です。
具体的には、お客様の情報を電話着信時にパソコンやタブレット画面に表示するサービスで、現在は導入企業数1300社、2000拠点を越えて利用していただいております。
–CTIの中で、「おもてなし電話」ならではの特徴はどういうところにあるとお考えですか。
クラウドCTIを扱っている企業自体多くはないのですが、その上で「おもてなし電話」の特徴は大きく3つあると考えています。
1つ目がクラウドサービスであるという点。インターネットにさえつながっている端末であれば、電話着信時に利用できます。
2つ目はお客様とのコミュニケーション機能に特化している点。これによってショートメッセージやはがき、ダイレクトメールを画面から簡単に送ることができます。
3つ目は価格です。通常でしたら数百万から数千万、さらに高額であれば数億もかかるところを、低価格で提供できていることです。
–「クラウドサービスを提供する会社」から、「おもてなしのコンテンツ企業」へと変化を遂げている途中だと伺いましたが、「おもてなしのコンテンツ企業」を目指しているのはなぜでしょうか。
江尻氏:全てを機械やシステムに任せれば、確かに効率は向上しますが、アナログなコミュニケーションがない世界はきっと冷たい世界だと思うんです。IT化、デジタル化が進む現在だからこそ、人間らしい文化的なものが大事であり、その人間らしい文化的なものこそが、人と人のコミュニケーションであり「おもてなし」だと考えています。
例えば、弊社のCTIを使えば、相手の情報を探す手間が省けるためこれまで3分かかっていた電話対応が2分で済みます。そこで浮いた1分を使って、お客様が趣味だと言っていたゴルフや芸術などの会話をしてみたら、「そんなことを覚えていてくれたのか」と喜んでくださいますよね。
これこそが「おもてなし」で、AIでもロボットでもなく、人だからこそできること。そういったおもてなしができるようなサービスを届けたいと思ったからです。
会社も商品も大きく成長した2年半
–前回の取材から2年半が経ちましたが、その時と比べて株式会社シンカはどのように変わりましたか。
江尻氏:商品もいろいろバージョンアップし、会社も大きく成長したと実感しています。
2019年4月に約7億円の大型ファイナンス行い、これまで手が回らなかったようなこと、例えばマーケティングに力を入れることができ、情報を届けたい層にきちんと情報が届くような仕組みができました。
社員も前回の取材時は5人ほどでしたが、約50人にも増え、斬新な企画が生まれると同時に、より面白い機能をスピーディに提供できるようになりました。
–大型増資をしたタイミングの判断はどういうところにあったのでしょうか。
江尻氏:それまでは電話を使用しない業界はないだろうと考え、全ての業界に向けてアプローチをしていたのですが、2017年に自動車業界と住宅不動産業界に特化したことで一気に業績が伸びました。ターゲットを絞ることで課題も鮮明となり、サービスの効果も明確になりました。このことから、機能をスピーディに次々とバージョンアップしようと思い、資金調達に踏み切りました。
音声のプラットフォーマーとして新機能を提供
–今後の事業展望をお聞かせください。
江尻氏:はい、今後は音声のプラットフォーマーとしてサービスをバージョンアップしたいと考えています。現在、全通話を録音し、それをテキスト化するところまできるので、次はテキストからキーワード検索を可能にしていきたいと思います。
具体的にはキーワードを事前登録することで、特定の会話だけを自動ピックアップする機能です。例えば「解約」や「クレーム」と登録しておけば、その時の内容をテキストで確認できるような機能ですね。
また、テキスト化した会話の要約機能を2019年内にはリリースする予定です。これによって、テキストに全て目を通さなくても問い合わせ内容が一目瞭然になります。
さらに、AIを駆使することで、自動でFAQを作る機能の開発にも着手しています。これによって、会話の途中で次に来る質問が予期できるようになり、新人のスキルアップとより気持ちのいい「おもてなし」対応につながると思います。
そして、音声での感情分析機能も追加したいですね。これが実現すれば、対顧客に限らず、社内の人事管理にも絶大な効果があると考えています。
というのも、対応した社内スタッフの感情が確認できるので、例えばクレーム対応で気持ちが沈んでいるスタッフには声をかけたり、ご飯に誘ったり、と心のケアができるようになります。そうった新しいマネジメント方法にもこのサービスを利用してもらいたいですね。
–最後に読者へメッセージをお願いいたします。
江尻氏:今後もITはますます発展し続けると思いますが、そこで忘れてはいけないのがアナログの力だと考えています。私はその中でも特に大切なものが、人と人の会話であり、コミュニケーションだと思うんです。
私たちはそういったコミュニケーションのあり方をテクノロジーの力でより良いものに変えていく、そんなサービスをリリースしています。私たちと同じように、テクノロジーの力で何かをしたいと考えている会社さんと協業したいですね。ぜひ連絡ください。
執筆=増田
校正=笠原