株式会社エボレボ
小山孝司
POSTED | 2019.09.25 Wed |
---|
TAGS | 従業員数:5人以下 業種:IT・情報通信業 創立:5〜6年 決裁者の年齢:40代 商材:BtoC |
---|
農機具シェアリングプラットフォームで日本農家を支援
農家を稼げる職業に、農業を持続可能な産業にTopics
今回のインタビューは、誰でもいつでも農機具の貸し借りができるシェアリングプラットフォーム「AGRICOM」を運営する株式会社エボレボの小山様にお話を伺います。展開する事業内容や起業に至った理由、今後のビジョンについても語っていただきました。
株式会社エボレボ 社長 小山 孝司氏のONLY STORY
【経歴】
1978年、神奈川県横浜市生まれ。千葉県育ち。2001年、国士舘大学政治経済学部卒業。高校時代は生徒会副会長を務め、文化祭などイベントを仕切ることが多かった。大学時代はオートバイにハマり、バイクのサークルに入り、サークルでも一人でもバイクで旅によく出ていた。
2001年、新卒で株式会社プロトコーポレーションに入社、自動車情報サイトのグーネット を担当する営業部署にて約10年間所属し千葉の営業所長などを経験。その後IT部門へ異動。
2014年、IT部門にてクラウド型自動車管理システムのプロジェクトリーダーを務め、社長賞をIT部門として初めて受賞。その後も新サービス立ち上げなどのプロジェクトを担当し、2019年に独立。株式会社エボレボを設立し、農家同士で農機具を貸し借りできる農機具シェアリングサービス『AGRICOM』のサービス提供をおこなっている。https://evorevo.co.jp
農機具を貸し借りできるプラットフォーム
–まずは、株式会社エボレボの事業内容をお聞かせください。
小山氏:弊社は農家同士が農機具を貸し借りできるシェアリングプラットフォーム「AGRICOM」を提供しています。
AGRICOMは「農機具を利用したい、借りたい」という新規就農者をメインとした農家様と遊休資産の「農機具を貸したい」という農家様を繋ぐサービスです。
農機具を借りた農家様はコストを削減でき、農機具を貸した農家様には収入を得ることができる。両者にとってWIN―WINな仕組みになっています。
–ありがとうございます。続いて「AGRICOM」の強みを教えてください。
小山氏:はい。Web上で成立する農機具のレンタルサービスを提供している点です。
というのも、農機具の貸し出しを行なっているところは他にもあるのですが、そういったところは主に農協や農機具店などで実際にその場所に行って農機具を借りなければならならず、現在農家同士での貸し借りができ、Web上で農機具を検索して同様のサービスを提供しているのはAGRICOMだけなんです。
–Web上で完結するサービスはどういったところに特徴があるのでしょうか。
小山氏:一般的な農機具のレンタルでは、保有している農機具が少ないため、レンタルできる物が限られてしまったり、自分が借りたいタイミングで借りられなかったりします。その上そもそも地域外だとレンタルができないこともあるんです。
しかしWeb上であれば、例えば隣の県や市などから農機具を借りてくることもできる。つまり共有できる農機具の数が多いんです。これはオンラインならではの強みだと思いますね。
また弊社は貸し借り期間中の保険を用意していますので、万が一壊れてしまった時でも保険が適応できるのも差別化のポイントになっています。
–小山様が事業を運営するにあたって一番楽しいと感じるのはどのような時ですか。
小山氏:いつも楽しいと関していますね。現在はサービスの質をあげることが最終的に農家様の為になることだと思って課題を1つ1つクリアしています。もちろん大変なこともありますが、課題を乗り越えていく度に「日本の農業をよりよくしていく」という私の夢に近づいている実感があるのでとても楽しく感じます。
全国の農家を回って見えた日本農業の課題
–起業に至った経緯を教えてください。
小山氏:当初はお弁当をオフィスに置くサービスを始めようとしていたのですが、様々な方とお会いしていく中で、農家の方々と関わる機会が増えたんですね。そこで1年半くらいかけて全国の農家様の元を訪ねたのですが、資金面で農業の新規参入はハードルが高いこと、さらに農家様の高齢年齢化が進んでいることを知りました。
これがきっかけで農業を支援する事業を検討するようになり、農家同士で貸し借りができる農機具のシェアリングサービスを始めようと決意しました。
–全国の農家様を回るなかで、農業全体の課題が見えたということですね。
小山氏:そうですね。農業を始めようとした時、最もお金が掛かるのが初期費用である農機具なんです。そのためせっかく田舎へ移住をしても、農家になるのはやめようと考える人たちも少なくないんです。
農家様と関わり、仲良くなるにつれて、そういった問題をどうにかしたい、日本の農業に対して何かしたい、という想いが強くなり、その想いを形にしたのが現在の農機具のシェアリングサービスになります。
日本の農業を持続可能な産業にしたい
–今後のビジョンについて教えてください。
小山氏:まず当面の会社の目標として、日本の農家様の2割が農機具を持たない状況を作りたいと考えています。
なぜ2割かと言いますと、現在全国で約200万人の農家様がいらっしゃるのですが、そのうち新規就農者や販売農家として採算が合わない農業を行なっている人の割合がだいたい2割なんです。そのためその2割を支援できるサービスにしたいと考えています。
–社内に対してはどういった取り組みをしていきたいとお考えですか。
小山氏:まだ始まったばかりの会社ですが、福利厚生面にも力を入れて自由で働きやすい柔軟な会社に成長させていきたいですね。
例えば移住して農業をやりながらリモートで仕事をしたり、今農家をしている人が農業の経験を活かしながら兼業で仕事をしたりなど、これらはあくまで一例ですが、働くみんなが好きなことをしながら働ける環境を作っていきたいと思います。
–社会的にはどういった影響を与えるような企業になっていきたいですか。
小山氏:日本の農家が40年前と比べて約6割も減り続けているため、その減少に歯止めをかけ、農家の数を増やしていきたいです。そのためには農業を稼げる仕事にする必要があり、農家様が収益化できる仕組みを作る必要があると考えています。
農業へ参入する際に、初期費用である農機具を購入し、最初からリスクを背負うのではなく、シェアリングを使って出費を最小限にする。そして事業が成り立ってきたら自分の農機具を持ち、今度は貸す側に回る。そういう循環を生み出し、日本の農業が持続可能な産業になることを実現したいと考えています。
–ありがとうございます。では最後に、読者の方にメッセージをお願いいたします。
小山氏:「農業に興味がある」「農業を一緒になんとかしたい」といった想いを持っている方や弊社のサービスに興味を持っていただけた方がいらっしゃいましたらお問い合わせいただけると嬉しいです。
執筆=山田
校正=笠原