株式会社YNS
山崎 学
POSTED | 2019.12.09 Mon |
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TAGS | 従業員数:31〜50人 業種:IT・情報通信業 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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日本とフィリピンで業務改善・サービスの受託開発を
機会提供の平準化で意欲ある若者が挑戦できる社会にTopics
今回のインタビューは、日本とフィリピンでITに特化した事業開発を営む株式会社YNSの山崎氏にお話を伺います。IT未経験人材の教育に力を入れる同社の取り組みや起業に至った経緯、これからのビジョンについて語っていただきました。
株式会社YNS 社長 山崎 学氏のONLY STORY
ITの力で業務の改善や新サービスの開発を
–まずは、株式会社YNSの事業内容をお聞かせください。
山崎氏:株式会社YNSは、日本とフィリピンに拠点を持つIT企業です。具体的にはシステムの業務効率化やコスト削減の仕組み化、サービスのシステム提供などを行っています。
–クライアントの要望に合わせて、ITの力で業務の改善を行ったり、サービスの開発をされているということですね。
実際にどういったご依頼をいただいたことがありますか。
山崎氏:例えば大手通信会社のご依頼で、インバウンドの方々とツアーガイドのマッチングサービスを開発したことがあります。
マッチングが容易にできるという点はインターネットの大きな特徴だと考えていますし、効率化に貢献できることを数々の案件から実感していますね。
–同業他社と比べて御社の特徴や差別化できるポイントはありますか。
山崎氏:海外で働きたい未経験エンジニアを採用していることです。日本で一定期間仕事をしてから海外で働くケースが一般的なんですが、弊社では採用が決まればすぐにフィリピンで仕事を始めることができます。現在、フィリピンにいる日本人のエンジニアのうち、ほとんどが未経験からスタートしています。
またオフショア開発をしている企業の窓口は、日本語がわかる現地の方が担当する場合が多いのですが、弊社ではプログラミングがわかるネイティブな日本人が対応するためコミュニケーションでミスが起こりにくいことも特徴ですね。
–山崎様が事業を運営するなかで一番重要視していることは何ですか。
山崎氏:事業を通して人が成長できる機会を提供することです。
今後AIの時代を迎えるにあたり、「AIに携わってみたい」と考える人は多いと思うんですね。
しかしフィリピンをはじめ新興国では、家庭によって学校に行けない人たちが多く、またスマホを持つのがあたりまえの日本人でさえも、学ぶ機会が得られなかった人たちは少なくありません。
そういった学びたいという意欲がありながらも、様々な要因から機会を得ることがなかった人たちに対し、機会を提供することで、機会提供の平準化を図っています。
大事なのは過去ではなく、今を頑張れる人
–起業までの経緯について教えてください。
山崎氏:私は32歳の時に経営していた会社を売却し、セミリタイアをして札幌で5年ほど過ごしていました。売却したお金があったので、質素な暮らしをしていれば生活に困ることはないと思ったのですが、あまり面白くなくて。
周りからは1つのゴールとして「いいですね」「すごいですね」と言われるものの、リーマンショックで上場を諦め、売却したので、私の中では失敗したという感覚があるんです。つまり周囲の評価と自分の気持ちは大きく異なっていたんです。
そういったこともあり、自分の過去に興味がなく、同時に他の人が過去に何をしてきたかも気にしていないんです。例え過去に大学を中退していたとしても、頑張る気持ちがあればそれでいい。今、どういう想いを持っているかの方が大事だと思うんです。
未経験者でもエンジニアになりたい人はたくさんいます。結果は個人の努力や資質にもよりますが、そういう人たちにエンジニアになれるきっかけや人が成長できる機会を提供しようと思い事業を立ち上げました。
–起業後に印象に残っていることはありますか。
山崎氏:起業した当初は、会社は無名でしたし、規模も小さかったので、いきなりフィリピンにエンジニアとして来る日本人は少ないだろうと、大した面接を行わず採用した結果、大きな失敗をしたことがありました。
しかしその後、海外で未経験者のエンジニアを募集している企業が他にないことから、意外にもポテンシャルの高い若い人からの問い合わせが来ることを知ったんですね。それからは、採用プロセスをしっかりと立て今の体制を作ることができました。
IT学校の設立と企画型のビジネスに注力
–短期的なビジョンを教えてください。
山崎氏:実は来年、フィリピンでITの学校を立ち上げる予定です。弊社は人材育成のためにITビジネスを行ってきましたが、今後は直接的な教育ビジネスでエンジニア不足の解消していきたいと考えています。
基本的には日本から来る日本人がターゲットになりますが、フィリピン人向けにも行っていきたいと考えています。というのも、現在弊社のフィリピン人のスタッフは、ほとんどが四大のIT学科を卒業した方々で、比較的に良い家庭の人が多いんです。
ただそういった家庭で育った人は、フィリピン全体で見ると少ない。大学へ行くお金がなかったり、お金がなく途中で退学してしまったりする人もたくさんいます。
そのため例えばフィリピン人向けには、条件ありで無料のIT教育が受けられるプログラムを行おうと計画しているところです。多くの人を受け入れられる体制を構築していきたいと考えています。
–その後の長期的なビジョンを教えてください。
山崎氏:この2~3年内に、今メインとなっているシステム受託開発の比率を徐々に減らしながら、人数に依存せずに売上を作れる企画型のビジネスモデルへと変革していきたいと考えています。
そもそも受託開発やSES事業は日本独特の文化のため、海外でこれからITを進めていくためには、サービスを企画して、売りにいく形態でなければ成立しないんです。
この企画型のビジネスは基本的にBtoB向けを想定していますが、BtoC向けにする場合は、別会社を作る予定です。そうした時に未経験から採用した人たちを子会社の社長にするというのが人材育成の個人的なゴールでもありますね。
–ありがとうございます。では最後に、読者へメッセージをお願いします。
山崎氏:ITを使って何か面白いビジネスを考えていけるような人とつながることができたら嬉しいです。ご連絡お待ちしております。
執筆=山田
校正=笠原