【特集②】株式会社エボラブルアジア
吉村 英毅
POSTED | 2018.08.07 Tue |
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TAGS | 従業員数:101〜300人 業種:IT・情報通信業 創立:15年以上 決裁者の年齢:40代 商材:BtoB |
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昨年対比約150%!急成長企業エボラブルアジア
会社、そして経営陣がいかにして魅力的になるか。Topics
今回、取材のお時間を頂いたのは株式会社エボラブルアジアの代表取締役社長である吉村 英毅氏。
株式会社エボラブルアジアは2016年には東証マザーズへ上場し、2017年には東証一部へと上場。その後も昨年対比約150%の急成長を続け、世界規模でビジネスを高速展開している注目企業です。
本記事では、経営者にとって普段聞きたくても聞けない成長企業の裏側について吉村氏にお聞きしています。
株式会社エボラブルアジア・吉村英毅代表取締役社長のONLY STORY
【経歴】
1982年生まれ大阪府箕面市出身。
東京大学 経済学部経営学科 卒業 経営管理と金融工学を専攻。
大学在学中に株式会社Valcom(2009年10月株式会社エボラブルアジアに吸収合併)を創業。
2007年 株式会社エボラブルアジアを共同創業し、当社代表取締役社長に就任。2016年東証マザーズ、2017年東証1部に上場。
2018年 株式会社エアトリ(旧称 株式会社DeNAトラベル)代表取締役社長に就任。
経営者が聞きたい!成長する組織づくりのホントのところ
−「ONLY STORY」ではこれまで一都三県1000社長ほど取材させていただきましたが、どの経営者様も何かしらの悩みをお持ちです。
なかには、日頃なかなか聞く機会のない他の経営者様の考えや経験を聞きたいという声もよく頂きます。そこで、今回は特に悩む方が多いトピックについて、20代から経営者として活躍されてきた吉村社長にお話を伺います。
吉村:はい。よろしくお願いします。
−それでは、まず一番お悩みの声が多かった「経営パートナーの選び方と関係性」について伺います。御社は、吉村社長と現会長である大石様との共同経営でしたね。
吉村:ええ。元々はそれぞれが会社を経営していて、取引を続ける中で経営統合し、共同創業に至りました。
−大石様をパートナーに選ばれたのは、なぜですか?
吉村:最大の理由は、私が彼を純粋にリスペクトできることですね。共同創業以前に取引関係にあった頃からの付き合いなので、互いにどういう人なのか理解していましたし、強い信頼感もありました。
−「お互いを理解している」という関係性は、まさにパートナーですね。
共同経営は、どっちの方が貢献しているかという意識をぶつけ合ってしまうとうまくいかなくなる。経営者とそのパートナーにとっては、一緒にやれていることに対して互いに感謝する気持ちを持つ続けられるような関係性でいることが一番大事なのではないかと思います。
そう考えると、経営パートナーの選び方というのもまた非常に大事なことで、パートナーを選んだからにはしっかりと時間をかけて相互理解を深め、お互いに納得した上で一緒に走り始めるのがいいと思います。
私と大石は、今でも日々密にコミュニケーションをとっています。
−経営パートナーに大石様がいたことで、どのような影響がありましたか。
吉村:すごく大きな武器になったと思いますよ。会社にエンジンが2人いたことで、スピードも規模も倍に、場合によっては1+1が2以上になりましたからね。
やはりベンチャー企業にとって一番のリソースは「社長」だと思うので、経営を共に行うパートナーにどういう人を選ぶかはその後の会社の成長にとって非常に重要なことです。
−ありがとうございます。
では、次の質問に移ります。お話しいただける範囲で結構なのですが、これまで成長を遂げてきた過去にはどのような失敗やご苦労がありましたか?
吉村:そうですね…。私たちは、幹部採用というところで非常に苦労しました。
2016年にマザーズ、2017年に東証一部に上場したのですが、実は上場準備をしている8年間だけでCFOが6人も変わったんですよ。人材紹介会社やヘッドハンティング会社を利用していたんですがうまくいきませんでした。
−その際には、どのように解決したのですか?
吉村:少し考え方を変え、ご縁のある方々の中から「この人なら!」と思える方を口説き落とすという風にしたんです。
というのも、既に縁のある方であればその優秀さや人となりをわかっていますし、条件交渉もしやすい。ここについては会社様によって合う・合わないがあると思いますが、私たちは最高幹部に関してはできる限り縁故で固めたほうがいいと感じています。
−しかし、知り合いとはいえ、優秀な方にジョインしてもらうというのはそう簡単なことではありませんよね?
吉村:もちろん、そうですね。
私には一緒に働きたいと思える方と出会った時に大切にしていることがあるんです。
それは、とにかくざっくばらんに全てを正直に話して、先方の立場に立って考えるということ。こちらの気持ちよりも、まずは「今当社にジョインすることが、●●さんにとってベストだと思うのですが…」という視点でお話しさせていただきます。
もちろん、業界や企業のトップレベルの方をお誘いするのですから、そう簡単に良いお答えはいただけませんが。
−提案をした後、すぐに良い答えをもらえない場合はどうされるんですか?
吉村:1回目で断られた後もアプローチをし続けることが大切ですね。例えば、現在のCFOは前職では誰もが認めるエース的存在でしたので、私たちの会社に来ていただくことは簡単ではありませんでした。
それでも諦めず、何度も飲みに行き、最後には「私たちにはあなたがどれだけ必要か」ということをとにかく真摯にお伝えしました。そして、数ヶ月後にようやく来ていただいた感じでしたね。
特にベンチャーの場合は誰か1人が加わるだけで大きく変わることがあるので、こういった場面は一番労力をかけても良いと言える勝負所だと思いますよ。
−その点を理解している経営者様ほどより良い方を採用したいと考えているのですが、現実はそううまくいかないこともあります。なかなか会社に合う人材が見つからなかったり、優秀な方に辞められてしまったり。
この点は、本当に多くの経営者様が頭を抱えられている部分ですよね。
吉村:そのお気持ち、よくわかります。その点でいうと、本質的には「会社自体や経営陣がいかに魅力的になるか」に尽きるのではないかと思います。
そのためには、まず現在いる人とあるもので会社をより魅力的にしていくんです。そうすると、そんな会社を見ていい人材がジョインして、それによってさらに会社は高速回転していきますよね。結果的にまた魅力が上がり、惹きつけられた人が更にジョインしていく。
この好循環を意識的に加速させていくことで、次第に採用や人といった部分の課題は解決できていくのではないでしょうか。
−そうなんですね。そうした好循環を続けてきた結果、株式会社エボラブルアジアも30名、50名、100名と社員規模が大きくなっていったというわけですね。
そうした成長の過程の中で、やはり壁というのはありましたか?
もちろん、ありましたね。ここは、多くの経営者様が避けては通れないところですよね。
−そうした壁にぶち当たった際、規模拡大・成長を目指す経営者としては何を大切にすべきだと思われますか?
私は、経営陣をいかに能力の高い人材、ハイパフォーマーな人材で固めるかが全ての解だと思います。実際に、株式会社エボラブルアジアではそうした人材と関わるメンバーもまたそれぞれが成長し、グループが活性化されていったので、すごくよかったと思っています。
−貴重なお話の数々、本当にありがとうございます。
エボラブルアジアの急成長を支える2つのサービス
−これまでのお話の中で経営者としての貴重な知恵を分けていただいたわけですが、その吉村社長が経営されている株式会社エボラブルアジアではどのような事業を行っていらっしゃるのでしょうか?
吉村:株式会社エボラブルアジアでは、ITオフショア開発事業、オンライン旅行事業、訪日旅行事業、投資事業と4つの事業を展開しています。その中でも企業様向けサービスとして現在力を入れているのが、オンライン旅行事業とITオフショア開発事業です。
−テレビで「エアトリ」のCMをよく拝見させていただいております。
吉村:ありがとうございます。
総合旅行プラットフォームの「エアトリ」はBtoCサービスで、おかげさまで多くのお客様にご利用いただいております。それとは別にビジネストラベルマネジメントサービスとして「エアトリBTM」を展開しています。こちらは、一言で言うと出張手配サービスですね。
突然ですが、「出張手配」というとどんなイメージがありますか?
−出張する本人や秘書の方が各々で宿や乗車券を手配しているイメージですね。
吉村:そうですよね。個人がそれぞれ申し込み、決済をして、管理部に領収書を持っていって清算して…というケースが多いと思います。でも、それだと面倒ですし、手間も時間もかかってしまいますよね。
そうした時に、会社単位で「エアトリBTM」にご契約いただくと、手配全般に関わる請求や清算を一括で行うことができるようになるんです。
−細かい手配を一括でできるとなると、助かりますね!
吉村:まず、純粋に出張コストが安くなりますね。法人の団体割引もありますので、個別に頼まれているよりは間違いなく安くなりますよ。そして、出張に行かれる方もそれを管理される方も大幅に管理コストが下がります。
さらにもう1つのメリットが、出張コストを見える化し、管理できるという点です。
−「見える化」…ですか。
吉村:ええ。株式会社エボラブルアジアが提供するシステム上で出張の手続きをすると、その月どのくらい使ったか、営業部でどのくらい使ったか、全社でどのくらい使ったか、という出張コストが集計、把握できるんです。今までどのくらい使っていたのか不明瞭だったものが、明確に見え、管理でき、把握できるようになるというわけなんです。
−それは経営者にとって、すごくありがたいですね。
吉村:導入費用やランニング費用が無償ということもあり、おかげさまで現在約3000社とお取引させていただいております。月間20〜30万くらい出張コストを使われている企業であれば本当にメリットの大きなサービスだと自負しておりますので、ぜひたくさんの企業様にご活用いただきたいですね。
−どんな企業でも利用しやすそうなところはとても魅力的です。
一方で、ITオフショア開発事業というのはどのようなことをされているのでしょうか?
吉村:ITオフショア開発事業では、ベトナムに現地法人子会社「EVOLABLE ASIA」を構え、約1000名ほどのベトナム人エンジニアで対応させて頂いております。
−ここ数年、海外のエンジニアの方の力を借りて開発に取り組む会社様が増えていますね。御社の事業は、他社様と比較した際にどのような特徴があるのですか?
吉村:クライアントから選出されたプロジェクトマネージャーと、日本にいる弊社のベトナム人エンジニア、ベトナムにいるエンジニア部隊とで専属チームを組んでラボ型開発を行っていることですね。
従来の受注開発型の場合、ベトナムにいるベトナム人プロジェクトマネージャーと日本にいるクライアントの担当者様とがやり取りをして、開発はベトナムで進められていくので進捗状況やリソースなどがブラックボックス化しがちなんです。
私たちの場合は、日本語ができるハイレベルのベトナム人エンジニアを多数揃えておりますし、上流工程は日本にいるベトナム人エンジニアが、コーディングや実装部分に関してはベトナムにいるベトナム人エンジニアが行いますので、全体コストもかなり下がります。何よりリソースがしっかり確保できるんですよ。
−優秀なエンジニアと日本語でコミュニケーションができるのは安心ですね。
ちなみに自社で開発チームを持っている会社が、御社のサービスを一部利用させていただくこともできるんですか?
吉村:もちろんです。そうしたご相談も大歓迎ですよ。
こちらを読んでいただいている方の中で企業様向け出張手配サービスやITオフショア開発事業などの弊社事業に興味を持ってくださる方がいれば、ぜひ気軽にお問い合わせください。