山口孝志

クロスリテイリング株式会社は、投資を学べるウェブセミナーや
教材の販売をメインに事業展開している。

「欧米では投資やトレードの手法を学べるスクールがあります。
そこで勉強したトレーダーたちは、後々投資家や
ファンドマネージャーなどになり、
夢のある若い起業家たちに投資し、
彼らが成功するとその利益からリターンをもらいます。

そういう経済循環を日本でも作れないかと思い、
この会社を設立しました」創業者の山口孝志氏はそう語る。

「投資をすると子どもの学費やローンの繰り上げ返済、
起業のための資金集めなど、自分が必要なお金を
必要なときにだけ稼ぐことができます。
投資は夢をかなえるツールの一つなのです」

山口氏は預貯金のすべてを投資に注ぎ込むのではなく、
まずは預貯金の10分の1といった少額の投資から
始めることを勧めている。

資金管理をしっかりとすれば、投資は怖いものではないのだ。

公務員を退職後、山口氏はさまざまな職を転々とする
フリーター生活を送っていた。

そのとき出会ったのが投資だ。
株やFX取引などを行い、相場の法則が分かってきた山口氏は
シグナル配信を始める。
シグナル配信とは、メール会員に対して売り買いのタイミングを
指示するものだ。

「堅実に資産を増やしていく人がいた一方で、
私からの指示に依存し、全財産を投資につぎ込み、
過度なリスクを取る会員も出現しました。

その状況を見て、 全ての売買指示を自分が行うことで
依存してしまうトレーダーではなく、
そのトレーダーが将来自立するための投資知識を
教えていかなくてはならないと感じたのです」

その経験が、クロスリテイリング株式会社を起業する
きっかけになった。
クロスリテイリング株式会社の社員は、過去に
なんらかの挫折経験を持っている人が多い。
だからこそ、社内の雰囲気を良くするために
社員一人一人が工夫している。

「口下手な人や何かコンプレックスがある人は、
それをばねにして仕事をしています。

お互いの個性を認め合っているんです。
今後はセクシャルマイノリティ（ゲイ、レズビアン）など
価値観の違う人も積極的に採用していきたいと
考えています。
価値観が違う人がいると、視野が広がりますからね」

山口氏は今後、投資を学べる学校を開校したいと考えている。
ほかの習い事と同様に、学校や仕事の帰り、家事の合間などに
通えるスクールになる予定だ。

「ECCや公文式のように、誰でも気軽に通える投資スクールを
駅前に開校したいと思っています。
まずは東京から始めて、少しずつ全国へと広げていきたいですね。
フランチャイズ展開も考えています」

最後に、山口氏から若者へメッセージがある。

「新しく事業を起こした企業の99パーセントが
10年以内に倒産しています。
倒産した起業家の多くは、お金をもうけることを目的に
会社を設立しています。

しかし、それは間違っています。
しっかりとした自分の理念を持ち、それを社会に普及させていきたいと
願って頑張っていれば、お金や従業員といった結果は
後から付いてくるものです。

『お金を稼ぎたい』ではなく『社会に貢献したい』という思いを持って
起業すれば、成功する確率は上がるでしょう」

私は投資についてなどはまだ全くと言って良いほど知識がない。
しかし、今回のインタビューを受け、投資について
勉強を始めてみるのも良いかも、と思った。

気軽に始められるものではないのかもしれないが、
山口様へお話を伺っていると
まずは、やってみないと分からないのかもしれない、と思えた。