中村寛治

以前勤めていた日本オラクルでは、九州のビジネスをプロモーションする営業部隊として活動しました。

役職のなかった頃は、営業の数字を達成することに集中していましたが、支社のトップとして30〜40人いる部隊を統括するようになると、会社が掲げる理念やビジョンと、自分が担当している地域でやりたいこととの間で違和感を覚えるようになったのです。

自分がやりたいことを素直にやれる環境を作るためには、自分で理念やビジョンを作れる環境に身を置く必要がありました。

それを実現できるのは、企業のトップという立場だけ。

そこから起業への決意を固めたのです。

壮大な理念を抱いて起業したものの、最初に手がけたシステム会社では、奈落の底に落ちるような経験をしました。

東京と九州の両方で働いてきた経験から、東京ではやれない小規模のシステム開発案件を、福岡の会社にやってもらうというビジネスモデルを考えたのですが、理想のようにはいかなかったのです。

結局、その仕事に関わった全員が不幸になる結果になってしまいました。

そんな時に、ニート・フリーター対策として福岡で開催される「アジアセールスパーソン育成塾」のプロデューサーを、私が依頼されたのです。

企画の1つをアジアで大活躍している人のインタビュー動画にしようと考えた私は、カメラ1台を抱えて、香港、台北、ソウル、上海の福岡県人会の会長の元を訪問し、それぞれの地域で活躍している日本人の動画を20名分作りました。

それをパワーポイントを使って動画と文字を同期させる作業を行なった時に、動画が持つ圧倒的な情報量と作業をしているメンバーの楽しそうな表情に感動したのです。

それは、システム開発では見られなかったワクワクとした表情で、動画コンテンツでやっていこうという思いが固まった瞬間でした。

弊社では、BtoB企業を対象に、営業部隊や採用、IR、広報、マーケティングなど、色んな部門の色んなシーンで使える動画を提供しています。

特徴は、課題解決型の動画制作をしている点です。

「どのような動画を作りたいか」ではなく「どのような課題を解決したいか」。

そして、誰に、どんな方法で見てもらい、どんな場面で活用したいかをお伺いします。

我々にとっては、動画というのは作品ではなくツール。

それぞれのシーンで使いやすいことや、効果が出ることが大切なのです。

私はクリエイター出身ではありません。だから動画自体へのこだわりは特にありません。

ただ、お客様の課題を解決した時に見られる、「ありがとう」の笑顔が好きなんです。

「ありがとう」という言葉は成果であり、感動の数が付加価値になります。

これまで約1300社、20000タイトル以上の制作実績がありますが、それだけのお客様が動画を通じて課題を解決され、喜んでくださったことが嬉しいですね。

しかも、付加価値に対してお支払いしてくださる対価によって、弊社の社員も笑顔になれるのです。こんな幸せな循環はないなと感じますね。