株式会社 労務DataBank
伊藤 大輔
POSTED | 2019.11.14 Thu |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:士業(会計士・税理士・社労士・弁護士) 創立:5〜6年 決裁者の年齢:50代 商材:BtoB |
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AI×人事労務で労働問題を未然に防ぐサービス
ストレスをなくして、働きやすい環境を作るTopics
今回のインタビューは、労働問題の予防に力を入れている株式会社 労務DataBankの伊藤氏にお話を伺います。開発中のAIを活用した3つのサービスや現在の事業内容、起業に至った理由、今後のビジョンについて語っていただきました。
株式会社 労務DataBank 社長 伊藤 大輔氏のONLY STORY
人事労務問題に具体的な改善案を提供
–まずは株式会社 労務DataBankの事業内容をお聞かせください。
伊藤氏:弊社は労働問題を未然に防ぐことを目的としたサービスを提供している会社です。今現在、社内で開発中のサービスが3つあります。
1つ目がハラスメントを予防するメールソフトです。これはメールの文章にパワハラやセクハラに該当する文言が混ざっている場合、その言葉を認識して警告を出すサービスです。
2つ目が労働問題の相談をするとその状況に合わせて適切な対応をお答えするサービスです。
具体的にはまずAIによって過去のニュースを労務関係のものかそれ以外かで振り分け、労務関係の場合には賃金や解雇などの分類分けをしていきます。そして分類分けされたそれぞれのニュースから、企業はどういった時にどういった対応が必要かを調査し、その内容を回答していきます。
3つ目が社内規定や雇用契約書、契約書などの人事関連の書式をWeb上でお預かりして、改訂の必要がある場合に、随時連絡するサービスです。
こちらはすでに政府のサイトと連携していますので、法律が改正されると新たな条文を示したり、他社と情報を共有したりすることで、問題になる規定を自動的に見直せるサービスです。
–労務問題に関するサービスを開発されているんですね。他にも展開されている事業はありますか。
伊藤氏:そうですね。開発以外では、職場改善ホットラインを運営しています。
職場改善ホットラインは、社内で人事労務に関わる問題が起きた際に、直接社員の方から電話やメールでお問い合わせをいただき、弊社で対応をご提案させていただくサービスです。現在はアナログで対応をしていますが、将来的には自動回答できる形にしていく予定です。
–労務関係のサービスをしている他社さんと比べた時に、御社のサービスの強みや差別化ポイントはありますか。
伊藤氏:職場改善ホットラインに関して言えば、法律の知識をきちんと持っている人が対応していますので、内容を報告するだけでなく、具体的な改善案を提案できる点が強みですね。
また費用が月額3万円となり、同業他社様と比べて固定費がお安くなっている点も大きな特徴だと思います。
–AIと人事労務を掛け合わせている企業様は他でも多いのでしょうか。
伊藤氏:まだあまり無いと思います。というのも日本語は漢字、ひらがな、カタカナと他の言語と比べて言い回しがとても多いのでAIと掛け合わせるのが難しいんです。その分、例えば労務のニュースと普通のニュースを自動的に振り分けられるようになった時は、とてもうれしく感じましたね。
労務問題が大きくなる前に未然に防ぎたい
–伊藤様はどのような経緯で起業をされたのですか。
伊藤氏:実は、株式会社 労務DataBankは株式会社TOTAL BACK OFFICEという会社の別会社として立ち上げた会社なんです。
元の会社である株式会社TOTAL BACK OFFICEは様々な企業様のサポートをする会社なのですが、労務問題が起こってからご相談を受けることも少なくはありませんでした。
担当者の知識量にもよりますが、まだ問題がくすぶっているうちに相談をしてくれる方がいる一方で、炎上してから相談に来る方もいるんですね。いずれにしても後手に回ってしまうことが多かったので、できる限り労働問題を未然に防ぎたいと思い、弊社を立ち上げました。
–そのような問題意識を持つきっかけとなった具体例はありますか。
伊藤氏:たくさんありますね。例えば社員の働き方と企業側が求めているものがマッチしなかった時、企業側が「辞めて欲しい」といきなり言ってしまうと問題になる場合があるんです。
本当に労働者に問題があれば、本来はきちんと段階を踏んで、退職をお願いする必要があるんです。まずは労働者の問題を注意をして、それでも改善されなければまた注意をして、それに対して改善がなければ、懲戒処分にすると。軽い処分から始まり、それでも改善できなければ徐々に処分をあげていき、最終手段として出てくるのが解雇なんです。
きちんと段階を踏んでいなければ、のちに争った時に、企業は「これだけ努力をしました」と示せるものがありません。すると企業は何もしてこなかったことと等しいと判断されてしまうんです。
そうならないように、労働問題を未然に防ぐために早い段階で相談してもらえればと思いますね。
企業で活用してもらい、働きやすい環境を
–今後の目標を教えてください。
伊藤氏:AIのシステム開発に関しては、3年以内に自動回答システムを完成させたいと考えています。
そして300万社ある中小企業の中で、少なくても1%である3万社の会社にまず利用をしていただくことで、労務問題や訴訟、個別の労働紛争などが少ない働きやすい環境作りに貢献したいと思います。
そのためにも現時点では、職場改善ホットラインを含め、多くの事例を集めてデータベースを充実させて、より確かな答えを導き出していけるようにしたいです。
–ありがとうございます。では最後に読者の方にメッセージをお願いします。
伊藤氏:経営側と労働者側で何か行き違いが生じてしまった場合は、なるべく早い段階でご相談いただければ、こちらで解決する方法をご提案できると思います。
執筆=山田
校正=笠原