株式会社ディサプライング
斎藤 茂彦
POSTED | 2016.04.08 Fri |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:製造業 創立:9〜10年 商材:その他 |
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日常に、もっとワイヤレスを。
「DSホットマグ」で、ワイヤレス給電の実用化を目指すTopics
株式会社ディサプライング 社長 斎藤 茂彦氏のONLY STORY
事業撤退、肩たたき。ピンチが起業のチャンスに。
学生時代は、バブル真っ只中。のんびりしたものでしたね。進学も就職も超売り手市場。特別苦労することなくNECの子会社に技術者として入社し、
グローバル化の波に乗って海外で活躍されている先輩たちの姿に、「海外で活躍したいなあ」なんて憧れたりして。
そんな調子ですから、初めて海外出張でタイに行った時は、カルチャーショックを受けましたね。
当時日本も勢いがある国でしたが、アジアの熱量は全く違う。都市は活気に溢れ、人々は本当に貪欲でした。生産現場へ行ったら、現地の若い女性スタッフに、「英語もロクにしゃべれないのに、何しに来たの!?」なんて言われて。
アジアのエネルギーを目の当たりにしたことで、漫然と過ごしていた自分に気付かされましたね。こういう場所で活躍できる人間になりたい。日本とアジアの架け橋になって、日本を元気にしたい。そんな思いを抱くようになりました。
2000年から6年間程シンガポールに駐在した後、DVDディスクの光ドライブを作る、NECとソニーの合弁会社に移りました。
途中でソニーに転籍したのですが、2004年位からスマホやタブレットが出てきたことで、会社の売上げが急落してしまって。このまま会社にいても、事業撤退するだろうという予測は立っていましたし、私たちのような40代以上の技術者の行く末も見えていました。
でも、ピンチはチャンス。「今こそ、自分で何かを始めよう」と思い、退社前から起業の準備に取りかかりました。そして、4〜5人の発起人と共に、株式会社ディサプライングを立ち上げたんです。
私は、新しい技術を開発することへのこだわりはあまりなく、むしろ、公知の技術を実用化することの方に興味を持っていました。
多くの方が、エジソンが白熱灯を発明したと思われていますよね。でも白熱灯の技術自体は、元々世の中にあったんですよ。それを実用化し普及させたのが彼なんです。
実は、アイデアというのは世の中にいっぱい転がっています。でもその多くが実用化されていません。
個々が持っている技術力を活かして、公知のアイデアを実用化し、世の中の当たり前になるものを生み出したい。そこで目を点けたのがワイヤレス給電でした。
ワイヤレス給電で飲み頃の70℃をキープ!「DSホットマグ」
ワイヤレス給電には、2つのコイル間で電力を飛ばすことで誘導電流が流れ電気が発生する「電磁誘導の原理」が使われています。
この原理は今から180年以上前に発見されているものですし、既にスマホやタブレットなどのワイヤレス充電などにも使われています。
弊社では、より多くの方に使っていただくために、もっと日常的なアイテムにこの技術を活用したいと考えました。その第一弾として開発したのが、いつまでも冷めないマグカップ「DSホットマグ」です。
「DSホットマグ」は、ヒーター内蔵のマグカップをクレードルと呼ばれる給電ボードに置くだけで、いつまでも飲み物を保温することができます。
ふたをしていれば70℃にキープでき、中身の量が減っても冷めることがありません。人が美味しいと感じる温度は、60〜70℃と言われます。
この沸騰しない保温機能が、飲み物だけでなく、チーズやチョコレートなどのフォンデュ、バーニャカウダやパスタのソースポットとして使え、作りたての美味しさを保ってくれるのです。
コンセントを使う場合は、距離や遮蔽物の関係で使える場が限られますが、ワイヤレス給電であれば使う場所を問いません。水に浸けても感電しませんから、丸洗いもできるので大変便利です。
これを販売したとき、老人ホームの入居者様からお問い合わせをたくさん頂きました。老人ホームでは、コードにひっかかって転倒する危険を避けるため、コードのある製品はなかなか使わせてもらえないのだそうです。
バリアフリーと言いつつ、電気がバリアフリーを邪魔してしまっているんですね。これであればコードレスで温められますから、こういう商品は良いですね」と言っていただけ時は、非常に嬉しかったですね。
ワイヤレス給電をもっと日用品に使うことで、若者だけでなく、幅広い世代の生活を潤すことができる。これが本当の実用化だと思います。
日常使いの製品を増やし、コードレスの世界を定着させたい。
10年後、20年後の暮らしを想像してみてください。充電するのにコードを刺しているでしょうか。人が想像する未来の世界は、ほとんどがコードレスですよね。
人が想像する世界は、技術の進化で確実に実現します。今、世界は着実にコードレスの世界へ向かっているんです。
今はコードがあるのが当たり前ですが、充電以外の目的で日常使いの製品をお客様に訴求できる仕組みを生み出せれば、コードレスちゃんと定着していくはずです。
それを今実現できている競合はまだありません。クレードルに置くことで充電できる日常使いの製品を増やし、これからの日本にワイヤレス給電を普及させる企業を目指していきたいですね。