株式会社セキムラ

新沼 直哉

ガス麻酔・笑気吸入鎮静器の国内オンリーワンメーカー

歯科専用から医療全般へ使途拡大、ヘルスケアにも進出
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今回のインタビューは1960年創業の株式会社セキムラ代表取締役社長の新沼直哉氏に、40年前に初めて導入されたガス麻酔の笑気吸入鎮静器の現在、同社の理念「明日の医療に奉仕する」が訴えるものは何か、などをお聞きしました。

株式会社セキムラ 社長 新沼 直哉氏のONLY STORY

安心・安全・衛生をコンセプトに


–株式会社セキムラの事業内容からお尋ねします。

新沼氏:弊社は医療機器の製造販売業を営んでいます。先代の代表からは、40数年前に創業者がアメリカで使われていた笑気吸入鎮静器というガス麻酔液を日本の歯科医師や大学の先生と協力して日本に持ってきたことが弊社のルーツだと聞いております。

その時から40数年、弊社は一貫してその笑気吸入鎮静器を製造しており、今では国内95%超のシェアを誇っています。これはもともと歯科向けの機器でしたが、モルヒネ同等の痛み止め効果があることで、患者さんの不安を和らげるため、国内大手の整形外科や美容整形のクリニックのほとんどに導入されるようになりました。

–笑気吸入鎮静器が主力製品ということでしょうか。

新沼氏:そうですね。しかし今ではメインの笑気吸入鎮静器の売上は全体の3割にとどまり、残りの7割は10数年前に始めた、内科や外科で使用される医療器を逆に歯科業界に販売する事業です。

例えば生体情報モニタは、医療ドラマで人が亡くなる際に「ピー」と鳴る映像に使われるものです。歯科は患者さんの生死とは無縁の業界ですが、抜歯の際には血も流れるので手術には違いありません。弊社は安心・安全・衛生をコンセプトに事業を展開していますので、何かあった際のリスクヘッジとして必要なのではないかという考えのもと取り扱いしています。

–一般向けにも商品販売を行っておられますね。

新沼氏:「明日の医療に奉仕する」つまり「安心、安全、衛生をお届けすることで私たちの思いを社会に届けよう」という弊社のビジョンを改めて考えた時に、「医療行為」というのは必ずしも医療従事者だけのものではないと思ったんです。「ヘルスケア」という捉え方をした時に弊社で扱っている石鹸やハンドクリーム、除菌剤などを一般の方にも販売できると考えました。そこでtoC向け事業部やECサイトなどを立ち上げ、徐々にその成果が見え始めたところですね。

–御社の強みはどこにありますか。

新沼氏:弊社がオンリーワンメーカー、つまり今のサービスを提供できるような組織が弊社ぐらいしかないことはひとつの強みだと思います。東日本大震災やコロナ禍といった大きな出来事があって流通が不安定になっても弊社の製品を待ってくださっているクリニックや患者様がいてくださるというのは非常に大きな強みだと思うんです。

笑気吸入鎮静器の国内シェア95%を弊社が取れているのは他に製造する社がもうないためで、5%は昔の他社製品を大事に使い続けているからだと把握しています。手術に欠かせない麻酔器と言っても、医療機器全体から見ればニッチな製品であり、規模が大きな会社ではかえって経費がかかって割に合いませんから、40数人規模の弊社にこそ強みのある事業だと言えますね。

世代交代のため33歳で代表就任


–新沼様は3代目の社長とお聞きしました。

新沼氏:私は薬科大学を卒業して調剤薬局に勤務し、職場結婚をしましたが、相手が弊社の2代目の長女だったんです。結婚して2年経ったころ、義母から会社の世代交代に不安があるとして入社を促されたのです。11年前でした。

しかし、入社はしたものの、薬剤師の仕事しかしたことがなかった私は、財務はもちろん製造、マーケティングなど会社の様々な仕事で大変な思いをしました。それでも誰かに指導を受けながらあるいは独学で学び、5年前、33歳で代表取締役社長に就任しました。

–聞いていると順調な歩みのように感じます。

新沼氏:それがそうでもありませんでしたね。後継者候補が年齢を重ねていたり、社屋の火事と創業者の死去が重なったりで、新社長には若くて先の長い私に白羽の矢が立つことになりました。

当時の役員の年齢や顔ぶれ、娘婿の立場などからそんな予感もありましたが、いざ就任してみると50数年続く会社を任された重圧は相当なものがありました。加えて、社の代表として外にも出なければならず、自分自身としっかり向き合い、確固たる軸を持たなくてはと思ったことを覚えています。

–就任以後、何か感ずるところをお聞かせください。

新沼氏:もともと私は口達者でもなく、伝える力もなかったことから、社員の気持ちをまとめられず離職率にも拍車がかかって、マネジメントや方向性に悩んだ時期もありました。しかし、この会社での自分の目標、目的に気づき、それが確立できた後、弊社の存在意義をいかに伝えるかにフォーカスを当てたことで、今では社員が立場に関係なく意見を言いに来てくれるようになりました。中小企業の代表はスーパーマンであるべきと思い込み、肩肘張っていたのが間違いでしたね。

「明日の医療に奉仕する」創業の思い大切に


–今後の目標をお伺いします。

新沼氏:たとえばコロナで衛生や感染対策が叫ばれる今、私たちは商品を安く売ることではなく、私たちの思いを付加価値に乗せてどう伝えるかが企業ビジョンとして問われていると思うんです。2000品目に上る弊社の商品のすべてが「明日の医療に奉仕する」という創業者、先代の思いそのものであり、私がそれを消し去るわけにはいきませんから。

生活家電はオシャレなのに医療機器はオシャレじゃないんですよね。だったら、セキムラの長い歴史と信頼感があるからこそ、デザイン性も加味しながらプロダクトを作ったら幸せになるための付加価値を提供できるんじゃないかと考えています。メーカーとしてのオンリーワンの価値観を作っていくことを、中長期的にやっていきたいですね。

そしてそれはプロダクトの開発だけではなく、雇用においても進めていきたいと思うんです。従業員のやりたいことを反映できる、医療機器メーカーだけれども自由度が高くて、そのコンセプトに合うものの方向性っていうのを、私が代表のうちにはしっかりと舵取りをしながら進めていきたいと思います。

社員のみなさんには今までの価値観や働き方に向き合い、セキムラの社員で良かった、成長できたと実感してもらって、そして豊かに幸せになってもらいたいと思います。

–最後に、読者へのメッセージをお願いします。

新沼氏:たとえば1分1秒が生死を分けるAEDですが、他社製品が1分かかるところを弊社AEDは確実に10秒で処置することができます。リチウム電池の寿命から5年に1度はAEDの交換が必要です。そんなとき、ぜひ弊社のAEDを思い出していただきたいと思っています。AEDに限らず、弊社は新たな知識や価値を十分に提供できると考えています。

弊社の特徴や楽しさをお伝えできたと思いますが、学生さんにはこんな面白い会社もあるんだということを知ってもらいたいですね。

執筆=増田
校正=6483works

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