合同会社NPライフケア

中村 有更

埼玉・久喜市のプレミアムなグループホーム

親の高齢化で行き場のない我が子の生活支援・社会復帰
SHARE ON

今回のインタビューは埼玉・久喜市でグループホームを運営する合同会社NPライフケア代表の中村有更氏に、本来あるべきグループホームの形や民間会社が運営する新たなホーム像などをお聞きしました。

合同会社NPライフケア 代表 中村 有更氏のONLY STORY


【経歴】

埼玉県久喜市出身
父親が「中村印刷」を経営しておりトヨタのディーラーやチラシ、価格表を作る印刷に特化していました。右肩上がりの営業が続いていることもあり、私自身は大学卒業後、静岡にある印刷会社に入社しました。ところが半年後、その印刷会社は赤字経営に。入社半年で実家に戻ることになりました。父親の会社と付き合いのあったトヨタに入社しディーラーを3年間勤めました。

その後父親が経営している「中村印刷」に入社。統括部長という役職で、営業/デザイン/工場/総務の4部署のトップを努めました。その後、代表取締役に就任し、2018年「中村コミュニケーションズ」に社名変更しました。

また、2020年に合同会社NPライフケアを設立し、今に至ります。

「我が子が住むなら」を基準にホーム運営


––合同会社NPライフケアの事業内容をお伺いします。

中村氏:弊社の事業は、軽度障がい者向けのグループホーム「プレミアムわおん」の運営です。

話すと吃音があったり、字を覚えられなかったり、計算ができなかったり、生まれつき障がいのある方、あるいは大学を出て仕事に就いたものの環境や仕事のせいで心の病気になってしまった人たちが一緒に暮らせる家を提供しています。年齢的には30〜50ぐらいの方達が暮らしています。

––なぜそのような方達が多いのでしょうか。

中村氏:それは私たちが解決したい問題の1つ、8050問題[※]1に関係しています。

障がいのある方々は、子どもの頃は親御さんたちの家に住んで、特別支援学校に通う生活を送ります。しかし、8050問題のように、親が高齢になってしまえば体力的にも経済的にも、その子の面倒が見切れなくなってしまいます。

そうなったとき、そどもには親の元を離れてもきちんとした生活を送ることができる環境が必要です。その場が弊社のグループホームで、社名が表すように障がい者の「ライフケア」をサポートするのが私たちの役目です。

––入居者の方はどのような生活を送っているのでしょうか。

中村氏:現在、埼玉県久喜市に女子棟を含め3棟を開設していますが、ひとりに1部屋ずつ割り振っていて、お母さん代わりの世話人も常駐しているので一言で言えば、寮生活ですね。

それぞれの部屋にはカギがついているのでプライベートは守れますし、テレビもベッドもあるし、エアコンやCATVまで入っています。これらは一例で、入居者向けには安全面、快適面、衛生面で10項目以上の設備を整えています。そのほかにも誕生会を開催したり、ひなまつりやバレンタインなどのイベントも開催しています。

大手のグループホームだと大箱の建物に大人数を収容するので、あれもダメ、これもダメと規制しないと運営し切れないんですが、弊社ではそのような制限は一切設けていません。グループホームの名前に、プレミアムと付くのもこのような違いがあるためです。

––なぜそのような環境にしようと思い至ったのでしょうか。

中村氏:グループホームとはどうあるべきかを考えたとき、私は「我が子が住むなら」を基本として運営したいと思ったんです。入居者には家族・我が子のような距離で接したいし、彼らにもそう感じてもらえる環境にしたいと思いました。

なので判断に迷うことがあれば、「自分の子どもだったら許すか許さないか」を基準にします。例えばデザートやゲームは他のグループホームでは許可が下りないことが多いんですが、自分のわが子がしたいと言ったら「いいよ」というと思うんです。だから、この家の中でも「いいよ」と言って自由でオープンな生活を送ってもらっています。

そのほかにも、今後はアニマルセラピーと殺処分問題解決の取り組みとして、動物との共同生活を進めていく予定です。一緒に暮らす動物はこのままでは殺処分されてしまうような恵まれていない環境の動物たちです。

––正直、イメージしていたグループホームの生活と違いました。とても自由に暮らせるんですね。

中村氏:そうですね。この前は、入居希望の女性から飼っている小鳥を手放したくないという相談がありました。他の施設では動物禁止が当たり前ですが、ここではそんなことは一切お構いなしです。小鳥は彼女の家族であり、彼女を支える存在でもあるんです。それを取り上げるなんてことはできません。


[※]1…80代の親が50代の子どもの生活を支えなければならない社会問題

グループホームで5つの社会課題解決に貢献


––どういう想いからこの事業を始めたのでしょう。

中村氏:このグループホームの運営は、8050問題だけではなくて、障がい者の住居問題や障がい者雇用問題、空き家対策、動物の殺処分など、いろいろな社会問題の解決につながります。それら問題は、遠くの誰かではなく、私たちの世代なら多くの人が感じているはずの身近な問題です。

私はもともと「これらを解決できるような何かをいつかやろう」って思っており、その何かに出会ったのが去年でした。もちろんビジネスなので成立させるには、さらに事業を拡大する必要もありますが、やるべきだと思い手がけたというのが一番です。

––ホームを開設するにあたって、何か印象深い出来事がありましたか。

中村氏:開設の直前はピンチの連続でしたね。開設には建築物や設備配置の規定、有資格者の在籍など細かな申請項目があり、そのひとつにでも不備があれば次の申請は1か月後になってしまうんです。結果的にはそのような事態にならずに済みましたが、それでも申請1週間前に資格者が辞退したり、印鑑をもらうはずの大家さんが病気で重体になるなど、ずいぶん冷や汗をかきました。

その後、どうにか去年の12月10日、オープンにこぎつけましたが、宣伝・営業したにもかかわらず12月は閑古鳥が鳴く状況でした。しかし、チラシを配ったためか、今では3棟が全部埋まって、空き待ちの予約でいっぱいになりました。

また、入居者が元気になっていく様子も嬉しく、印象に残っています。例えば、引きこもりだったとある40代の男性は今では農園に毎日勤務しに出かけています。寂しいですが、彼らがここを卒業していって、どんどん自立してくれることを願っています。

民間運営の新たなグループホーム像の確立を


––将来の事業展望をお聞かせください。

中村氏:障がい者と言われる人たちが、1日も早く社会復帰できるお手伝いをしていくことです。そのためにまずは施設を増やすことが短期の目標になりますね。

長期的には、私の想いに賛同してくれる企業さんとコラボし、入居者へ職や仕事の提供を行うことが目標です。コロナ禍を受けて当たり前になりつつある仕事のテレワーク化は、彼らの自立機会を広げるチャンスで、加えて企業に課せられている障がい者雇用促進法の後押しになります。

例えば、打ち込み作業のような間接業務はテレワークであればホームに居ながら仕事ができます。そのような形で彼らが一人前の給料をもらって働けるようになるまでの流れを作れたらと思います。

もっとも、いつまでもホームに留めておくのは本意ではないので、どんどん自立してもらって、新たな人が入居してくるという循環が望ましいですね。

––どんな意義を持つ会社でありたいとお考えでしょうか。

中村氏:当然のことですが、グループホームの立ち上げは福祉業界にいた人がほとんどなので、どうしてもそれまでの役所の規制やルールから抜け出せません。健常者が禁煙に四苦八苦するのと同様に、「ホームに入るならこれはダメ」と障がい者にいきなり言っても難しい話です。

私は従来の既成概念にとらわれない、民間会社が運営する新たなグループホーム像を確立したいと思っています。

––最後に、読者へのメッセージをお願いします。

中村氏:私は何が「障がい」かはとらえ方の問題だと考えています。重度の近眼だって不自由さでは障がいと言えるだろうし、若いうちから髪の毛が少ないことや太りすぎだって、当人が困っていれば障がいなのかもしれません。しかし、メガネをかけた人やカツラの人を見ても、だれも障がい者だとは思いませんよね。

それと同様に、障がい者と言われる人は多くの人とはちょっと違う「個性」を持つ人なんです。周りも彼らを個性を持つ人だと見ることで、彼らの不安は軽くなり、社会復帰につながります。見方を変えるだけで障がい者の暮らしやすさは大きく変わるはず。ぜひ障がいも健常者も暮らしやすい社会を作ってもらえたらと思います。

また、経営者さまに対しては、障がい者の自立のために100人以上の名刺作成を考えていますのでぜひお声がけいただきたいと思います。

執筆=増田
校正=笠原

合同会社NPライフケアの住所や電話番号、採用・求人等が載っているホームページはこちらから↓

SHARE ON

この決裁者とコンタクト

メッセージを送るためには決裁者ログインが必要です。
まだ登録のお済みでない方は、掲載依頼の上ご登録を宜しくお願い申し上げます。
×このウィンドウを閉じる