建築コンシェルジュ合同会社

加地 正人

民泊ビジネスを加速させる一級建築士事務所

民泊ビジネスのワンストップサービスと用途変更
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今回のインタビューは、使われていない住宅やビルを民泊やホテルにするためのサポートを行う建築コンシェルジュ合同会社の加地氏にお話を伺いました。建築物に付加価値を与えて寿命を延ばすための同社の取り組み、これからの展望について語っていただきます。

建築コンシェルジュ合同会社 社長 加地 正人氏のONLYSTORY


【経歴】

1963年 愛媛県四国中央市生まれ 1987年 東京理科大学理工学部建築学科 卒業  1987~1990年 東京理科大学助手 1990~1991年 設計事務所勤務 1992~1997年 建築設計事務所 自営 1994年 イタリア遊学 1995~1999年 大学非常勤講師 1997~2008年 設計事務所勤務 設計事務所の子会社・文化施設運営管理会社を設立・代表 2009年3月 建築コンシェルジュ合同会社設立 現在に至る 
著作 民泊の事業化計画・運営管理 資料集(綜合ユニコム)

宿泊業参入の障壁を解消するコンサル会社


–建築コンシェルジュ合同会社様の事業内容を教えてください。

加地氏:建築コンシェルジュ合同会社は民泊ビジネスを加速させることを目的に事業を進めています。具体的には使われてない住宅、あるいは小さなビルなどを住宅宿泊事業法で言われる民泊、あるいは旅館業法で言われる旅館・ホテル等に変えられるように法的手続きを経て営業を可能にするサービスです。

–民泊ビジネスのサポートをされていらっしゃるとのことですが、どういった層のお客様からご依頼をいただくのでしょうか。

加地氏:法人と個人、どちらのお客様からもご依頼をいただきます。法人のお客様に関しては、ホテル・旅館業界の方よりもすでに建設業や不動産業に携わっている方が、新規事業として始められたいとご連絡いただくことが多いですね。中でもスモールホテルに関するご依頼が多いです。
一方、住宅で民泊をされたい方は個人が多く、民泊の防火と避難についての安全性チェックと、できない場合の対応策についてコンサルティングします。その他に不動産投資家さんに用途変更可能な案件をご紹介させていただくこともあります。

–コンサルティングでは具体的にどういったことをされていらっしゃいますか。

加地氏:コンサルティングではお客様が実際に民泊事業を始められる状態にするために、調査・企画・設計・見積・工事などを行います。
そもそも旅館やホテルは運営できるエリアとできないエリアがあります。さらに東京都の場合は敷地の形によってできない場合があります。机上の調査では土地の審査や新築の場合は建築可能なラフプランの提案もします。また、現況建物の平面図や面積表などをチェックして、旅館やホテルに用途変更可能か確認します。
そして用途変更の可能性があれば、現地に行って現況建物の詳細を確認します。その際、用途変更可能性チェックシートを作って、不具合がある箇所をお客様にお知らせして改善方法をご提案します。そして改修用のラフプランを製作して事業収支計画のベースにしたり、役所や建築の確認検査機関との事前相談の協議資料にします。
お客様がラフプランに同意いただけたら工事費の概算見積もりをお出しして、お客様が実際に民泊業を始めるかどうかをご判断いただきます。工事の費用と技術から知り合いの業者の中から適切な方を選任します。

‒様々な調査を行った上でお客様が宿泊業を行うことができるような全面的なサポートをされていると言うことですね。
続いて同業他社と比較した際の御社ならではの強みを教えてください。

加地氏:コンサルティングから調査、企画、設計、建設、運営、管理までワンストップで対応できる点が建築コンシェルジュ合同会社の強みのひとつです。その中でも最も大きなメリットは難問解決だと思います。
例えばマンションやアパートなどの共同住宅をホテルに用途変更するときには、エントランスや共用廊下などの床面積が規定をオーバーすることがあります。その場合は、床面積に入らない部分を見つけたり法令の解釈を基に、建築の確認検査機関と協議をしながら合法的に解決することもあります。
そのような対応をされている民泊に特化した設計事務所は多くないと思います。これは弊社の大きな特徴だと思います。

建築の寿命を延ばすビジネスへ


‒起業に至ったきっかけについて教えてください。

加地氏:もともと学生時代から建築設計業で独立すると決めていました。大学を卒業して5年間ほど実務を積んで自分の設計事務所を始めました。ただ、当時は今のようにインターネットもなかったので、仕事は規模も小さく不安定でした。そんなとき名のある建築家が新しく建築設計事務所を立ち上げるというので声をかけられ、また会社勤めをすることになりました。
携わる設計案件はこれまでになく巨大で日々学ぶことだらけでした。そして10年が過ぎ、自分たちが設計した建物の運営と管理もやろうということになって、子会社を設立しました。そこの代表を私が務めることになり、コンサートの自主企画や映画上映も企画しながら、貸しホールや貸し会議室などの運営をしていました。

その時、地元の方にもコンサートのご案内をするのですが反応は乏しくて、文化・芸術への興味・関心はそれほど高くはないと感じました。それまで「日本は豊かだ」と信じていましたが実際はそうではなかった。
「それはなぜか」と考えた時に、職業柄「建物の寿命の短さ」が原因にあるだろうと考えました。というのも建替えられる住宅は完成してから平均26年で取り壊されています。これは働き始めて26年おきに新築することになり、一生住宅ローンを背負う計算になります。この「スクラップ&ビルド」の繰り返しは地球環境の面からも問題です。そのようなスタイルが、豊かさを失わせていると思い、それを解決するには、長く使える建物を作っていくべきと考えました。それはきっと「やりがいのある仕事になる」だろうと思い、独立しました。

‒そこからどうして現在の事業を始められたのでしょうか。

加地氏:長寿命建築への思いや技術をクライアントにご提案しても、現実の予算には勝てませんでした。建築の寿命を延ばすために、自分に何ができるのか模索を続けていました。そんなときに大阪で民泊ビジネスをされていた方が、東京でも始めたいと、ご相談にいらっしゃいました。ホテルの設計やバックパッカーで長旅の経験はありましたが、民泊や用途変更については全く経験も知識もありませんでした。法律や制度など自分で調べたり役所へ行って聞いたりしていると知識やノウハウがたまっていきました。知り合いからのご紹介やホームページからもご依頼をいただくようになり、今の事業に特化することになりました。

地方創生にも貢献したい


‒今後の目標について教えてください。

加地氏:今の民泊推進事業を拡げて深めて行こうと考えています。民泊ビジネスを介して海外投資家との繋がりも生まれています。そこから民泊以外の建築関連のビジネスに成長できたらいいなと考えています。
それは何かまだ見えていません。でもきっとビジネスに長けた方の目・耳や嗅覚は優れ、価値ある情報が集まることでしょう。その流れを見通しながら、行錯誤しながら、ニーズに応えられるようなサービスをいち早く見つけたいと思います。

‒その後の長期的な目標はいかがでしょうか。

加地氏:日本の眠れる不動産を活性化させて経済活動に参加させることです。人口が減少する中で新しい建物が建設されると、新築の分以上に建物が余ります。それを活かすことができればビジネスになります。それに加えて日本各地で観光ビジネスが盛んになるように、地方固有の魅力をかたちに表現して国内外の人に伝えたいですね。他では味わえない体験から地域の発展に貢献できればまたいいですね。一軒の建物のデザインもいいのですが、民泊はホテル・旅館と違って素泊まり+アルファですので、旅行者はその施設内で一日を過ごすことはできません。民泊近くのサービスをともなって成り立ちます。旅行者が地域とつながることでまた特別な体験を得られることもあるでしょう。できれば街を挙げて、そこに住まう方も観光ビジネスに参加できるように面的に広がる観光事業にしたいですね。

執筆=スケルトンワークス
校正=笠原

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