株式会社Rist
遠野 宏季
POSTED | 2018.06.22 Fri |
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TAGS | 従業員数:11〜30人 業種:飲食・サービス 創立:7〜8年 決裁者の年齢:30代 商材:BtoB |
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歪み、傷み、病気までも見つけ出す最新AI技術とは?
目などを酷使する仕事から働く人をもっと自由にTopics
株式会社Rist 社長 遠野 宏季氏のONLY STORY
新しいものではなく、本当に役に立つものを愚直に作りたい
私はもともとビジネスをする気はなくて、小学校の頃から科学者や、発明家になるのが夢でした。科学技術など、新しい技術で世の中にサービスを提供したいと思ってたんです。
そこで自分のイメージに一番近かった科学者になろうと大学に進学し、アカデミアの世界を進もうと考えていました。
ですが目先の実用性よりは新規性に重きを置いているアカデミアよりは、既存の技術であっても直近の課題の解決に役に立つようなものを生み出す活動の方が自分のやりたいことに合っていると感じました。そのような活動を継続的にやり続けたいと、自分の活動・研究資金を獲得するための手段としてビジネスを選び、起業を決意しました。
その頃に大学の先輩がDeep Learning関係の研究をしていて、会社を立ち上げるから半年間だけ手伝ってほしいと言われて、そこにジョインしました。ただ、私としてはスモールビジネスでもいいから本当に役に立つものを愚直に作りたいというスタンスだったので、半年間そこで働いた後に自分で起業しました。
創業当初はさまざまなサービスを考えては頓挫するといった形で、非常に紆余曲折を経ています。その中で知り合いの伝手でDeep Learningをやってほしいという相談を受けたんです。それで非常に良い成果が出たので、他の会社も困っているんじゃないかと思い、同様にやっていくうちに今に至っています。
技術の行き届いていないオフラインの現場にAIを
Deep Learningとは、画像・動画・音声のように人間が今まで感覚的に理解できていたがシステムには出来なかったデータをシステムでも処理・認識可能にする技術のことです。それが3年ぐらい前に出てきて、一躍注目を集め、昨今のAIブームに繋がっています。
株式会社Ristでは、実証実験で終わるのではなく実際に使えるものにしたいと思い、論文を現場の運用に耐えうるようにシステムの開発も含めて行い、クライアントの声を丁寧に汲み取り泥臭く開発していく過程を大切にしています。
実際の例を挙げると、製造業に関しては「目視検査」です。製品や部品など、何かを製造したあとにそれが綺麗に作れているか、傷がないかといったチェックを今まで人が目を酷使して行っていました。そこでAIを使って、どういう傷があると駄目か、どれが良いかと見分ける技術を開発しています。
医療だとCT・MRIや医療画像を医師が毎日数百枚見て、ガンがあるかないか判断している状況をサポートする形で「ここに病気があるかもしれない」というサジェスチョンをするものなど、そういう技術を病院と研究開発しています。
今まで医師が経験で学んでいた画像のデータを集めれば、AIも医師同様に見分けられるシステムができるというところですね。
AI技術を実生活にまで落とし込み、システム化へ
株式会社Ristの今後の展望としては、今1つ1つ対応しているシステムをクラウド化したいという想いがあります。
製造業の現場では、ベルトコンベヤーなどが発達して物を右から左に移すという工程はだいぶ自動化されています。しかし、目視検査の部分はまだ、人間の目を工場の歯車の1つとして組み込んでしまっている。そこが非人間的で、もっとクリエイティブなことをした方が良いと思うので、早くシステム化したいですね。
製造業以外にも、例えば建築関連、印刷物関連など、幅広い分野で今まで目を酷使してやっていた作業があるんですよ。これまでの研究開発でノウハウが溜まってきたので、クラウド化して幅広くいろいろな分野の人が使えるシステムとして横展開していきたい。
また、これから少子高齢化で人がどんどん減って行くので、製造過程をシステム化して均一の商品のクオリティで、熟練者がいなくなっても大丈夫な状況を作るという課題を解決していきたいですね。
取り急ぎはこの分野である程度形を作って、今後もしかしたら違う分野で、DeepLearningに限らずさまざまな技術を使ってシステムを開発していくことになるかもしれません。
DeepLearningも騒がれていますが、ブロックチェーンという技術も一人歩きしていて、実生活で使える技術としては定着していないんですね。だからこそ、そういった技術を使えるように落とし込んで、具体的な製品化を進めていきたいと思っています。
とはいえ、AIという分野そのものに拘っているわけでもないんです。こうした技術を使える人がその当時あまりいなくて、みんなが右往左往しているのを見て、それを解決しようと思って始めたことが今に繋がっているという状況です。
今は大手企業も画像検査などを始めています。ただ、パッケージだとそれほど精度が上がらない場合も多いので、株式会社Ristのサービスが役立つ余地もある。だから早く世の中に「こうやったらできますよ」というロールモデルを見せて、それを広められる会社になったら良いと思っています。