PimilA Japan株式会社
松田 有史
POSTED | 2019.03.11 Mon |
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TAGS | 従業員数:6~10人 業種:卸売業・小売業 創立:7〜8年 決裁者の年齢:50代 商材:BtoC |
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東南アジア進出目指すブランドへOtoOの支援
一層の成長が見込まれるベトナムとの懸け橋にTopics
今回は、東南アジアの現状、人々、文化を理解し、熟知しているPimilA Japan株式会社の代表取締役・松田氏にインタビューし、現地へ進出しようとする日本企業への支援について、ベトナムの今と合わせてお聞きしました。
PimilA Japan株式会社 代表取締役 松田 有史氏のONLY STORY
プラットフォームだけでなく現地の販売まで責任を持つ
–PimilA Japan株式会社の業務内容をお伺いします。
松田氏:当社は2017年に設立し、大韓民国投資振興公社と共同で、日本進出を目指す韓国ブランドの総代理店として、梅田阪急や109、原宿アルタなどで、韓国のアパレル、コスメ、雑貨のポップアップショップをやらせていただきました。
そして現在、当社は韓国のポップアップショップのプロデュース事業、中国でのマーケティング経験を活かした東南アジア進出支援事業、インフルエンサーサイトの運営によるインスタライブ事業を運営しています。
さらに、身近に食物アレルギーを持つ人がいることがきっかけで、セミナーや商品プロデュースを通したソリューションとして、アレルギーに関する事業も展開しています。
その事業の中で、現在最も力を入れているのが東南アジア進出支援事業です。
–東南アジアの事業に注力しているのはどのような理由からでしょうか。
松田氏:私は以前から中国の上海、北京、成都、蘇州などでビジネスをやってきており、中国のグロースの仕方を目の当たりにしました。しかし、中国のバブルは現在、飽和状態にあるため、4、5年前からはシンガポール、マレーシア、タイ、台湾などでビジネスをしていました。
こうした東南アジア諸国で感じることは、親日の国であり、親日の人が多く、日本の商品、エンタメ、コンテンツなどの全てに興味を持っていることです。
あるきっかけでベトナムのビジネスに出会った際に、一般的に日本人が持つベトナムのイメージは過去のものだと知りました。現在のベトナムはバブルの最中にあって、クルマ社会ですし、高層ビルが多く、女性もメイクをしてオフィスで働き、所得がどんどん上がっています。
もうひとつ特筆すべきは、人口は9400万人で10年もすれば日本と同じになると予想されている一方、平均年齢はなんと28歳なんです。加えて7.4%という高いGDP経済成長率で、年齢分布がきれいなピラミッド型ですから、次世代の労働力も確保されています。
このように成長を続けており、さらなる成長が期待されるベトナムの魅力を伝えながら、ベトナムに進出する人をサポートしたいと考え、東南アジア進出支援事業を行っています。
–具体的な事業内容をお聞かせください。
松田氏:ベトナムでは毎年1月に日本企業だけが出店できるジャパンフェスティバルが開催されます。約30万人が集まるこのイベントに、日本の有名企業や各地方自治体がブースを持って物販を行います。当社はこの営業代行を担っています。
ブースの中でいかに魅力を伝えられるか、が勝負になるので、一部運営を任せていただく形で代行業をしています。
–他社と違った強みはどういうところにありますか。
松田氏:例えば越境ECとなると、ECプラットフォームだけを販売することが多いと思うのですが、当社はホーチミン市にある高島屋と提携しているので、そこにベトナム企業のスタッフが販売代行する形で、ポップアップショップを出店するお手伝いができます。
このようにオンラインとオフラインの両面で進出支援ができるだけでなく、私がアパレル、アクセサリーの小売り、ブランドプロデューサーの経験を持ち、リテールについてもルートを持っていることも強みですね。
プラットフォームだけを売るのではなく、小売りまで責任を持てるところが、他社と違っており、圧倒的な強みになっています。
–東南アジアでの事業で、一番大切にしていることは何でしょうか。
松田氏:やはり、東南アジアをどれだけ好きなのか、ということですね。現地の文化を深く理解し、人と人のつながりを大切にすることから東南アジアのビジネスは始まります。
欧米からもどんどん商品は入っていて、目は肥えていますから、日本の商品を持って行けば簡単に売れるだろうというのは、幻想でしかありません。
ですから、ベトナムの文化や人を愛し、首都圏だけでなく、地方の良いものを紹介できるような企業の方と、ともにベトナムで育っていく、そんなお手伝いができればいいな、と思っています。
これから伸びるとホーチミンで実感したベトナム事業
–ベトナムで事業を立ち上げるきっかけは何だったのでしょうか。
松田氏:3年前にマーケティングの調査でベトナムとインドネシアに行きましたが、ホーチミンで日越交流に尽力されている方と知り合い、いろいろと見聞きする中で、これからベトナムが伸びると肌で実感したことがきっかけとなりました。
–松田様の経歴をお聞かせください。
松田氏:新卒で入った会社ではクレーム、アフターサービスに取り組むと同時に、それをデータ化したマーケティングに従事しました。当時の目標もいろいろあったので、会社を移ってプランナーや営業マネジャーを経験しました。
その後、独立してアクセサリーブランドの新規立ち上げや、リブランドのプロデューサー、ディレクター契約などで事業展開しながら、エンタメ事業にも参画していました。
–起業してから気がついたとか、うれしかったこと、つらかったことなどはありますか。
松田氏:事業の性格から、私は小売りの厳しさを十分に知っており、小売りとはどういうものかを真剣に考えていましたが、一方でPRやIT、Webマーケットの勉強も重ねました。
実はITに関しては東南アジアのほうが進んでいます。中国の経済特区の深圳では高校生が起業してリハビリロボットを作り、ベトナムでは屋台でもカードやQRで決済ができます。
東南アジアの人はトライ&エラーを重視しているので、日本と違って、いいと思えばすぐに取り掛かるため、大手への出店も簡単にできてしまいます。日本もぜひ見習うべきですね。
うれしかったことは、韓国や東南アジアのどこへ行っても、温かく接してくれ、それでお互いに利益が出るウィンウィンの関係になれたことです。お互いの文化を知るきっかけもできましたし、悩みを打ち明けるような関係になった方もいます。
反対に、私はプライドを持たないので、つらかったことはありません。悩んだり困ったときには、ひとりで抱え込まずに周りに打ち明ければ、必ずだれかが手助けしてくれたんです。もちろん逆の場合もあって、それは信頼関係があったからですね。
東南アジアとの文化交流を深めることで社会貢献
–今後の展望をお聞かせください。
松田氏:短期的には、すでにスタートさせた韓国のプロデュース事業を成功させることです。
ベトナムについては8月にフィールジャパンという日本を紹介する企画があるので、こういう催しが日越の懸け橋となって、日本のブランドがベトナムの文化のひとつになることが長期の目標になりますね。
当社は小さな会社ですが、例えば留学生の人材活用を通じて、東南アジアとの文化交流を深めることで社会貢献をしたいと思っています。また、第一次産業での外国人雇用ではなく、三次産業やITで活躍してもらうお手伝いしていきたいとも考えています。
–最後に、読者へメッセージがありますか。
松田氏:とにかく、まず現地に行って、そこの空気を肌で感じることが大事だと私は思っています。必ず旅行代金以上のものを得ることができます。私たちは現地へ行く手助けとして、現地とのマッチング商談会を開催しようと考えています。
今、日本の文化は特に若い人に興味を持たれているので、学生交流やコミュニティを作るなどの活動もできたらおもしろいですね。
執筆=増田
校正=勝野