合同会社カプラス
中村えいすけ
POSTED | 2017.02.16 Thu |
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TAGS | 従業員数:5人以下 業種:卸売業・小売業 創立:7〜8年 決裁者の年齢:40代 商材:その他 |
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答えは無限にあるものだ
ものづくりとの出会いで見つけた“自分なりの働き方”Topics
合同会社カプラス 社長 中村 えいすけ氏のONLY STORY
「普通」からの卒業
私は、7歳の時に交通事故に遭い、頭蓋骨が割れる大怪我を負いました。
以来、脳波に異常が出るようになり、体調が良い時と悪い時の波が激しいため、「症状と付き合い、寄り添う」ことが必要でした。
一つの壁になったのは、「一つの会社で働き続けるのは難しい」ということでした。
せっかく就職したとしても、体調が悪くなれば休まねばならず、迷惑をかけてしまうわけですから、最後は退社の道を選ぶことになるのです。
ですから、ビルメンテナンスや設備管理の仕事、商業系の仕事、化学研究所での仕事などの中から「プロジェクト完結型の仕事」を続けるしかありませんでした。
ある時、私は精密機器の仕事を行う会社に、実験職として採用されました。
良くも悪くも過去のビルメンテナンスの経歴が買われ、入社まもなく工場の拡張業務を任されました。
仕事自体はとても面白く、体調も安定してました。もちろん責任もやりがいもあったのですが、月100時間以上の残業を続けてしまったことでとある日、倒れてしまいました。
そして復帰してから、自分で自分に驚きました。
それまでは少なくとも週5日、40時間は働くことができていたのに、今はその瞬発力すらない!
自分の上限が明らかに下がったことに、心底ショックを受けました。
さらに追い打ちとなったのが、自動車の追突事故に見舞われたことでした。
結果、1年間のリハビリ生活が待っていました。
私は、思い切って「頑張ること」を中断しました。
そして趣味と実益を兼ねて、イベントの企画をすることにしました。
私はもともと裏方属性で、「企画・構成」は得意なジャンルでした。ただ、集客は全く得意ではありませんでした。
ところが、世の中には「イベンター」と呼ばれる業種の中で「集客は得意だけど、企画・構成はあまり得意じゃない」人がいるということを知り、たまたま出会ったイベンターと二人三脚でイベントをすることになりました。
やがて「イベント企画者として動く」という決断は、私に新しい世界との出会いをもたらしました。
「FAB9」という国際イベントで、先端技術を使って誰でも気軽なモノづくりができる「ものづくり工房の代表者が集まる世界会議」の部分的なディレクションをさせていただいたのです。
「世の中には多くの先進技術があり、しかもすごく身近にある」ということを知ったのです。
こうした技術を使えば、「自分にも何か新しいものが生み出せるんじゃないか?」
そう思ったら、ワクワクして仕方ありませんでした。
それまでの私は、「みんなと同じ」働き方にこだわっているところがあったのかもしれません。
でも、それで無理をするよりも、自分ができることを、自分にできるタイミングで、ものづくりをしながら社会の役に立てばいいと気づくことができました。
そこから、見える世界が大きく広がったような気がしましたね。
経験値の掛け合わせで期待に応える
合同会社カプラスには、メイン事業というものがありません。
サイトには、イベント企画、ウェブ制作、アプリ企画、グッズ開発、機器開発、購入代行、コンサルティング、便利屋業と掲載していますが、言うなれば全てがメイン事業でもあるのです。
お客様が私に求めて来られたことで、私がお応えできることであれば、どんなことも事業になり、その時その時でメインになる事業は変わっていきます。
例えば、ある金属加工の企業様から経営に関するご相談をいただいた時は、コンサルティングがメイン事業でした。
その企業様は、将来を見据えた事業展開にお悩みでしたので、今まで金属で見たことないものを考えてみましょうというお話しをして、金属の名刺を作るというご提案をしました。
普通のコンサルタントならそれで終わりですが、私は実際に作業服を着て、金属に印刷をし、試作品の完成までずっとお手伝いさせていただきました。
自社企画ではアプリ企画開発・機器調達、イベントの当日運営まで一括して行なっています。今は「【新感覚体験鬼ごっこ】HIT-MAN ARRIVAL」というイベントがそれにあたります。
これは、「鬼が誰だかわからなければ、鬼ごっこはもっと楽しいんじゃないか」という発想から始まった企画です。
「HIT-MAN ARRIVAL」という無料アプリをプレイヤーのスマホにインストールし、そのアラームだけを頼りに鬼ごっこを楽しみます。
誰が鬼なのか分からない中で歩き続ける緊張感は、非常にスリルがありますよ。
この企画は、イベント会社様などを中心に企業様が採用してくださり、ライセンス利用料をいただく形でマネタイズを実現しています。
自分のオリジナル企画で原案を練り、アプリ開発から何から何まで手がけたサービスで、お金が生まれたという喜びは本当に大きく、自信になりましたね。
現在はこの流れを受けて、BtoBの商品開発に力を入れています。
目指しているのは、IoT関連の機器を通して、多くの企業の業務改善・効率化を達成することです。
世の中には、人間にしかやれない分野と、機械が得意とする分野とがあります。
機械でできる部分は任せてしまうことで、限られた人の手を他の分野、例えば「新規事業の開発」や「現在している業務の業務拡大」などの方向へ移行ができるのではないかと考えています。
幸いなことに、私には広く浅くではありますが工業系、商業系、化学系、製造系など、幅広い業界に勤めながら高めてきた経験値があります。
それらを掛け合わせる事で、できることはたくさんあるのです。
「高い費用をかけてプロに任せるほどではないけれど、経験値のある誰かに時々管理してほしい」というような時に、気兼ねなく依頼をかけられる存在であり、企業様と共に考えて行動できるパートナー。
それが私であり、カプラスだと思っていただけたら嬉しいですね。
正解は一つじゃない
今思うのは、「働き方は一つじゃない」ということです。
正社員という働き方が「普通」なのかもしれませんが、無理に背伸びしたり、形を合わせる必要はないんですよね。
自分の体調と歩調を合わせて生きている私ですが、ものづくりを始めたことで、定期的な収入を得ることができるようになり、自分自身がどんな状態にあったとしても、最低限の収入は賄えるようになりました。
毎日仕事ができなくたって、自分が楽しくて事業が回り、毎日食べていけるのなら、それでいいんじゃないかと思います。
正社員として安定はしているけれど、毎日がストレスフルで憂鬱だとか、無理をして残業して身体を壊して、働くことが息苦しいとか。
そんな人、めちゃくちゃたくさんいるじゃないですか。
そんな時はもう少し緩めた方が、きっと楽しいですよね。
世の中には色んな働き方がありますから。
「多数派じゃなくてもいいんだよ」
自分なりのペースで、自分の好きな仕事をすることの楽しさを伝えられたらと思います。