株式会社アクト
伊藤 啓介
POSTED | 2014.07.26 Sat |
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TAGS | 従業員数:51〜100人 業種:卸売業・小売業 創立:15年以上 決裁者の年齢:50代 商材:BtoC |
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朝起きたときに行きたいと思う会社にしたい
経営危機を乗り越えた日本一の中古電動工具ショップTopics
株式会社アクト 社長 伊藤 啓介氏のONLY STORY
日本一の電動工具のリサイクルショップ
日本の電動工具のリユース業界でトップの売り上げ、販売量、在庫数を誇る会社がある。それが株式会社アクトだ。
アクトが取り扱うのは、電動ドライバーや電動の釘打ち、電動丸ノコなどの電動工具だ。アクトではこれらを買い取り、店舗、並びにネット上で販売している。これらの電動工具は一般家庭向けというより、職人向けのものが多いと言う。2022年3月時点で15店舗を構え、関東エリアを中心に年々拡大している。
そんなアクトは、元々は自動車の解体業として活動していたそうだ。だが、競合が次々と現れてきたため、その事業を続けることが難しくなってしまったという。その後は、当時高価なものだった家電を売る総合リサイクルショップ事業に取り組んだ。そのような試行錯誤を繰り返し、最終的に現在の電動工具のリサイクルショップとなったのである。
評価制度は全て公開‼自分が何を頑張れば良いか可視化できる環境
アクトでは、以前、従業員と経営陣との関係がぎくしゃくしていて、従業員が不満を抱えながら仕事に取り組んでいた時期があったそうだ。そんなアクトに転機が訪れたのは2008年のことである。当時、ある1つの店舗で従業員の不満が爆発し、従業員が全員辞めてしまうという出来事があったそうだ。当然その影響を受けてその店舗の経営は一気に厳しくなったという。
「その時は本当にショックでしたね。今までの自分の経営方針が間違っていたのだなと、心の底から思いました。そしてそれと同時に、会社の抜本的な改革の必要性を感じました」株式会社アクトの伊藤啓介社長は、当時のことをこのように話してくださった。そしてそんな社長の想いから、会社の改革が始まった。その中でも社長の従業員に対する考えの変化が如実に反映されているのが、評価制度の改革だ。
それまでのアクトの社内評価制度は不明確で、なおかつ従業員に開示されていなかった。そのため、従業員にとっては自分の評価がなぜ低いのか、自分はどこを頑張れば良いかがわからなかったのである。だが、新しく作り直した評価制度では、評価基準が明確になっており、なおかつ従業員に完全に公開されるようになった。そのため、誰でも会社の評価するポイントを理解でき、自分の評価がどうなのかを知ることができる。しかも給与が上がる項目がはっきりと明記されているので、社員は自分がどこを改善すればより評価されるのかがよく分かるようになったのだ。
また1ヶ月に1度、自分自身の評価に関して、店長と面談できる機会を設けるようにした。そこで各自自分の目標を決めたり、その目標が達成できているかを店長に確認したり、達成できていない場合はどうすれば良いのかということを一緒に考えることが出来るのである。
そんな素敵な評価制度であるが、その中に、従業員への愛を特に強く感じる項目があった。実はこの評価制度の中には、従業員の健康に関する項目があるのだ。社長自身が禁煙や減量を積極的に呼び掛け、健康面を評価基準にしてまで従業員の健康のことを考え、そしてこれを評価基準として明記しているのである。従業員は、自分が健康になることで評価され、給料が上がるのである。そこには、過去の経験と真摯に向かい合い、2度と同じことを起こさないように、そして何より従業員が本当の意味で幸せになるようにという、社長の強い想いが込められていた。
電動工具業界のブックオフを目指して
そんなアクトの今後の展望について伊藤社長に尋ねてみると、「古本という業界において、それまでの常識を、文化そのものをブックオフは変えました。我々は電動工具という業界ですが、同じことが我々には出来ると思うし、やる必要があると素直に感じます。具体的には、メンテナンスされた電子工具が手に入るような環境を全ての都道府県に整えていきたいです。2030年までに50店舗というのが現在の目標ですね。あとは何より、従業員にとってもっともっと働きがいのある職場を目指していきたいです。労働環境という面で見たときにも、まだまだ改善できる部分があると思いますし、そこは妥協せずに追い求めていきます」と、強い想いを話してくださった。その眼差しからは、これを本気でやり遂げるのだという、伊藤社長の強い覚悟を感じた。
従業員の声
榎本 南美 さん
4年目
私の仕事は、電動工具の買い取り、販売、また、買い取った商品のメンテナンスやクリーニング等です。正直、最初はわからないことだらけで大変な思いもしましたが、分かることが増えてくるにつれて楽しいと感じる機会が増えてきました。特にやりがいを感じるのは、自分が一生懸命綺麗にした電子工具が売れた時ですね。すごく嬉しい気持ちになります。
私にとって、アクトのイメージとして強いのは、他店舗ととにかく仲がいいということが大きいですね。飲み会を店舗ではなく全店でやる会社は珍しいと思いますし、従業員同士が仕事以外の部分でも仲が良いというのはすごく魅力的です。
また評価制度は目標が明確になって、会社に何が求められているのかがはっきりわかってとてもよい制度だと思います。
編集後記
電動工具という、自分にとってあまり馴染みのない業界のインタビューだったので、色々なことが素直に刺激になった。でも、今回のインタビューの中で一番刺激になったのは何かと言われると、やはり社内評価制度の仕組み化が挙げられる。今までに本当に色々な会社を回ってきたが、ここまで社内評価制度がしっかりと定められている会社はなかった。あと、伊藤社長がとにかく素敵だった。細かい気遣い、話のまとまり、強い想い、そしてそれを実現する行動力、素直に勉強になった。