経営者は立場上、相談相手がいない場合が多く、悩みを抱えやすい傾向にあります。悩みの内容は大きく分けて「事業」と「人材」の2種類。これらの課題の根は深く、一人で解決できるものではありません。もし一人で抱えこんでしまっている場合は、早めに対処しておかないと心身の体調を崩してしまい、最悪の場合は再起不能に陥ってしまいます。
今回は、経営者が抱きやすい悩みを紹介し、そのうえで、解決するにはどうすれば良いのか、にも触れていきます。何が課題なのかの現状把握を行い、どうやって解決していけば良いのかを一緒に模索していきましょう。
経営者が抱えやすい悩みは主に2種類
経営者が抱えやすい悩みは、下記の2種類に集中することがほとんどです。
これらはさらに細分化され、多くの課題として経営者にのしかかります。
事業に関する悩み
まず、事業に関する経営者の悩みとしては、主に以下のようなものが挙げられます。
要するに「お金」に関する悩みと言えるでしょう。事業を継続させるためには、切っても切れない問題になるので、早急に解決する必要があります。
資金調達
事業を展開するには、さまざまな面で資金が必要になります。例えば、人材育成や設備投資、既存設備の修繕費用など。会社を維持するには資金が不可欠です。自社で準備できるに越したことはありませんが、特に中小企業においては、収益に余裕がない場合が多く、調達の手段も限定されます。
業績が順調で売上が立っているからといって、資金繰りを気にしなくて良いわけではありません。なぜなら、売掛金が未回収の内に、支払いが重なり払えないという状況になる可能性もあり得るからです。そのため、事業が上手くいっていようがいまいが、経営者は常に「資金調達をどうするか」考えておかなければならない心労があるのです。
売上拡大
「売上を拡大させたいけど、どうすれば良いか分からない」という悩みを抱える経営者は少なくありません。売上は業績に直結するので、早急に解決したい問題ですが、手立てが分からない場合は、何をどうすれば良いか冷静な判断ができないでしょう。その間にも、商品の売り上げが伸びない状態が続くと、次第に企業自体を否定されているような気持ちになり、さらに悩みを深くしてしまうこともあります。
コスト削減
売上が良くてもコストが高いと、利益は生まれません。コストには原材料費や人件費などがあり、これらを削減しても生産性は維持しなければならないため、経営者にとって頭を抱える大きな課題とも言えるでしょう。また、原材料の高騰といった理由によりコストが増加。提供するサービスや商品は変わらないにもかかわらず、値上げをしなければいけない場合、消費者が離れていかないか、といった点も心配の種でしょう。
値上げを諦めて、従業員の給与を減給すれば不満が増え、離職者も増加することが予想されます。それにより利益不振が深刻化する場合もあるため、事業継続にダイレクトに影響を及ぼす問題として、悩む経営者も多くいます。
人材に関する悩み
次いで、人材に関する悩みについては、以下のようなものが挙げられます。
たとえお金があったとしても、働いてくれる人材なくして事業の成長はあり得ません。しかし、その人材の確保が難しいうえに、法改正により、人件費が事業を圧迫する現実を嘆くことになっています。
人手が足りない
日本の人口は2008年にピークを迎え、2011年を境に減少傾向にあります。反対に高齢者の人口は、2000年以降右肩上がり。それはつまり、国立社会保障・人口問題研究所が発表した下記の表が示すとおり、日本の生産年齢人口の減少を意味します。
引用元:日本将来推計人口(平成29年推計)
特に医療や建設業など、いわゆる人手不足産業においては、常に人手が足りない問題に悩まされているのが現状でしょう。問題は人手が足りないことだけでなく、2019年に義務化された年次有給休暇の取得が難しくなる、残業が減らせない結果、従業員が疲弊するといった悪循環に陥ることです。先ほど挙げた、コスト削減において大きな効果がある人件費の削減も、実行したくてもできない状況にあるため、八方塞がりだと苦悩している経営者も多いでしょう。
優秀な人材がいない
人口の減少や高齢化社会により、企業間の人材獲得競争が激化。生産年齢人口の中から、優秀な人材を採用するのは一苦労です。それどころか、求人をかけても応募があれば良い方というのが現実でしょう。特に中小企業においては、優秀な人材が集まりにくい傾向にあります。
求人をかければかけるほど「求人費がかかるだけで人材が集まらない」といった状況に陥ります。しかし先にも述べたとおり、どの企業も人手不足が続いている状況で、求人を止めるわけにもいかず、にっちもさっちもならない状況に、経営者の多くが頭を抱えています。
人件費の高騰
2021年4月に施行された「同一労働同一賃金」により、正社員と非正規雇用労働者の職務内容や配置の変更範囲が同じ場合、待遇について同じ扱いをするように定められています。つまり、同じ職務を行わせる場合は、正社員も非正規雇用労働者も同じ給与を支給しなければいけません。また、これまで非正規雇用労働者は、対象外とされてきた職務を遂行するうえで必要な研修や教育訓練なども、正社員同様に受けさせる必要があります。
全ての非正規雇用労働者が、正社員と同等の働きをしているとは限らないので、一概には言えませんが、非正規労働者を抱える企業において、人件費の増加が多少なりとも利益を圧迫することは否めません。
経営者が抱える悩みの解決方法4つ
事業に関する悩みを解決するには、以下のような方法を検討してみましょう。
業務フローを見直すことで、思わぬムダに気付くことができます。例えば、出荷までに期間があるのに必要以上に在庫を保有している場合は、時間と労力をムダにしているのと同じです。適正なタイミングで適正な数を提供できるように、業務フローを見直せば、そうしたムダを省くことができます。
マニュアルを作成して定型化が図れれば、人手が少なくても業務スピードを上げられます。また、問題にも気付きやすくなるので、一石二鳥です。さらに、IT化が図れる部分はすぐにでもIT化しておいた方が、削減できる労力は大きいでしょう。
外注にはコストがかかりますが、毎月発生する定例の業務負担が減る、残業が減るなどコスト以上の良い効果も期待できます。また、残業代が減ることによって結果的にコスト削減に繋がる場合もあるので、決してムダとは言えないでしょう。
正規雇用化や処遇改善などに取り組む中小企業には、国から助成金が給付されます。そうした制度を利用しながら、非正規労働者のキャリアアップを図り人財として育てることで、人手不足解消の糸口になり得るでしょう。キャリアアップ助成金の詳細は「厚生労働省のHP」をご確認ください。
経営者が悩みを抱えやすい理由
経営者が悩みを抱えやすい傾向にあるのは、以下のような理由があります。
企業を引っ張るリーダーである自分が弱い姿を見せてしまうと、従業員を不安にさせてしまい、離れてしまうのではないかと考える経営者も多くいます。そうした考えが根底にあり、表面上は気丈に振る舞うため誰も気付かず、また誰にも悩みを打ち明けることができない負のループにハマるのです。
「経営者の悩みは経営者にしか分からない」と思っている経営者が多い点も、経営者が悩みを抱えやすい理由として挙げられます。同じ境遇の人の方が状況を理解しやすいのは間違いではありませんが、従業員の中でも分かってくれる人はいるでしょう。しかし「弱みを見せられない」といった考えも相まって、一人で抱えこむ人が多いようです。
解決策として言えるのは、やはり相談相手を見つけることです。社内で理解者を見つけておくことも大切ですが、弱みを見せる相手としては同じ経営者の方が気兼ねせずに済むでしょう。
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経営者の悩みが解決できない場合に起こりうること
経営者が悩みを抱えたままでいると、メンタルヘルスに異常をきたす可能性があります。メンタルヘルスが不調になると、思考力や判断力が低下。大切な場面で適切な判断を下せなくなるため、業績不振や事業成長の妨げとなってしまいます。
そのことで生じた“焦り”は、波紋のように従業員にまで広がります。その結果、生産性が下がりさらに業績不振に陥るといった、悪循環になりかねません。メンタルに不調をきたしてからでは遅いので、経営者は早めに「悩んでいる」ことを自覚して、誰かに助けを求める必要があります。
また、日々できることとして睡眠をしっかりとること、感情を抑圧しないことが大切です。睡眠不足はストレスを加速させ、ストレスは睡眠不足を助長します。現代社会においてストレスを溜めないことは難しいため、早めに悪循環を断ち切るためにも、質の良い睡眠が取れるように努めましょう。
自身の感情の機微に気づきにくい人は、1日の終わりにその日あったことをノートに書き記してみるのも一手です。続けていくうちに、どういった場面で自分の感情が動くのか、を発見できるようになります。傾向を把握したうえで「今怒っている」「今悲しい」といった感情を素直に受け入れられるほど、感情の動きに敏感になれば、どうすれば調子が回復するかも自ずと分かってくるでしょう。
まとめ
経営者の悩みは根が深く、簡単に解決できるものではありません。しかし一つひとつ解決していかなければ、泥沼にはまってしまいます。一人で抱え込んでいても解決の糸口は見つからないため、まずは悩みを打ち明けられる誰かを見つけましょう。その誰かは従業員でも良いですが、できれば同じ立場で同じ苦しみを理解できる経営者がおすすめです。
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