監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
営業の1人目は採用か顧問かで迷い、決めきれないことはないでしょうか。
この記事では、採用と顧問サービスの違い、選び方、併用の考え方を解説します。
3つの軸で比べる|費用・立ち上がり・決裁者との接点
採用と顧問サービスは、雇用か業務委託かの違いだけではありません。
成果の出方が変わる3つの軸で、順に比べます。
費用は採用が固定費、顧問は範囲を区切れる
営業の1人目を決めるとき、まず気になるのは毎月かかる費用です。
採用は毎月の人件費が固定でかかり、顧問サービスは契約範囲と期間を区切れます。
公開されている相場情報では、営業顧問の月額は10万〜50万円程度が目安です。
採用の人件費と顧問の月額を、同じ6か月の総額に置き換えて比べてください。
立ち上がりは採用が育成から、顧問は人脈から
採用は、募集から入社、育成までの期間を経てから動き出します。
顧問サービスは、顧問がすでに持つ人脈から紹介が始まるため、動き出しが早くなります。
ただし、顧問の人脈に合わない商材では、紹介が出ないこともあります。
契約前に、狙う業種と役職の人脈があるかを、実績で確かめてください。
決裁者との接点は採用が自力、顧問は人脈を借りる
入社した営業は、決裁者に会う接点を、リストや手紙、架電で一から作ります。
顧問サービスは、顧問が信頼関係を持つ決裁者を紹介するため、接点づくりを短縮できます。
当社が登壇資料でまとめた目安では、決裁者アポは担当者アポより成約率が約10〜15倍です。
次の表で、3つの軸の違いを確認してください。
| 比べる軸 | 採用 | 顧問サービス |
|---|---|---|
| 費用の出方 | 人件費が毎月固定でかかる | 契約範囲と期間を区切れる |
| 立ち上がり | 募集・入社・育成のあとに動き出す | 契約後、顧問の人脈から紹介が始まる |
| 決裁者との接点 | 入社後に自力で作る | 顧問の人脈を借りる |
状況別の選び方|採用が向く会社・顧問が向く会社
正解は、会社の段階と商材によって変わります。
3つの場面に分けて、判断の基準を挙げます。
営業の型が決まっているなら採用が向く
営業の流れが決まっている会社は、新しい人に仕事を渡せます。
商材と顧客が固まり、トークや提案の型があるなら、採用して育てる価値があります。
型があれば、教える内容が明確になり、立ち上がりも読みやすくなります。
まず、受注までの流れを書き出し、人に渡せる形になっているか確かめてください。
商談の入口が少ないなら顧問が向く
営業を増やしたいと感じても、原因が商談の少なさにあることがあります。
商談の入口が少ないまま営業担当を増やしても、売上は増えず人件費だけが増えます。
当社は大型の資金調達後に急な増員を進め、月次の赤字が5,000万円を超えた経験があります。
採用を決める前に、毎月の商談数がどこで止まっているかを確かめてください。
迷うときは必須の条件と一発アウトの条件を分ける
どちらも一長一短で、優劣がつけにくいと感じる場面もあります。
迷う原因は、選択肢の優劣ではなく、判断の基準が決まっていないことです。
代表の平野は、条件を必須、できれば、どちらでもよい、一発アウトに分ける考え方を紹介しています。
たとえば、決裁者との商談を必須にし、成果の定義があいまいな契約を一発アウトと書き出してください。
1人目の営業でやりがちな失敗
1人目の営業は、任せる範囲が広く、失敗の影響も大きくなります。
採用と顧問サービスで、それぞれ陥りやすい失敗を挙げます。
採用してから商談の入口がないと気づく
採用が決まったあとで、会う相手が足りないと気づくことがあります。
入社した営業に、商談の入口をつくる仕事まで任せると、立ち上がりが遅れます。
当社でも、増員のあとに離職が続き、一時期の離職率は50%ほどになりました。
入社前に、最初の3か月で会える相手の候補を、会社側で用意してください。
顧問に任せきりで成果の定義を決めない
顧問サービスは、契約すれば自動で紹介が続くわけではありません。
紹介の1件を何と数えるかを決めないと、期待とずれた成果報酬を払うことになります。
担当者との面談と決裁者との面談では、成約率が大きく違います。
契約前に、1件の定義、狙う役職、支払いの時期を、書面で確かめてください。
一段上の視点|顧問で入口をつくり、型が見えてから採用する
どちらか1つに決めきらず、順番で考える方法もあります。
2つの視点と、当社の取り組みを紹介します。
顧問で勝ち筋を見てから採用する
営業の型が決まっていない段階で採用すると、新しい営業に教える内容がありません。
顧問の紹介で決裁者と商談し、通る提案と断られる理由を集めてから、採用に移ります。
集めた型を渡せば、入社した営業は初月から動きやすくなります。
最初の6か月は顧問で商談を重ね、得られた型を文書にまとめてください。
採用後も顧問の紹介を残して接点を保つ
営業を採用しても、決裁者との接点は自力だけでは増えにくいものです。
採用後も顧問の紹介を併用すると、新しい営業は決裁者との商談を早く経験できます。
紹介された商談に同席させれば、決裁者の反応を直接学べます。
顧問の契約は、採用した営業の立ち上がりに合わせて見直してください。
担当者を経由しない接点を足す
顧問1人の人脈だけでは、紹介先に限りが出ます。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
主力サービスの「縁CXO(えにシーオー)」では、定例の打ち合わせで狙う相手をすり合わせ、8,000名以上の決裁者から紹介します。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
営業の1人目は、早く商談を増やすなら顧問サービス、自社で育てるなら採用が向きます。
費用は、採用が毎月の固定費で、顧問サービスは範囲と期間を区切れます。
立ち上がりは、顧問が人脈から、採用は育成のあとに動き出します。
決裁者との接点は、顧問が人脈を借り、採用は自力で作ります。
迷うときは、顧問で商談の入口と型をつくり、そのあとに採用する順にします。
顧問1人の人脈に頼りきらず、担当者を経由しない接点の作り方も考えてみてください。
よくある質問
Q. 営業の1人目は採用と顧問のどちらがよいですか
A. 営業の型が決まっていれば採用、商談の入口が少なければ顧問サービスが向きます。
迷うときは、顧問で商談の入口と型をつくり、型が見えてから採用してください。
判断に迷うときは、必須の条件と一発アウトの条件を書き出すと決めやすくなります。
Q. 営業顧問の費用は採用より安いですか
A. 一概には言えませんが、期間と範囲を区切れる分、始めやすい費用の形です。
公開されている相場情報では、営業顧問の月額は10万〜50万円程度が目安です。
比べるときは、同じ期間の総額と、受注1件あたりの費用に置き換えてください。
Q. 採用と顧問サービスは併用できますか
A. 併用できます。顧問は業務委託のため、採用した営業の立ち上がりに合わせて契約を見直せます。
紹介された商談に新しい営業を同席させれば、決裁者の反応を直接学べます。
併用するときは、顧問と採用した営業の役割分担を書面で決めてください。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



