最終更新日: 2023.09.27

企業を相手に営業を行うBtoB営業のやり方を構築できれば、売り上げの安定や業績の向上につながるため、BtoB営業の導入を検討する企業は多いのではないでしょうか。しかし、BtoB営業を始めるのに、何から手をつけてよいのかわからない人もいることでしょう。

この記事では、BtoB営業の特徴や課題、やり方など、これからBtoB営業を始めようとしている企業に役立つ情報を紹介します。

BtoB営業の特徴

BtoB営業とは、企業を相手に実施する営業を指します。BtoBとはBusiness to Businessの略称で、企業間取引や法人営業とも呼ばれます。一方、BtoC営業は一般消費者に対して実施する営業です。

BtoC営業と比べると、BtoB営業には以下のような特徴があります。

  • 1件あたりのサービスの受注単価が高額
  • クロスセルが望める
  • リードタイムが長い
  • 決裁者とのアポイントが難しい

BtoB営業は1件あたりの単価が比較的高いため、成功すれば企業の業績の安定や向上につながりますが、その分難易度が高い傾向があります。

BtoB営業を実施する上での3つの課題

BtoB営業では、主に次の3つが課題として挙げられます。

  1. 決裁者アポイントの獲得
  2. 複雑な承認ルート
  3. リードタイムの長期化

BtoBのやり方を構築するために、この3つの課題を把握しておきましょう。

1.決裁者アポイントの獲得

BtoB営業では、決裁者とのアポイントを獲得する難しさが課題となります。決裁者とは、サービスの導入や購入の意思決定権を持つ人物です。企業の決裁権は各部署、各事業の部長以上の役職に与えられていることがほとんどです。

テレアポやフィールドセールスでアプローチする相手のほとんどは、決裁権を持たない担当者の可能性が高いです。商談アポイントを獲得できたとしても、商談相手が決裁者でなければ、担当者と商談を繰り返すことになります。決裁者との商談アポイントを獲得することによってより確度の高い営業が実施できるため、決裁者に直接アプローチできるBtoB営業のやり方を把握しておくべきです。

2.複雑な承認ルート

BtoB営業を実施する上での2つめの課題は、企業の複雑な承認ルートにあります。サービス導入の最終的な権限を持つのは決裁者ですが、決裁者に至るまで複数の承認者が設けられている企業もあります。

従業員がルールに従って業務手続きを行うガバナンスの強化や、情報漏洩などのリスクマネジメント、適切な意思決定の徹底といったさまざまな理由から、企業には職務権限規定が設けられています。

承認ルートに沿ってさまざまな視点からサービスの検討が行われるBtoB営業では、決裁者アポイントの獲得のほか、一般の担当者との商談においても決裁者に届くような情報を盛り込んだ質の高い提案を行いましょう。

3.リードタイムの長期化

承認ルートが複雑な分、リードタイムの長期化が課題となります。決裁者に至るまで、一般の担当者や上司、部長、担当取締役など、それぞれの意思決定に時間がかかるためです。

BtoB営業でBtoC営業と同じような比較的短いリードタイムを実現するには、顧客情報や顧客の購買プロセスを事前に把握しておくことが重要です。ターゲットのコーポレートサイトで企業規模や部署の構成などを調べましょう。

加えて、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用によって、WEBコンテンツの配信やメールの配信などが効率化でき、顧客の購買意欲のスコア化もできます。スコアが高い顧客を優先してアプローチできれば、リードタイムを短縮できます。

営業のリードタイムを短縮することは、顧客の離脱を防ぎ受注の獲得につながります。

BtoB営業のやり方

ここでは、BtoB営業のやり方の手順を6ステップに分け、順を追って紹介します。

  1. 営業リストの作成
  2. さまざまな手法でのアプローチ
  3. 商談
  4. 提案・プレゼンテーション
  5. クロージング
  6. アフターフォロー

1.営業リストの作成

まず、ターゲットとなる企業のリストを作成します。営業リストには、見込み顧客の企業名や担当者名、連絡先、住所などを記載します。営業リストを作成することによって、顧客情報の蓄積や社内の情報共有、情報管理を効率化できます。初期アプローチの際には、受注の確度が高い見込み顧客の見極めに役立ち、商談後には、企業ごとの購買プロセスおよび決裁者の把握などにも役立つでしょう。加えて、データを蓄積することによって、自社サービスにおけるマーケット全体のニーズを把握しやすくなります。

営業リストを作成せずに営業を実施すると、見込みの低い企業に時間を費やし、成果につながらないこともあります。BtoB営業を実施する際には、質の高い営業リストを作成してアポ獲得率を向上させましょう。

2.さまざまな手法でのアプローチ

作成した営業リストを基に、定めたターゲットへさまざまな手法でアプローチします。BtoB営業を大きく分けると「アウトバウンド営業」と「インバウンド営業」の2つの手法に分類できます。

アウトバウンド営業は、企業から顧客に働きかける営業のことです。具体的には、テレアポやメール営業、問合せフォーム営業、手紙営業などを行います。こちらから積極的にアプローチしてニーズを発掘し、受注獲得を目指します。

一方、インバウンド営業は、顧客からの問合せに対応する営業手法です。企業のHPやSNSを活用した発信、メールマガジンの発行、セミナーやWebセミナー、展示会の開催などを行い、まずは見込み客との接点を作ります。関係性がない未開拓の顧客にアプローチしても商談アポイントを獲得できる可能性は低いため、インバウンド営業を導入する企業が増えています。

また、未開拓の顧客を発掘し、購買意欲の高い見込み顧客に育成するインサイドセールスなどの手法もあります。これらの多様なアプローチ手法を複数活用することによって、商談アポの獲得につなげましょう。

3.商談

アポ獲得後は顧客の元へ訪問して商談を行います。

商談前には、ターゲット企業のコーポレートサイトや商談相手の担当者、取扱サービス、サービスのマーケティング施策などを事前に調べておきましょう。事前にリサーチしておくことによって、顧客の悩みや課題に合ったサービスを提供できる上、購買プロセスや決裁者などもわかる場合があります。コーポレートサイトからは、企業規模を把握でき、SNSからは企業の集客方法などが伺えます。

商談時には、ヒアリングシートを活用しましょう。ヒアリングシートとは、商談時に確認すべき事項を集約した質問リストです。商談のスムーズな進行や聞き逃しを防止に役立ちます。顧客の予算や担当者の決裁権などを聞き出せると、相手のニーズに合わせた提案ができるでしょう。また、訪問営業の場合には、資料をメールや郵送で事前に顧客に送っておくと商談の進行がスムーズになります。

4.提案・プレゼンテーション

商談で顧客のニーズを把握して、購買意欲が高まったタイミングで提案を行います。提案するタイミングによって顧客が感じるサービスの価値は変わるため、購買意欲が高まったかどうかの見極めが重要です。

購買意欲が高まっていない状態で無理やり提案しても、受注は獲得は望めません。一方、ニーズがあるにもかかわらず、提案が遅すぎることが原因で受注タイミングを逃してしまう可能性もあります。最適なタイミングを見極めるためには、徹底したヒアリングを行い、相手のニーズや課題を具体的に引き出すことが重要です。

また、提案の際には、自社のサービスが顧客の悩みに対してなぜ有効で、どのように解決できるのかを具体的に説明します。社内のコミュニケーションが上手く行えていない場合はビジネスチャットツール、顧客情報管理がスムーズに行えていない場合はCRM(顧客関係管理)ツールなど、最適な提案を行うことによって、受注獲得につながるでしょう。

5.クロージング

ヒアリングや提案によって成約の見込みが立った場合は、サービスの受注を獲得するクロージングを行います。

商談から受注までを担うクロージングでは、まず、テストクロージングを用いて顧客の意思を探ります。テストクロージングとは、提案したサービスに対して、顧客がどの程度の興味を示しているか、見積もりに納得しているか、疑問や不安はないかなどを伺い、反応を確かめる営業手法です。

いい反応があれば受注の意思を問いかけ、迷っているようであれば、悩みや不安を解消します。取扱サービスの種類によっても異なりますが、テストクロージングをする際は、いくつかのプランなど選択肢を用意した上で問いかけると、顧客も答えやすくなるでしょう。


契約の意思が確認できれば契約を締結しましょう。金額や納品数、納期など、サービス導入の条件を詳しく確認して、問題がなければ契約書を交わします。

6.アフターフォロー

受注後はアフターフォローを行います。BtoB営業では、LTV(顧客生涯価値)の最大化のためにアフターフォローが重要視されます。サービスを継続的に利用してもらうことはもちろん、顧客満足度を高めることによってクロスセルやアップセルが望める可能性があるためです。

アフターフォローでは、顧客の元への訪問、電話、メールなどを行い、サービスを利用した感想を伺います。顧客が不満に思っている部分を解決し、顧客満足度や信頼度を高めましょう。

契約後、サービスの使い方やトラブルの対処法など、顧客からの質問がくることもあります。その際は、レスポンスのスピードが重要です。返信が遅れると、顧客のサービスへの熱量や企業への信頼感は下がり、解約に至ることも少なくありません。顧客からの問合せや連絡にはすぐに答えられるように、グループメールアドレスとして管理するなどの対策をしておくといいでしょう。

アフターフォローを充実させることが継続的な利用につながり、さらにクロスセル、アップセルが成功すれば、結果として営業業績を底上げできるでしょう。

BtoB営業の注意点3つ

BtoB営業を実施する際は次の3点に注意します。

  1. 営業活動・ノウハウの属人化
  2. 人的リソース不足
  3. 顧客情報の管理不足

それぞれについて解説します。

1.営業活動・ノウハウの属人化

BtoB営業の注意点の1つは、営業活動やノウハウが属人化しやすいことです。営業活動やノウハウの属人化とは、特定業務の手順や進捗などの情報を、担当者しか把握していない状態です。

基本的に1人で行うことが多い営業では、ノウハウを可視化しにくい傾向があります。加えて、個々の営業担当者が持つ仕事量は多いため、情報を共有する時間がない場合もあるのです。営業活動の属人化が起きると、担当者の不在時に案件対応できない、社内にノウハウ蓄積されない、営業活動を分析してブラッシュアップできないなどの問題が生じます。

営業活動やノウハウの属人化を解消するためには、SFA(営業支援システム)ツールやCRM(顧客関係管理)ツールを活用しましょう。これらのツールを活用すれば、顧客情報や案件の進捗をスムーズに把握できます。優れた営業担当者のノウハウを可視化して若手社員に共有することによって、営業の質が高まります。

2.人的リソース不足

2つ目の注意点は、人的リソース不足です。人的リソースが不足すると、営業の機会を逃す可能性があります。受注数を増やすには一定のアプローチ数が必要ですが、それも人的リソースが不足すれば困難です。

アプローチ数が減るだけでなく、新人教育や社内研修にリソースを割けないという問題も生じます。結果として、営業の質を保つことが難しくなるでしょう。

人的リソース不足を解決するには、オンライン商談ツールなどを導入してインサイドセールスを行うなど、営業DXを促進するのが1つの手段として考えられます。インサイドセールスについての詳しい内容は後述します。

3.顧客情報の管理不足

顧客情報の管理が不足する可能性があることが、3つ目の注意点です。フィールドセールスを中心に行ってきた企業では、営業担当者それぞれが顧客情報を抱えているケースも少なくありません。また、部署ごとに異なるツールを利用していることによって、情報共有が図れないこともあるでしょう。

顧客情報を管理できなければ、ターゲットの絞り込みが不十分になり、アポイント獲得率や受注率が下がる可能性もあります。エクセルやCRMツールなどを活用して顧客を購買意欲ごとにセグメント分けするなど徹底した管理を行うと、受注見込みの高い顧客に集中して、効率的に営業できるでしょう。

BtoB営業におすすめの施策

BtoB営業におすすめの施策は次の5つです。

  1. インサイドセールスの導入
  2. 営業代行の活用
  3. SFAツールの活用
  4. CRMツールの活用
  5. MAツールの活用

それぞれの内容や特徴について解説します。

1.インサイドセールスの導入

インサイドセールスとは、非対面で行う営業手法です。電話やメール、オンライン商談ツールなどを活用し、新規顧客の獲得や顧客の育成(リードナーチャリング)、休眠顧客の掘り起こし、既存顧客のフォローアップなどを行います。

顧客リストなどのデータを基にしたヒアリングやオンライン商談により、案件化を目指す場合やクロージングまで、担当する業務範囲は企業や取扱商材によって異なります。

従来のフィールドセールスでは、顧客の元を訪問することが一般的でした。そのため、移動に時間を取られ、1日に数件程度と商談件数が限られていました。しかし、非対面で営業活動ができるインサイドセールスであれば、移動時間を省き、より多くの顧客と商談できます。フィールドセールスとインサイドセールスが協力することによって、BtoB営業を促進できるでしょう。

2.営業代行の活用

営業代行会社は、企業に代わって営業活動を行う会社です。顧客の新規開拓や既存顧客の育成、商談・交渉、カスタマーサポートなどを代行し、企業の営業活動を支援します。営業代行会社を活用すれば、即戦力となる人材による質の高い営業が行えます。

サービス内容は代行会社によって異なるため、自社で販売している製品やサービスに合った営業代行会社を選定しましょう。リスト作成などのマーケティング領域のほか、アポイント獲得や受注、アフターフォローまで代行支援してくれる会社もあります。

見込み顧客の獲得から分析、商談アポイント獲得までを行う企業が多い傾向があり、一般的に商談から受注までは自社で行いますBtoB営業において、新たな営業ルートを開拓する有効な手段の1つだといえます。

3.SFAツールの活用

SFAツールとは、案件管理や顧客管理などを効率化するツールで、営業支援ツールとも呼ばれます。営業活動における商談から受注までをサポートするために、次のような機能を備えています。

  • 顧客の情報管理
  • 案件管理
  • 商談管理
  • 予算実績管理
  • スケジュール・プロセス管理
  • 日報管理

顧客とのコンタクト状況や商談の進捗を共有できる案件管理・商談管理機能、受注獲得時の想定金額などを把握できる予算実績機能などを活用することにより、顧客へのダブルブッキングを防止したり、引継ぎ情報の共有をスムーズに行ったりできるようになります。

また、SFAツールを利用すれば、目標売上に対する進捗を誰でも簡単に把握できます。SFAツールは属人化しがちなBtoB営業を見える化し、スムーズな連携やノウハウの共有を実現する効率的な手段です。

4.CRMツールの活用

CRMツールは、企業名や担当者名、電話番号や住所などの基本情報に加えて、顧客とのコミュニケーション記録などの情報を管理するツールです。SFAが商談から受注までの役割を担うのに対して、CRMは受注後の顧客との関係強化や、顧客の動きを把握することに用いられるのが一般的です。

CRMツールの活用によって、企業と顧客間でのやり取りを確認でき、ニーズに合った提案やサポートが行えます。顧客情報を管理するだけでなく、顧客のやり取りから購買意欲の高まったタイミングを見極めてメールを送信するなど、マーケティング施策にも活用できます。

顧客との関係性を維持し、LTV(顧客生涯価値)最大化するには、CRMが有効です。

5.MAツールの活用

MAツールとは、新規顧客獲得におけるマーケティング業務をサポートするためのツールです。見込み顧客のリスト管理やスコアリング、トラッキング、メールの一斉配信、Webサイトの分析などのモバイルマーケティング施策を効率的に行えます。

MAツールを使用すると、見込み客と良好な関係を構築しやすくなります。例えば、購買意欲の高まっていない顧客にメルマガ配信を定期的に実施し、サービスに対しての認識や理解を深めて育成します。配信したメルマガのURLがクリックされたかをトラッキングできるため、サービスの案内も適切なタイミングを見極めて実施できます。

BtoB営業に成功するためにやり方を構築しよう

BtoB営業では、決裁者アポイント獲得の難しさや承認ルートの複雑さ、リードタイムの長さなどが課題とされますが、やり方を理解して構築できれば成功に近づきます。BtoB営業におすすめの施策の中から自社に合ったものを導入するのも1つの手段です。

BtoB営業を自社のみで初めから構築するのは、時間や労力がかかるため、効率的ではない場合もあります。ぜひ本記事で紹介したやり方を参考に実践してみてください。

BtoB営業にはチラCEOがおすすめ

当社オンリーストーリーでは決裁者同士のマッチングプラットフォーム「チラCEO」を提供しています。BtoB営業では、決裁者どうしでつながることにより、スピーディーに商談を進めることが可能です。手軽に商談を行いたいと考えている方は、「チラCEO」の導入をご検討ください。

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