監修:平野 哲也(株式会社オンリーストーリー 代表取締役)
営業施策の使い分けが分からず、どこに予算を置くか決めきれないことはないでしょうか。
この記事では、施策を比べる基準、4タイプ20種の向き不向き、決裁者につなげる選び方を解説します。
施策20種を比べる前に決める2つの物差し
施策の良し悪しは、どの物差しで測るかで決まります。
物差しを2つと、20種の分け方を挙げておきます。
リード単価ではなく決裁者商談の単価で比べる
営業施策は、つい獲得できたリードの単価で比べたくなります。
リード単価が安い施策が、成約単価も安いとは限りません。
当時の自社施策では、リード単価3,000円に対し、決裁者商談の単価が300,000円まで上がった例があります。
施策は、成約に近い決裁者商談の単価で評価してください。
担当者に届くか決裁者に届くかで見る
同じ1件のアポでも、会う相手の役職で成果は変わります。
担当者アポと決裁者アポでは、成約率に約10〜15倍の差がありました。
決裁者に届く施策ほど、アポの数が少なくても成約に近づきます。
各施策が担当者止まりか決裁者まで届くかを、先に確認してください。
20種を4タイプに分けて役割で見る
20種の施策は、得意なことで4タイプに分けられます。
広告は認知、コンテンツは資産づくり、代行は母数、場と紹介は成約が得意です。
次の表のとおり、1つの施策に認知から成約までを任せないことが前提です。
タイプが違う施策は、優劣で比べず、役割で組み合わせてください。
| タイプ | 含まれる施策 | 得意なこと |
|---|---|---|
| 広告・認知型(7種) | リスティング広告、SNS広告、バナー広告、駅前サイネージ広告、タクシー広告、テレビCM、新聞・雑誌 | 認知、単発企画の集客 |
| コンテンツ・PR型(3種) | SEO・記事・LP、プレスリリース・PR、チャットボット | 資産づくり、ブランド |
| 代行・アウトバウンド型(5種) | テレアポ代行、メルアポ代行、FAX代行、DM送付代行、手紙送付 | アポの母数づくり |
| 場・紹介型(5種) | 展示会出展、セミナー・懇親会開催、交流会・経営者会参加、営業顧問、代理店展開 | 決裁者との接点、成約 |
広告・認知型7種の使い分け|リスティングからテレビCMまで
広告は、お金をかけた分だけ露出が増える施策です。
ただし、単発の企画向きと認知向きで使い方が違うため、2つに分けて見ます。
リスティング・SNS・バナー広告は期間と目的を絞る
申し込みに近い検索需要を取れるのが、リスティング広告です。
リスティング広告は施策として悪くありませんが、キーワードの単価がすこぶる上がっています。
Facebook広告などのSNS広告は、かけっぱなしでは成果が出にくい施策でした。
SNS広告やバナー広告は、セミナーなど単発の企画に合わせて、期間を区切って使ってください。
サイネージ・タクシー・テレビCM・新聞雑誌は認知用と割り切る
掲載場所で人の目に触れさせるのが、マス型の広告です。
駅前サイネージ広告は、ほぼ意味がありませんでした。
タクシー広告は認知とブランドを取れますが、他社の広告も同時に流れるため、申し込みにはつながりにくくなります。
テレビCMや新聞・雑誌も認知の施策として位置づけ、アポ獲得の数字では評価しないようにしてください。
コンテンツ・PR型3種の使い分け|SEO・PR・チャットボット
コンテンツとPRは、効果が出るまで時間がかかる代わりに、積み上がる施策です。
SEOと、PR・チャットボットの2つに分けて見ます。
SEOは中長期の資産づくりとして続ける
記事やLPを増やして、検索から集客するのがSEOです。
SEOは、売上をすぐ作る施策ではなく、会社の資産を積む施策として見られるなら、良い施策です。
ただしSEOのルールは大きく変わっており、前提が崩れるリスクがあります。
記事数だけでなく、AIの回答に引用される内容かを見ながら続けてください。
PR・プレスリリース・チャットボットは担当者と受け皿で決まる
PRは、ブランドをつくり、どの施策にも複利で効く施策です。
PRは、どの会社の誰が担当するか、その会社が自社で実践しているかで成果が決まります。
プレスリリースは発信の手段、チャットボットは来訪者の受け皿です。
単体ではアポを生まないため、ほかの流入施策とセットで使ってください。
代行・アウトバウンド型5種の使い分け|テレアポから手紙まで
代行は、アポの母数をつくる施策です。
相手への届け方で、電話・メールと、紙の2つに分けて見ます。
テレアポ・メルアポは会社より担当者で選ぶ
電話とメールで接点をつくるのが、テレアポ代行とメルアポ代行です。
テレアポは、どの会社に頼むかより、どの担当者がつくかが最も重要です。
担当者との交渉のしやすさと、改善の提案があるかを、契約前に確認してください。
メルアポ代行も、文面を改善してくれる担当者がつくかを、同じ基準で見てください。
手紙・DM・FAXは役職を変えて届ける
紙で届ける手段が、手紙送付、DM送付、FAX送付です。
手紙は社長が送られすぎているため、執行役員宛てなど役職を変えると反応率が高まりやすくなります。
DMやFAXも、同じ紙の施策として宛先の役職の考え方は共通です。
宛先の役職を1段階変えて小さく試し、反応率を比べてください。
場・紹介型5種の使い分け|展示会から代理店まで
場と紹介の施策は、人を介して決裁者に会える点が強みです。
ただし、運営者や担当者の質で結果が大きく変わります。
展示会・セミナー・交流会は集客の工数で選ぶ
展示会とセミナー・懇親会は、自社で人を集める場の施策です。
自社で集める場は、集客の準備から当日の接客まで工数がかかります。
一方で、他社が集めた場に出る交流会は、工数が軽い代わりに、参加者の質が運営次第になります。
工数をかけられる時期は自社開催、かけられない時期は交流会と使い分けてください。
経営者会は会ごとの差と運営者で選ぶ
経営者会への参加は、オンリーストーリーの事業と相性が良い施策でした。
経営者会は会による差が激しく、本質は、良い人が来るか、運営者が紹介してくれるかです。
参加者の人数や名簿より、運営者の紹介の動きを確認してください。
まず1〜2回参加し、紹介が起きる会かを見てから、継続を決めてください。
営業顧問はリストの枯渇に備えて選ぶ
営業顧問は、顧問が持つ人脈から商談先を紹介してもらう施策です。
営業顧問は、数か月でリストが枯渇しやすい施策です。
顧問の入れ替えか、新規でリストが増える仕組みがある会社と組むのが前提です。
紹介料などの中抜き率も、契約前に確認してください。
代理店は専任の担当をつけて初めて動く
代理店は、他社の営業網で販路を広げる施策です。
本当に動いてくれる代理店に出会える確率は、トランプの山からハートのエースを引く程度です。
専用の担当をつけて定期的に連絡を取らないと、代理店は動き出しません。
数を増やすより、動く数社に絞って関係を深めてください。
決裁者を人から紹介してもらう場を併用する
20以上の施策を試した結果、オンリーストーリーで最も成約につながったのは、決裁者を人から紹介してもらう形でした。
オンリーストーリーが運営する決裁者マッチングは、審査を通過した企業の決裁者同士が直接つながれる仕組みです。
12年で築いた8,000名以上の決裁者ネットワークを通じて、広告や代行では届きにくい決裁者との接点をつくれます。
一方で、商材の単価が低い場合や担当者レベルで決裁が完結する商材では、効果が出にくい傾向があります。
まとめ
営業施策20種は、リード単価ではなく決裁者商談の単価で比べます。
広告は認知と単発企画に絞り、成果の出にくいサイネージのような施策は外します。
SEOとPRは、会社の資産を積む施策として時間をかけて続けます。
テレアポや手紙の代行は、担当者と宛先の役職で結果が変わります。
経営者会、顧問、代理店は、運営者と仕組みと専任の担当で選びます。
成約に最も近いのは決裁者の紹介であるため、担当者を経由しない接点のつくり方も考えてみてください。
よくある質問
Q. 営業施策の使い分けはどう考えればよいですか
A. 広告・コンテンツ・代行・紹介の4タイプに分け、決裁者商談の単価で比べて使い分けます。
オンリーストーリーでは、20以上の施策を試した結果、決裁者を人から紹介してもらう形が最も成約につながりました。
担当者アポと決裁者アポでは、成約率に約10〜15倍の差がありました。
Q. 営業施策で成果が出にくいのはどれですか
A. オンリーストーリーの経験では、駅前サイネージ広告はほぼ意味がなく、タクシー広告は認知止まりでした。
ただし評価は商材と目的で変わります。
自社の決裁者商談の単価で、施策ごとに判断してください。
Q. 少ない予算で始めるならどの施策がよいですか
A. 広告より、人を介して決裁者に会える経営者会などを小さく試すのが基本です。
経営者会は、1〜2回の参加で紹介が起きるかを確認できます。
リスティング広告は、キーワードの単価の上昇に注意が必要です。
この記事の監修者

平野 哲也(ひらの てつや)
株式会社オンリーストーリー 代表取締役
BtoB営業と決裁者マッチングの領域に12年間携わり、決裁者同士をつなぐマッチングサービスを運営。
累計26億円の資金調達を実施し、「ベストベンチャー100」にも選出されている。
「つよいい会社をつくる」を掲げ、経営の中でのしくじりや営業の現場で得た知見を発信中。



